3月度の観察記録
カテゴリ : 2016年
2016年3月度の観察記録です
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雲の多い薄日の差す晴れでした.季節は初春の感じで,観察会が始まる前にセーターを脱ぐ程でした.平和公園口のユキヤナギ(雪柳,バラ科)が白い花を咲かせ始めていました.新池の水面にはスイレン(睡蓮,スイレン科)の茶色の葉が点々と出始めていました.北側の自由水面には,オオバン(大鷭,クイナ科)6羽とヒドリガモ(緋鳥鴨,カモ科)が5羽来ていて,張り出した樹木下には,コガモ(小鴨,カモ科)が4羽いました.

ユキヤナギの花 新池のオオバン

サクラ(桜,バラ科),センダン(栴檀,センダン科)およびムクゲ(木槿,アオイ科)の新芽はまだかたい様子でした.また,元集合場所のアジサイ(紫陽花,アジサイ科)の茶色の頂芽が光って見えました.東星ふれあい広場には,ツグミ(鶫,ツグミ科)が2羽,スズメ(雀,スズメ科)が12羽およびムクドリ(椋鳥,ムクドリ科)が2羽来ていました.参加者は,子供3名と大人28名でした.

サクラの新芽 アジサイの頂芽

里山の家の前で集合したとき,周辺でウグイス(鶯,ウグイス科)が「ケキョケキョ」と鳴いていました.最初に,先月の報告を皆で見ました.知多の野焼きから持って来たカマキリ(蟷螂,カマキリ科)の卵鞘は,まだ孵化していないという報告がありました.
参加者が持って来たカスミサンショウウオ(霞山椒魚,サンショウウオ科)の1つの卵塊を観察しました.最初にこれは何かという問に,カエルの卵だと言う人もいました.普通,1匹のサンショウウオは勾玉(まがたま)形の2つの卵塊を産むそうですが,産卵場所には1つしかなかったそうです.関連して,京都鴨川水系のオオサンショウウオ(大山椒魚,オオサンショウウオ科)は,ほとんどが外来種(チュウゴクオオサンショウウオ)と交配してしまって,固有種が少なくなっている(3.6%)という話題がでました.「持ち込まず持ち出さず」の原則が大事であることが強調されました.

カスミサンショウウオの卵塊

ソバ(蕎麦,タデ科)畑で以前に採取した蛾の蛹(さなぎ)の1つから,寄生蜂が出て来たので,蛹を持ち帰った女性参加者が持って来られました.他の蛹はまだ孵化していないので,蛾の種類はわからないそうです.
3cm 大の花がついたバイモ(貝母,ユリ科,別名:アミガサユリ)を持ってきた人がいて,皆で観察しました.バイモは外来種という説明でしたが,江戸時代に入ってきたようですので,明治初年に入ってきたオオイヌノフグリとは違い,明治以降に入ってきたものを外来種という定義を最近はとっているそうですので,バイモはもう外来種の扱いをする必要はないようです.

【外部リンク】バイモ(貝母)(多摩の緑爺の「多摩丘陵の植物と里山の研究室」)

寄生蜂 バイモの花

女の子が春を見つけたということで,ツクシ(土筆,トクサ科)を1本縁台に置きました.台北の高校が専門家も訪れる蝶の博物館を持っており,その紹介がありました.その博物館が出しているカラフルな蝶の磁石の紹介もありました.日本人にとっては,それらはカラフル過ぎるように見えますが,台湾では現実にそのような蝶がいるそうです.次に,イリエワニ(入江鰐,クロダイル科)の卵の紹介がありました.鶏のゆで卵と並べて比較して,少し細長くて大きく,かつ殻が厚いという観察結果でした.男の子が孵化しなかった卵をのこぎりで半割して,中を観察しようとしましたが,途中で殻が割れて飛散してしまいました.残念ながら中は何も入っていませんでした.ワニ園に立ち入った鬱病患者が食いつかれなかったという話しもありました.最後に,昨年度の報告をまとめた本の紹介があり,昨年の3月の記述が少しだけ読み上げられまし
た.前年の観察記録を読んで参加するとよいということでした.

ツクシ 蝶の磁石 イリエワニの卵

里山の家を出発するとき,アオサギ(青鷺,サギ科)が2羽大坂池に飛んで来ました.アオサギは通常単独で行動するので,番(つがい)ではという言う人がいました.また,ムクドリ8羽が里山の家の上空を通過しました.
いつものルートと違って,平和公園外周を歩いて,蕎麦畑のヒメカンアオイ(姫寒葵,ウマノスズクサ科)を観察に行きました.蕎麦畑の南端の枯葉に覆われた所にコロニーがありました.地味な小さな花もいくつか咲いていました.3cm 大の蝸牛(かたつむり)の殻がコロニーの中にあり,花の一部が食べられているのは,カタツムリのせいだという説明がありました.蕎麦畑の奥には赤い花をいっぱい付けた大きなヤブツバキ(藪椿,ツバキ科)がありました.木の下にも,落下した花がたくさんありました.

ヒメカンアオイのコロニー ヤブツバキの花

蕎麦畑の北側のカクレミノ(隠れ蓑,ウコギ科)は,下側の2本の枝だけが枯れていました.タテジマカミキリ(縦縞天牛,カミキリムシ科)が枝の形成層を食べて,導管が機能しなくなって枯れたという説明でした.
枝の表面には茶色のヤニが出ていました.カクレミノの他の枝には緑の葉が付いていました.

カクレミノの葉 一部が枯れたカクレミノの枝

蕎麦畑の周辺には,ミツバ(三葉,セリ科)やノビル(野蒜,ユリ科)が沢山ありました.4 つ葉や5 つ葉のクローバー(Clover,白詰草,マメ科)を見つけて,ヒメオドリコソウ(姫踊子草,シソ科)やツクシと一緒にして,小さな花束を造った少学4年生の女の子がいました.花の名前を問われて,直ぐにヒメオドリコソウの名前を教えてしまった男性参加者が叱られて,その代わりに,ヒメの意味とその他のヒメの付く植物であるヒメコバンソウ(姫小判草,イネ科),ヒメウズ(姫烏頭,キンポウゲ科),ヒメギク(姫菊,キク科)などの説明がありました.平和公園では見られない春の舞姫と言われるオドリコソウ(踊子草,シソ科)についても説明がありました.蕎麦畑で,女の子がクモを見つけて怖がりました.早速,透明瓶に入れて捕獲して観察しました.

ノビル 四つ葉のクローバー 花束 ヒメオドリコソウ

さらに公園外周を北へ,平和公園のお墓の横のロウバイ(蝋梅,ロウバイ科)を見に行きましたが,完全に切られていました.切られた理由は不明でした.
猫ヶ洞池の土手で,4本の低木のクロミノニシゴリ(黒実錦織木,ハイノキ科)を観察しました.15種の東海丘陵要素植物の1つです.今後,花(虫媒花)と実の数を数えて保護するという話しがありました.クロミノニシゴリは落葉していて,葉はついていませんでしたが,最初に観察した木には,シンジュサン(神樹蚕,ヤママユガ科)の繭が6つ付いていました.寄生されて空のものもあるようでしたが,5月〜9月に孵化するという図鑑の解説が読み上げられました.クロミノニシゴリの直ぐ横のクロガネモチ(黒鉄黐,モチノキ科)の葉を食べて蛹になったのではという説明でした.

【外部リンク】東海丘陵要素植物(豊田市自然観察の森)

クロミノニシゴリ シンジュサンの繭

その近くに,ニワトコ(庭常,レンブクソウ科)に巻き付いたスイカズラ(吸い葛,スイカズラ科)がありました.葉は先月見たスイカズラとは違って緑色でしたが,葉の形は同じように丸まっていました.猫ヶ洞池のフェンスの中のマサキ(正木,ニシキギ科)の葉の裏にミノウスバ(蓑薄翅蛾,マダラガ科)の幼虫の集団がいるのを見つけました.最初は卵かと思いましたが,ぎっしりと幼虫が集まってクモの子供のように「団居(まどい)」をしているようでした.写真を拡大するとその様子がよく分かりました.

ニワトコ スイカズラの葉 ミノウスバの幼虫

猫ヶ洞池の北側の干上がった場所の水路でアズマヒキガエル(東蟇蛙,ヒキガエル科)の紐状の卵塊を1つ見つけて,透明容器に入れて観察しました.昨年も1つだけ卵塊を近くで見つけましたが,干上がってしまいましたので,今回は水が涸れない所へ放しました.最近のアズマヒキガエルの激減は,ウシガエル(牛蛙,アカガエル科)が持ち込んだウィルスが原因ではという話しがありました.卵は,白い点がまだ見えたので産卵してから2〜3日経過したものでした.アズマヒキガエルがいなくなったので,そのオタマジャクシを食べるヤマカガシ(山楝蛇,ナミヘビ科)もいなくなっているという,食物連鎖の話しが出ました.ジンチョウゲ(沈丁花,ジンチョウゲ科)の花の芽かき時に産卵するということでした.
猫ヶ洞池には,ヒドリガモ,コガモ,ホシハジロ(星羽白,カモ科),オオバンなど50羽以上の水鳥が来ていました.干上がった部分には,ツグミやハクセキレイ(白鶺鴒,セキレイ科)も来ていました.帰り道の猫ヶ洞1丁目交差点近くに,ヒガンザクラ(彼岸桜,バラ科)が2 本あり,赤い花を満開にしていました.
里山の家の中で感想会をしました.ここで,まずカヤ(榧,イチイ科)の説明があり,その実を使ったカヤあられとカヤチョコが供されました.
末広饅頭とイチゴパウダー入りのサクラクッキーも供されました.いずれも懐かしい味がして大変おいしいものでした.参加者も多く,春を待つ大変楽しい観察会になりました.

アズマヒキガエルの卵塊 アズマヒキガエルの卵塊

観察項目: カスミサンショウウオの卵塊,イリエワニの卵,蝶のマグネット,キセイバチ,ノビル,カクレミノ,4つ葉と5つ葉のクローバー,ツクシ,ヒメオドリコソウ,ヒメカンアオイ,ノビル,ミツバ,切られたロウバイ,ネコ,スイカズラ,ニワトコ,クロミノニシゴリ,アズマヒキガエルの卵塊,ミノウスバの幼虫,カンピザクラ

文・写真:伊藤義人 監修:瀧川正子