7月度の観察記録
カテゴリ : 2014年
2014年7月度の観察記録です。
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朝から曇りで,天気予報では午後から雨ということでしたが,観察会の途中で小雨から大雨になってしまいました.新池の水面 は,白い花を咲かせたスイレン(睡蓮,スイレン科)に覆われ,水鳥はいませんでした.新池土手のクズ(葛,マメ科)は,樹木を覆うように繁茂 していました.また,センダン(栴 檀,センダン科)には,緑色の実がたくさん付いていました.ア カメガシワ(赤芽柏,トウダイグサ科)も花が終わって実がつき始めていました.ムクゲ(木槿,アオイ科)には,ピンク色の 10cm大の大きな花がたくさんついていました.

濃い緑に囲まれた大坂池には,まだ,燕が4〜5羽飛び交わっていました.カエル池の奥では,すでに虫の鳴き声が聞こえまし た.蝉は,他の場所では既に鳴き始めていましたが,平和公園では聞こえませんでした.集合場所の里山の家の屋根には,昨年度と同じようにハナヤスリ(花 鑢,ハナヤスリ科),クズ(葛,マメ科),セイタカアワダチソウ(背高泡立草,キク科)およびアレチノギク(荒地野菊,キク科)が生育を競っていました. 参加者は,子供5名と大人17名でした.

クズ センダンの実 アカメガシワの実 ムクゲの花

まず,先月の報告を皆で見ました.前の集合場所のガクアジサイ(萼紫陽花,アジサイ科)に関連して,シーボルトが帰国後, アジサイをユーロッパ中に売り込んでいた話しが出ました.先月,猫ヶ洞池の土手で観察したクロノミニシゴリ(黒実錦織木,ハイノキ科)は再度検証して,確 かに東海丘陵要素植物の1つで,絶滅危惧種になっているものだと確認されたという報告がありました.
このとき,里山の家の屋根の軒上をハシボソガラス(嘴 細鴉,カラス科)が1羽きて我々を見下ろしながら歩いていました.報告のリョウブ(令法,リョウブ科)に関連して,リョウブ御飯を食べたという報告もあり ました.新芽をおにぎりに入れて,菜飯のようにして食べたそうですが,味は無かったそうです.

屋根のハシボソガラス

海洋堂のイモムシのフィギュア6体を以前に紹介した女性参加者が,新たに発売されたイモコレ2の5体を一緒に持ってこられまし た.シャチホコガ(鯱鉾蛾,シャチホコガ科),クロアゲハ(黒揚羽,アゲハチョウ科),キアゲハ(黄揚羽,アゲハチョウ科),セスジスズメ(背筋雀,スズ メガ科),ヒロオビトンボエダシャク(広帯蜻蛉枝尺蛾,シャクガ科)の幼虫で,ネットで購入し1,350円だったそうです.どうして,これらの5種の幼虫 が選ばれたのかという疑問が出ました.オオクワガタ(大鍬形,クワガタムシ科)の幼虫入りのものも売り出されていて,その値段は2,300円と高めに設定 されているという報告でした.本物の幼虫の方が絶対美しいという意見が出ました.

イモコレ2

自宅の壁にぶらさがっていた毛虫の脱皮殻付きの蛹(さなぎ)が紹介されました.3cm長くらいで,最初は大きさからして蝶 の蛹ではということでしたが,よく観察して今年多かったマイマイガ(舞舞蛾,ドクガ科)の蛹だろうということになりました.
次に,自宅で作った野菜で, 大きさの違うキュウリ(胡瓜,ウリ科)とピーマン(piment(仏),ナス科,別名:西洋唐辛子または甘唐辛子)を2つずつと食用ヘチマ(糸瓜,ウリ 科)を持ってきた参加者がいました.どの大きさで収穫したらよいかという問が出ました.大きいピーマンは硬いですが肉詰めのときは最適という意見が出まし た.大きくなったキュウリも種を取れば問題無く食べられるそうです.食用ヘチマは苦みもなく,餃子の具として入れるとおいしいという説明がありました.
次に,ポプライネゾウモドキ(poplar 稲象擬,ゾウムシ科)の5mm大の標本を観察しました.5月の観察会の後に,芝生広場北のヤマナラシ(山鳴らし,ヤナギ科)で採ったそうです.30年程前 (1983年)に名大構内のヤマナラシで見つけたきりだったそうです.

【外部リンク】名古屋大学東山キャンパスのゾウムシ

野菜 ポプライネゾウモドキ

里山の家を出発したとき,直ぐ横の樹木に2羽の鳥がいました.最初,キビタキ(黄鶲,ヒタキ科)ではということでしたが, 飛び立つときにコロコロジーと鳴いて,羽の黄色の紋が見えたので,カワラヒワ(河原鶸,アトリ科)の幼鳥であることが分かりました.
大坂池南のクズ(葛,マメ 科)の葉端にあった虫の食痕を 観察して,コフキゾウムシ(粉 吹象虫,ゾウムシ科)の成虫も見つけました.周辺には,大きさの違うショウリョウバッタ(精霊蝗,バッタ科)がたくさんいました.子供達は喜んで,競って バッタを捕まえていました.その場所では,イボタノキ(水蝋の木,モクセイ科)の苗木が植樹されていました.NEXCO中日本グリーンセンターの協力で, 大坂池周辺を森に戻すため,地域性の木としてこのイボタノキが植えられたという説明がありました.

コフキゾウムシの食痕

囲われた大坂池土手には,植樹されたムラサキシキブ(紫式部,クマツヅラ科)やオオウラジロノキ(大裏白の木,バラ科)な どが背の高い野草に隠れ るようになっていました.ここで,草についたトックリバ チ(徳利蜂,スズメバチ科)の泥の 巣を見つけて,皆で観察しました.少し歩いた所で,コ ムラサキシ キブ(小紫式部,クマツヅラ科)を見つけて,ムラサキシキブの花の付き方との違いの説明がありました.また,笹の葉を曲げてで きたカバキコマチグモ(樺黄 小町蜘蛛,フクログモ科)の巣も 見つけました.

トックリバチの泥の巣 コムラサキシキブの花 カバキコマチグモの巣

このとき,小雨が降り始め,ヌ ルデ(白膠,ウルシ科)の複葉の葉がぬれ始めました.ニッコウキスゲ(日光黄萓,ユリ科)のような 黄色い花を2つ見つけて,皆で観察し,ノカンゾウ(野萱草,ユリ科)ではないかという事でしたが,後で調べて低地型のニッコウキスゲであるとの知らせが来 ました.

ヌルデ 低地型のニッコウキスゲ

そうこうするうちに,大雨となり急いで歩いて,キリ(桐,キリ科)の木の下で雨宿りをしました.向かえの炭焼広場では,作 業班が草刈りと芋堀をしていましたが,大雨に驚いていました.いつもなら大雨の中でも観察会は続行するのですが,今回は小さい子供も数名いたので,急いで 里山の家に戻ることにしました.セセラギの周辺のミソハ ギ(禊萩,ミソハギ科)の紫の花がきれいだという参加者がいました.直ぐ横に,ヒメガマ(姫蒲,ガマ科)が数株ありました. 昨年まではなかったように思います.桜の園にあったヒメガマを子供達が持ってきて広げたのではということでした.

雨宿り ミソハギ ヒメガマ

10:45に里山の家に帰り着き,まず,中に展示されていた50枚くらいの平和公園の昆虫の写真の説明を聞きました.次に,桂化木を観察しました.持ってみて重いという 感想がでました.枝に突き刺された蛙のはやにえを 見た後に,冷蔵庫に入れてあった日本で最小の野鳥であるミ ソサザイ(鷦鷯,ミソサザイ科)の はやにえも見ました.モズ(百舌鳥,モズ科)は,虫だけでなく餌になるものは何でもはやにえにするようです.

昆虫の写真 ケイカボク カエルのはやにえ ミソサザイのはやにえ

次に,20cm大の大きなウ シガエル(牛蛙,アカガエル科)と30cm大程度のミ シシッピアカミミガメ(密士失比赤耳亀,ヌマガメ科)を冷凍したものを観察しました.亀の甲板を数えると18の筋がありまし た.亀は雑食性で,30数年亀を飼っている参加者によると,食べ物の好みもあるそうです.シャシャンボウ(小小坊,ツツジ科)の実は食べないですが,ブ ルーベリー(blueberry,ツツジ科)は大好きだそうです.刺身や鰻を与えると,当分の間,亀の餌は食べないそうです.うまいものを食べると,味気 ない亀の餌は食べないということのようです.亀を食べたことがあるかどうかということも話題になりました.
次に,3箱の平和公園の昆虫標本の説明を聞きました.30数年間,ゾウムシを研究している人から,約30種のゾウムシの標本を,それぞれの食草の写真と一 緒に並べたものを詳しく説明してもらいました.長年の研究成果であり,とどまること無く質問にも答えながら解説がありました.ゾウムシは,9000万年前 に分かれた新しい種だとことでした.

ウシガエル ミシシッピアカミミガメ ゾウムシの標本

感想会では,小さな子供に癒されたという感想が出ました.雨の中の観察会は珍しく,これはこれでよいという感想もでまし た.感想会が終わる頃には,すっかり雨があがっていました.緑濃い夏の楽しい観察会になりました.

観察項目: イモムシフィギュア11種,マイマイガの蛹,キュウリ,ピーマン,食用ヘチマ,ポプライネゾウモドキ,カワラヒワ,クズ,コフキゾウムシ,ムラサキシキ ブ,コムラサキシキブ,トックリバチの泥の巣,低地型のニッコウキスゲ,ヒメガマ,ミソハギ,ケイカボク,カマキリ,はやにえ(カエル,ミソサザイ),ウ シガエル,ミシシッピアカミミガメ,約30種の平和公園のゾウムシの標本

文・写真:伊藤義人 監修:滝川正子