9月度の観察記録
カテゴリ : 2013年
2013年9月度の観察記録です。
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観察会としては,6〜7年ぶりの雨になり,カメラをぬらさないため,蒸し暑い中,長靴とカッパを着て,さらに傘をさして歩 きました.カッパは汗を蒸発させず,上半身の下着と上着がぐっしょりとなりました.
新池にはスイレン(睡蓮,スイレン科)や藻で,水面がほぼ埋め尽くされ,水鳥はいませんでした.土手のセンダン(栴檀,センダン科)の実はクリーム色にな り,周辺からコゲラ(小啄木鳥,キツツキ科)とメジロ(目白,メジロ科)の鳴き声が,ツクツクボウシ(つくつく法師,セミ科)の弱々しい鳴き声の中に混 じっていました.平和公園入口のユキヤナギ(雪柳,バラ科)の中から小さな青紫色の花を付けたアレチヌスビトハギ(荒地盗人萩,マメ科)が 飛び出ていました.クズ(葛, マメ科)の花も独特の匂いを出していました.サルスベリ(百 日紅,ミソハギ科)もピンク色と白色の花をたくさん付けていました.東星ふれあい広場には誰もいず,ムクドリ(椋鳥,ムクドリ科)18羽だけが,何かをつ いばんでいました.アジサイ花壇は,野草が繁茂してひどい状態でした.
参加者は雨のため少なく,最初は大人14名と子供3名でした.

アレチヌスビトハギの花 クズの花 サルスベリの花

まず,里山の家の前で,先月の報告を見ました.実らなかったヒタチアキソバ(常陸秋蕎麦,タデ科)の代わりに,炭焼広場の ソバ畑に信濃1号(秋そば)を植えたという報告がありました.75日程度で収穫の予定です.ハチノスツヅリガ(蜂巣綴蛾,メイガ科)の幼虫は,サナギにな り羽化を始めたという報告がありました.一部は標本にしましたが,成虫の大きさは2cm弱大だそうです.手羽先の中には,成長ホルモンのせいで肉が骨から 取れやすいものがあるという報告がありました.外国では生長(女性)ホルモンを使う場合があり,それらの手羽先の食べ過ぎで,女の子が初潮を早めたり,男 性が豊胸になったりの例があるという話がでました.

【外部リンク】手羽先で男性に豊かなバストが・・・(searchina)

先月の報告写真のヌマトラノオ(沼虎尾,サクラソウ科)の花は,シロバナサクラタデ(白花桜蓼,タデ科)ではという意見がでましたが,一緒に写っている葉 は,そうですが,花はヌマトラノオで間違いないということでした.
この地域の浮草が話題になり,ウキクサ(浮草,ウキクサ科),アオウキクサ(青浮草,ウキクサ科)およびボタンウキクサ(牡丹浮草,サトイモ科,英名: Water Lettuce)の3つが有名という説明がありました.NHKのミクロワールドという番組で公開され,ウキクサが3ヶ月で400万倍になり水田を埋め尽く すというビデオがウェブで見ることができるという話がありました.

【外部リンク】水面をおおうウキクサの秘密(NHKforSchool)

白い小さな花のついたニラ(韮, ユリ科)を持ってきた参加者がいました.この状態でも卵とじにして食べられ,切り取った後も何度も収穫できるそうです.最 後に,ヤブツバキ(薮椿,ツ バキ科)の5cm大の実が披露されました.リンゴ(林檎,バラ科)の実ではという人もいました.実は渋くて食べられないようで す.実の中の硬い種は,搾って食用にもなる椿油をとります.

【外部リンク】ツバキの種から椿油(季節のガーデニング)

ニラ ヤブツバキの実

10:00丁度に出発して,まず,大坂池の近くでコオロギの鳴き声を聞きました.コロコロと鳴くエンマコオロギ(閻魔蟋 蟀,コオロギ科)とリーリーリーと鳴くツヅレサセコオロギ(綴刺蟋蟀,コオロギ科)でした.ミツカドコオロギ(三角蟋蟀,コオロギ科)はいませんでした.

【外部リンク】日本のコオロギ類の鳴き声(兵庫県立人と自然の博物館)

エンマコオロギ

大坂池土手のアレチヌスビトハギは小さなきれいな花をたくさん付けていました.よく見ると受粉していない花も多く,それら には実がついていませんでした.関連して,稲は基本的に風媒花ですが,開花する前から自家受粉するという話も出ました.開花しても2時間ほどしか受粉でき ないそうです.モチマイ(糯米,イネ科)とウルチマイ(粳米,イネ科)の間では,ウルチマイが優性で,交雑するとモチマイもウルチマイになってしまうそう です.赤米や黒米は劣性で問題ないですが,緑米は優性で,これが混じると米の商品価値が非常に下がるので,緑米の作付けは厳しく制限されているそうです. ヒメムカシヨモギ(姫昔蓬,キク科)にバッタの死骸が付いているのを見つけて,前に紹介されたバキュロウィルス(Baculoviridae,バキュロ ウィルス科)の話しがまた出ました.
次に,カエル池に行きカダヤシ(蚊絶やし,カダヤシ科)の繁殖を見ようとしましたが,雨が降っており,ザリガニは見えましたが,カダヤシは見えませんでし た.誰かが放流して増えたようです.
オタマジャクシ池の前の道を歩いているときに,バッタ・コオロギ・キリギリス生態図鑑と透明な虫かごを持った男の子が昆虫少年であることが分かりました. 虫かごから,捕まえた種々の昆虫をシャーレに移して説明をしてもらいました.まず,エンマコオロギを取り出して,名前の由来や雌雄について説明してもらい ました.鳴くのはオスだけで,メスが近づくと優しく鳴くことや,別のオスが縄張りに入ると警戒音を出すことなどが話題になりました.次に,脚が赤いクルマバッタモドキ(車飛蝗擬,バッタ科)の オスとメスを観察しました.羽根を手でむき出しにして,飛ぶと車の車輪が回っているように見える部分を見ましたが,クルマバッタ(車飛蝗,バッタ科)ほど 模様ははっきりしていませんでした.次に小さなイボバッタ(疣飛蝗,バッタ科)とショウリョウバッタ(精霊飛蝗,バッタ科)を 観察しました.最初,ショウリョウバッタはオンブバッタ(負飛蝗,オンブバッタ科)ではという人もいましたが,全体が緑色の太っているオンブバッタをとり 出して直接比較しました.

クルマバッタモドキ オンブバッタとショウリョウバッタ

アベマキ(阿 部槇,ブナ科)のすぐ横に背丈が1.5m程度のズミ(酢 実,バラ科リンゴ属)を男性の参加者が見つけました.この辺りにはないと皆が思っていたものでした.花は綺麗で青リンゴのようだという人がいました.道の 逆側に植えられた背の低いアベマキは,非常に大きな黄緑色の新葉を出していました.濃緑の古い葉の2倍程度の大きさがありました.

ズミ アベマキの新葉

水田に着き,稲穂を付け始めた稲の中にイ ヌビエ(犬稗,イネ科)などの野草がたくさん混じっており,稲より背が高いので非常に目立ちました.昨年よりずっと野草が多く びっくりしました.イヌビエは一番下の水田が最も少なかったですが,除草を上の水田から順番にしたので,一番下の水田のときには見分けが慣れて効率的に除 草できたそうです.完熟期の今はもう水田には入れないそうです.水田の端にあるイヌビエを引き抜こうとした人がいましたが,1人ではびくともしませんでし た.イヌビエやケイヌビエ(毛犬稗,イネ科)はイネに擬態して,穂が出るまでは稲との違いはわかりにくいそうです.抜けにくいとか根元が赤いとか毛がある なしで判定するそうですが,これだけ残っているところを見ると簡単ではないようです.
スズメ(雀,スズメ科)が周辺の樹木にとまっていて,稲穂を狙っていました.人がいなくなると三々五々下りてきて,まだ固くなっていない稲穂を食べるよう です.当日は20数羽しか見ませんでしたが,いつもは100羽以上の集団でいて,人が近づくと一斉に飛び立つそうです.
ヒクイナ(緋水鶏,クイナ科)が,最近この水田に来ていて,写真を撮る人が田を荒らしたそうです.この日は,ヒクイナはもう見かけませんでした.
ここで,シャクトリムシ(尺取虫,シャクガ科)を見つけてきた子供がいて,観察しました.シャクトリムシは体の前後の端にしか足がありません.まず,胸部 の歩脚を離し,体を真っ直ぐに伸ばし,その後,後ろ足の疣足(いぼあし)を離し,体の後端部を歩脚の位置まで引き付けるという説明がありました.

イネの中のイヌビエ

水田から離れて,坂道を登りフェンスと側溝の間のウンヌケ(牛毛,イネ科)を見に行きました. 日本が大陸とつながっていた 証拠の植物で,アジアの草原性植物の代表だそうです.すぐ横にあるススキ(薄,イネ科)は穂を出していましたが,ウンヌケはまだ穂を出していませんでし た.そのため,ススキとの区別が難しかったですが,ウンヌケの葉の表裏が逆であることを確認しました.
芝生広場の端で,白いネコハギ(猫 萩,マメ科)が白い花をつけているのを見つけました.地を這うように道にはみ出していました.はみ出したところには根は ありませんでした.

ウンヌケの観察 ネコハギの花

湿地へ行き,シラタマホ シクサ(白玉星草,ホシクサ科)を見に行きました.サギソウ(鷺草,ラン科)はすっかりなくなり, 代わりに湿地一面にシラタマホシクサの小さな白い花が咲いていました.これまでの世話のたまものでした.ワレモコウ(吾亦紅,バラ科)とアキノウナギツカ ミ(秋鰻掴,タデ科)も花を咲かせていました.先月見たイソノキ(磯の木,クロウメモドキ科)の実の 色付きもよくなっていました.湿地の山側にある道端 で,ウスノキ(臼の木,ツツ ジ科)の赤い実を見つけて,数名の人が食べました.あまり甘くなかったようです.林の中には多くのキノコがありましたが,白い ラッパ状の7〜8cm大のキノコもありましたが,調べても名前はわかりませんでした.

シラタマホシクサの花 ワレモコウとアキノウナギツカ ミ イソノキ ウスノキ
キノコ

里山の家への帰り道で,松の幹に2匹のコ シロシタバ(小白下翅,ヤガ科)を見つけました.男の子が枝で触って1匹ずつ飛ば すように言われました.残念ながら,素早く飛んでしまったので下の羽の模様は見えませんでした.さらに進んでいったときに,大きなカヤキリ(萱螽斯,キリ ギリス科)を見つけて捕獲して,ビニル袋に入れて観察しました.昆虫少年がすぐに名前を言いあてました.クビキリギスの幼虫も男の子が見つけたので比 較し ました.昨年度に報告したサトクダマキモドキと大きさは似ていますが,形は違っていました.

【外部リンク】キリギリス・コオロギ・ケラ(福光村昆虫記)

コシロシタバ カヤキリ クビキリギスの幼虫

里山の家に帰ってきたときに雨が降り止みました.感想会を里山の家の中で行いました.雨でも来てよかったという感想が出ま した.私のインドネシア土産の乾燥マンゴ(Mango檬果,ウルシ科)とパパイヤ(Papaya万寿果,パパイヤ科)の練り物を回しました.パパイアの匂 いを心配しましたが,ういろう(外郎)のような感じで,わずかにパパイアの味がしただけでした.現地の品質の良い生のパパイアは大変美味しかったです.感 想会終了後に,先月と同じように,子供達のために紙芝居の読み聞かせがありました.雨が降っても楽しい観察会になりました.

観察項目:ニラの花,ヤブツバキの実,トチの実, アレチヌスビトハギ,エンマコオロギ,ツヅレサセコオロギ,ヒメムカシヨモギについたバッタの死骸(バキュロウィルスによる?),ズミ,クルマバッタモド キ,オンブバッタ,ショウリョウバッタ,スズメの群,イヌビエ,シャクトリムシ,ネコハギ,ウンヌケ,アキノウナギツカミ,ワレモコウ,シラタマホシク サ,ヒヨドリバナ,ウスノキ,サワシロギク,コシロシタバ,コムラサキシキブ 

文・写真:伊藤義人 監修:滝川正子