3月度の観察記録
カテゴリ : 2013年
2013年3月度の観察記録です。
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最初はセーターを脱ぐ程の初夏を思わせる暖かさでした.観察会後半には少し風が出て寒くなりセーターをまた着直しました. 平和公園入口のユキヤナギ(雪 柳,バラ科)は,わずかに白い花を咲かせ,枝は新芽で緑がかって見えました.新池の水面に,オオバン(大鷭,クイナ科)1羽 とヒドリガモ(緋鳥鴨,カモ科)22羽がいました.バン(鷭,クイナ科)とカイツブリ(鳰,カイツブリ科)もそれぞれ4羽いました.1羽のバンは,南側の コンクリート法面の上で何かをついばんでいました.樹木がはらみ出している北側端の水面にはコガモ(小鴨,カモ科)も8羽いました.新池周辺では,ムクド リ(椋鳥,ムクドリ科)8羽とツグミ(鶫, ツグミ科)が1羽いました.ツグミとハクセキレイ(白鶺鴒,セキレイ科)は,東星ふれあい広場にもいました.セ ンダン(栴檀,センダン科)の木の実は,さすがにほとんど落ちていました.参加者は,子供5名と大人14名でした.

ユキヤナギの花 ツグミ

集合場所で,まず先月の報告を見ました.ニホンミツバチ(日 本蜜蜂,ミツバチ科)の養蜂を平和公園でもするように準備会ができ,名古屋市の了解もとったそ うです.巣箱の設置は里山の家の倉庫近くでもよいそうですが,森の中にするそうです.スズカカンアオイ(鈴鹿寒葵,ウマノスズクサ科)がなくなったと先月 の報告に書きましたが,再度現場を確認したらあったそうです.たくさんの目があっても見つけられないこともあるようです.
私が持って行ったオオカマキリ(大蟷螂,カマキリ科)の産卵時の写真を皆で見ました.昨年の晩秋に平和公園入口の葉のなくなったユキヤナギに逆立ちして産 卵している写真でした.どうして逆立ちして産卵するかの議論がありました.次に,里山の家の中から持ち出した,50cm径くらいのスギ(杉,スギ科)の幹 をくりぬいたニホンミツバチの巣箱を 見ました.下端にスリットがニホンミツバチの出入り口として切ってありました.さらに底に落ちた糞やごみを取り出せる ようにもなっていました.杉皮のついた蓋もありました.幹はチェンソーで中をくり抜いてあり,内壁はいびつでした.先月見た段重ねの巣箱と違い,この巣箱 は,巣を壊して蜜を取る必要があり,平和公園では使わないようです.

杉をくりぬいたニホンミツバチの巣箱

次にフユシャクガ(冬 尺蛾,シャクガ科)の生きている雄を瓶に入れて持って来た人がいました.丁度,死んだ成虫を足下でも 見つけ,先月の雌の写真の横において観察しました.次に,春ということで,参加者が持ってきた桜貝と桜石を観察しました.桜石は,泥岩が熱変成す るときに 菫青石(きんせいせき,アオイライト)が出来,菫青石の六角柱状結晶が分解すると,その形を残したまま白雲母や緑泥石に変化します.その岩石が風化すると 結晶が分離し,3つの結晶が互いに金太郎飴のように貫通する双晶(貫入三連双晶)を形成しているとき,その断面が花びらのように見えることから桜石という 俗称がついたということでした.

【外部リンク】桜石(鉱物と隕石と地球深部の石の博物館)

フユシャクガ 桜石

集合場所を出発して,2羽のカルガモ(軽鴨,カモ科)が来ていた大坂池の土手に入りました.土手には緑化のために客土して 盛土があちこちでしてありました.30cm厚の山砂で,斜面の下側が平和公園の竹で囲いが作られていました.大坂池の土手はシルト質で,柳くらいしか根が はれないので,客土して他の樹木を植えて緑化を図るそうです.盛土の上をハクセキレイがちょこちょこと歩いていました.近づいて見ると,コモリグモ(子守 蜘蛛,コモリグモ科)がいくつか這っており,これを食べていたのではということになりました.里山の家の前の根元をマウントしてあるクスノキ(樟,クスノ キ科)や土手のタラヨウ(多羅葉,モチノキ科)も,十分な水や養分をとれないので,樹形が悪いという説明でした.土手で,小さなコオロギ(蟋蟀,コオロギ 科)を見つけて,拡大して見られる透明容器に入れて観察しました.産卵管がないのでオスでした.成虫で越冬したのかという質問がでましたが,コオロギやス ズムシ(鈴虫,スズムシ科)は基本的に卵で越冬するので,早々と春を感じて生まれたようです.鈴虫寺のスズムシは,空調を効かせてあるので一年中鳴きます が,自然界で成虫で越冬することはないようです.

客土の柵 コモリグモ コオロギ

土手のウメ(梅, バラ科)の 白い花を観察しました.3分咲きでした.ここでクモの卵 塊を見つけて観察しました.

ウメの花 クモの卵塊

次に,オタマジャクシ池の直ぐ北の元畑で,オオイヌノフ グリ(大犬陰嚢,ゴマノハグサ科),ヒ メオドリコソウ(姫踊子草, シソ科)およびホトケノザ(仏 座,シソ科)の花を観察しました.曇り空でしたが,どれも花は咲いていました.ヒメオドリコソウの茎はシソ科の特徴で四角形 断面でした.ここで,女の子が春の兆しを告げるツクシ(土 筆,トクサ科)を見つけました.

オオイヌノフグリ ヒメオドリコソウ ホトケノザ ツクシ

奥に入り,花がほとんど終わったビワ(枇 杷,バラ科)とミモザ (Mimosa,マメ科,別名:ギンヨウアカシア)の黄色い花を観察しました.その後,北に向かって藪こぎを行いました.1人の女の子が虎が出る(?)か ら怖いと叫んでいました.一方,藪こぎで枯葉の上を音を立てながら歩くのが好きな女の子もいました.枯葉で覆われた地面を掘って,腐葉土がどのように出来 ていくかを観察しました.土になるまでの年数を数えると少なくとも7年が数えられました.枯葉を付けたヤマコウバシ(山香し,クスノキ科)を見つけ て写真 をとって観察しました.新芽が出ると葉を落とすという説明でした.1本で,山全体がにおうということで,この名前がついていますが,枯葉は少しもにおわな いという意見がでました.枝を折って,においをかいだらと言う意見がでて,尖端の枝を折って,その後挟みで細かく切って皆に配り,においをかぎました.し かし,ほのかなにおいしかしませんでした.

ビワの花 ミモザの花 ヤマコウバシ

斜面で,ヤガ(夜 蛾(総称),ヤガ科),シュンラン(春 蘭,ラン科)の花芽および花の終わったコクラン(黒 蘭,ラン科)も 見つけました.ここで,木偏に秋と書いた漢字は何かという質問がでました.木偏に四季の漢字の内,椿(つばき,タバキ科),榎(えのき,ニレ科),柊(ひ いらぎ,モクセイ科)は有名ですが,楸(ひさぎ,トウダイグサ科,アカメガシワの古名)は意外と知られていなくて,スマホで調べてはじめて分かりました. 周辺で,3人の女の子達は.大声を上げながら大はしゃぎでした.ぐるりと回って,スモモ池に戻りました.ゲジ(蚰蜒,ゲジ科)を見つけて,手に這わせ た参 加者もいました.ゲジが歩いているのを見て,24本の足を数えた人もいました.

ヤガ シュンラン コクラン ゲジ

炭焼広場では,やっと再開できる炭焼の準備のため,炭焼窯が修理されていました.ヤマブキ(山吹,バラ科)の中に植えられ たソシンロウバイ(素心蝋梅,ロウバイ科)を観察しました.さすがに黄色い花はほぼ終わりかけていました.
水田に向かって歩いて,途中でクローバー(Clover,マメ科,シロツメクサ(白詰草))を観察しました.水田の横には,竹で作った立派な稲架(はざ) 置場ができていました.ニホンアカガエル(日本赤蛙,アカガエル科)が卵塊を産んだ1つの湿地が干上がっていました.急いで水 路をいじってニホンアカガエ ルの卵塊のある所に水を流した参加者がいました.そこから,また斜面を藪こぎして,里山の家に戻りました.途中で,ボクトウガ(木蠧蛾,ボクトウガ科)の 幼虫の木くず糞を手にとって観察しました.大坂池には.2羽のカルガモだけでなく3羽のコガモ(小鴨,カモ科)も来ていました.カエル池に行き,水路のセ リ(芹,セリ科)を抜いて観察しました.セリは,茎の根元がおいしいという説明でした.カエル池の端では,駆除したはずのキ ショウブ(黄菖蒲,アヤメ科) がセリの中に,数株がしっかり残っていました.

稲架置場 ボクトウガの木くず糞 セリ

里山の家について観察会をしたときは,既に半分以上の参加者が帰っていました.台湾へ行かれた参加者が,台湾の鳳仙季のド ライフルーツをお土産として持ってこられ,皆で賞味しました.初めての味わいだという感想が出ました.女の子達が元気があって良いという感想が出ました. 私も含めてかなりの参加者が,花粉症でマスクをしており,目もかゆい状況でしたが,それを除けば初夏を思わせる快適な観察会になりました.

観察項目: フユシャクガのオスの成虫,オオカマキリの産卵時写真,桜貝,桜石,スギをくりぬいたニホンミツバチの巣箱,ハクセキレイ,カルガモ,ウメの花,オオイヌ ノフグリ,ヒメオドリコソウ,ホトケノザ,ミモザ,ヤマコウバシ,腐葉土,シュンラン,コクラン,ヒイラギ,シロツメクサ,ヨモギ,セイタカアワダチソ ウ,ソシンロウバイ,ニホンアカガエルの卵塊,ボクトウガの木くず糞,セリ,キショウブ,ゲジ

文・写真:伊藤義人 監修:滝川正子