12月度の観察記録
カテゴリ : 2015年
2015年12月度の観察記録です
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前日までの天気予報では雨でしたが,集合時間には,ごくわずかな小雨がたまに降る曇り空になり,その後は少し青空も見え,日差しさえも昼頃には差しました.風も全くなく,これまでで最も温暖な穏やかな芋煮会日和になりました.
平和公園とその周辺は,紅葉まっさかりでした.スイレン(睡蓮,スイレン科)の葉がほとんど水面からなくなった新池には,南側の水路付近に番(つがい)のヒドリガモ(緋鳥鴨,カモ科)と番(雌雄の見分けはつかないが)のオオバン(大鷭,クイナ科)がいました.北の水面には,さらにヒドリガモ4羽がいました.カワウ(川鵜,ウ科)3羽が上空を飛んでいました.10数羽のヒヨドリ(鵯,ヒヨドリ科)とムクドリ(椋鳥,ムクドリ科)が土手のセンダン(栴檀,センダン科)の実を食べに来ていました.東星ふれあい広場生垣のサザンカ(山茶花,ツバキ科)は,赤色の花を咲かせていました.広場の西端にはスイセン(水仙,ヒガンバナ科)の花が咲いていました.
参加者は,集合時には子供7名と大人22名でしたが,芋煮会終了時には,子供11名と畑班や田んぼ班を含めて大人32名でした.

紅葉したイロハモミジ ヒドリガモとオオバン サザンカ スイセン

集合時間前に,1時間ぐらいかけて平和公園を1人で回りました.気温がいつもより高く,上着とセーターを脱ぎましたが,それでも汗が出ました.平和公園の中は,紅葉した樹木が一杯で,十分に紅葉を楽しむことができました.ハクサンボク(白山木,スイカズラ科)の濃紫色の葉がツヤツヤしていました.カキノキ(柿の木,カキノキ科)やコムラサキシキブ(小紫,クマツヅラ科)の実がまだ少し残っていました.ヒサカキ(姫榊,ツバキ科)の枝には実が多くついていましたが,木によっては黒色ではなく,緑色のものもまだありました.

ヒサカキの実

芋煮の用具を里山の家の倉庫のたたきで準備しました.メモを読み上げて,必要なものを倉庫から出して,リヤカーに載せました.倉庫の梁の表面に,かたつむりがはったような痕がついていました.光ってはいないので,かたつむりではなく,途中で途切れていることもあり,イラガ(刺蛾,イラガ科)の集団の噛み痕ではという人がいました.梁と壁土の間に白いヒメベッコウ(姫鼈甲,ベッコウバチ科)の巣が数個ありました.3cm 長の円筒形のものと円錐形のものがありました.この巣は白い泥できているということですが,真っ白なので蜂の唾液などが混ざっているのではと言う参加者がいました.

芋煮用具を積んだリヤカー ヒメベッコウの巣

里山の家の前で,コハクチョウ(小白鳥,カモ科)が平和公園の猫ヶ洞池に来たという話題が出た後で,先月の報告を見ました.報告の中の写真のミツバ(三葉,セリ科)はオヤブジラミ(雄藪虱,セリ科)だという指摘がありました.ソバ(蕎麦,タデ科)は刈り取られ,種代程度は出たそうです.ソバに垂れ下がっていた小さな蛹(さなぎ)は,持ち帰った人から,まだ孵化せず,種類は特定できていないという報告もありました.
報告の中のカマキリ(蟷螂,カマキリ科)のいくつかの卵鞘(らんしょう)が病的に見えるという指摘があり,今後,要監視ということになりました.
最後に,1月11日の名古屋昆虫同好会総会と講演会(無料)の案内がありました.吹上ホール4階第3会議室で行われ,イモムシハンドブック(文一総合出版)の著者の安田守さんが講演(15:00から)され懇親会にも出られるということでした.
里山の家を出発して,子供たちがリヤカーを引いて芋煮会場に向かいました.途中の境界杭でクヌギカメムシ(櫟亀虫,カメムシ科)?を見つけました.臭くはなかったですが,形状が図鑑とは多少違うものでした.
常緑のツバキ(椿,ツバキ科)の背丈より高いところで,白いウラギンシジミ(裏銀小灰蝶,シジミチョウ科)が成虫越冬をしているところを教えてもらいました.肉眼では見えましたが,写真に撮ってもよく識別できませんでした.
芋煮会場へ曲がる角の大きな木の幹の洞の中でナミテントウ(並瓢虫,テントウムシ科)が成虫越冬しているのを教えてもらいました.小さな懐中電灯で洞の中を照らしてもらって,かろうじて写真を撮りました.また,木の実を半割して,中のタマバエ(玉蠅,タマバエ科)?の幼虫の写真も撮りました.

ナミテントウムシの成虫越冬

芋煮会場周辺の落葉は前日の雨で湿っていました.アベマキ(,ブナ科)とコナラ(木楢,ブナ科)を植樹した場所で,前日に集めて青シートをかぶせてあった枯枝をリヤカーで,子供達と取りに行きました.芋煮鍋用の竈(かまど)やパン焼き用のグリルパンの準備は手馴れた人達によって,手早く行われました.特に,竈はスコップで地面を掘って整地されたので,鍋を置くときれいな水平を保っていました.燃料の枯枝を集めていたときに,コカマキリ(小蟷螂,カマキリ科)の卵鞘(らんしょう)を見つけた男の子がいました.

枯枝の運搬 芋煮鍋用の竈準備 パン焼き用のグリルパン準備 コカマキリの卵鞘

芋煮鍋に,まず水とサトイモ(里芋,サトイモ科)を入れました.里芋は参加者の畑で採れたものでした.大半の切った芋は水に沈みましたが,色が濃い小さな芋が10個ほど浮いていました.取り出す必要があるかを話し合いましたが,食べてしまえば同じという結論になりました.
パン焼き用の竹竿を作っているところで,積んで置いてあった古い竹からキクイゾウムシ(木食象虫,ゾウムシ科)を見つけた参加者がいました.また,芋煮会場のすぐ横の草の中で,キタキチョウ(北黄蝶,シロチョウ科)がじっと成虫越冬しているのを男の子が見つけました.

越冬中のキタキチョウ

周辺では,コゲラ(小啄木鳥,キツツキ科),メジロ(目白,メジロ科),ヒヨドリなどの鳴き声がしきりにしました.特に,メジロは,会場奥の樹木に20羽以上の群れになって来ていました.その後,芋煮会場横のツバキの花の蜜を吸いにきて盛んに鳴いていました.
芋煮の準備が順調に進んでいたので,3人の虫好きの男性参加者と周辺を回りました.まず,先月までに観察したシンジュキノカワガ(神樹木皮蛾,コブガ科)を木の幹で見つけました.11月末からそこにいたそうで,このまま成虫越冬するようでした.次に,常緑のネズミモチ(鼠黐,モクセイ科)の目の高さの所に白いウランギンシジミ越冬しているのを見つけました.日陰で風のない場所でした.クスノキ(樟,クスノキ科)の葉の裏にアオスジアゲハ(青条揚羽,アゲハチョウ科)の緑色の(さなぎ)も見つけました.葉の食痕を目印にして蛹を見つけるとよいそうです.

シンジュキノカワガ 越冬中のウランギンシジミ アオスジアゲハの蛹

藪の中の背丈くらいのカクレミノ(隠蓑,ウコギ科)には食痕がなかったので,観察せずに通り過ぎました.ヤマウルシ(山漆,ウルシ科)が見事な紅葉をしていました.オオカマキリ(大蟷螂,カマキリ科)の卵鞘を熊笹の茎で見つけました.カラタチ(枳殻,ミカン科)の刺状の葉に,1匹だけクロアゲハ(黒揚羽,アゲハチョウ科)のを見つけました.丁度,顔の高さにありましたが逆光で写真が撮りづらい位置でした.カラタチの根本には数本のカラタチの実生がありました.芋煮会場に戻る時に,再度木の幹の洞のナミテントウの越冬写真を撮りました.ハスモンヨトウ(斜紋夜盗,ヤガ科)の幼虫を,会場入口で見つけてこれも写真に撮りました.

紅葉したヤマウルシ クロアゲハの蛹 カラタチの実生

男の子達がコナラの枯木をのこぎりで引いて,50cm長で5cm径くらいの薪を作り,それをナタで縦に割って,その中に4cm長くらいのヤマトタマムシ(大和玉虫,タマムシ科)の幼虫を見つけました.図鑑のようなずんどう姿ではなく,頭の後ろが細い形をしていました.
鍋の中が沸騰してきたので,コンニャク(蒟蒻,サトイモ科),ゴボウ(牛蒡,キク科),豚肉,シイタケ(椎茸,キシメジ科),酒,醤油,塩を入れました.色を濃くしたくないので,醤油を多く入れる代わりに今年は塩を入れたそうです.ネギ(葱,ユリ科)を入れた後で,最初に私が芋煮を食べました.味は薄かったですが,里芋がよく煮えていて,多くの素材の味がでていました.

ヤマトタマムシの幼虫 芋煮

パン生地が多く用意されていたので,子供たちに行き渡ってから,大人たちも竹竿を使ってパンを焼きました.焼けたパンに,キウイ(kiwifruit,彌猴桃,マタタビ科),カリン(花梨,マメ科),ローゼル(roselle,洛神花,アオイ科),リンゴ(林檎,バラ科),シャシャンボウ(小小坊,ツツジ科)およびユズ(柚子,ミカン科)のジャムをつけて食べました.クラッカーに,同時に各種のジャムを載せて食べた子供達もいました.ユズのジャムが最も美味しいという感想がでました.
マシュマロ(marshmallow,真珠麿)も用意され多く残っていたので,1人の男の子が10数個を細い枝につけて,グリルパンの上で焼きました.真っ黒になり,それでも食べようとして,炎が出て燃えているという注意を受けて,急いで食べるのをやめて炎を消しました.焼芋も周辺は真っ黒でしたが,1つ食べてみると中は黄色く,美味しい薩摩芋でした.

パン焼き 手作りジャム マシュマロ焼き

畑班の5人が遅れて参加して,2杯目の鍋から芋煮を食べました.大人250円,子供100円,畑班は材料提供したので子供料金を徴収しました.その中から各人が持ち寄った材料費を支払い赤字にはならなかったようです.
後片付けをして,遅くなったので中学生と初めての参加した人だけに感想を言ってもらって芋煮会を終了しました.「お腹いっぱい食べられてよかった」,「やったことがないことができて勉強になった」という感想が中学生から出ました.それに対して,勉強なんか関係なく遊びに来ればよいとう感想が大人からでました.田んぼ班の2人からも,来年も来たいという感想をいただきました.
最後に,次回の1月の観察会では昆虫の越冬を観察するという予告がありました.稀に見る暖かい快適な芋煮会になりました.

観察項目:ヒメベッコウの巣,クヌギカメムシ,成虫越冬中のナミテントウ,ウラギンシジミ,コカマキリの卵鞘,キクイゾウムシ,成虫越冬中のキタキチョウ,コゲラ,メジロ,ヒヨドリ,シンジュキノカワガ,クスノキ,アオスジアゲハの蛹,カクレミノ,紅葉したヤマウルシ,オオカマキリの卵鞘,カラタチ,クロアゲハの蛹,ハスモンヨトウの幼虫,コナラ,ヤマトタマムシ,芋煮(水,サトイモ,コンニャク,ゴボウ,シイタケ,豚肉,豆腐,酒,醤油,塩,ネギ),パン生地,焼芋,ジャム(ユズ,リンゴ,シャシャンボウ,ローゼル,カリン,キウイ),イロハモミジ,リンゴ,マシュマロ,焼芋

文・写真:伊藤義人 監修:滝川正子