1月度の観察記録
カテゴリ : 2008年
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 降雪が心配されましたが,曇りがちの晴天でした.大変寒かったですが,薮こぎなどよく歩く観察会にはもってこいの日よりでした.集合場所のイチョウ(銀杏,イチョウ科)は,すくっと青空に向かって枝を伸ばしていて,ムクドリ(椋鳥,ムクドリ科)がその尖端にとまっていました.新池は水を満々とたたえていましたが,水鳥は水面上にはいませんでした.よく捜すと,水門近くのコンクリート面に1羽のアオサギ(青鷺,サギ科)がいました.その周辺に近づくと,2羽のカイツブリ(鳰,カイツブリ科)が土手から水面に出てきました.スイレン(睡蓮,スイレン科)を除去した効果が出て,今年は営巣してくれるかもしれません.

集合場所のイチョウ メジロとムクドリ アオサギ カイツブリ

 新池周辺のセンダン(栴檀,センダン科)は,クリーム色の実が沢山枝についていました.この実を食べるいつもいるヒヨドリ(鵯,ヒヨドリ科)はいませんでした.元清風荘は,建物の撤去のために高いフェンスが設置されていました.フェンス際の樹木は切られておらず,外に枝がはみ出している樹木に対しては,フェンスを一部切り取って対応していました.元清風荘の中からメジロ(目白,メジロ科)の鳴き声がしきりにしました.参加者は,集合時には大人20名,子供4名(中学生3名を含む)でしたが,途中で参加した人もあり,最終的に大人32名と子供5名になりました.
 集合場所で,まず,尾張旭市の豊かな自然に関するパンフレットが配布され,2月23日に行われる行事の案内がありました.その後,先月の記録が紹介されました.モズ(百舌鳥,モズ科)のはやにえ(早贄)が話題になりました.次に,参加者が持ってきたイヌコハコベ(犬子繁縷,ナデシコ科)の押し花が紹介されました.1月の観察会は,よく歩く会にすることになっているため,どこに行きたいかの希望が募られました.竹藪を切り開いた場所のフユイチゴ(冬苺,バラ科)の群生を見たいという希望がでました.今回は,持ち寄りの資料が少なかったので10時よりかなり前に平和公園に向けて出発しました.

センダン センダンの実 イヌコハコベの
押し花

 まず,南尾根と北尾根に挟まれた元大坂池の跡である,平和公園入口の土手に行きました.周辺に,背の低いヤブジラミ(薮虱,セリ科)が多くありました.一見,ニンジン(人参,セリ科)の葉に近いものでしたが,ニンジンの葉のような匂いはほとんどないということが分かりました.排水溝の周辺には,枯れていましたが,オオオナモミ(大?耳,キク科)やアメリカセンダングサ(亜米利加栴檀草,キク科)が多くあり,その実は服だけでなく,背が高いので帽子にもひっつき虫になりました.オオオナモミとオナモミ(?耳,キク科)の違いを,図鑑なども参考にして観察しました.どちらも1年草ですが,オオオナモミはオナモミに比べ全体が大きく,黒紫色のものが多いそうです.果実はオナモミよりやや密につき刺も密にあり,毛は少ないということでした.最近は,在来種のオナモミより外来種(メキシコ原産)のオオオナモミの方が圧倒的に多いそうです.

【外部リンク】おなもみ道場

ヤブジラミ オオオナモミの
果包
アメリカセンダングサ
の実

 ここから,また,来た道を戻って,いつもの小径から平和公園に入りました.この小径脇のスモモ(李,バラ科)の木のある涸れた池の中に入って,弱ったアカメヤナギ(赤芽柳,ヤナギ科,別名:マルバヤナギ)に沢山ついていたヒラタケ(平茸,ヒラタケ科)を観察しました.沢山あったので,1株だけナイフでそぎとって観察しました.触ってみると厚肉でしっとりとしており,スポンジのようでした.食用になりますが,焼くと水が出て,あまり旨くないそうです.アカメヤナギの上の方の枝にシジュウカラ(四十雀,シジュカラ科)がとまり,しきりに鳴いていました.

ヒラタケ

 この池の西の土手でタマリュウ(玉竜,ユリ科,別名:ヒメリュウノヒゲ)を観察しました.リュウノヒゲ(竜の髭,ユリ科)の園芸種で,リュウノヒゲに比べると葉の長さが短くなったものだそうです.細長い葉をかき分けると根元に複数のきれいな瑠璃色またはコバルトブルーといった方がよいような青い実をつけているものもありました.リュウノヒゲに関連して,映画のトトロの中で,さつきちゃんがトトロからもらったドングリ(団栗)の包みが,このリュウノヒゲの葉で縛ってあったという報告をした参加者がいました.近くに,フユノハナワラビ(冬の花蕨,ハナヤスリ科)の群生もありました.その先に行こうとしましたが,赤い実をつけたノイバラ(野茨,バラ科)に阻まれて,元の道に引き返しました.ノイバラの赤い実は食べられるという参加者がいましたので,食べてみましたが,甘くなくあまり味はしませんでした.もっと熟すとよいかもしれません.
 陽当たりの良い場所で,ハコベ(繁縷,ナデシコ科)を捜しました.小さな花芽を付けたハコベが複数見つかりました.ヒメオドリコソウ(姫踊子草,シソ科)も,まだ花は咲いていませんでしたがありました.寒さは厳しかったですが,もうすぐそこに春は近寄ってきている感じでした.

タマリュウ フユノハナワラビ ハコベ ヒメオドリコソウ

 薮こぎをして山に入りました.途中で,背の低いネズミモチ(鼠餅,モクセイ科)がありました.長くホームレスの人が住んだ跡で,ラッキョウ(辣韮,ユリ科ネギ属)を見つけました.最初,何かわかりませんでしたが,根を掘り出して見て,確かにラッキョウであることを確認しました.多分,ホームレスの人がネギと誤って植えたものだろうということになりました.沢山あったので,皆で分けて泥と皮を除いて食べました.その後,食べた人の後ろを歩くと,独特の匂いがしました.この場所から谷側を見るとなかなかよい森の眺めでした.周辺には,サルトリイバラ(猿捕茨,ユリ科)や,ホームレスの人が捨てた種から発芽したと思われるビワ(枇杷,バラ科)とミカン(蜜柑,ミカン科)の幼木もありました.

ラッキョウ ビワの幼木 ミカンの幼木

 さらに薮こぎをして,山の頂上の旧陸軍の石柱まで行きました.戦前,禿げ山で陸軍の演習場だったときに頂上の目印に建てられたものです.そこから,下りの薮こぎをして,平和公園の伐採樹木の処理場に着きました.すぐ横は,道路になっているところです.木片チップを造る機械は周辺に見あたりませんでしたが,伐採した枝がうず高く積まれていました.道路へ出る直前で,カシノナガキクイムシ(樫の長木喰い虫,ナガキクイムシ科)によるカシナガ被害にあっていると思われる大きなアベマキ(阿部槇,ブナ科)を見つけました.既にかなり弱っていて,樹皮に独特の特徴が出ていました.早く伐採して焼かないと周辺に被害が広がるのではないかと心配しました.

旧陸軍の石柱 平和公園の見晴らし カシナガ被害に
あったアベマキの
観察

 そのすぐ横にイヌマキ(犬槇,マキ科)の木があり,その木から細長い4枚の葉を取って,皆で手裏剣を造りました.昔は,男の子は皆やりましたが,今回はなかなかうまく出来ませんでした.やっと出来たものを貰った男の子は,大変誇らしい顔をしていました.

 【外部リンク】My Cosmos「手裏剣の作り方」

 手裏剣を造りながら,大きなマメガキ(豆柿,カキノキ科)の木に絡みついたキカラスウリ(黄烏瓜,ウリ科)の多くの実を見つけた参加者がいました.非常に高い枝にぶら下がっていました.しなびた実だけでなく,まだ艶のある黄色い実もありました.地面にも多くのしなびた実が落ちていました.3cm大のマメガキの実をとって食べた複数の参加者がいました.甘いと言う人と,後で大変渋かったという人の両方がいました. 

イヌマキ イヌマキの葉で
作った手裏剣
マメガキと
キカラスウリの実
マメガキの実

 1人の男の子が,道路端に群生しているカミヤツデ(紙八手,ウコギ科)の折れたものを傘替わりに持って遊んでいました.大半のカミヤツデの葉はしおれかけていましたが,ヤツデとよく似た花穂がついていました.誰が何のために,最初にここに植えたのかという疑問が出ました.茎の繊維は高級紙の原料になりますが,こんなに少なくてはそれも考えられないという意見も出ました.
 道路脇の歩道を歩きながら,猫ヶ洞池へ向かいました.途中で,お墓の横にきれいな黄色い花を満開にしているソシンロウバイ(素心蝋梅,ロウバイ科)を見つけて皆で観察しました.黄色い花は,大変上品な香りがしました.普通のロウバイ(蝋梅,ロウバイ科)とソシンロウバイとの違いは,ソシンロウバイの方が花は大きく,ロウバイの中心が赤いのに対して,中心も黄色だということでした.ソシンロウバイの枝に6cm大のドロバチ(ドロバチ科)の巣を見つけました.ほぼ円形でしたが,一部は上塗りしたような形状で,4つの穴が明いているので,もう既に巣立ったという昆虫に詳しい参加者からの助言で,枝を切り,中を観察することにしました.切った枝を持ってみると相当重く,泥(実際はシルト)のかたまりのようでした.中学生の男の子がナイフで切断したところ,4つの穴に通じたところは,脱皮の皮みたいなものが残っているだけでしたが,もう1つ部屋があり,その中に幼虫が見えました.すなわち,少なくとも5つの部屋があったようです.各部屋は,厚い壁で仕切られているというより,泥のかたまりの中に小さな部屋が作られているという感じでした.昆虫に詳しい参加者は責任を感じて,自宅に持って帰って羽化させてみるということになりました.来月報告があると思います.このような量の泥を,小さなドロバチがどのようにして運ぶのかという疑問が出されました.

カミヤツデの葉を
持つ子供
ソシンロウバイの花 ソシンロウバイに
ついたドロバチの巣
ドロバチの巣の中


 猫ヶ洞池に着いて,最初にベルマウスを見ました.池は久しぶりに満水で,ベルマウスへ水が落ちていました.流域の雨水を,山崎川ではなく,分水嶺の逆側の矢田川にトンネルを通じて流す入口がこのベルマウスであるという説明がありました.周辺に,カルガモ(軽鴨,カモ科)とカワウ(川鵜,ウ科)が2羽ずつとハクセキレイ(白鶺鴒,セキレイ科)とコサギ(子鷺,サギ科)がそれぞれ1羽ずついました.他の水鳥はいないかと思いましたが,池の周辺を歩いていくと,沢山のコガモ(小鴨,カモ科)がヨシ(葦,イネ科)原に隠れていることが分かりました.池の横で感想会をしたときに,何かに驚いて,100羽を超えるコガモが群をつくって飛翔しました.さかんに独特の鳴き声を出していました.

猫ヶ洞池の
ベルマウス
コガモ

 感想会では,ソシンロウバイとドロバチの巣の観察に関しての感想が多く出ました.サクラの園の大きな松で,いつも大きなマツボックリを落とす松は,ダイオウショウ(大王松,マツ科)という名であるという話もでました.
 今回は空が明るく,多く歩いた大変快適な観察会となりました.なお,結局,時間がなくて,希望の出たフユイチゴの群生を観察できませんでしたが,来月もよく歩く観察会にして,そこに行くことになりました.

感想会

観察項目:イヌコハコベ,ヤブジラミ,オオオナモミ,アメリカセンダングサ,ヒラタケ,アカメヤナギ,フユノハナワラビ,タマリュウ,ノイバラ,ナキリスゲ,ハコベ,ヒメオドリコソウ,ヤブコウジ,マンリョウ,センリョウ,ラッキョウ,ビワ,ミカン,ソヨゴ,ネジキ,石柱,コシダ,アベマキ,イヌマキ,キカラスウリ,マメガキ,カミヤツデ,コマツナギ,メジロ,シジュウカラ,シロハラ,ソシンロウバイ,ドロバチの巣,コブクザクラ,カルガモ,カワウ,コガモ,コサギ(概ね観察順)

文・写真:伊藤義人 監修:滝川正子