7月度の観察記録
カテゴリ : 2015年
2015年7月度の観察記録です
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梅雨の間の晴れで,陽差しが強い真夏日でした.新池横の桜並木は濃緑になっていました.桜並木下の歩道には,カタバミ(片喰,カタバミ科)とアカバナユウゲショウ(赤花夕化粧,アカバナ科)が小さな黄色い花とピンクの花を咲かせていました.新池土手のセンダン(栴檀,センダン科)には大きくなった多くの緑色の実がついていました.

カタバミ アカバナユウゲショウ センダンの実

ムクゲ(木槿,アオイ科)も大きなピンクの花を咲かせ始めていまし た.新池の水面は,すっかりスイレン(睡蓮,スイレン科)で覆われ,水鳥は全く来ていませんでした.わずかな水面の上をチョウトンボ(蝶蜻蛉,トンボ科) が群れになって飛んでいました.東星ふれあい広場のアジサイ(紫陽花,アジサイ科)はすっかり枯れていました.東星中学の生徒が作った元の集合場所のアジ サイ花壇には,まだアジサイの花が残っていましたが,アザミ(薊,キク科)などの多くの野草に囲まれていました.平和公園の大坂池も緑に囲まれて水面が見えにくくなっていました.周辺には砂浴びをしているスズメ(雀,スズメ科)とカラス(烏,カラス科)しかいませんでした.参加者は,子供10名と大人14名でした.

ムクゲの花 アザミ

9 時半になっても参加者の集まりがよくなく,いつもより少し遅れて始まりました.結局,いつもとは違う小さな子供連れの親子が10組ほど参加しました.ま ず,先月の報告を皆で見ました.最後の写真のクロフオオエダシャク(黒斑大枝尺蛾,シャクガ科)はセスジナミシャク(背筋並尺蛾,シャクガ科)だというこ とになました.羽の端のX字の模様と背に筋があるためで,似たような模様の蛾は多くいるそうです.
1年に1mも拡大している新池のスイレンが話題になり,今後どうするか協議中という報告がありました.先週観察したイネミズゾウムシ(稲水象虫,ゾウムシ科)は収穫量には大きな影響を与えないという説も出ました.
今 年は非常に多くのマイマイガ(舞舞蛾,ドクガ科)の幼虫を見ましたが,意外と被害は少なかったのは,一説によるとバキュロウィルス (Baculovirus,バキュロウィルス科)にやられて,灯火採集でも集まらなかったということでした.平和公園ではニホンミツバチ(日本蜜蜂,ミツ バチ科)は見つかりますが,セイヨウミツバチ(西洋蜜蜂,ミツバチ科)は見つからないので見つけたいという話しがありました.
今回は,持ち込みの観察する物はないと言っていたら,3cm長くらいのヨツスジトラカミキリ(四条虎天牛(髪切),カミキリムシ科)とタケトラカミキリ(竹 虎天牛,カミキリムシ科)の入った透明容器を持ってきていた人がいました.蓋を開けて子供達が見ていると,片方が飛んで行ってしまいました.ヨツスジトラ カミキリの名前の由来が話題になりました.虎模様の黄色い横筋を数えた人もいました.ヨツスジカミキリ(四筋天牛,カミキリムシ)は,縦筋が4つなので, その名前がついていますが,ヨツスジトラカミキリはどこが筋(条)か分かりませんでした.2種のカミキリムシとも,普通のカミキリと違って触角は短く,蜂 に擬態しているのではという意見が出ました.

ヨツスジトラカミキリ タケトラカミキリ

参加した昆虫少年から「虫の世界」が名大観察園で,7/6から10/30まで行われるという紹介が最後にありました.10月17日(土)の名大のホームカミングデイなどでも,得意の虫の切り紙を実演するそうです.

【外部リンク】ホームカミングデイ(名古屋大学)

虫の切り紙

里山の家を出発して,直ぐ南でヒメジョオン(姫 女?,キク科)を観察しました.2回除草しても,また生えてきた生命力について話しました.山崎川のオオキンケイギク(大金鶏菊,キク科)も完全に除草す るのは難しく,外来種の野草の生きる力のすごさについて感想が出ました.直ぐ横の大坂池の土手の上には,チョウトンボが10数匹ヒラヒラと飛んでいまし た.
ヤハズソウ(矢筈草,マメ科)が群生している場所で,葉を引っ張って,V字型に切れることを確認しました.葉を両側からひっぱり,じゃんけん ができるのでじゃんけん草という名称も持っているものです.子供達に切れた葉の形が何に見えるかを聞いたところ,「矢印」,「ハサミ」や「イチョウ」など という回答が出ました.葉の維管束が強いので,葉脈に沿ってこのように切れるという説明でした.

ヒメジョオン

大坂池の南側を進みました.集合場所で見たヨツスジトラカミキリやヤナギルリハムシ(柳瑠璃葉虫,ハムシ科)を見つけて観察しました.ヤブガラシ(藪枯らし,ブドウ科)の蜜を数名の参加者が舐めて非常に甘いという感想がでました.
大きな花をつけたヒマワリ(向日葵,キク科)の葉の裏で,シロオビトリノフンダマシ(白帯鳥の糞騙し,コガネグモ科)を見つけました.他の草の葉の裏にもじっとしていました.クズ(葛,マメ科)の葉の上でコフキゾウムシ(粉吹象虫,ゾウムシ科)を観察しました.近くを飛んでいたヒメウラナミジャノメ(姫裏波蛇の目,ジャノメチョウ科)を昆虫少年が網で捕まえて,子供の捕虫篭に入れてやりました.

ヤブガラシ シロオビトリノフンダマシ
ヒメウラナミジャノメ

周 辺には10cmくらいのオオカマキリ(大蟷螂,カマキリ科)が多くいました.枯れ草色のものと緑色のものがいました.目から入る周辺の情報で,1日から2 日で保護色に変わるという説明がありました.カメレオン(chameleon,カメレオン科)などのように直ぐに体色が変わった方が保護色としては安全で はという意見が出ました.
オジロアシナガゾウムシ(尾白脚長象虫,ゾウムシ科)を周辺で見つけて,手のひらに載せて観察しました.緑色のショウリョウバッタ(精 霊飛蝗,バッタ科)も沢山いました.子供たちに捕らせて観察することにしました.自分で捕る喜びも与えるという配慮です.周辺でキリギリス(螽斯,キリギ リス科)が鳴いており,ネギを使ってのキリギリス釣りが話題になりました.キリギリスの鳴き声はよく聞きますが,実際に捕まえるのは難しく,子供時代には キリギリスを持っているとうらやましがられました.実際に,ネギに飛びつくキリギリスを見た人は少ないと思います.

【外部リンク】キリギリスにネギ、お客様には○○(カタリスト研究所)

オオカマキリ ショウリョウバッタ

マメコガネ(豆黄金,コバネムシ科)とヒメギス(姫 螽?,キリギリス科)も見つけて観察しました.ヌルデ(白膠木,ウルシ科)にアブラムシがいっぱいついていました.蜜を出しているようでした.白い幼虫が 動くのを見つけて,アオバハゴロモ(青羽羽衣,アオバハゴロモ科)の幼虫だと分かりました.アップルミント(Apple Mint,シソ科)?の背が高くなり白い花を咲かせていました.アップルミントは,こんなに背が高くならないという参加者もいました.
ハバチ(葉蜂,ハバチ科)の幼虫をカラスウリ(烏瓜,ウリ科)の葉の上で見つけました.昆虫少年が捕まえたモンスズメバチ(紋雀蜂,スズメバチ科)は,標本にするため薬剤の入った容器にいれて死んだものを観察しました.

マメコガネ ヒメギス ハバチの幼虫 モンスズメバチ

沢山の花を付けたホドイモ(塊芋,マメ科)を観察しました.マメ科ですが,芋ができるそうです.うまくはないですが,昔の東北地方では,飢饉のとき食べるために植えておいたそうです.
セマダラコガネ(背斑黄金虫,コガネムシ科)も周辺にいました.後ろの方で騒ぐ声がしたので,戻るとアケビコノハ(木通木葉蛾,ヤガ科)の幼虫がいました.アケビ(木通,アケビ科)ではなくアオツヅラフジ(青葛藤,ツヅラフジ科)についていて,葉に擬態していました.どちら側が頭かという疑問がでました.最終的に右側が頭ということになりました.

ホドイモ セマダラコガネ
アケビコノハの幼虫

湿地に行き,ミカドガガンボ(帝大蚊,ガガンボ科)を網で捕らえて,透明容器に入れて観察しました.3番目の脚が非常に長いことが分かりました.幼虫を見たことがある人がいて,水中のナメクジ(蛞蝓,ナメクジ科)や土左衛門のようで気持ち悪いということでした.
ツマキヒメホソハマキモドキ(褄黄姫細葉巻擬,ホソハマキモドキガ科)とアオイトトンボ(青糸蜻蛉,イトトンボ科)も見つけました.芝生広場の向かえの杭についていたニイニイゼミ(?蛄,セミ科)の抜け殻を見つけて子供達と一緒に観察しました.
湿地の水の中には,カダヤシ(蚊絶やし,カダヤシ科)が沢山いました.黒白斑点のゴマダラカミキリ(胡麻斑天牛,カミキリムシ科)を昆虫少年が捕まえました.水田では,オオシオカラ(大 塩辛蜻蛉,トンボ科)の番(つがい),シオカラ(塩辛蜻蛉,トンボ科)および真っ赤なショウジョウトンボ(猩猩蜻蛉,トンボ科)が飛んでいました.水田の イネミズゾウムシは6月16日に約1200匹程を手で取ったそうです.一部は,アルコール漬けにしましたが,大半はひねり潰したそうです.

ミカドガガンボ ゴマダラカミキリ オオシオカラ(つがい)

里 山の家へ戻る道で,アベマキ(,ブナ科)の枝を切り落としたところに,苔がつきヒサカキ(非榊,ツバキ科)の実生があるのを見つけました.多分,枯れる だろという感想がでました.炭焼広場の畑の端にグラジオラス(gladiolus,アヤメ科)が1つ咲いていました.誰かが植えたようでした.
感想会はエアコンの効いた里山の家の中で行いました.部屋の中でアブラゼミ(油蝉,セミ科)の終齢幼虫を布に這わせ脱皮を観察できるようにしてありました.
子供達の興味を長続きさせるために,動植物の名前を直ぐに言わず,子供達自身で捕まえてよく観察することを第1にすることが確認されました.生物の力強さを実感させた夏の観察会になりました.

観 察項目:ヨツスジトラカミキリ,タケトラカミキリ,ヒメジョオン,ヤハズソウ,オオカマキリ,ヤナギルリハムシ,コフキゾウムシ,オジロアシナガゾウム シ,アオバハゴロモ,アケビコノハの幼虫,ミカドガガンボ,マメコガネ,ヒメギス,ツマグロバッタ,ホドイモ,ヒマワリ,シロオビトリノフンダマシ,オオ カマキリ,ヤブガラシ,セマダラコガネ,ゴマダラカミキリ,カバチコマキグモ,アオイトトンボ,ハイイロテングチョウ,ショウジョウトンボ,オオシオカ ラ,シオカラ,カダヤシ,チョウトンボ
文・写真:伊藤義人 監修:滝川正子