|
2020年 7月 12日（日）9：30〜12：15 作成：田畑恭子 監修：瀧川正子 今年の第2日曜日は何故か好天に恵まれずほとんど晴れていません。中でも3月、5月、6月は雨でした。でもこの日は空には雲が多めながらも久しぶりの日差しが届きました。今月は九州や中部で川が氾濫するなど例年にない大雨が降り続く中、梅雨の中休みの一日となり平和公園には終始気持ちのいい風が吹いていました。
里山の家の前のケヤキの下に幼虫の大きなフンが無数に落ちていました。ケヤキを食べるウンモンスズメのものと予想していたところ、地面を這っている大きな幼虫を見つけた男の子がいました。参加者の一人から蛹になるため木から降りて来たのだろうとの説明がありました。大坂池の横の広場ではクモの子のまどいがうごめていました。久しぶりに雨が止んだので、このあとお尻から糸を出して風に乗って飛んで行こうとしているのだろうということでした。捕まえたトンボにそのクモの子を食べさせようとする男の子がいて、みんなが集まってその様子を観察しました。トンボは翅を掴まれているにもかかわらず、与えられた子グモを次々と食べていました。その足元の草にはニイニイゼミの抜け殻が見つかりました。
オタマジャクシ池の脇にはミソハギが咲いていました。そして雨上がりのせいかキノコもたくさん観察できました。キノコに詳しい参加者からその場で見られたのはヤマドリタケモドキとヘビキノコモドキと教えてもらいました。
また中道沿いに生えていたキノコを裏返すとひだの中に3�个砲睨�たない小さな昆虫が無数に入り込んでいるのが分かり、写真に撮って拡大したところハネカクシとわかりました。キノコを食べる仲間のようです。近くのアベマキの葉を裏返すと、孵化したてのガの幼虫がたくさん見つかりました。その卵の抜け殻の写真を撮ると、まだ孵化していない卵もあることがわかりました。畑のそばでカヤツリグサ科のヒメクグとメリケンカヤツリを比べて見ました。ヒメクグは在来種で、外来種のメリケンカヤツリとの大きな違いは茎の先端についている穂の数でした。メリケンカヤツリの穂は5個以上ついていましたが、ヒメクグの穂は1つだけでした。
子どもたちがプラスチックケースを持って、しきりに中の匂いを嗅いでいました。ケースの中には甲虫が入っていて地面を歩いているところを捕らえたとのことでした。ゴミムシの仲間で、とても美しい色と模様をしていました。その場では種名がわからず、もしかしたらとても珍しい種かもしれないと言う人がいました。ジュズダマが欲しいという女の子がいたので、つどいの丘へ渡る橋のところで一緒に花を見ました。大人の参加者から実が採れるのは秋頃なのでそれまで待とうね、と教えられていました。シンジュの木には実がつき始めていました。細長い実の中に一つずつタネが入っているのが見えました。
アベマキの下で、その幹についているガを探そうという提案があり、みんなで目を凝らして観察しました。すぐに見つける子どももいれば、なかなか見つからない大人もいました。見つかったのはマメキシタバとコシロシタバでした。コシロシタバは同じ木に2頭とまっていました。どちらもシタバガというグループのガで、下の翅には目立つ模様がありますが、翅を閉じていると目立たず幹の模様に溶け込んでいるように見えました。
田んぼではイネが育っていました。葉にはところどころ食べられた痕があり、主にはイナゴの仕業との説明がありました。あたりを見るとイナゴの幼虫がたくさんいました。田んぼに仕掛けたワナを引き上げると、アメリカザリガニがたくさん入っていました。ほかにはよく太ったマドジョウが入っていて、取り出してケースに移すと子どもたちは触りたい、掴みたい、と先を競ってケースに手を入れていました。でもうまくつかめずケースから外に落としてしまう子もいました。
参加者の一人が田んぼの昆虫を捕らえました。形はマツモムシによく似ていて一回り小ぶりなので初めはマツモムシの幼虫かと思いましたが、写真を拡大すると別の種類の成虫でした。マツモムシは水面を仰向けになって泳ぐ姿をよく見ますが、これは水中にもぐって泳いでいたそうです。この観察会では初めて見るマツモムシの仲間でした。若い参加者がネブトクワガタを捕らえてきて子どもたちに見せるとみんな興味津々でのぞき込んでいました。全国的に見るとレッドデータに記載されている県もありますが東山の森では普通に見られるそうです。キノコに詳しい参加者がニオイワチチタケを紹介しました。リング状の模様が目を引きましたが、もっと注目を集めたのは特徴的なその匂いでした。誰が嗅いでも「カレーの匂い」とわかりました。チチタケと言うその名は、もう少し若い時には傘から乳状の液が出ることからついているそうです。
カエルの大好きな少年が、身体が透明なオタマジャクシを網ですくって捕らえました。ヌマガエルのオタマジャクシでした。以前からこの田んぼの周辺で見つかっていましたが、今年は出会えず心配していたそうです。珍しい姿をみんなでじっくりと観察しました。終了の時刻が近づき、里山の家へ向け戻り始めました。途中の水辺でガマを見ました。円柱状の茶色い穂がたくさんついていました。一つの穂には無数の種ができるはずで、これだけの穂が種を飛ばしたら辺りはガマだらけになるはずがそうはならないのは何故だろう、と参加者が話していました。中道を歩いているところへ飛んできたヤマトタマムシを捕らえた参加者がいました。その美しい姿に歓声が上がり、みんなでしばし見とれていました。
今月も密を避け、終了後の振り返りは屋外で飲食せずに簡単に行いました。関東では新規感染者数が減らず、今後も注意深く過ごす必要がありそうです。梅雨明けが待たれる中、絶好の観察会日和の一日となりました。
|
