8月度の観察記録
カテゴリ : 2013年
2013年8月度の観察記録です。
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快晴でうだるような暑さで,日差しの強い真夏日でした.東京は,1日中30度を超えていたという報道もありました.どんよ りした新池周辺では,クマゼミ(熊蝉,セミ科)がしきりに鳴いていました.新池のわずかに残った水面にダイサギ(大鷺,サギ科)が1羽きていまし た.南側の岸近くの水面上には,数匹のチョウトンボ(蝶蜻蛉,トンボ科)とギンヤンマ(銀蜻?,ヤンマ科)が飛んでいました.土手のセンダン(栴檀,セン ダン科)の緑色のツヤツヤした実が大きくなっていました.
東星ふれあい広場は日陰がないので,誰も遊んでいませんでした.大坂池の周辺は,背の高い野草に囲まれ,水面が見えにくい程でした.数羽のツバメ(燕,ツ バメ科)が,池の上をまだ飛んでいました.早く来た参加者から,先月の報告のゼンマイ(薇,ゼンマイ科)の写真は,ベニシダ(紅羊歯,オシダ科)だろうと いう指摘がありました.
参加者は,この時期としては意外と多く大人23名と子供6名でした.

ダイサギ

集合場所で,アルコール棒温度計を使って縁台下の気温を測ったところ29.5度でした.アルコール棒温度計で正確な気温を 測るのは難しいという指摘がありました.直射日光や地面からの輻射もあり,団扇で扇いで測るとよいということでした.先月の報告を皆で見ていたとき,葉の 裏側に小さな花のついたコミカンソウ(小 蜜柑草,トウダイグサ科)を里山の家から出してきて観察しました.先月観察したミントはアップルミント(Apple Mint,シソ科)であることが確認されました.
ビンに入ったニホンミツバチ(日本蜜蜂,ミツバチ科)の巣が縁台に置かれました.盛んに動く数十匹の2〜3cm長の白い幼虫も入っており,ハチの幼虫かと いう質問が出ましたが,ハチノスツヅリガ(蜂 の巣綴蛾,メイガ科)の幼虫で した.2つのお寺のお墓の納骨室のニホンミツバチの巣から蜜を集めたところ,1つの巣は古く,このハチノスツヅリガにやられていたそうです.巣材,幼虫お よび成虫もすべてが餌になってしまうそうです.この幼虫は,イワナ(岩魚,サケ科)の釣り餌として高価に売れるそうです.

花のついたコミカンソウ ハチノスツヅリガの幼虫

先月観察した極楽寺所有のお墓は,寺は殺生はしないということでしたが,まだ対応は決まっていないそうです.今回のハチの 巣を採取した納骨室には骨壺はなかったそうです.宗派によって違いますが,直接骨を納骨室に入れて土に返すやり方だったようです.
ニホンミツバチに前回は刺されませんでしたが,今回は刺されて,水で洗って,抗ヒスタミン剤をつけてからポイズンリムーバー(Poisson Remover)を使ったところ痛みや腫れはほとんどなかったという報告でした.
別の墓では,1.2kgの蜂蜜が取れたということで,ビンに入れたものが披露されました.
カラス(烏,カラス科)の羽が1つ縁台に置かれ,ワークショップで使ったニ ワトリ(鶏,キジ科)の前肢の 骨格標本と一緒にして,羽と骨の関係が説明されました.手羽先を食べるときに,骨の上端に,羽が出ていた痕のごつごつした部分が確認できるそうです.体重 を軽くするための骨の空洞についても説明がありました.男性の参加者からキャバクラで蘊蓄を披露できるという感想がでました.

ニワトリの前肢の骨

出発するときに,再度気温を測ったら31度でした.まず,バケツ稲に水道から水やりをしました.子供達が競ってやりたがり ました.その後,里山の家の倉庫の東側の砂利を敷いた場所で,ヒ タチアキソバ(常陸秋蕎麦,タデ科)の白い花を観察しました.昨年,乾した時に種が落ちて,実生したようです.痩せ地でも生育 するソバらしい場所でした.ソバは春ソバと秋ソバがあり,このソバは秋ソバの品種で,今の季節は花は咲いても実はならないということでした.種らしきもの もありましたが,中身はありませんでした.畑に植えたソバも同様で,実はならなかったそうです.草取りをして水や肥料をやっていましたが,その必要はない という指摘を受けたという話もありました.誤った種を撒き,真逆の手入れをしていたということでした.

ヒタチアキソバ

カエル池に行き,数mm大のア オウキクサ(青浮草,ウキクサ科)を観察しました.水面上には,シオカラトンボ(塩辛蜻蛉,トンボ科),ウス バキトンボ(薄翅黄蜻蛉,トンボ科)およびオニヤンマ(鬼蜻?,オニヤンマ科)が飛んでいました.水面のアオウキクサの葉と茎の機能をもった葉状体は,根 を1本水中に延ばしていて,ひっくり返らないという説明がありました.ビンに水を入れて,水面にアオウキクサを入れて,無理やり沈めてみましたが,すぐに 浮かんできて,ひっくり返ることもありませんでした.

アオウキクサ シオカラトンボ

池のすぐ横の木には,ヤ ブガラシ(藪枯らし,ブドウ科)が巻き付いており,緑色の実と蜜のついた花が混在しており,ハチなどの昆虫も蜜を集めにきてい ました.カエル池の端には,背丈の大きくなったセリ(芹, セリ科)が白い花を咲かせていました.ここのセリはおいしいとプロの料理人が言っているという報告がありました.池の横にキクイモ(菊芋,キク科)も群生 していました.直ぐ横のエノキ(榎,ニレ科)の樹上にチョウトンボがヒラヒラと飛んでいました.カミキリ(天牛,カミキリムシ科)も飛んでいきました.

ヤブガラシ 花のついたセリ

水田の西側の湿地まで歩いていき,日陰からサ ギソウ(鷺草,ラン科)の白い花の数を数えました.89個ありました.1本だけ採取して,花の下方に垂れ下がっている距 (きょ)の先端の中に蜜が入っていることを確認しました.夜はスズメガ(雀蛾,スズメガ科)などが,この蜜を求めて来るそうです.サギソウの根は3本あ り,それぞれに球根ができて,増えるそうです.ミズギク(水菊,キク科)やトウカイコモウセンゴケ(東海小毛氈苔,モウセンゴケ科)が出てくるまで,この 湿地を整備するそうです.
周辺には,紫色の花をつけたミソハギ(禊萩,ミソハギ科)や小さな白い花をつけたヌマトラノオ(沼虎の尾,サクラソウ科)があ りました.イソノキ(磯の 木,クロウメモドキ科)もあり,実が2つずつついていました.チ ゴザサ(稚児笹,イネ科),ワレモコウ(吾亦紅,バラ科)およびミズギボウシ(水擬宝珠,ユリ科)も花を咲か せていました.ミズギボウシは,実をつけたものもありました.そこにア オバハゴロモ(青羽羽衣,アオバハゴロモ科)もいました.

サギソウ ヌマトラノオ イソノキ チゴザサ
ミズギボウシ アオバハゴロモ

水田の横の木陰で座って休憩しました.一部の人たちは,水田の稲を観察しました.稲穂が出始めており,葯(やく)や花を観察し ました.ナガコガネグモ(長 黄金蜘蛛,コガネグモ科)やイナゴ(稲 子,イナゴ科)などもたくさんいました.水田の稲の背丈は,場所によってかなり違っており,畔の近くの稲の背が高いのは,肥料が水田の端の場所に多いから だろうとういうことでした.スズバチ(鈴 蜂,ドロバチ科)の泥の巣も見つけて観察しました.

稲穂 ナガコガネグモ イナゴ スズバチの泥の巣

日陰の後ろの方にヤマノ イモ(山の芋,ヤマノイモ科)のコロニーがあり白い花をたくさんつけていました.女の子がガマ(蒲,ガマ科)の穂を見つけてきて,大量の綿毛と種を振りま いていました.
周辺に,オオアレチノギク(大荒地野菊,キク科)とヒメムカシヨモギ(姫昔蓬,キク科)もありました.シンジュ(神樹,ニガキ科)は茶色の実をたくさんつ けていました.水田の水温は25度でした.

11:10から,そのまま木陰で感想会をしました.女の子がかわいい野草の花束を作ってきたので,皆で観察しまし た.10種の野草の花などを集めていました.テントウムシもついていました.紫色の花のついたミソハギ(禊萩,ミソハギ科),黄色い花のタンポポ(蒲公 英,キク科),青い花のツユクサ(露草,ツユクサ科),白い花のヒメジョオン(姫女苑,キク科)とヌマトラノオ,オオアレチノギク,オオバコ(大葉子,オ オバコ科),カタバミ(方喰,カタバミ科),シロツメグサ(白詰草,マメ科),イ(藺,イグサ科)そしてクサイ(草藺,イグサ科)でした.

ヤマノイモの花 ガマの穂 野草の花束

福島の昆虫の奇形の話が出ました.琉球大の大瀧准教授のヤマトシジミ(大和小灰,シジミチョウ科)の研究結果が外国の雑誌 に論文として載り,かなりの率で奇形が発生しているという報告をしたそうです.北方のヤマトシジミは低温による斑紋異常などもあり,必ずしも放射能の影響 だけではないという意見もあるようです.3年目の研究費はカットされ,市民から研究継続の寄付を募っているようです.

【外部リンク】とある原発の溶融貫通(メルトスルー)

【外部リンク】チョウの放射能奇形続出!(ベストアンドワースト)

女の子が,10円玉を大人からもらいカタバミでピカピカに磨いていました.感想として,お花を摘んだのが楽しかったというのが女の子からまず出ました.日 陰の風が大変気持ち良いという意見が多くの人から出ました.1匹の働き蜂が一生に集める蜜は約4ccということで,蜜は大事にすべきという話もありまし た.
里山の家に帰るときに,シノブ(忍, シノブ科)が木についているのを観察しました.誰かが持ち込んだのかもしれないということでしたが,数年前から観察されているということでした.
里山の家に戻って,冷房の効いている中で弁当を食べました.その後で,子供たちは紙芝居をしてもらっていました.あまり歩かないで木陰の心地よさを満喫し た真夏の観察会になりました.

シノブ

観察項目:コミカンソウ,ハチノスツヅリガの幼虫,カラスの羽,ニワトリの前肢の骨格標本,バケツ稲,ヒタチアキソバ,カ ダヤシ,アオウキクサ,オニヤンマ,シオカラ,ウスバキトンボ,セリの花,ヤブガラシ,ミゾソバ,ミソハギ,ツクツクボウシの鳴き声,サギソウの花,シラ タマホシクサ,ワレモコウ,ヌマトラノオ,ミズギボウシ,イネ,ナガコガネグモ,イナゴ,ヤマノイモの花,ガマの穂,スズバチの泥の巣,花束(ミソハギ, タンポポ,ツユクサ,ヒメジョオン,ヌマトラノオ,オオアレチノギク,オオバコ,カタバミ,シロツメクサ,イ,クサイ),シノブ
文・写真:伊藤義人 監修:滝川正子