2月度の観察記録
カテゴリ : 2013年
2013年2月度の観察記録です。
Untitled Page

快晴で春の兆しを感じさせた観察会となりました.新池の北側の水面に,オオバン(大鷭,クイナ科)とヒドリガモ(緋鳥鴨,カモ科)がそれぞれ2羽ずつ仲良く水面にいました.池の南側の樹木が張り出した水面にはコガモ(小鴨,カモ科)8羽,ヒドリガモ6羽とバン(鷭,クイナ科)1羽がいました.もう1羽のバンが土手に上がってしきりに何かをついばんでいました.土手の2本のセンダン(栴檀,センダン科)は,片方はすっかり実が落ちてしまっていましたが,もう一方の木はまだ実が残っていました.周辺の樹木にはツグミ(鶫,ツグミ科),ヒヨドリ(鵯,ヒヨドリ科),ムクドリ(椋鳥,ムクドリ科)がいました.参加者は,子供3名と大人23名でした.

集合場所で,今回は持ち寄ったものは何もないかという問いに,イタドリ(虎杖,タデ科)の枯れた茎についたコウモリガ(蝙蝠蛾,コウモリガ科)の脱皮殻とさなぎの抜け殻が縁台の上に置かれました.大坂池北の観察場所から参加者が持ってきたものでした.ある程度大きくなった幼虫は,周辺の樹木に移って成長するという話が先月にありましたが,さなぎの抜け殻がここで出てきたということで,イタドリの中でも栄養がとれれば蛾になれるということが証明されました.コウモリガは,飛びながら卵を散布するという話もでました.

バン コウモリガのさなぎの抜け殻

この冬は,ウソ(鷽,アトリ科)が平和公園に多く来ているという話が出て,ウソが口笛(古語でうそ)のようにフィーフィー(ヒーホー)と鳴くという説明がありました.ユズジャムのサンドイッチを作ってきた参加者がいて,皆で賞味しました.
この観察会は,「each as hero(heroin)」で,皆が知識を持ち寄って進化するという考え方が説明されました.毎月の報告を本にしたものについて,誤りを見つけたら図書券を出してもよいという話が出ました.
約10cm大の大きなザクロ(石榴または柘榴,ザクロ科)の実を持ってきた女性の参加者がいました.知人からもらったもので,表面は皺がよっていましたが,普通のザクロのようには割れていなくて,外国産かもということでした.手で割って皆で少しずつ食べて,大変甘いという感想が出ました.ここで,鬼子母神の話がありました.多くの子供(500人とも1000人とも)を持つ鬼子母神が,他人の子供を食らうので,お釈迦様が鬼子母神が最もかわいがっていた末子を隠して,そのつらさを教え,人肉の代わりに人肉の味に似たザクロを食べるように諭し,それ以後,子供を守る神となったという話です.ザクロの実の中の種が多いと言うことでも,多産の神の鬼子母神と関連づけられているようです.

【外部リンク】ザクロ(大阪百樹)

ザクロ

次に,ニホンミツバチ(日本蜜蜂,ミツバチ科)を岡崎で育て,蜂蜜を採集している参加者の話がありました.瓶に入った蜂蜜と蜜蝋と木で作った段重ねの巣箱を持ってこられていました.町の中でも十分蜜はとれるそうです.
この巣箱はニホンミツバチは気に入りますが,セイヨウミツバチ(西洋蜜蜂,ミツバチ科)は好まないそうです.各段の箱の中の十字の針金は巣が下へ落ちないように支えるためだそうです.出入りの穴は10mm径では渋滞するので,もう少し大きな穴が1つあけられていました,下にスリットを切ってもよいそうです.特に世話をする必要はなく,掃除もミツバチが勝手にするそうです.元気かと声掛けだけをしているという説明でした.6〜7段まで巣が大きくなるそうです.一番上の段を取って蜜をとり,空の箱を一番下に追加すればよいそうです.

ニホンミツバチの巣箱 ニホンミツバチの巣箱の中

女王バチは卵を数千個産んでから,働きバチ5000匹くらいを引きつれて分蜂するそうです.交尾のみのためのオスは3月末に出てきて,交尾後には巣から追い出されるそうです.ニホンミツバチの養蜂には登録はいらないそうです.セイヨウミツバチの場合は登録が必要で,これは病気などに弱いセイヨウミツバチの養蜂業者の保護のためのようです.巣箱に入ってくる多少の害虫は自分たちで退治するそうです.スズメバチ(雀蜂(総称),スズメバチ科)が来ても出入口が小さければ,入ってきたスズメバチはニホンミツバチに囲まれて,熱で殺されてしまうそうです.ミツバチは古い巣も好んで活用しますが,新しいものは蜜蝋を塗って誘うという説明がありました.徳川苑,県庁,鹿島建設などが町の中で養蜂をしているという話がでました.ニホンミツバチは,おとなしいのでほとんど刺さないそうです.寄ってきたスズメバチもそのときは刺さないという説明でした.蜂蜜は,原則たれ蜜で遠心分離器にかけるようなことはしないで,花粉も入ったままだそうです.蜂蜜は2〜3年はほっておいてもカビは生えないそうです.最後の段の蜜は採らずに冬の越冬用に残しておけば,冬も何もしなくてよいという説明でした.
ニホンミツバチの幼虫は花粉を主に食べるそうです.働きバチは巣から2km周辺で花粉や蜜を集めてくるそうです.トリカブト(鳥兜,キンポウゲ科)の話がでましたが,蜜に毒がはいることはないという説明でした.しかし,まれな事故は報告されています.トリカブトの花粉も毒なので開花期の蜜の採集は避けるようです.腸内細菌の発達していない1歳未満の子供にも蜂蜜を与えることは,ボツリヌス菌の関係でやめた方がよいようです.
瓶の中のニホンミツバチの蜜を皆でなめました.少し発酵味がするという感想がでましたが,元々このような味という説明でした.1kgで1万円くらいで市販しているそうです.
ここまでで10:30を過ぎてしまい,急いで出発しました.

【外部リンク】ハチミツ(ナオルコム)

【外部リンク】天然毒(薬学研究ファイル)

蜂蜜の試食

大坂池の柵の内側が除草され,そこでハクセキレイ(白鶺鴒,セキレイ科)がしきりに何かをついばんでいました.大坂池横のアンズ?(杏,バラ科)の新芽が大きくなっているのを観察しました.花が3月3日のひな祭りに間に合うという声も出ました.新しい枝にしか花芽は付かないことを確認しました.
田圃近くの池に行き,ニホンアカガエル(日本赤蛙,アカガエル科)の卵塊を観察しました.水中の卵塊は27個まで数えました.生んだばかりのものと尾芽期になっているものがありました.水温の関係で成長の程度は決まるようです.2月の初旬から産卵が始まったという報告がありました.

アンズの新芽 ニホンアカガエルの卵塊 尾芽期のニホンアカガエルの卵塊

次に,田圃に日陰をつくり稲の生長を阻害するので,名古屋市に伐採してもらったクスノキ(樟,クスノキ科)とスギ(杉,ヒノキ科)の切り株を観察しました.クスノキの年輪は,47年まで数えられたそうです.年輪の中心は随分ずれていて,西側がふくらんでいました.風などの圧力と日当たりに影響されるので,必ずしも南側がふくれるわけではないそうです.年々,年輪の幅が広がっており,温暖化が進んでいるのではという意見もありました.表皮の内側の濃い茶色のコルク層も観察しました.スギの切り株は変な断面をしており,真ん中の太い幹に数本の細い幹が合体した形をしていました.

伐採したクスノキの切り株 伐採されたスギの切り株

近くのカキノキ(柿木,カキノキ科)を観察して,どうやってこの木の種類を見分けるかという問いが発せられました.枝に残っていた実のヘタを見て,男の子が干し柿という回答をしました.皆で爆笑でした.葉痕の形でわかるという説明がありました.タンスの取っ手の形状だという人もいました.昔のタンスには,このような形の金属の取っ手がついていましたが,最近はあまり見なくなりました.

カキノキの観察 カキノキの葉痕

次にクズ(葛,マメ科)の葉痕を観察して,人の顔に見えるという感想が出ました.葉痕によって個体差があり違った顔に見えるので人気があるようです.少し歩いて,シンジュ(神樹,ニガキ科)のハート形の葉痕を観察して,ピエロの口という感想が出ました.ハリエンジュ(針槐,マメ科,別名:ニセアカシア)の葉痕は,両側に鬼の角のように見える棘が2本ついていました.蝙蝠(コウモリ)の顔に見えるという人もいました.

クズの葉痕 シンジュの葉痕 ハリエンジュの葉痕

登りの藪こぎをしてキラニン広場に行きました.子供も含めて息切れをした人が多くいました.アスファルトにへたり込んだ男の子もいました.

藪こぎ キラニン広場

道沿いに歩いてから,カンアオイ(寒葵(総称),ウマノスズクサ科)を観察するために,柵を乗り越えて,下りの藪こぎをしました.いつもの観察場所に着くと,カンアオイはすっかり笹に覆われていました.さっそく,鎌を使って笹刈りをしました.周辺の樹木が日陰を作っており,かつ枯れた枝が折れて,別の枝に引っかかっており,注意して作業をしました.現れたカンアオイの葉と花を数えるために,枯枝でコロニーを仕切って,手分けして数えました.昨年,20枚の細長い葉を数えたスズカカンアオイ(鈴鹿寒葵,ウマノスズクサ科)はどう探がしても見当たりませんでした.葉に模様のないゼニバサイシン(銭葉細辛,ウマノスズクサ科)は.葉が550枚で花が90個でした.ヒメカンアオイ(姫寒葵,ウマノスズクサ科)は,葉が615枚で花が72個でした.昨年は葉が814枚と花が203個でしたので,随分減っていました.

日陰を作っている樹木 カンアオイ周辺の笹の除去 カンアオイのカウント ヒメカンアオイの葉と花

いつもより遅くなってしまいましたが,里山の家へ急いで帰って感想会をしました.リンゴのタルトを作ってきた人がいて皆で賞味しました.自製のたくあんを持ってきた人もいました.昔のたくあんの味がしました.足をくじいた男の子が最後までついてきたことが話題になりました.また,カンアオイの葉や花を数えるのが意外と難しいという感想もでました.暖かくて快適な観察会になりました.

観察項目: コウモリガのさなぎの抜け殻と脱皮殻,ニホンミツバチの蜂蜜と蜜蝋と巣箱,ザクロの実,アンズの花芽,ニホンアカガエルの卵塊,伐採したクスノキとスギの切り株,カキノキの冬芽と葉痕,クズの葉痕,シンジュの葉痕,ニセアカシアの葉痕,ヒメカンアオイ,ゼニバサイシン,コクラン.

文・写真:伊藤義人 監修:滝川正子