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時々小雨の降る曇り空から，観察会終了時には陽も差してきました．気温は高く，上着を脱ぐほどの暖かい春の観察会になりました．新池には，頭から嘴までの白い帯が鮮やかなオオバン（大鷭，クイナ科）が６羽，カイツブリ（鳰，カイツブリ科）が２羽，ヒドリガモ（緋鳥鴨，カモ科）が６羽及びコガモ（小鴨，カモ科）が２羽いました．新池周辺のソメイヨシノ（染井吉野，バラ科）だけでなく，白い花のオオシマザクラ（大島桜，バラ科）および濃いピンク色の山桜やしだれ桜も満開でした．
里山の家の中で，まず，先月の報告を見ました．クヌギカメムシ（椚亀虫，カメムシ科）の卵の写真がよくできていて，気管も見えるという感想がでました．三齢まで卵塊のゼリーを食べて成長するという説明がありました．外から，あまりうまくないウグイスの鳴き声が聞こえました．報告の中の写真で，葉の裏についたテントウムシの卵は，ナナホシテントウ（七星天道，テントウムシ科）の卵で，ナミテントウ（並天道，テントウムシ科）は４月に入ってから，樹上などに産卵するそうです．ウシガエル（牛蛙，アカガエル科）が話題になり，ウシガエルは３月から９月まで産卵し，１匹で１万個程の卵を産むという説明がありました．平和公園の小さな池を３日間かけて池干しして，２０００匹以上のウシガエルのオタマジャクシを駆除したという報告がありました．コガタルリハムシ（小型瑠璃葉虫，ハムシ科）の卵は黄色から黒っぽくなって，黒い幼虫が孵化するそうです．東山植物園で２匹のヒキガエル（蟾蜍，ヒキガエル科）の鳴き声が森の中でしたという報告がありました．ヒキガエルは何とか名古屋市内でまだ生き残っているようです．
木の葉を入れた大きな透明容器の中の，ハート模様を背中につけたエサキモンキツノカメムシ（江崎紋黄角亀虫，ツノカメムシ科），オオツノカメムシ（大角亀虫，ツノカメムシ科）および成虫越冬のキボシカミキリ（黄星髪切，カミキリムシ科）を観察しました．また，葉からぶら下がったアサギマダラ（浅葱斑，マダラチョウ科）のさなぎも観察しました．緑色の表面に金ぴかの点々が下の方についていました．威嚇のためだろうということでした．幼虫越冬して４月にさなぎになったものです．キジョラン（鬼女蘭，ガガイモ科）を食べて大きくなったそうです．
傘をさして里山の家を出発して，大坂池の南西にある背の低いマサキ（正木，ニシキギ科）の葉を食べているミノウスバ（蓑薄羽蛾，マダラガ科）の集団の幼虫を観察しました．既にかなりの葉が食べられて，一部は葉が穴あきになっていました．すぐ近くで，イオウイロハシリグモ（硫黄色走蜘蛛，ハシリグモ科）を高校生になった昆虫大好き少年が２匹捕獲しました．両方共，触覚が棍棒状でないので，雌という説明でした．
大坂池の北側の土手で，ハナモモ（花桃，バラ科）を見ていた時に，ウグイス（鶯，ウグイス科）とカイツブリの鳴き声が聞こえました．山側のコバノミツバツツジ（小葉三葉躑躅，ツツジ科）が上品なピンク色の花をいっぱいつけていました．オタマジャクシ池でシオカラ（塩辛，トンボ科）のヤゴ（水?）とアカガエル（赤蛙，アカガエル科）のオタマジャクシを捕獲して，プラスチック容器に入れて観察しました．濡れた路上で，ミミズ（蚯蚓，貧毛綱）がはっていて，これも容器を入れて観察しました．網の上のギンメッキゴミグモ（銀鍍金塵蜘蛛，コガネグモ科）を見つけて，写真に取ろうとしましたが，小さすぎて焦点をあわせるのが大変困難でした．
石段を登って，尾根まで行きました．広葉樹を切って，日当たりをよくして，赤松林に戻す工夫をしている場所でした．多くのアカマツ（赤松，マツ科）の１年〜３年の実生がありました．アラカシ（粗樫，ブナ科）の4年ものの幼木もありました．赤松に接近している細い幹のザイフリボク（采振り木，バラ科，別名：シデザクラ）を観察しました．白い花のつぼみが沢山ついていました．日本産のベリーという説明でした．周辺のネジキ（捩木，ツツジ科）が切られ，切られた所から細い枝が沢山でていました．
キラニン広場に行き，赤松の雄花についたヤニサシガメ（脂刺亀虫，サシガメ科）を観察しました．潜り込んでいて，写真を撮るのに苦労しました．モチツツジ（黐躑躅，ツツジ科）の花についたツツジトゲムネサルゾウムシ（躑躅棘胸猿象虫，ゾウムシ科）を皆で観察しました．小さくてすばやく動くので，これも写真を撮るのに苦労しました．
キイロテントウ（黄色天道，テントウムシ科）を見つけて，手のひらの上に載せて写真を撮りました．コナラ（木楢，ブナ科）の枝についたいた３cmくらいの弱々しいナナフシ（七節，ナナフシ科）を観察しました．直ぐに下に落ちてしまいました．アベマキ（��，ブナ科）の枝についたヤママユの２mm大の５つの卵を見つけました．「御覧（５卵）になって」という冗談を言った参加者がいました．このままでは，目立つので，持ち帰って孵化させるという参加者がいました．
ガマズミ（莢迷，スイカズラ科）の葉の上でノミハムシ（蚤葉虫，ハムシ科）？をいくつか見つけました．瑠璃色の３mm大の成虫でした．近くでビロードツリアブ（天鵞絨吊虻，ツリアブ科）を見つけて写真を撮りました．その後，他の２ケ所でもビロードツリアブを見つけました．春の風物詩の１つです．
樹木の幹の低いところに，５〜６cm長のナメクジ（蛞蝓，ナメクジ科）が２匹並んでいました．最近のナメクジは外来種ということでした．小枝で男の子がつつくと白い液を出しました．炭焼広場の角にあった山桜は，濃いピンクの花をたくさん咲かせていました．その向いには白い花をつけた大きなオオシマザクラがありました．擬木の南側にナナホシテントウ（七星天道，テントウムシ科）の蛹や幼虫がいました．路上で，オオスズメバチ（大雀蜂，スズメバチ科）の女王バチが死んでいるのを見つけました．越冬失敗のようでした．
里山の家の中で，机を２つくっつけて感想会をしました．ヤママユの「卵」を「種」と言い間違えた人がいましたが，カイコの場合は卵を種ともいうそうで，言い間違いではないということになりました．いつもの女性参加者から，５弁の桜の花のクッキーが振る舞われました．合成着色料のようには発色はよくないですが，安全なのでベニコウジカビ（紅麹黴，モノアスカス科）の色素を使ったそうです．また，別の女性参加者からイタリアで買ってきたアーモンド（Almond扁桃，バラ科）の砂糖漬けも振る舞われました．多少，アーモンドは堅かったですがおいしいものでした．なごや生物多様性センターが出している機関誌「なごやの生物多様性」（No.4）に，いつも観察会に参加しているゾウムシを研究している人の論文が載ったというお知らせがありました． |
