8月の観察記録
カテゴリ : 2004年
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 昨夜の大雨で足下が心配でしたが,平和公園はほとんどぬかるんではいませんでした.曇りで,湿度は高かったですが,風が吹くと8月の真夏とは思えないほど集合場所の木陰は気持ちのよい日でした.新池の水面は,先月よりさらにスイレンなどで覆われましたが,久しぶりにカワセミが飛び,周辺のサルスベリの花がきれいでした.センダンの実は,まだ緑色ですが,大きくなっていました.また,クマゼミの鳴き声がうるさい程でした.参加者は,男の子6名,女の子5名の子供を含む51名でした.夏休みで,子供達の参加が多く,昆虫や植物が豊富なため,密度の濃い観察会になりました.

 まず,いつもの集合場所で,参加者の持ってきたキカラスウリ(黄烏瓜,ウリ科),イヌビワ(犬枇杷,クワ科イチジク属)およびコガタスズメバチ(スズメバチ科)を,観察しました.キカラスウリは,カラスウリと違って,実が黄色になるそうです.まだ熟していない緑色の大きな実をカッターで切って断面を観察しました.中の種はまだきちんとはできていませんでしたが,カラスウリのような特徴的な形でなく,ごく普通の形状のようでした.果肉を食べた参加者によると非常に苦いということでした.

キカラスウリの実の切断面 コガタスズメバチ イヌビワの実の切断面 イヌビワコバチ

 イヌビワも同様に断面を観察しました.確かに果肉はイチジクにそっくりでした.動くものがいないのでイヌビワコバチは入っていないと思ったのですが,注意深い参加者が多くの1mm 程度のイヌビワコバチを見つけました.果肉を食べるとほのかに甘い味がしました.

 コガタスズメバチの死骸を観察しましたが,他のスズメバチと比較すると性質はおとなしいそうですが,庭木や公園に巣を作ることが多く,剪定などで巣を刺激すると激しく攻撃してくるので,被害が多いようです.

 さらに,先月の夜に観察されたセミの脱皮写真が回覧されました.ついでに,今夜7時からカラスウリの花の観察会が行われるというアナウンスがありました.また,先月の観察会で話題になった,3河川(山崎川,香流川,植田川)の分水嶺について,詳しく地図上で確認してきた参加者があり,山崎川と香流川の分水嶺としてはよいですが,植田川については,分水嶺はNTT の近くであるとの指摘がありました.

 参加者の1人が作ってきた紙飛行機を子供の前で飛ばしました.これで出発しようとしましたが,子供達が周辺で沢山のバッタを捕ってきたので,それらを観察することになりました.まず,トノサマバッタを見て,クルマバッタとの違いは羽を広げて模様を調べないと分からないという指摘があり,羽を広げてみて,模様がないのでトノサマバッタの雄であることを確認しました.何故,トノサマバッタかという質問に,立派であるのでという男の子の回答がありました.この子は,このトノサマバッタをほしいなほしいなと言っていました.次にショウリョウバッタを観察して,足の先を持って機織りのように動くのを確認しました.老齢の参加者から,持つ場所を間違えると足が折れてしまうという注意がありました.そういえば子供の頃,不注意で多くのバッタの足を取ってしまったことを思い出しました.虫かごの中のクビキリギスとクサキリの区別について,口が赤い(口紅のある)のがクビキリギスで,緑(または褐色)なのがクサキリということでした.オンブバッタ,ハラビロカマキリ,アブラゼミも観察しました.

ショウリョウバッタの機織動作 タカサゴユリ

 ここまでで10時20分になってしまいました.最近は,集合場所で時間を沢山とることが多くなりました.平和公園に入るまでの道路端で,タカサゴユリ(高砂百合,ユリ科)を観察しました.普通のユリは,ユリ根で増えるのに対して,種でも増えるため繁殖力が強いそうです.

 平和公園に入ってすぐの畑でオミナエシ(女郎花,オミナエシ科)を観察しました.においというより臭いという参加者がいました.薬っぽいとかトイレの臭いという参加者もいました.ニホンミツバチ,アオスジハナバチやクマバチが,オミナエシの花の蜜や花粉を採っていました.アオスジハナバチは捕虫網で採って,観察ビンに入れて観察しました.青と黒の筋が非常にきれいでした.

 あぜ道で背丈が膝くらいの草に直径2cmくらいのトックリバチの巣を発見しました.既にふたがされており,きれいな徳利状になっていました.近くにアゼムシロ(畦筵,ミゾカクシ,キキョウ科)とコムラサキシキブ(小紫式部,クマツヅラ科)がひっそりと花を咲かせていました.

 いつものカラスウリ(烏瓜,ウリ科)の観察場所で,雄株のしおれた雄花と雌株の同じようにしおれた雌花を観察しました.雄株には沢山の雄花がついており,雌株の場合は離れて雌花がついており,花の付け根に緑色の子房の固まりがありました.雌株には,既に大きな実を付けているものもありました.果肉を食べた参加からは,キカラスウリと同じようにめちゃくちゃ苦いという感想がでました.

オミナエシとニホンミツバチ トックリバチの巣 カラスウリの雌花 ニガウリの熟れた実

 少しあぜを進んだ畑で栽培されているニガウリ(苦瓜,ゴーヤ,ツルレイシ,ウリ科),エビスグサ(夷草,マメ科)およびヒョウタン(瓢箪,ウリ科)を観察しました.ニガウリは,黄色く熟しているものがあり,割って中の赤い実を食べると甘い味がしました.安室奈美恵が,子供の頃におやつ代わりに食べたということを聞いたことがあるという参加者がいましたが,確かに何もなければ食べられるものでした.エビスグサやハブソウ(マメ科)の実は,乾燥して生薬として使われるそうです.肝臓を強くする働きがあり,利尿強壮剤としてや二日酔いに効くそうです.一般にはハブ茶として売られているそうです.ヒョウタンは,白い雌花と雄花が咲いていましたが,小さな瓢箪型の子房も観察できました.

 畑のすぐ横の草に,小グモの大群がいました.ハナグモが食べにきていました.クモの子を散らすような動きでした.葉の裏に多くいましたが,裏返すと光を嫌って日陰側に移動しました.ジョロウグモは生まれると,子供達は玉状になって集団生活(まどい)をするそうです.ある時に,蜘蛛の子を散らすように独立するそうです.

【外部リンク】いとなみ −クモたちの子育て−

ヒョウタンの花と実 クモの子供たち フサモ ヒメタイコウチ

 やっとフサモ(房藻,アリノトウグサ科)が群生したトンボ池に到着しました.近くの水田の稲は,昨年と同じように弱々しい穂を付けていました.稲の葉と葉の間に張り渡したコガネクモの蜘蛛の巣で,シオカラトンボが捕まっていました.1人の男の子がヒメタイコウチを捕ってきたので,フィルムケースに入れて回して観察しました.濃尾平野と兵庫県南部にしかいないそうです.愛知県指定の天然記念物(棲息地指定,愛知県西尾市八ツ面山下地内)になっているようです.

【外部リンク】昆虫情報発信基地 −ヒメタイコウチ−

【外部リンク】天然記念物について

 トンボ池では,ムギワラトンボ(シオカラトンボの雌の俗称)が,尻尾を水にトントンと叩きつけて産卵していました.30?60個くらい卵を産むそうです.近くに雄(シオカラトンボ)がいないかなと思って捜すと,すっと寄ってきてつがいになりました.すぐに離れて,雌はまた産卵行動に移りました.別の雄が来たときには,先ほどの雄が追っ払っていました.

 近くの湿地とその周辺で,シロバナサクラタデ(白花桜蓼,タデ科),サギソウ(12株,鷺草,ラン科),ミソハギ(禊萩,ミソハギ科),ミズギボシ(水擬宝珠,ユリ科),ヌマトラノオ(沼虎の尾,サクラソウ科),リョウブ(令法,リョウブ科)を観察しました.シラタマホシクサが無かったのが残念でした.子供達が捕ってきたツクツクボウシ,キイロコウラコマユバチ(?),ヤマトシジミも観察しました.ツクツクボウシは,今年は少し早いように思いました.子供の頃,この鳴き声を聞くと,夏休みの終わりを告げ宿題をやったかというように聞こえ,いやだった思い出があります.ヤマトシジミの食草であるタカバミ(片喰,カタバミ科)がやはり近くにあって,先月と同じように10円玉で銭磨きをした子供達がいました.

つがいのシオカラトンボ サギソウ リョウブ

 近くでアミタケを3〜4個採ってきた参加者がいました.割って断面を見ましたが,色合いはあまりおいしそうには見えませんでしたが,焼いたり汁にいれたりすると十分おいしいそうです.このとき,低木のてっぺんにウチワヤンマ(サナエトンボ科,ヤンマ科ではない)を発見しました.尾(実際は腹)の端近く(第8 節)に縁が黒く内側の黄色い団扇状の張り出しがあり,これが名前の由来のようです.ギンヤンマやオニヤンマは子供の頃に多く見ましたが,このヤンマは見たことがありませんでした.子供達が捕ってきたナナフシ(ナナフシ科)とウマオイ(キリギリス科)も観察しました.ナナフシは平和公園には少ないということでしたが,3匹も捕ってきました.

ウチワヤンマ ナナフシ

 ヒメシバ(雌日芝,イネ科)で傘を作る草遊びをしました.これは,昔は女の子の遊びで男の子は,あまりしませんでした.近くに咲いていたオヒシバ(雄日芝,イネ科)と比較して,その名前の由来の説明がありました.オヒシバの方が強健な感じで男らしいということです.今は逆なのではという参加者もいました.カゼグサ(風草,イネ科)も周辺に多くありました.

 この後,芝生広場に戻り感想会をしました.子供達は,ニホンアカガエル,オオカマキリ,ザリガニ,カナヘビなどを捕ってきては,皆に見せていました.ニホンアカガエルは,前には平和公園にはいなかったので,誰かが東山公園から持ち込んだか,自然に移動してきたかであろうという説明が参加者の1人からありました.

 豊富な昆虫や植物を観察できて満足した観察会であったという感想が沢山ありました.ハギの花にちなんで,以下の万葉集の歌を披露した参加者もいました.

 高円の野辺の秋萩いたづらに 咲きか散るらむ見る人無しに 笠金村 巻二・231

 戦争中のB29の撃墜の話など種々の話題がでました.感想会の最中に,クロアゲハがひらひらと舞いました.

観察項目:キカラスウリ,イヌビワ,イヌビワコバチ,コガタスズメバチ,セミの羽化写真,ショウリョウバッタ,トノサマバッタ,クビキリギス,オンブバッタ,ハラビロカマキリ,タカサゴユリ,マメガキ,オミナエシ,ニホンミツバチ,トックリバチの巣,クマバチ,アオスジハナバチ,アゼムシロ(ミゾカクシ),コムラサキシキブ,カラスウリ(雌株の花,雄株の花),ニガウリ,エビスグサ,ヒョウタン(雌花,雄花),クモの子,シオカラトンボ,オオシオカラトンボ,コガネグモ,フサモ,ヒメタイコウチ,シロバナサクラタデ,ミソハギ,サギソウ,ミズギボシ,ヌマトラノオ,リョウブ,キイロコウラコマユバチ(?),ツクツクボウシ,ヤマトシジミ,カタバミ,アミタケ,ウチワヤンマ,チョウトンボ,ナナフシ,ウマオイ,メヒシバ,オヒシバ,カゼグサ,ナツズイセン,ニホンアカガエル,オオカマキリ,ザリガニ,カナヘビ(概ね観察順)

伊藤義人

監修 滝川正子