12月度の観察記録
カテゴリ : 2012年
2012年12月度の観察記録です。
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晴天で風もほとんどなく芋煮会日和になりました.新池にはアオサギ(青鷺,サギ科)1羽,ヒドリガモ(緋鳥鴨,カモ科)2羽およびカイツブリ(鳰,カイツブリ科)3羽が来ていました.カイツブリは,スイレン(睡蓮,スイレン科)のなくなった水面からさかんに潜って餌をとっていました.土手のアカメガシワ(赤芽柏,トウダイグサ科)は葉をすっかり落とし,冬芽を出していました.センダン(栴檀,センダン科)の実はクリーム色になり,ヒヨドリ(鵯鳥,ヒヨドリ科)とムクドリ(椋鳥,ムクドリ科)が食べに来ていました.街路のサクラ(桜,バラ科)やトウカエデ(唐楓,カエデ科)もすっかり葉を落とし,冬景色でした.参加者は,集合場所では子供11名と大人34名でしたが,芋煮を食べに来た人は70名を越えました.

集合時間の前に平和公園の中を1時間ほど散策して写真を撮りました.草地には霜がおりていて,池は凍っていました.50羽以上のスズメ(雀,スズメ科)が葉を落とした木にとまり,遠くから見ると葉のように見えました.その周辺ではウグイス(鶯,ウグイス科)の地鳴きが数ヶ所で聞こえました.アオジ(青鵐,ホオジロ科)もかぼそく鳴いていました.奥池へ行く途中で,ガマズミとよく似た葉ですが,つやのある紫色のハクサンボク(白山木,スイカズラ科)の写真を撮りました.水田近くのナンキンハゼ(南京櫨,トウダイグサ科)は,葉をすっかり落とし,白い実がたくさんついていました.2羽のハシボソガラス(嘴細烏,カラス科)が盛んにそれを食べていました.近づくと実のついた枝を口にくわえて飛んでいきました.

凍った池 スズメ ハクサンボクの葉 ナンキンハゼを食べるハシボソガラス

集合場所で,まず前日に猫ヶ洞池で採取した10cm大のゼリー状のオオマリコケムシ(大鞠苔虫,オオマリコケムシ科)の3つの群体を観察しました.北米産の外来種で,日本では1972年に河口湖で初めて見つかったそうです.水鳥の足に引っかかって運ばれるようです.ゼリー状の群体の表面近くに外肛動物で1.5mm程度の個虫が点々としていました.きちんとした呼吸器系や循環器系を持っていませんが神経系や骨格系は持っているそうです.近くにはイルカ池にもいるという報告がありました.水没している岩や根について繁殖しますが浮いているのを目撃することもあるようです.乾燥させてゴマ油で炒めて食べられるそうです.生で食べた人の感想として,うまくなく,全く味はしなかったという報告がありました.

【外部リンク】謎生物「オオマリコケムシ」を実際に食べてみた

オオマリコケムシ

次に,キカラスウリ(黄烏瓜,ウリ科)とそれより半分以下の大きさの赤いカラスウリ(烏瓜,ウリ科)を持ってきた人がいて比較しました.カラスウリの種は,打ち出の小槌の形をしており,財布に入れるとよいと言われていますが,キカラスウリの種にはご利益はないということを言う人がいました.キカラスウリの根からシッカロールを取ったという話も出ました.天白川の川縁にキカラスウリは多いという報告もありました.黄色い実を半割りして,種の周辺の果肉を数名の人が食べました.最初は甘いですが後で渋いという感想でした.食べて大丈夫かという意見に対して,ウリ科や「〜菜」という植物は一般に無毒であるという説明がありました.

前日の猫ヶ洞池の池干しで,外来種のブルーギル(Bluegill,サンフィッシュ科)やブラックバス(Black Bass,サンフィッシュ科)を持ち帰って山崎川に放流して野鳥の餌にしたいという人が,何度も持ち帰ろうとして怒られたという事件についての説明がありました.特定外来種は移動禁止で,違反者には200万円以下の罰金ということを理解していない人が多いようです.また,理解していても生き物だから駆除するのはかわいそうだという人もたくさんいるようです.

カラスウリとキカラスウリ

インテリアとして,ソバ(蕎麦,タデ科)とワタ(綿,アオイ科)を花瓶に入れて持ってきた人がいました.ワタの実がはじけて綿が出ていたので,中の種の数を数えました.7〜8個の種がはじけた実に入っていました.実の内果皮の部分が綿だという説明がありました.ソバとワタの種の中を食べた人から,ワタの実の方がソバの実よりうまいという感想でしたが,最後は苦いということでした.ワタの種からは使用量は多くないですが食用油として使われる綿実油が取られます.日本のワタは繊維が短く切れやすいので,デカン高原の長い繊維のワタに品質的に負けているということでした.子供の頃,蒲団の上に乗らないように言われたのは繊維が切れてしまうためという話がありました.

先月観察したサツマイモ(薩摩芋,ヒルガオ科)の花の付いた茎をビンに活けておいたところ,根が出て葉も出てきたということで,それを観察しました.このままほっておくと,水の中でもイモは出来るかという疑問がでました.
先月の報告を見て,ホトケノザ(仏座,シソ科)の季節はずれの花が話題になりました.

ワタの実 サツマイモ

芋煮会の資材をリストを見ながら倉庫から出してリアカーに載せました.燃料としての枯木を拾いながら進むことになりました.子供達だけでうれしそうにリアカーを引きました.子供達にとって初めての経験のようでした.
まだ周辺に紅葉を残している芋煮会の場所に着いて,最初にアベマキ(阿部槇,ブナ科)の1枚の落葉に20個くらいの虫こぶが付いているのを観察しました.芋煮の準備をする前に,火事をださないように注意がありました.そのため,芋煮鍋の竈を置く場所を昨年から少し中央に移動することになりました.気分が悪くて,ゲロをはいた人がいたときは,ノロウィルス(Norovirus,カリシウイルス科)が心配なので触らないようにという注意もありました.消毒薬を準備していました.

リアカーを引く子供達 アベマキの葉についた虫こぶ

芋煮鍋の竃用の穴を掘っているときに,炉(ろ)と竈(かまど)の違いを指摘した火事の専門家がいました.囲炉裏(いろり)のように囲っていないものは炉で,竃は周辺を囲って釜などを載せるものという定義だそうです.昨年まではU字溝を使っていましたが,今年からは鉄製の竃を堀った穴の周辺に置き,その上に芋煮鍋を置きました.新聞紙を丸めて竈に入れて,火をつけました.途中で竈に入れた枯枝からアリが出てきて,担当していた人が急いで竈から取り出してアリを助けました.鍋の中には,最初に里芋と水を入れました.新しい竈は,火つきはよくなかったですが熱効率がよいようで,昨年より早く沸騰しました.豚肉,ゴボウ(牛蒡,キク科),蒟蒻(こんにゃく),お酒,豆腐,醤油,ネギ(葱,ネギ科)を順に入れました.準備されたきざんだネギは多すぎて半分近く残しました.

芋煮鍋と竈 ネギの投入

パンを焼くための熾(おき)をつくるため,芋煮鍋の横でバーベキューグリルを土の上におき,枯枝を燃やしました.親子連れで,パンを焼くための竹を切りに行きました.パン生地は今回は60個用意されていました.グリルの両横には,パン生地をつけた竹棒を支える竹竿を横に渡しました.竹竿は,のこぎりで刻みを付けて,熱で竹が爆発しないようにしました.準備ができる前に子供達は絵本の読み聞かせをしてもらっていました.その後,子供達はパン生地を付けた竹棒を持って,競争でパンを焼き始めました.

竹竿の準備 絵本の読み聞かせ パン焼き

その間に,周辺の自然観察を2人で行ってきました.マユミ(真弓,ニシキギ科)のピンクの花がたくさん咲いていました.ヒイラギ(柊,モクセイ科)やセンリョウ(千両,センリョウ科)の常緑の木が大きな樹木の下で目立ちましたが,センリョウにはわずかの赤い実しかついていませんでした.コウヤボウキ(高野箒,キク科)の多い小径も通りましたが,花期が終わって,花殻だけが残っていました.

マユミの花 センリョウ コウヤボウキ

芋煮鍋が煮える前に,パンが焼け始めたので,参加者が準備してきたシャシャンボジャム,ユズジャム,梅シロップジャムおよびカリンジャムをつけて子供達が最初に食べ始めました.どれもおいしく食べましたが,ユズジャムがもっとも評判がよかったようです.アカジゾゼリーも子供達は喜んで食べていました.
11:45に芋煮が完成して,皆で食べました.畑班の人たちも参加して,延べ人数は70名以上でした.ひとわたり食べた時点で,芋煮鍋は空になり遅れてきて食べられない人もいました.昨年は5杯をお代わりした男の子が2杯しか食べられなかったと不満を言っていました.そのため,クラッカーにジャムをつけて食べた子供達もいました.漬物も3種用意されており,賞味しました.このとき,2羽のウソ(鷽,アトリ科)が芋煮会場の端にある樹木に来てとまりました.直ぐに飛び立ってしまい,観察できたのは3名だけでした.
大人300円と子供100円を会費として徴収しました.今年は,具材を多くしたため昨年より経費がかかったようです. 鍋をおろした竈で残りの枯枝で火をたきながら,その周りに集まって,来年度の芋煮会の相談をしました.子供の頃,名古屋市内でもよくたき火をして大人たちと一緒に火を囲んだことを思い出しました.今は,このようなことは町の中ではできなく,子供達には残念な状況だと思いました.芋煮が早くなくなったので,来年度は鍋を2つ用意するかどうかを検討しました.時間差をつけて芋煮を作るという案もでました.竈の隅に入れた里芋をすっかり忘れ,取り出したときは全体が炭になっていました.ほしがっていた子供達にとっては残念な結果でした.
その後,続けて感想会を行いました.久しぶりに来た人たちも多く,子供達と野外の活動を楽しんだという感想が多く出ました.東山の森の開発計画は今の所なく,一応安全圏内に入っているという報告もありました.まだ少し紅葉の残る初冬の楽しい芋煮会になりました.

各種のジャム ウソ 芋煮を食べる子供達 たき火

観察項目: オオマリコケムシ,キカラスウリ,カラスウリ,ソバ,ワタ,サツマイモ,アベマキの葉についた虫こぶ,芋煮鍋(里芋,豚肉,コンニャク,ゴボウ,豆腐,酒,醤油,ネギ),パン,ユズジャム,シャシャンボジャム,カリンジャム,梅シロップジャム,アカジソゼリー,漬物,マユミ,センリョウ,ヒイラギ,コウヤボウキ,ウソ

文・写真:伊藤義人 監修:滝川正子