3月の観察記録
カテゴリ : 2005年
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 多少雲はありましたが朝から晴れました.前日の夜は雪が少し降り,寒さが帰ってきました.風も少しあり,日陰は寒い日でしたが,歩くには最適な日でした.新池には,あいかわらずコサギが14羽も来ていました.つがいのカイツブリやヒドリガモ,コガモ,カワウ,モズなども来ていました.キュルルルという独特の鳴き声でしきりに鳴いて,カイツブリは昨年営巣した場所と同じ所で浮き巣を作ろうとしていました.池の水草を積み上げようとしていましたが,それをヒドリガモに食べられて邪魔をされていました.多分,今年も営巣するのではと思います.集合時間には,10名しか集まっておらず,寒いので参加者が少ないのかなと思いましたが,次第に増えて,最後には子供7名を含む60名と大勢になりました.良く歩いた気持ちの良い観察会になりました.

コサギ

 まず,いつもの集合場所で,先月の報告を見て話しました.鷽換え神事について,是非とも太宰府に行って,誰かが報告してほしいという話になりました.東京では,鷽のかわりに大根を使う神事があるという紹介がありました.鷽(うそ)という漢字は,鶯(うぐいす)とどう違うかということが話題になりました.鶯は火が「わかんむり」の上に2つあることが,携帯電話の漢字変換で確認されました.鷽の部首は何かということで,「がくかんむり」という参加者もいましたが,鷽の上部(旧字の学(學)の上部と同じ)は部首として扱われていません.

 鷽を漢和辞典で引くときは「鳥(とり)」の部首で引くことになります.學は「子(こ)」で引きます.

 名古屋環境大学での里山学校や東海シニア自然学校などの案内がありました.2番目に最古参の参加者のお嬢さんが東京の大学から久しぶりに里帰りして,観察会にこられ,きちんとした挨拶がありました.この後,カエルとヒメカンアオイを観察するため,沢山歩くことを宣言して出発しました.

 元清風荘は,やっと解体され始めました.今後,図書館や自然観察に役立つものに使えるように提案していきたいという話がでました.元清風荘のすぐ横で,ハンノキ(榛の木,カバノキ科)を観察しました.枯れた5cm くらいの細長い雄花と2cm くらいの松ぼっくり型の雌花をまず観察しました.雄花と雌花は,木の下に沢山落ちていましたが,ハンノキにも,枯れたまま沢山付いていました.最初に,雌花を「ヤシャ玉」という参加者がいました.ヤシャブシ(夜叉五倍子,カバノキ科)の実も非常に似ており,両方とも茶色の染料として使われていたので,両方ともヤシャ玉と呼ばれたようです.ハンノキには,既に小さな花芽と葉芽が出ており,特に,暗紫色の雌花の花芽は小さいですが,枯れた雌花を小さくしたような形をしており,受粉もしていることをルーペで見た参加者が観察しました.雄花は暗紫色の円筒状で垂れ下がって,およそ花らしくない花であり,小林一茶はこの花の姿を「はんの木のそれでも花のつもりかな」と詠じたという紹介がありました.花芽と葉芽とどちらの方がよいかという問いがありましたが,結局,若いときは葉を沢山出して大きくなり,成熟したら花芽を沢山出して子孫を増やすのが良いということになりました.
ハンノキのある土手に登る ハンノキ ハンノキの枯れた雌花 ハンノキの枯れた雄花
ハンノキの雌花 ハンノキの雄花

 砂防事業でヤシャブシやハンノキが植林されるという紹介がありました.水が出るところで,痩せ地でも根付き,かつ,窒素固定機能があるそうです.非マメ科植物ですが根に根粒を形成するそうです.肥料木として緑化に用いられるようです.

 砂防(Sabo)は,津波(Tsunami)と同じように,世界共通語として通用する土木用語という話も出ました.ただし,SaboはErosion Control という英語もあり,雑誌名などにはこの方が一般的です.

 ハンノキは8本ありました.この周辺は,昔は芝生だったそうですが,手入れをしなくなって今は,メリケンカルカヤ(米利堅刈萱,イネ科)が一面に広がって,立ち枯れしていました.

 ハンノキの横に,サクラ(桜,バラ科)がもう咲いているということで見に行きました.実際は,遅れて咲き始めたウメ(梅,バラ科)でした.桜が咲いたと思う程の日当たりのよい場所ですが,ウメはまだほとんどが蕾でした.

メリケンカルカヤの中で遊ぶ子供たち ウメの花

 この後で平和公園の中に入って行きました.小径の横の坂で子供達が早速登って遊びました.先月観察した松の切り株の所で,再度,年輪の粗密と南北の方向は全く関係ないことの説明がありました.すぐ近くの小径横で,毎年観察しているコモウセンゴケを捜しましたが,まだ見つかりませんでした.代わりにスミレ(菫,スミレ科)は沢山見つけました.

坂道で遊ぶ子供たち 松の切り株 スミレ

 トンボ池近くの湿地で,ヒキガエルの卵塊を観察しました.2はら採ってきて,中の卵の数を数えました.メジャーで5cm だけひも状の卵塊を測り,その中の卵を数え,全長に換算しました.1つは2500個,もう1つは1400個でした.

【外部リンク】小金ビオトープ通信

 ヒキガエルの一生の産卵回数は4?5回だそうですので,どれくらいの生存率でよいかという議論がありました.卵の状態は,卵割の説明写真と比較して,桑実胚期から胞胚期の中間であろうということになりました.この後で,ヒキガエルの雄と雌の死骸を観察しました.蛙合戦の観察記録に関する説明もありました.

【外部リンク】あやかしの森−ヒキガエル−

ヒキガエルの卵の採取 ヒキガエルの卵を数える ヒキガエルの死骸(雄と雌)

 周辺には,5mm 大の青い花のオオイヌノフグリ(大犬のふぐり,ゴマノハグサ科),細長い赤紫色の花のホトケノザ(仏の座,シソ科),小さなピンクの花のヒメオドリコソウ(姫踊り子草,シソ科)がたくさん咲いていました.ツクシも,細長くひょろひょろでしたが,沢山出ていました.既に湿地には春が来ていました.

オオイヌノフグリ ホトケノザ ヒメオドリコソウ ツクシ

 11時半を過ぎていましたが,急いで薮こぎをしながらヒメカンアオイ(姫寒葵,ウマノスズクサ科)の群生地に行き,葉と花を数えに行きました.昨年,410と81だった葉と花は,538と156に増えていました.ギフチョウが,平和公園からいなくなって30年だそうですが,食草であるヒメカンアオイが増えて,ギフチョウが戻ってくるのを楽しみにしたいという感想がでました.ギフチョウの色は何色かという問いもありました.上部が,黒,黄のストライプで,下部が橙,青,黒で合計4色のようです.

【外部リンク】ギフチョウ研究会

 ヒメカンアオイの群生のすぐ横のヒイラギ(柊,モクセイ科)もかなり大きくなっていました.

ヒメカンアオイの花 ヒメカンアオイの葉と花を数える ヒイラギ

 この後,薮こぎもして芝生広場まで戻りました.愛護会の人たちが焼き芋と焼きシイタケを用意しており,感想会の時に分けて食べさせていただきました.感想会では,ヒキガエルの卵に関するものが多く出ました.春を感じた観察会でした.来月は,種々の野野菜を食べる観察会にするというアナウンスがありました.

焼き芋と焼きシイタケの作成 感想会

平成17年3月の観察項目:カモ,カイツブリ,カワウ,コサギ,ハンノキ,メリケンカルカヤ,ウメ,マツの切り株,ヒサカキ,ソヨゴ,スミレ,ヒキガエルの死骸(雌,雄),ヒキガエルの卵,ツクシ,セリ,ノビル,ラッキョウ,オオイヌノフグリ,ホトケノザ,ヒメオドリコソウ,ヒメカンアオイ,ヒイラギ,タンポポ(概ね観察順)

平成16年4月の観察項目:カワウ,アズマヒキガエルの蛙合戦の写真,カシラダカの不慮の死の写真,ヤニサシガメ,イチョウの雄花,シロバナタンポポ,タンポポ,キュリグサ,ヒメウラナミジャノメ,コオニタビラコ,アカネガシラ,ヤマザクラ,シロサワフタギ,イタドリ,タケノコ,シキミの花,カラスウリ,ヤエムグラ,ミツバアケビの花,ウスノキの花,シュンラン,イヌシダ,ヤマツツジ,スズメバチの巣,コモリグモ,オオタカ,アズマヒキガエルのオタマジャクシ,モンシロチョウ,ルリタテハ,キチョウ,モンキチョウ,モンシロチョウの卵,キャベツ,ダイコンの花,アオキの花,ヒサカキ,ザリガニの脱皮殻,ガガンボの産卵,ハナグモに捕獲されたガガンボ,トウキョウサンショウウオの卵,スズメ三種(スズメテッポウ,スズメヤリ,スズメカタビラ),シイタケの菌打ち,ツバメシジミ,コツバメチョウ(写真は,観察会の本「なごや平和公園の自然」をご覧ください.)

伊藤義人

監修 滝川正子