4月度の観察記録
カテゴリ : 2013年
2013年4月度の観察記録です。
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家を出たときは曇っていましたが,観察会開始時は,すっかり晴れ,かなり強い陽差しがさしていました.ユキヤナギ(雪柳, バラ科)やサクラ(桜,バラ科)の花はすっかりなくなり,新緑がまぶしい季節になっていました.新池には,カワウ(川鵜,ウ科)3羽,ヒドリガモ(緋鳥 鴨,カモ科)8羽,オオバン(大鷭,クイナ科)1羽,コガモ(小鴨,カモ科)9羽がいました.土手のトウカエデ(唐楓,カエデ科)は萌黄色の新葉を付け始 めていましたが,センダン(栴檀,センダン科)はまだ芽吹いていませんでした.

里山の家近くの大坂池にもコガモが4羽いましたが,近づくと直ぐ横のスモモ池に飛んで行ってしまいました.大坂池の土手に はカワラヒワ(河原鶸,アトリ科)3羽とムクドリ(椋鳥,ムクドリ科)16羽がいて,しきりに何かをついばんでいました.里山の家の屋根の芝の中には,何 故かカラスノエンドウ(烏豌豆,マメ科)だけが繁茂していました.カエル池のキショウブ(黄菖蒲,アヤメ科)も葉の丈が伸びていました.近くのヤマブキ (山吹,バラ科)は一重の黄色い花をつけていました.周辺では,キチョウ(黄蝶,シロチョウ科)やベニシジミ(紅小灰,シジミチョウ科)が飛んでいまし た.遠くから見ると里山の家の前のケヤキ(欅,ニレ科)はまだ芽吹いていないように見えましたが,近づいてよく見ると茶褐色の小葉が付いていました.参加 者は,元気いっぱいの子供6名と大人22名でした.

ヤマブキの花

集合場所の里山の家の前で,参加者が持って来たものを縁台に並べて順次観察しました.最初に,よく似た細長い葉をもつキャ ラボク(伽羅木,イチイ科)とイ チイ(一位,イチイ科)の小枝を見ました.イチイの変種であるキャラボクは低木で,香木として使うと説明がありましたが, 香木のキャラ(伽羅)とは全くの別物のようです.一方,イチイは20mにもなる高木で岐阜県の県木であり,葉が平面状に付いていました.イチイとキャラボ クの赤い実の果肉は両方とも食べられますが,種子は有毒で飲み込まないようにする必要があります.さらに,それらと似たイヌガヤ(犬榧,イヌガヤ科)を 持って来た参加者がいました.葉の裏の葉脈に薄茶色の雌花が数個ついていました.赤っぽい色のオオバベニガシワ(大葉赤目柏,トウダイグサ科)の枝も観察 しました.元々ついていた葉は数cm大で下の方に10数センチ大の大きな葉が人工的にくっつけてありました.赤い色の葉ですが葉緑素があって光合成をして いるという説明でした.
次にヤエザクラ(八重桜,バ ラ科)の花を見て,メシベが緑色なのを見つけて,メシベなどは進化の過程で葉から変化したものだという説明がありました.つぼ みはピンク色ですが花弁は白いのでフゲンゾウ(普賢象)という種類ではという人がいました.2つのダイオウショウ(大王松,マツ科)の松かさを拾ってきた 人もいました.

キャラボクとイチイの葉 イヌガヤ ヤエザクラのメシベ

カマキリの大小2つの卵嚢を観察しました.オオカマキリ(大 蟷螂,カマキリ科)の4cm大の大きな卵嚢は 紡錘形で,下の蓋の面が柔らかく,ここから子供が 生まれ出るようです.2cm弱大のコカマキリ(小 蟷螂,カマキリ科)の卵嚢は よく見ると横から子供が出た穴がありました.卵嚢の上下の向きについて,カマ キリは逆立ちをして産卵することが以前の観察会の写真で確認されました.2つのカマキリの卵嚢の上下の方向に整合性がないのではないかということが話題に なりました.
次に,ナガサキアゲハ(長崎 揚羽,アゲハチョウ科)の緑色のさなぎを 観察しました.また,里山の家の板塀についたナガサキ アゲハより小ぶりのアオスジアゲハ(青 条揚羽,アゲハチョウ科)のさなぎと 比較しました.アオスジアゲハの幼虫の両側に黄色い筋があり,クスノキの葉に擬 態しているということでした.関連して,名古屋城のジャコウアゲハ(麝香揚羽,アゲハチョウ科)は名古屋大学がどこかから取ってきたものを参加者の1人が もらって,ウマノスズクサ(馬の鈴草,ウマノスズクサ科)が多かった名古屋城にも1990年代に放したので,今も繁殖しているという報告がありました.当 時は良かったかもしれませんが,今では犯罪のたぐいです.

オオカマキリとコカマキリの卵嚢 ナガサキアゲハのさなぎ アオスジアゲハのさなぎ

以前の観察会で話題となったフ ジ(藤,マメ科)の実の鞘(さや)が乾燥するとねじれることが話題になりました.鞘には斜め に繊維が入っており,乾燥して縮むとねじれるという説明がありました.また,半分に割ったフジの実を見せて,種子は両側の鞘に1つおきにできていることの 説明がありました.このねじれの様相がフィナボッチ数になるということでした.鞘の長さが約7.5cmでねじれの角度が45度になるそうです.他の植物の 葉の付き方などもフィナボッチ数と関連することがあるそうです.これは,光をより多く受け入れるための自然の知恵のようです.

【外部リンク】フィナボッチ数と植物(科学的逍遙)

ねじれたフジの実

その後,先月の記録を順番に見ました.コモリグモ(子守蜘蛛,コモリグモ科)が,大坂池の土手の盛土の上に多くいるのは, 餌のダニなどが多いからという説明がありました.蜘蛛の巣をつくらず,徘徊するという説明のなかで,「徘徊」は差別用語で最近は使わないということが話題 になりました.
また,「びっこ」という地名の代わりに「ちんば」を使っているという事例に,どちらも差別用語で放送禁止用語になっているという指摘があり ました.
10時を過ぎてやっと出発しました.まず,大坂池の土手に行きト ウカイタンポポ(東海蒲公英,キク科)を観察しました.舌状花と呼ばれる小さな花が円盤状 に集まり頭花を形成していますが,その花びらを1枚だけ下部の子房から出ている冠毛もいっしょに取り観察しました.この花弁は合弁花で5枚の花弁が集まっ たものということで,虫眼鏡を使って花弁の端の切れ目を観察しましたがほとんど分かりませんでした.
次に,ヘビイチゴ(蛇苺,バラ科)の黄色い花を観察しました.1cm大の無毒の赤い実が付きますが,子供の頃は毒があるとして誰も食べませんでした.土手 のハンノキ(榛の木,カバノキ科)は,2m以上の高さになっていましたが,コ リヤナギ(行李柳,ヤナギ科)などは生長が遅く,背高は1m以下でした.土壌 が合わないようです.

トウカイタンポポの花弁と冠毛 コリヤナギの綿毛

前に同じ事をした男の子が,ムクノキ(椋木,ニレ科)にひもを引っかけてとれなくなってしまいました.木に登ったりして やっと取りました.
枯草色のツチイナゴ(土稲子 または土蝗,イナゴ科)を捕獲して皆で観察しました.トノサマバッタ(殿様飛蝗,バッタ科)との違いが話題になりました.ツマ キチョウ(褄黄蝶,シロチョウ科)の雄を網で捕獲して,プラスチック容器に入れて観察しました.しきりにその中で飛ぶので,写 真が撮れませんでした.容器 の蓋をあけて逆さにして,草の上におき,横からさらに草を入れて飛べなくして写真を取りました.羽根の端の黄色い色が鮮やかでした.

ツチイナゴ ツマキチョウ

「せせらぎ」の水路の端でオニタビラコ(鬼 田平子,キク科)を見つけました.背の高さは30cmくらいでした.春の七草のコオニタビタコ(小鬼田平子,キ ク科)はもっと背が低いですが,平和公園では見つからないので代わりにこのオニタビラコを七草の1つとして扱っています.近くでハルジオン(春紫苑,キク 科)を見つけて,茎の中が空洞であることを確認しました.ヒメジョオン(姫女苑,キク科)は,形状が似ていますが,茎の中には髄が入っていて区別できま す.漢字で名称を書くとヒメジオンでなくヒメジョオンであるということがよく分かるという話もでました.
芝生広場横の腐葉土を掘ってカブトムシ(甲 虫,コガネムシ科)の幼虫を 探しました.直径が60cmくらいの広さで4匹の幼虫を見つけました.掘り出して, 柔らかい腐葉土の上に置きましたが,動かず潜ってはくれませんでした.眠っていて邪魔をするなと言うところでした.大きいのがオスで,5cm以上の深いと ころからも見つかりました.一緒に,幼虫の数mm大の糞もたくさん見つかりました.ダンゴムシ(団子虫,オカダンゴムシ科)も1匹でてきました.

オニタビラコ カブトムシの幼虫 カブトムシの幼虫の糞

白い花を付けたガマズミ(莢迷,スイカズラ科)を見つけました.葉の大きさからコバノガマズミ(小葉莢迷,スイカズラ科) かミヤマガマズミ(深山莢 迷,スイカズラ科)だろうということになりました.葉柄が長いので,ミヤマガマズミではという人が葉をかんで,確かにミヤマガマ ズミの苦い味がすると言いました.
キチョウ(黄蝶,シロチョウ科)を見つけて捕獲して観察しました.最近はキタキチョウ(北黄蝶,シロチョウ科),ミナミキチョウ(南黄蝶,シロチョウ科) およびタイワンキチョウ(台湾黄蝶,シロチョウ科)に分類して,キチョウ自体は総称になって個別種としては無くなったいう話がでました.メダカ(目高,メ ダカ科)の標準和名も同様にキタメダカ(北目高,メダカ科)とミナミメダカ(南目高,メダカ科)になったそうです.

【外部リンク】キチョウ属類似3種の翅裏比較図(蝶鳥ウォッチング)

【外部リンク】ミナミメダカとキタノメダカ(生命の星・地球博物館)

ミヤマガマズミ

ツクツクボウシ(つ つく法師,セミ科)の抜け殻を 見つけた男の子がいました.周辺でヤマトシジミ(大和小灰,シジミチョウ 科),ツマキチョウ(褄黄蝶,シロチョウ科),ベニシジミ(紅小灰,シジミチョウ科)などを捕獲して観察しました.ルリタテハ(瑠璃立羽,タテハチョウ 科)も飛んでいましたが,飛び方が早く捕獲は出来ませんでした. カラタチ(枳,イカン科)の白い花を観察しました.長年,参加してきた1人の参加者が初めてこの花を見たと言いました.毎年,報告にも載りますので,忘れ ているだけという意見も出ました.水田では,レンゲソウ(蓮花草,マメ科)の花を咲かせるため,水をプラスチックの給油機を使って抜いていました. 急いで里山の家に戻る途中で,ミツバアケビ(三 葉木通,アケビ科)の黒っぽい花と, それとはかなり違う形のアケビ(木 通,アケビ科)の花を観察し ました.

ツクツクボウシの抜け殻 ミツバアケビの花 アケビの花

感想会は里山の家の倉庫横で行いました.最初,陽当たりの良い場所で石に座りましたが,陽差しが強かったので半分以上の人が倉庫の陰に移動しました.蝶が たくさん舞う快適な春の感想会になりました.

観察項目: イチイ,キャラボク,ダイオウショウの松かさ,イヌガヤ,オオベニガシワ,ヤエザクラ,オオカマキリとコカマキリの卵嚢,オオタカ,フンモンスズメ,ナガ サキアゲハのさなぎ,アオスジアゲハのさなぎ,フジの実,セイヨウタンポポ,トウカイタンポポ,ヘビイチゴ,コリヤナギ,ツチイナゴ,ヤマトシジミ,ツバ メシジミ,ベニシジミ,ルリタテハ,ツマキチョウ,キチョウ,ムラサキタテハ,カブトムシの幼虫と糞,ダンゴムシ,ミヤマガマズミ,ツクツクボウシの抜け 殻,カラタチの花,ハルジオン,オニタビラコ,レンゲ,ミツバアケビ,アケビ

文・写真:伊藤義人 監修:滝川正子