3月度の観察記録
カテゴリ : 2018年
2018年3月度の観察記録です。
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日陰は寒く,凍っている場所もありましたが,快晴で風もなく快適な初春の気候でした.平和公園口のユキヤナギ(雪柳,バラ科)は,黄緑色の葉芽が出て,一部白い花もついていました.新池のスイレンの葉がなくなってすっきりした水面には,オオバン(大鷭,クイナ科)が3羽が広く展開していました.カワウ(川鵜,ウ科)とカイツブリも北東部の水面に各1羽いました.ヒドリガモ(緋鳥鴨,カモ科)とコガモ(小鴨,カモ科)の合計16羽は,北側の張り出した樹木下でじっとしていました.水際には,アオサギも(青鷺,サギ科)1羽いました.土手の樹木には,ジョビタキ(尉鶲,ヒタキ科)とシロハラ(白腹,ツグミ科)が各1羽とムクドリ(椋鳥,ムクドリ科)が7 羽いました.センダン(栴檀,センダン科)の白くしわしわになった実が下にたくさん落ちていました.東星ふれあい広場横のアジサイ(紫陽花,アジサイ科)は,花芽が開き始めていました.参加者は,小さな子供は1人もいなくて,中学生が1人と大人22名でした.

ユキヤナギ(名古屋平和公園) ムクドリ(名古屋平和公園) アジサイの花芽(名古屋平和公園) (名古屋平和公園)
ユキヤナギ ムクドリ アジサイの花芽

里山の家の中で,まず先月の報告を皆で見ました.オオカマキリ(大蟷螂,カマキリ科)の卵鞘の写真を見て,その難燃性が,また話題になりました.
外来種のムネアカハラビロカマキリ(胸赤腹広蟷螂,カマキリ科)が増えると在来種が減るという話しが出た時に,平和公園の葦刈りの時に,オオカマキリの卵鞘を多く見つけたという報告がありました.ニホンアカガエル(日本赤蛙,アカガエル科)の卵が,今年は少ないことも話題になりました.アズマヒキガエル(東蟇蛙,ヒキガエル科)は平和公園から急にいなくなりましたが,その理由は学術的には判明していないようです.
カスミサンショウウオ(霞山椒魚,サンショウウオ科)の2つの卵塊アズマヒキガエルの5cm 長の20個の卵の入った卵塊が,透明容器に入れて披露されました.サンショウウオやアカガエルの卵がヤフオクなどのネットオークションで買いましょうというツイッターもあり,お金目的で乱獲する人もいるのではという危惧が出ました.
環境省によって要注意外来生物とされているキショウブ(黄菖蒲,アヤメ科)は,平和公園周辺でも駆除しています.しかし,奈良時代に入ってきたモンシロチョウ(紋白蝶,シロチョウ科)も外来種と区分する人もいるそうです.外来生物法では,明治以降に人為的または人間活動に随伴して入ってきた種を外来種としています.

カスミサンショウウオとアズマヒキガエルの卵塊(名古屋平和公園) (名古屋平和公園) (名古屋平和公園) (名古屋平和公園)
カスミサンショウウオ(左)とアズマヒキガエル(右)の卵塊

報告の中のチャスジハエトリ(茶筋蠅取,ハエトリグモ科)は,後でハエトリグモハンドブックで調べて,アシブトハエトリ(脚太蠅取,ハエトリグモ科)の雌だという報告が昆虫大好き少年からありました.爆睡中のルリタテハ(瑠璃立羽,タテハチョウ科)は,啓蟄もすぎたのでもう起きる頃であるという話題に関連して,ルリタテハの筋肉の体温を測っている研究もあるという報告がありました.
次に,ベトナムの観光客用のきれいな7頭の蝶の標本が披露されました.
英語表記で名前が書かれており,7000円の定価を約半額で入手したそうです.台湾から持って来た,元々,皮が半分しかない仙桃果の種を持って来た参加者がいました.仙桃果の実は,レモン大で表面がシワシワになれば甘いそうですが,台湾では観賞用に使われているそうです.鳥の餌用の種々の虫を冷凍したものも持って来られましたが,臭いがきつく直ぐにしまってもらいました.
カスミサンショウウオの2つの卵塊が同じ親が産んだかどうかの問がありました.卵の数や卵塊の形と大きさなどで判断するようですが,条件がよいと2つの勾玉形状の卵塊はペアーになっているそうです.同じ容器に入れてあった猫ヶ洞池のアズマヒキガエルの元の紐状の卵塊は,2m 長あり,卵の数は2000 個で,以前と比べると短くて,かつ卵の数も少ないという報告がありました.このヒキガエルの卵は,DNA 鑑定をするそうです.名古屋にはニホンヒキガエル(日本蟇蛙,ヒキガエル科)はいないはずだそうです.
オシドリ(鴛鴦,カモ科)の特徴的な羽を持って来た参加者もいました.
庄内川付近でオオタカ(蒼鷹,タカ科)にやられたものでした.オオタカは,襲った鳥の羽を抜いて2ヶ所にまとめる習性があるそうです.クマゼミ(熊蝉,セミ科)の沢山の卵がついた枯れたクスノキ(樟,クスノキ科)の枝を2つ持って来た参加者もいました.アケビ(通草,アケビ科)の蔦に産んだ卵は,アケビが生長して,卵は埋まっていました.普通,蝉は枯れ木に穴をあけてその中に卵を産むそうです.幼虫になったときに下に落ちて,土中にもぐるという説明がありました.

ベトナムの蝶の標本(名古屋平和公園) 仙桃果の種(名古屋平和公園) (名古屋平和公園) (名古屋平和公園)
ベトナムの蝶の標本 仙桃果の種

里山の家を出発して,まず,大坂池土手の満開のを観察しました.ピンクの八重の花と単(ひとえ)の白の花が1本の木に混在しており,白い花の梅の木を台木に,ピンクのの花の梅を接ぎ木したのだだろうということになりました.直ぐ横のたくさんの花芽がついた梅は,ビンゴウメ(豊後梅,バラ科)で,アンズ(杏,バラ科)と梅のハーフということでした.
ここで,コモリグモ(子守蜘蛛,コモリグモ科)を捕獲して写真を撮りました.この時,モズ(百舌鳥,モズ科)がさっと藪の中に入りました.アンズの小さな木には,ピンクの花が咲いていました.その直ぐ下で,ツクシ(土筆,トクサ科)が顔を出していました.

梅の花 (名古屋平和公園) アンズの花(名古屋平和公園) コモリグモ(名古屋平和公園) ツクシ(名古屋平和公園)
梅の花 アンズの花 コモリグモ ツクシ

オタマジャクシ池でアカガエルの尾芽胚の卵塊を観察しました.近くのハナモモ(花桃,バラ科)の花芽は,直ぐに咲きそうなくらい大きくなっていました.
土手のヤナギ(柳,ヤナギ科)は黄緑色の新芽を付けていましたが,ハンノキ(榛の木,カバノキ科)は,枯れた昨年の雌花だけが付いていました.
幹についているミドリシジミ(緑小灰蝶,シジミチョウ科)の卵は色が多少変化していました.

ハナモモの花芽(名古屋平和公園) ヤナギ(名古屋平和公園) (名古屋平和公園) (名古屋平和公園)
ハナモモの花芽 ヤナギ

梅の木で1匹の小さなヒメアカホシテントウ(姫赤星天道,テントウムシ科)を見つけました.アカホシテントウ(赤星天道,テントウムシ科)と同じで,カイガラムシ(貝殻虫,カイガラムシ上科)を食べるそうです.
せせらぎで,小さなアメリカザリガニ(亜米利加蝲蛄,アメリカザリガニ科)を中学生が網で捕ってきました.炭焼広場の端に,甘い香りのする白い花を付けた桜がありました.2月末から咲いているそうで,イザヨイザクラ(十六夜桜,バラ科)のようでした.私の住んでいる近所(津島市)にも数本あり,河津桜ほどではないですが,かなり早くから咲いていました.

ヒメアカホシテントウ(名古屋平和公園) アメリカザリガニ(名古屋平和公園) イザヨイザクラ(名古屋平和公園) (名古屋平和公園)
ヒメアカホシテントウ アメリカザリガニ イザヨイザクラ

トウネズミモチ(唐鼠餅,モクセイ科)の葉を陽にかざして,透けて葉脈が見えるという説明がありました.名前の由来であるネズミの糞の形の実と言っても,若い人にはネズミ(鼠,ネズミ科)の糞を見たことがない人が多く分からないのではという話しが出ました.トウネズミモチの実は,ネズミモチ(鼠餅,モクセイ科)より少し大きいという指摘もありました,
タネツケバナ(種浸花,アブラナ科)の白い花が咲いていましたが,これは外来種で,ミチタネツケバナ(道種浸花,アブラナ科)であるという人がいました.在来種のタネツケバナは横に広がるそうです.
芝生広場前の池のアカガエルの卵塊は10を越えました.卵塊が持って行かれないように,近くにあった竿を使って,池の端の卵塊を真ん中に移動させました.竿も片付けました.蛙は,場当たり的に産卵し,雨の後で,道の水たまりに産卵することがあり,直ぐに干上がって死んでしまう場合もあるようです.

アカガエルの卵塊(名古屋平和公園) (名古屋平和公園) (名古屋平和公園) (名古屋平和公園)
アカガエルの卵塊

フユシャク(冬尺,シャクガ科)が水面でおぼれているのをすくい,写真に撮りました.池の端の柳に,何故かコムラサキ(小紫,タテハチョウ科)が卵をよく産むので切らないようにという要請がありました.若い柔らかい部分が必要なので,胴切りして大きくしないようにするそうです.このとき,上空にオオタカ(蒼鷹,タカ科)が飛んで,気流にのって螺旋状にどんどん上昇しました.
テングチョウ(天狗蝶,タテハチョウ科)の雄を網で昆虫大好きの高校生が捕獲したので,透明容器に入れて写真を撮りました.その後,動きが鈍くなったので,指に止まらせて翅を開いた様子も写真に撮りました.翅は,越冬中なので多少ボロになっていました.テングチョウの脚は4本に見えますが,前脚2本は退化して餌の味を見る機能があるそうです.モンシロチョウ(紋白蝶,シロチョウ科)が緑のスリッパに産卵しているのを見たことがある参加者がおり,全ての蝶が味を見るわけではないようでした.春にしか出てこない三大蝶は何かという問に,ツバメシジミ(燕小灰,シジミチョウ科),ベニシジミ(紅小灰,シジミチョウ科),コツバメ(小燕,シジミチョウ科),モンキチョウ(紋黄蝶,シロチョウ科)などが出て来ました.

【外部リンク】春の蝶(TOM'S DINER)

ヤママユ(山繭,ヤママユガ科)の繭殻を見つけて,関連してシンジュサン(神樹蚕,ヤママユガ科)の真っ白な4齢の幼虫を見つけたとき,何か分からず,図鑑でも分からなかったという人がいました.図鑑では,全ての齢の幼虫の色は載せていないので,飼育記録の詳しいHPを見ないと分からないようです.

テングチョウ(名古屋平和公園) (名古屋平和公園) (名古屋平和公園) (名古屋平和公園)
テングチョウ

地面に落ちていたアベマキ(,ブナ科)のドングリが,茸のような形になっていました.下から根が出て,ドングリの殼がとれて立ち上がったような形でした.近くの横になったドングリの場合は横から根が出て,それが下に向かっていました.ダイコン(大根,アブラナ科)の種は発芽率は落ちますが,年を越せますが,ドングリはその年に発芽しないと,次の年は発芽しないそうです.近くに穴のあいた複数のどんぐりがありました.ゾウムシ(象虫,ゾウムシ科)の幼虫が出てきた痕でした.アズキゾウムシ(小豆象虫,ハムシ上科マメゾウムシ科)はアズキ(小豆,マメ科)やドングリに産卵後,何かを塗って産卵済みであることを他のゾウムシに知らせるという話しがでました.あるドングリを割ってみると,中にヤスデ(馬陸,多足亜門ヤスデ網に属する節足動物の総称)が2匹越冬中でした. ハラビロカマキリ(腹広蟷螂,カマキリ科)の卵鞘がついている木の近くで,エナガ(柄長,エナガ科)が近くにいて逃げていきませんでした.近くに巣があるようでした.

アベマキのドングリの中で越冬しているヤスデ(名古屋平和公園) (名古屋平和公園) (名古屋平和公園) (名古屋平和公園)
アベマキのドングリの中で越冬しているヤスデ

大きなカキノキ(柿の木,カキノキ科)に実のついたヤマノイモ(山の芋,ヤマノイモ科)の蔓が絡みついていました.すぐ横の背の高いハクモクレン(白木蓮,モクレン科)の花芽は大きくなり,まさに白い花が咲こうとしていました.ここで,ツマグロオオヨコバイ(褄黒大横這,ヨコバイ科,別名:バナナムシ)を捕まえました.また,小さなギシギシ(羊蹄,タデ科)の葉裏に2群のコガタルリハムシ(小型瑠璃葉虫,ハムシ科)の卵を見つけました.片方は黄色でしたが,もう一方は灰色でした.
せせらぎの石に,蜘蛛と虻がとまっていました.近づくと蜘蛛は水の上を飛んで向こう側に逃げました.近くには,オオイヌノフグリ(大犬の陰嚢,オオバコ科)が群生していて,青い花を咲かせていました.ナナホシテントウ(七星天道,テントウムシ科)を見つけて写真をここで撮りました.

ハクモクレンの花芽(名古屋平和公園) ツマグロオオヨコバイ(名古屋平和公園) (名古屋平和公園) (名古屋平和公園)
ハクモクレンの花芽 ツマグロオオヨコバイ

感想会を里山の家の中でしました.まず,中学生の男の子が蛙池で捕ってきたマツモムシ(松藻虫,マツモムシ科)を観察しました.逆さになってオールを漕ぐように泳いでいました.エビグモ(海老蜘蛛,エビグモ科)も観察しました.いつもの女性参加者が,ナナホシテントウのクッキーを焼いてきてくれました.天道虫の研究者の講演を聴いて,「かわいい」ところを模擬していました.すなわち,ナナホシテントウの半分は先頭の黒点がハート型になっているということでした.虫好きを増やすためには,平和公園のような場所が必要であることが話し合われました.教えられるのではなく発見することを大事にする観察会を今後も続けるということでした.
起き始めた多くの越冬昆虫も観察した快適な初春の観察会になりました.

なお,私がこの観察記録を書くのはこれが当面最後になります.これまで18年以上,日曜日の午前中は平和公園で観察会や探鳥会に参加して,午後は近くの大学の職場で仕事をしていましたが,定年年齢となり研究室が4月からなくなり,遠い場所に位置する学校で,今後3年間は職務に専念することになりました.
長年のご愛読ありがとうございました.

観察項目: カスミサンショウウオとアズマヒキガエルの卵塊,ベトナムの蝶の標本,仙桃果の種,鳥の餌の冷凍昆虫,オシドリの羽,クスノキとアケビについたクマゼミの卵,ウメ,ビンゴウメ,アンズ,コモリグモ,ニホンアカガエルの卵塊,ハナモモ,ヤナギ,ハンノキ,ミドリシジミの卵,ヒメアカホシテントウ,アメリカザリガニ,イザヨイザクラ,トウネズミモチ,ミチタネツケバナ,フユシャク,オオタカ,テングチョウ,ヤママユの繭殻,アベマキのドングリ,ヤスデ,ハラビロカマキリの卵鞘,エナガ,カキノキ,ヤマノイモの実,ハクモクレン,ツマグロオオヨコバイ,ギシギシ,コガタルチハムシの卵,アブ,ナナホシテントウ,マツモムシ,エビグモ

文・写真:伊藤義人 監修:瀧川正子,田畑恭子