10月の観察記録
カテゴリ : 2005年
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 すっかり秋らしくなりました.早朝は曇りでしたが,集合時間 あたりから秋晴れでした.日陰に入ると非常に気持ちのよい日と なりました.新池には,ダイサギとアオサギが1羽ずつ来ていま した.周辺では,セミは1匹のツクツクボウシだけが寂しそうに 鳴いていました.代わりに,沢山の虫たちの鳴き声とともにモズ がしきりに甲高く鳴いていました.モズの高鳴きは,新池だけで なく,取り壊しが始まった元清風荘からも聞こえてきました.新池周辺のセイタカアワダチソウ(背高泡立草,キク科)の花には, ベニシジミやヤマトシジミなどの昆虫が集まっていました.出発時には大人36名,子供2名になりました.大きくなった子供さ んを連れて,10年ぶりくらいにこられた参加者もおられました.
 ウクライナからの留学生の母親も初めて参加されました.

セイタカアワダチソウとベニシジミ ヤマトシジミ

 まず,いつもの集合場所で,先月の報告が配られました.今回は,アサギマダラのマーキングを昨年に引き続いて行うことになりました.「なごや平和公園の自然」の本を見て,アサギマダラ の特徴や昨年度のマーキングの様子が説明されました.昨年は, 7頭のアサギマダラが平和公園でマーキングされ,その内の2頭 が三ヶ根山で再捕獲されたそうです.マーキングは,「名古屋平和」,「日付」,「捕獲者名」および「連絡先電話番号」を書きました.再捕獲したら,さらに同様に追記するそうです.アサギマダラは,鱗粉が少ないので,マーキングがしやすいようです. 参加者の一人が,集合の前にアサギマダラを既に捕獲していて三角紙に入れて持っていました.早速,体長(52mm)を測ってからマーキングして放してやりました.25。C以下の温度帯で 活動するそうです.
 なお,スズメバチがまだいるので注意がありました.毒吸い器も用意していましたが,最悪の場合は救急車を呼ぶということでした.
 今回は,アサギマダラ以外に何かを持ってきた参加者はいませんでした.いつものように自己紹介は感想会の時にすることにして,出発しました.
 平和公園の駐車場で,「なごや東山の森づくりの活動拠点施設 (里山の家)」がオープンしていました.土曜日と日曜日に,交 替でボランティアが常駐するそうです.写真・地図や東山の森関係のパンフレットなどが展示してありました.

マーキングしたアサギマダラ 里山の家

 平和公園の中に入って,すぐにジョロウグモが網を張っていました.大きな雌一匹に対して何と雄4匹がいました.今回の観察会で多くのジョロウグモの網を見ましたが,雄が複数なのはこの例だけでした.シロガネイソウロウグモも複数網にいました.写真に撮っても点にしか見えませんが,肉眼で見ると確かに小さな クモでした.ジョロウグモの食べ残しや網の糸を食べているそうです. 少し,歩いた所の路上に,シマヘビの死骸が落ちていました.まむしではないかという参加者もいましたが,平和公園では最近 は,まむしはいないということでした.
 近くで,緑色のカニグモを見つけました.脚の先がマニキュアのようにピンクでした.カニの姿に似ている からカニグモと言われるということですが,横歩きするからカニグモだという参加者もいたので,早速歩かせようとしましたが,歩く代わりに驚いて横にジャンプしました.横にも動けることは確かなようです.

裏から見たジョロウグモ カニグモ

 カナムグラ(鉄葎,クワ科)の白い雄花が沢山咲いていました.振ってやると白い花粉が飛び出しました. すぐ横にヤブマメ(薮豆,マメ科)の紫と白の花も咲いていました.その近くで,クモの卵のうを見つけましたが,残念ながら現場ではどのクモの卵のうかは区別できませんでした.ホームページ上のクモの卵のう検定 を見ても,よくわかりませんでした.後で,ナガコガネグモの卵のうだと教えてもらいました.

【外部リンク】クモ卵のう検定

  アベマキ(阿部槇,ブナ科)のドングリが沢山落ちている道ばたで,背の低いヒガンバナが寂しそうに咲いていました.通常の赤色の花でしたが,これ以外にピンクと白の 花のものがあるそうです. 同じく道の上でカマキリを見つけましたが,ハラビロカマキリでないことは分かりましたが,図鑑を見てもオオカマキリカかどうか分かりませんでした.まあ,よく見る普通のカマキリということになりました.周辺には,トノサマバッタも多くいました.

カナムグラの葉と雄花 ヤブマメ ナガコガネグモの卵のう ヒガンバナ
カマキリ

 畑に入って,立田葉の葉の形状(楓の葉のように細く切れ,5 裂になっている)を持つサツマイモ(薩摩芋,ヒルガオ科)を観察しました.少数ですが,サイマイモ独特の紫と白の花が咲いていました.同じ畑で,タカノツメ(鷹の爪,ナス科)も栽培されていました.実が赤くなっているものと,まだ黄色や緑のものもありました.白い花も沢山下を向いて咲いていました.こんなに沢山栽培してどうやって食べるかという問いに,炒め物,甘みそ和えなど種々の料理法が出されました.ドライフラワーという使用法も 出ました.
 サツマイモのすぐ脇の畦にコミカンソウ(小蜜柑草,トウダイグ サ科)が咲いていました.よく観察すると,小さな白い花と赤褐色の球状の実がなっていました.この球状の実を蜜柑になぞらえてコ ミカンソウという名称が付いたと思われます.この名前であれば,今後も忘れないと言う感想が出ました.背丈が50cm以上のものもありました.
 畑の中で葉をはむトノサマバッタを見つけました.我々のことなど無視して,まさにバリバリと音がしそうな勢いで葉を食べていました.畑の向かい側で,キクイモを観察しました.黄色い花が咲いていましたが,まだ,根にイモは出来ていませんでした.

サツマイモの葉と花 タカノツメの実と花 コミカンソウ キクイモの花

 1人の参加者が,エノコログサ(狗尾草または犬子草,イネ科) とキンエノコログサ(金狗尾草,イネ科)を陽にかざして,その違いを示しました.枯れるとエノコログサがキンエノコログサになるのかという人もいましたが,これらは別種で,毛先が金色に見えるのがキンエノコログサという説明でした.
 水田の近くに行き,一面のミゾソバ(溝蕎麦,タデ科)の花を見ました.小さな目だたない花ですが,集まるとたいへんきれいでした.湿地の中には,スイラン(水欄,キク科),ヒヨドリグサ(鵯草,キク科),サワギキョウ(沢桔梗,キキョウ科),イヌノヒゲ (犬の髭,ホシクサ科)がありました.シラタマホシクサ(白玉星 草,ホシクサ科)は,今年もありませんでした.畦には,ワレモコウ(吾亦紅または吾木香,バラ科)がまだありました.周辺で,コゲラとツクツクボウシが鳴いていました.

エノコログサとキンエノコログサ ミゾソバの花 ヒヨドリグサ サワギキョウ

 きつい斜面を登って,キラニン広場へ行きました.マルバハギ(丸葉萩,マメ科)の花が咲いているので,アサギマダラがいるのではと期待したのですが,空振りでした.斜面でアミタケを見つけてきた参加者がいました.大変おいしいキノコだそうです.ここで,ウクライナ人の母親が,ネザサ(根笹,イネ科)とスズコナリヒラ(鈴小業平竹,イネ科)を花束のようにして集めていました.ウクライナには,ネザサはありますが,スズコナリヒラや竹はないそうです. 父親に見せてやりたいそうです.
 道の上に,天空にかけるようにジョロウグモの夫婦が網をかけていました.よくあんな所に幅広く網をかけられるなあという感想がでました.道ばたのヌルデの4mm大の実に白いぬるりとした塩状のものが被さっていました.なめて見るとしょっぱいあるいは酸っぱい味がしました.舌がかぶれるかもしれないという人もいましたが,図鑑によると無害ということでした.ジョウビタキなどが好んでこの実を食べるようです.
 セイタカアワダチソウの黄色い花に,モンシロチョウ,ハチ,ハナムグリなどが群がっていました.

アミタケ ネザサとスズコナリヒラ セイタカアワダチソウの花に群がるモンシロチョウ,ハナムグリ,ハチ

 あきらめかけていたアサギマダラをやっと見つけて,網で捕獲し てマーキングしました.捕獲した女性の記念写真も撮りました.今回の観察会の中で捕獲してマーキングした唯一のものになりました.
 既に12時近くになったので,急いでナイトハイク(夜に虫の鳴 き声など聞く)の場所にいきました.丁度,カキの木に多くの実がなっていたので,落として食べました.結構甘かったようでした. 周辺には,ツマグロヒョウモンなどのチョウが多く飛び交っていました.
 感想会を,柿の木の近くの芝生の上で行いました.アサギマダラ のマーキングが大変印象深かったようでした.浅黄色はどんな色かという話題になり,漢字から薄い黄色(茶)だと思っている人が多 かったようですが,実際は薄い青(ライトブルー)に近く,赤穂浪士や新撰組が着た衣類の色ということが分かりました.感想会の周辺では,ツクツクボウシが寂しそうに鳴いていました.アサギマダ ラが高いところを飛翔していました.感想会の後で,平和公園愛護 会の人達が面倒を見ている水田で稲刈りをしました.

稲刈り

平成17年10月の観察項目:アサギマダラ,カニグモ,イオウイ ロハシリグモ,ナガコガネグモ,ジョウロウグモ,シロガネイソウロウグモ,シマヘビの死骸,カナムグラ,ヤブマメ,クモの卵のう, キクイモ,カマキリ,サツマイモの花,コミカンソウ,タカノツメ, エノコログサ,キンエノコログサ,ヒガンバナ,エンマコオロギ, アオスジアゲハ,ヒヨドリバナ,サワギキョウ,イヌノヒゲ,イシ ミカワ,ママコノシリヌグイ,カキツバタの実,ワレモコウ,ヌルデの実,マルバハギ,アミタケ,ネザサ,スズコナリヒラ,ハンノキ,ツクツクボウシ,カキ(概ね観察順) (昨年度の観察会の記録は,「なごや平和公園の自然」(平和公園自然観察会発行)をご覧ください.)

著者 伊藤義人 監修 滝川正子