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2022年 3月 13日（日）9：30〜12：15 作成：田畑恭子 監修：瀧川正子 愛知県のまん延防止等重点措置は3月21日までの再延期が決まり、今月も自然観察会を中止することとなりました。以下を2022年3月の記録として残します。 少し冷たい風の吹く朝でした。大坂池の北側ではウメやアンズが花を咲かせていました。ウメとアンズの花はよく似ていますが、見分けるのは萼を調べれば簡単で、萼が花びらに添うのがウメ、花びらから離れているのがアンズとのことでした。
3月の自然観察会というと、毎年ヒサカキの香りが漂う中を歩いている印象が強いのですが、この日は少しも匂いませんでした。ヒサカキの様子を確かめるとつぼみは膨らみ始めているものの開花にはもうしばらく時間がかかりそうでした。足元にはツクシがたくさん顔を出していました。
オタマジャクシ池ではニホンアカガエルの卵が孵化して数えきれないくらいのオタマジャクシが泳いでいました。今年は産卵のピークが2度に分かれたそうで、孵化の時期の違いがオタマジャクシのサイズに表れていました。
シュンランは2月の状態とあまり変化がなくつぼみのままでしたが、先月開花していなかったミモザは花盛りでした。
周辺では春の訪れを感じさせる草花が見られました。オオイヌノフグリとヒメオドリコソウは同じ場所にたくさん見られました。ホトケノザはその場では見つからず、このあと訪れた畑の周りに咲いていました。
タネツケバナもミチタネツケバナも行く先々で花を咲かせていました。
ヤマコウバシの葉が相変わらず枯れたまま枝についているので、この葉はいつ落ちるのかという話題になりました。新芽が膨らむ春先に一気に葉を落とすとのことでしたので、気をつけて見てみたいと思います。また日本三大美芽のひとつとされるネジキの冬芽もまだ少し硬いようでした。赤い樹皮には何かに齧られたような跡がついていました。
足元の落ち葉の裏ではシロモンヤガの幼虫が越冬していました。広食性のガで模様が特徴的でしたが頭部の近くが一部黒く変色していて、何かに寄生されていたかもしれません。
畑の周りではキタテハやベニシジミが飛んでいました。キタテハは成虫で越冬しますが、ベニシジミは幼虫で越冬するチョウなので、最近羽化したばかりであろうと思われます。
湿地に移動すると辺りはきれいにアシが刈られていて芽を出したばかりのセリやミズゴケが確認できました。毎年ニホンアカガエルが産卵に訪れる水場では、卵塊の数を数えるときに使用した目印の棒が残っていました。今年は107個の卵塊を確認したそうです。
ヨコヅナサシガメは幼虫で集団越冬する姿を目にすることがありますが、この日はちょうど活動を開始したところのようで集団がばらけていくところに居合わせました。帰り道でも同じ木を見てみましたがほんの30分ほどの間にほとんどいなくなっていました。中道沿いのアオキは雄株が多く見つかり、つぼみが膨らみ始めたところでした。またホウネンタワラチビアメバチの繭がついている枝がありました。印象的な名前ですが、これはイネの害虫フタオビコヤガの天敵であるこのハチがたくさん見られる年は米が豊作になるというところからつけられたようです。
最近中道沿いのせせらぎの流れが滞りがちなのが問題視されています。原因の一つがせせらぎの脇に育つヤナギの根が水を吸い上げてしまうことにあるため、何本かのヤナギが伐り出されていました。
シキミの花を確認しに行きました。シキミは実だけでなく葉や花や根などすべてに毒があるそうです。周辺でヒカゲノカズラを探すと落ち葉に埋もれているのがたくさん見つかりました。またヒメカンアオイも数は少ないながらも健在で花も咲いていました。
トウチク林を抜けたところにはカンチクがあり、数を増やしているようでした。稈に残った皮に独特の模様があり、これに味があると言って好む向きもあるようです。その近くに隠れるようにバイモがつぼみをつけていました。バイモはユリ科の植物で花が咲くのはもう少し先になりそうでした。
倒木の下を調べるとネブトクワガタの幼虫とハナムグリの仲間の幼虫が出てきました。コガネムシの仲間の幼虫はよく似ていて見分けるのは難しいのですが、同行の昆虫に詳しい大学生によると見つかった場所によってある程度の予測はできるそうです。
タブノキはこれまでも南方の樹木としてたびたび紹介されてきました。いつの間にか大木となり、冬芽が大きく茶色くなってよく目立ちました。
帰り道では今月もまたムネアカハラビロカマキリの卵鞘が見つかりました。またソヨゴの幹にオオワラジカイガラムシの幼虫が大量につき、体液と思われるものが樹皮を伝って流れ落ちていました。
つどいの丘に目をやると満開の紅白のウメが春らしい風景を作り出していました。
先月ナナホシテントウの前蛹や蛹がたくさんついていたせせらぎ沿いの杭を確認すると、多くがまだ羽化前でしたが、中には羽化したあとの抜け殻もありました。しかしこの日はナナホシテントウの成虫は一度も見かけることはありませんでした。エサとなるアブラムシがよくついているカラスノエンドウを調べると、新芽を中心にエンドウヒゲナガアブラムシが発生しているものもありました。
足元の草原ではたくさんのコモリグモの仲間が歩き回っていました。中でも赤茶色の体色が目立つエビチャコモリグモは愛知県では絶滅危惧�砧爐忙慊蠅気譴討い泙后�終了間際に頭上高くを猛禽類が飛翔していました。オオタカという人もいましたが、そのシルエットがとても小さかったため確定はできませんでした。
久しぶりに寒かった冬を越えて、くらしの森が一気に春らしくなってきたのを感じました。まん延防止等重点措置は予定通り3月21日に解除となり、来月以降は自然観察会もいつもの形式で開催できることが期待されます。多くの参加者の皆さんと一緒に自然の中で過ごす時間を楽しみたいと思います。
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