2月度の観察記録
カテゴリ : 2014年
2014年2月度の観察記録です。
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前夜の雪は降り止んでいましたが,数cm積もった雪は,陽差しによって溶け始め,平和公園内の道は歩きにくくなっていまし た.長靴を履いて行こうかと思いましたが,結局,いつものウォーキングシューズで,予想通り靴下がぬれました.気温は1桁からあがりませんでした.新池の 西側は日当たりが良く,オオバン(大鷭,クイナ科)2羽,バ ン(鷭,クイナ科)1羽,ヒドリガモ(緋鳥鴨,カモ科)6羽,コガモ(小鴨,カモ科)8羽が水 に浮かんで盛んに動いていました.ジョウビタキ(常鶲,ツグミ科)のオス1羽が,樹木に止まってヒッヒッヒッと地鳴きしていました.新池北側の樹木下の水 面では,浮き寝状態で,ヒドリガモ12羽,オナガガモ(尾長鴨,カモ科)2羽,そしてコガモが20羽いました.土手のセンダン(栴檀,センダン科)には, シワの入ったクリーム色の実が,まだたくさん付いており,ム クドリ(椋鳥,ムクドリ科)が食べに来ていました.参加者は,先月と同じように抱かれた赤ちゃ ん1人を含む子供5名と大人19名でした.

バン コガモ ムクドリ

里山の家の前の広場は,雪が溶けて泥土になっていたので,狭い軒下で集合しました.まず,先月の報告を皆で見ました.写真 のオオバンに追いかけられているヒドリガモは,オオバンが潜って取ってくる藻のおこぼれをもらうために寄ってくるヒドリガモをうっとおしく思い,追い払っ た瞬間を撮ったものだという説明を私がしました.邪魔をするということに関連してオオタカ(蒼鷹,タカ科)の営巣の写真を撮ったり見物に来る人が多いた め,餌をとってきた親が巣に入れないのを,周辺にカラス(烏,カラス科)が居るので,巣に戻れないと言っていた人達がいたという話しが出ました.実際はそ の人達に邪魔されていたということです.できれば営巣中は巣に近づくのは避けたいものです.次に,タンポポ(蒲公英,キク科)のロゼットの写真を見て,ど うしてロゼット型になるかの話しがありました.太陽光を効率的に受け,地熱を利用するとともに刈られるのを防いでいるというような理由があるようです.

【外部リンク】生き物こぼれ話(TaKMi)

オカモトトゲエダシャク(岡 本刺枝尺蛾,シャクガ科)の羽化の写真と羽が異形になった成虫を持ってきた人がいました.これも,春を告げるスプリング・エフェメラル(Spring ephemeral)の1つだという説明がありました.同じ人がキ イロテントウ(黄色天道虫,テントウムシ科)と草が入ったビニル袋を持ってきたので回覧して観察しました.先月のドロバチ(泥 蜂(総称),ドロバチ科)の巣は,ヒメベッコウバチ(姫鼈甲蜂,ドロバチ科)の巣だろうということになりました.

オカモトトゲエダシャク キイロテントウ

忍冬酒を 持って来た参加者がいました.ラベルのくずし文字が読めませんでした.説明文を読んで,スイカズラ(吸葛,スイカズラ科,別名:忍冬)を10年かけてつけ 込むと書いてありました.スイカズラは江戸時代からの薬草で,各地で忍冬酒は作られていましたが,今は犬山と浜松が有名です.徳川家康が愛用していたよう です.焼酎にコウジともち米(甘酒と同じ,砂糖で代用可)を入れて,スイカズラの花(蕾がよいが,葉や茎を使う場合もあり)をつけ込けこむので甘い飲み物 だそうです.

【外部リンク】忍冬酒(遠州夢倶楽部)

【外部リンク】徳川家康が愛飲した幻の薬酒「忍冬酒」を作ろう(雑想庵の破れた障子)

忍冬酒

ニホンミツバチ(日 本蜜蜂,ミツバチ科)の黄色い蜜蝋が 披露されました.0.1mm厚の六角形のハニカム構造の巣から作ったそうです.甘いにおいがしますが,食べても甘くないそうです.ミツバチの巣は蜂の腹に ある蝋腺から分泌した蜜蝋で造られ,新しい巣箱にこの蜜蝋を塗ると分封した蜂が集まりやすいという説明がありました.高級リップクリームや食べられるクレ ヨンの原料にも使われるということでした.
次に変な形をした5cm大の実をいくつか付けた枝を持って来た人がいました.オ オイタビ(大崖石榴,クワ科,英名:Ficus pumila)でした.ナイフで実を半割したところ,イチジク(無花果,クワ科)と同じような閉鎖花でした.里山の家においてあるプミラ(Pumila, クワ科)という小さな植物もオオイタビで,つたうものがあれば大きくなってこのような実をつけるという説明がありました.壁面緑化にも使うそうです.

ニホンミツバチの蜜蝋 半割したオオイタビ

子供達は,この間,大坂池周辺で雪遊びをしていました.泥だらけの雪だるまも造られていました.ニホンアカガエル(日本赤 蛙,アカガエル科)の卵塊を見にいくために水田の方に出発しました.最も早いのは1月28日に産卵し,例年より早いという報告がありました.
出発して直ぐに,まず大坂池土手のイヌコリヤナギ(犬 行李柳,ヤナギ科)の新芽を観察しました.ネコヤナギ(猫柳,ヤナギ科)と同じような綿毛でくるまれた新芽が出ていました.次に,ハンノキ(榛木,カバノキ科)の垂れ下がった 10cm以上の長さの雄花を観察しました.叩くと花粉が周辺に散りました.葉と雌花の新芽もついていました.

イヌコリヤナギの冬芽 ハンノキの雄花と昨年の実と新芽

次に,直ぐ横の背の高いムクノキ(椋木,ニレ科)にキクラゲ(木耳,キクラゲ科)がたくさんつい ているのを見つけました.採って食べた人もいました.そのキクラゲの間にシロフフユエダシャク(白斑冬枝尺,シャクガ科)が1匹止まっていました.名前を 同定したのは感想会のときでした.
炭焼広場に行き,花の咲いたソシンロウバイ(素心蝋,ロウバイ科)を見ました.黄色い花の芯が,普通のロウバイのようには赤くないので素心というようで す.今年の名古屋周辺のロウバイの花は 咲くのが遅く,満開は2月に入ってからでした.元々は中国から入ってきた外来種でした.炭焼広場では,たくさんの人が畑を耕していました.
葉が枯れても落ちていない幼木のアベマキ(阿 部慎,ブナ科)の冬芽を観察しました.鱗のような芽鱗(ガリン)を観察しました.上から見ると5角形でした.直ぐ横のコナラ(小楢,ブナ科)は葉は落ちていました が,冬芽は同じようなものでした.

キクラゲ ロウバイの花 アベマキの冬芽 コナラの冬芽

凍った池で,大人が子供を支えて落ちないようにしてニホンアカガエルの卵塊を採らせました.卵は 白いものが見え,既に原腸胚のものもありました.卵塊は,隣の池も含めると9個ありました.水温をアルコール温度計で,子供に測らせたところ2.5度でし た.

ニホンアカガエルの卵塊 水温測定

シンジュ(神 樹,ニガキ科)の葉痕と冬芽も見ました.
雪の上に鳥の10cm近い足跡が点々と付いていました.大きさからして,ア オサギ(蒼鷺,サギ科)の足跡だろうということになりました.

【外部リンク】アオサギの足跡(imagenavi)

シンジュの葉痕 アオサギの足跡

クマザサ(隈笹,イネ科)の中でア マチャズル(甘茶蔓,ウリ科)の7〜8mm大の黒い実を見つけた参加者がいました.黒光りして,鉢巻きのような輪とその中に点 々の模様があり顔のように見えました.実を食べた人もいましたが,甘くはないという感想がでました.離層ができず枯れても葉の落ちないヤマコウバシ(山香,クスノキ科)を観察しま した.においは全くありませんでした.冬の雑木林で,この枯れた葉は目立ちます.

アマチャズルの実 ヤマコウバシ

登りの藪こぎをして,キラニン広場に行きました.赤ちゃんを抱いた女性の参加者が心配でしたが無事ついてこられました.こ こでいつものようにシャシャンボウ(小小坊,ツツジ科)の実を採るつもりでしたが,今年は全くついていませんでした.ここから直ぐに下りの藪こぎをすると 急斜面なので,道なりに下って大回りして,防護柵をまたいで,下りの藪こぎをしてカンアオイ(寒葵(総称),ウマノスズクサ科)を観察に行きました.
カンアオイのコロニーは雪と笹に覆われていました.早速持ってきた鎌などで笹刈りをまずしました.ヒメカンアオイ(姫寒葵,ウマノスズクサ科) とゼニバサイシン(銭葉細辛,ウマノスズクサ科)は見つかりましたが,細長い葉を持つスズカカンアオイ(鈴鹿寒葵,ウマノスズクサ科)は昨年と同様に見つ けられませんでした.葉をかき分けると14個の紫色の花がかたまっている所もありました.アリがカンアオイの種を運ぶという説明がありました.カタクリ (片栗,ユリ科)やスミレ(菫,スミレ科)などの種も同じように運ばれるそうです.種にアリの餌となる種枕(シュチン,エライオソーム)と呼ばれるものが 付いているそうです.時間がなかったので,今回は葉や花の数は数えませんでした.周辺には,非常に大きなカワラタケと極小の白い柔らかいカワラタケ?が朽ちた木についていました.

【外部リンク】エライオソーム・「アリ散布型植物」とは(究JYお勉強ページ)

ヒメカンアオイの花 カワラタケ?

感想会は,里山の家の中で行いました.GPS機能のついたタブレットを持っている人に,今回歩いたルートと高低差の図を見 せてもらいました.ずっと抱っこされていた赤ちゃんが元気に床をハイハイしました.感想として,「この寒いのに産卵したアカガエルのお母さんはご苦労さん でした」というのがまずでました.確実に春が近付いていました.寒くていやという人もいましたが多くの人が雪景色を楽しんだようです.ニホンミツバチの蜂 蜜が高いのは,収穫率がセイヨウミツバチ(西洋蜜蜂,ミツバチ科)の1/25だという説明がありました.バラバラに咲くヒメオドリコソウ(姫踊子草,シソ 科)などの蜜を集めるためだそうです.
子供達の笑い声に満ちた残雪の中での楽しい観察会になりました.
観察項目:オカモトトゲエダシャク,忍冬酒,ニホンミツバチの蜜蝋,オオイタビ,イヌコリヤナギの雄花,ハンノキ,キクラゲ,ムクノキ,シロフフユエダ シャク,ソシンロウバイ,アカガエルの卵塊9つ,アオサギの足跡,アベマキの冬芽,コナラの冬芽,アマチャズルの実,ヤマコウバシ,実のついていないシャ シャンボウ,ヤマコウバシ,ゼニバサイシン,ヒメカンアオイ,ハイタカ,スイカズラの実

文・写真:伊藤義人 監修:滝川正子