8月度の観察記録
カテゴリ : 2015年
2015年8月度の観察記録です
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雲は少しありましたが,日差しの強い真夏日でした.風のある木陰で は大変気持ち良い日でしたが,直射日光の下では次から次に汗が出まし た.新池の水面は勢いのあるスイレン(睡蓮,スイレン科)にほぼ全面 が覆われていました.遮光実験場にもスイレンが少しずつ進出してきて いました.今月も水面が出ている僅かな箇所の上空でチョウトンボ(蝶 蜻蛉,トンボ科)がひらひらと飛んでいました.新池周辺は,クマゼミ (熊蝉,セミ科)とツクツクボウシ(つくつく法師,セミ科)の大きな 鳴き声が混ざっていました.新池に水鳥は何も来ていなくて,野鳥は周 辺にスズメ(雀,スズメ科)だけでした.土手のセンダン(栴檀,セン ダン科)の緑色の実は大きくなってつやつやしていました.水際にはタ カサゴユリ(高砂百合,ユリ科)の大きな白い花が咲いていました.里 山の家の屋根にもタカサゴユリの白い花が咲いていました. 参加者は小さな子供10名と大人16名でした.

スイレン タカサゴユリ 
スイレン タカサゴユリ

あまりに日差しがきついので,里山の家の中で先月の観察会報告を皆で見ました.初めて参加した親子連れが多かったので,1981 年から続いている観察会について簡単な説明がまずありました.スズメバチ(雀蜂, スズメバチ科)に刺された時に,相生山の安藤養蜂店が使っているスプ レーが紹介されました.ホワイトリカーにスズメバチを入れて作ったエ キスのスプレーでした.ヒスタミン軟膏の代わりに使っているようでし た.また,フランス製の毒吸い器(ポイズンリムーバー)が紹介され, 女の子の腕で試されました.皮膚がコブのようにもり上がりました.別 の子供にも試そうとしたら嫌がって逃げていきました.

スプレー 毒吸い器(ポイズンリムーバー)

報告の中のアジサイ(紫陽花,アジサイ科)に関連して,アジサイが 咲き終わると高山の果樹園が,桃と林檎の収穫で忙しくなるという話が 出ました.報告の中のホドイモ(塊芋,マメ科)は,東北地方の在来種 ではなくアメリカホド(亜米利加塊,マメ科)だという指摘がありまし た. ミカドガガンボ(帝大蚊,ガガンボ科)の報告に関連して,鶴舞図書館の地下では水が湧く場所が8ヶ所もあり,ミカドガガンボの幼虫が沢 山いたという話題がでました.今後整備して,湧水の公開を予定してい るそうです.軟水で,名大の地下水のような鉄分過多の問題はないようです. 報告の中のハバチ(葉蜂,ハバチ科)の幼虫は,チャイロハバチ(茶 色葉蜂,ハバチ科)の幼虫だったということでした.また,アケビコノ ハ(通草木の葉,ヤガ科)の幼虫がとまっていたのは,アオツヅラフジ (青葛藤,ツヅラフジ科)ではなく,食草のヘクソカズラ(屁糞葛,アカネ科)だったのではという指摘もありました. 前日の気温測定結果のグラフを見ました.朝の初期値は,数箇所だけ 24度以下の場所もありました.他は27度以上が多かったようでした. 1日の最高気温は14時より,15時の方が高いことが今年も測定され, 教科書の間違いが今回も実証されました.

気温測定結果 
気温測定結果

子供達が虫捕りに意欲満々だったので,昆虫の多い大坂池の南側の道を行くことにしました.まず,ヒマワリ(向日葵,キク科)を観察しました.頂点の大きな花の下に沢山の小さな花もついていました.種ができるかどうかは見てもわかりませんでした.周辺で,ショウリョウバッ タ(精霊飛蝗,バッタ科)を子供たちが捕まえました.先月多かったオオカマキリ(大蟷螂,カマキリ科)はここでは見つかりませんでした. オニヤンマ(鬼蜻蜓,オニヤンマ科),ギンヤンマ(銀蜻蜓,ヤンマ科), シオカラトンボ(塩辛蜻蛉,トンボ科),オオシオカラトンボ(大塩辛 蜻蛉,トンボ科),チョウトンボ,コシアキトンボ(腰空蜻蛉,トンボ 科)が周辺を飛んでいました.子供たちは,シオカラトンボは,網を上 からかぶせるやり方で番(つがい)も含めて捕らえましたが,他のトンボは網を振り回すだけで,草に停まっているものも捕獲できませんでした.網を借りて,コシアキトンボを私が捕獲して,子供たちに渡しました.トンボは下や横には飛べないので,横からトンボの前方上方に向け て網を振り,網に入った後,8の字に振ってから,柄を捩って網を折って逃げられないようにすれば容易に捕獲できます.

  ヒマワリ  オオシオカラトンボ 
子供達 ヒマワリ オオシオカラトンボ

周辺では,ツクツク ボウシが盛んに鳴いていました. 芝生広場前の水路の土手の木にたくさんのセミの抜け殻を見つけまし た.ざっと数えても10個以上ありました.すぐ下の地面で沢山の穴も 見つけました.
抜け殻の大きさから,ツクツクボウシだろうということになりました. 湿地に行き,サギソウ(鷺草,ラン科)の30個以上の白い花を観察 しました.

ツクツクブシの抜け殻  サギソウの花 
ツクツクブシの抜け殻 サギソウの花

周辺には,ピンクの花をつけたミソハギ(禊萩,ミソハギ科) も多くありました.シラタマホシクサ(白玉星草,ホシクサ科)は,まだ咲いていませんでした.コオニヤンマ(小鬼蜻蜓,サナエトンボ科) が,草にとまっていたので写真を撮りました.網を借りて捕らえようと しましたが,さっと飛んで行ってしまいました. 男の子が近くの池で,たもで何かをすくっていました.水と藻を入れ た透明容器の中には,カダヤシ(蚊絶やし,カダヤシ科),タガメ(田 鼈,タガメ科),ザリガニ(蜊蛄,ザリガニ類)が入っていました.近 くのウスノキ(臼木,ツツジ科)の赤い実を食べた男の子がいました. 味に関する,感想は聞けませんでした.

ミソハギ  コオニヤンマ  ウスノキの実 
ミソハギ コオニヤンマ ウスノキの実

食害で穴のあいたサルトリイバラ(猿捕茨,ユリ科)を観察しました. 葉には2匹の緑色のサツマノミダマシ(薩摩の実騙し,コガネグモ科) がいました.稲の害虫のツマグロヨコバイ(褄黒横這,ヨコバイ科)を 捕まえて,観察瓶にいれて,子供達と一緒に観察しました.カメムシ目 でセミの仲間という説明を聞き,その顔つきを見て納得した参加者がいました.ツマグロヨコバイは端が黒く,バナナ(甘蕉,バショウ科)が 古くなると端が黒くなるので,この虫をバナナムシ(俗称)ともいうそうです.

【外部リンク】ツマグロヨコバイ(福岡県病害虫防除所)

  サツマノミダマシ 
穴のあいたサルトリイバラの葉 サツマノミダマシ

数匹のマメコガネ(豆黄金,コガネムシ科)を葉の上で見つけました. 日光にあたってきらきらと羽が輝いていました.日本固有種ですが,北米に移入したので,英語名は Japanese beetle だというという説明がありました.番(つがい)も見つけて,子供から交尾中であると指摘され ました.オオカミキリ(大天牛,カミキリムシ科)とヤゴの抜け殻も見つけました.稲の根元についたヤゴの抜け殻は非常に小さいので,多分 ショウジョウトンボ(猩々蜻蛉,トンボ科)だろうということになりま した.稲穂が多くついており,イネミズゾウムシ(稲水象虫,ゾウムシ 科)の被害はなかったようでした.田圃の水の中には,2cm 大の小さな カエルとマツモムシ(松藻虫,マツモムシ科)がたくさんいました.マ ツモムシは,腹を上にして浮いていました.

マメコガネ  ショウジョウトンボのヤゴの抜け殻  稲穂 
マメコガネ ショウジョウトンボのヤゴの抜け殻 稲穂

周辺が野草で囲まれたコンクリートの上に3cm大くらいのコハンミョ ウ(小斑猫,ハンミョウ科)が10数匹いました.近づくと飛んでしま い非常に捕まえにくく,網をかぶせても端から飛んで逃げていってしまいました.やっと捕まえて観察瓶に入れて皆で観察しました.幼虫と成虫も肉食であるという説明がありました.幼虫は穴の中で生活し,周辺 を通る虫を引きずり込んで餌にするということが説明されました.「ダーウィンが来た!(NHK)」で道先案内虫として紹介された中で,幼虫 が虫を捕獲する映像がありました. 一緒に虫かごに入れておいたツマグロヨコバイがカマキリ(蟷螂,カ マキリ科)に食べられているのがわかりました.近くのアカメガシワ (赤芽柏,トウダイグサ科)の黒い実を食べにメジロ(目白,メジロ科) が数羽きていました.

コハンミョウ 
コハンミョウ

早足で田圃から東方向に歩いて,ウメ(梅,バラ科)についたアカホ シテントウ(赤星天道虫,テントウムシ科)を見にいきました.丁度目 の高さより少し上の枝に沢山のアカホシテントウの蛹(さなぎ)の抜け殻が連なっていました.梅の木の上の方の多くの葉の裏に成虫がいま した.木の下は暗く背中の赤い点が見にくかったので,葉といっしょに取ろうとするとアカホシテントウは下に落ちてしまいました.何度 も試して,やっと葉と一緒に捕って,日の光の下で写真を撮りました. 梅についたカイガラムシ(介殻虫,カイガラムシ科)を餌にして,アカ ホシテントウは増えたという説明がありました.

アカホシテントウ  アカホシテントウの蛹の抜け殻 
アカホシテントウ アカホシテントウの蛹の抜け殻

里山の家への帰り道でクサギ(臭木,クマツヅラ科)の花と,カエル池横のヤナギの葉の上のコムラサキ(小紫,タテハチョウ科)の幼虫を 観察しました.この葉には,数 mm 大の小さなカタツムリの子供もついていました.

クサギの花  コムラサキの幼虫  カタツムリ 
クサギの花 コムラサキの幼虫 カタツムリ

エアコンの効いた里山の家の中でお弁当を食べながら感想会をしました.まず,虫かごの中に触覚の長いナナフシ(七節,ナナフシ科)を持 っている男の子がいて,皆で観察しました.ナナフシモドキ(七節擬, ナナフシ科)は平和公園でよく見ますが,ナナフシは初めての人も多かったようです.感想としては,「サギソウの花が見られてよかった」, 「アカホシテントウの抜け殻の集合を初めて見られてよかった」がでま した.子供達には,どの虫が気にいったかを聞きました.「マメコガネ が光っているのがよかったと」いう感想がでました.子供達が次々に昆虫を捕まえて,それに振り回された感はありましたが,緑陰の涼風を 楽しんだ観察会になりました. 

  ナナフシ 
アカホシテントウ アカホシテントウの蛹の抜け殻

観察項目:ショウリョウバッタ,ヒマワリ,ルリタテハ,アブラゼミ, クマゼミ,ツクツクボウシ,オオカマキリ,ツマグロヨコバイ(バナナ ムシ),オオシオカラトンボ,シオカラトンボの雄雌,コシアキトンボ, チョウトンボ,ギンヤンマ,オニヤンマ,コオニヤンマ,アオイトト ンボ,ショウジョウトンボの抜け殻,ザリガニ,アカホシテントウ, サギソウ,ミソハギ,ウスノキの実,スズメバチ,マメコガネ,コハ ンミョウ,コムラサキの幼虫,ナナフシ

文・写真:伊藤義人 監修:滝川正子