12月の観察記録
カテゴリ : 2003年
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 晴天に恵まれ,楽しい恒例の芋煮会になりました.12月の芋煮会は小雨が降るような天気が多かったですが,今年は本当に良い天気でした.少し風はありましたが,暖かい日和でした.芋煮会の場所で空を見上げると,葉を落としたコナラやアベマキが,青空に突き刺さるような感じで,さっと寒風が枝を揺らしました.コゲラやシジュウカラの群が時々寄ってきて,背景音を奏でてくれました.参加者は,集合場所では,子供6名を含む40名程度でしたが,最終的には子供8名を含む50名程度になりました.例年のように,参加人数が最も多いのがこの月です.芋煮会だけは参加という方もおられるようです.自然観察会の同窓会のようなものでしょう.

 まず,いつもの集合場所の清風荘前の公園で,先月の観察記録を使って報告がありました.新池のカイツブリの写真が識別できないくらいに小さいことから,話が派生して,新池では,昔はカイツブリが繁殖していたとの説明がありました.睡蓮などの除去が必要であるとの指摘もありました.

 その後,参加者が持ってきたツブラジイの実を観察しました.そもそも「つぶら」の意味が話題になり,「円ら」という字で丸いという意味だという指摘がありました.ウルトラマンの円谷氏を連想した人もいました.ようするにツブラジイのドングリが丸っこいことから通常のシイと区別してこの名前になっているということになりました.漢字では「円ら椎」とも書くようです.観察したツブラジイの実は,米粒大と非常に小さく,割ってみると空でした.無受精で大きくなれなかったようです.今年は,シイのドングリが全く落ちておらず,例年のように焼きドングリを持ってこられなかったという参加者の声もありました.今年の季節が普通でなく,うまく受精ができなかったようです.

ツブラジイの実 細胞質突然変異の樹木の葉

 次に,細長い葉の枝に,全く異なる形の葉がついた不思議な樹木の枝が紹介されました.樹木の名前は,四国に多い木だということだけで,具体的な名前は不明でした.枝や葉の先から,シダのような形の葉が出ています.成長点から全く別の植物が成長した感じです.突然変異の一種であろうということになりました.後で調べてみると,細胞質突然変異の一種であるようでした.ストレスがあるとカイズカイブキはとがった葉がでてくるというような先祖帰りや,突然変異の現れやすいサツキが代表的な植物のようです.品種改良が容易な植物は,遺伝子が揺らぎやすいということのようです.

【外部リンク】岡山理科大学 植物生態研究室

【外部リンク】我が家の園芸植物と野草

 次に,3m近い背のセイタカアワダチソウ(背高泡立草)が紹介されました.3mを超える例もあり,鉄道沿いに北上し日本中に広がったことから、「鉄道草」とも呼ばれるという説明がありました.明治に入ってきた帰化植物ですが,和名の由来は、同じ属のアキノキリンソウの別名であるアワダチソウよりも草丈が高いことによるようですが,別名セイタカアキノキリンソウとも呼ばれるそうです.セイタカアワダチソウは,昆虫によって媒介させる植物であり,花粉を風に乗せてばらまく植物(風媒花)ではないので,花粉症の原因というのはぬれぎれであるそうです.なお,鉄道草としては,ヒメムカシヨモギ(明治草)の方が有名のようです.

背の高いセイタカアワダチソウ ムクドリの剥製 藁槌

 最後に,ムクドリの剥製が紹介されました.名古屋には剥製名人がいるそうです.パチンコ屋のガラスにぶつかって死んだムクドリを剥製にしたそうです.ビルをガラスばりにする背の高いビルも増えていますので,このような事故は多いようです.また,最近は,博物館などでの学術目的の展示など以外で個人所有の剥製は好ましくないということで,バードガービングで代用する動きもあるようです.

 以前にカヤで縄を編むということがありましたが,桜の木で藁槌を作ってきた参加者がいました.乾燥したままたたくと切れてしまうので,水をかけながらたたくのだそうです.

 ちょうど,これらの紹介をしているときに,清風荘の木々にメジロの群がきて騒がしく鳴きましたが,子供達はスズメだと言いたてました.大きさが同じということで即座に知っているスズメだと思ったようですが,身近な鳥の区別をすることを教えることもできない環境になっているのが現状のようです.

これでやっと平和公園に向かうことになりました.途中でバンブー(ホウライチク属,マチク属)をみました.

 竹の英語訳はバンブー(Bamboo)ですが,ここではアジアの竹のことで,通常の日本の竹は,地下茎があり,横に広がって行きますが,バンブーは地下茎がなく,固まって植生して,広がりすぎることはないそうです.「バンブー」は,東南アジアのマレー地方の原住民が,火災によって焼けて吹き出す音からバンブーと言い出したといわれています。

【外部リンク】GLNグリーン

バンブー

 やっと芝生広場横の芋煮会の場所に着き,早速,芋煮用のかまどつくりと焼き芋のための落ち葉の灰造りを始めました.周辺の熊笹を刈って,落ち葉もかき集めました.今年は,例年に比べ熊笹が大きくないように思いました.かまどはスコップで穴を掘って,焚き口をつくりました.ブロックを穴の外側において,大鍋をおいたのですが,不安定なのを嫌って,風上の焚き口を狭めてしまったので,風下から団扇で風を送る羽目になりました.さらに,炎があたる鍋底の面積が小さくなるような配置をしてしまったので,炊きあがるのにいつもより30分以上も余分にかかりました.来年は,穴は掘らずに,ブロックを積み上げてかまどをつくった方がよいということになりました.

芋煮の場所整備 焼き芋用の灰の作製 芋煮のかまどの作製 芋煮のかまどへの送風

 芋煮は,始めに水を鍋の半分以上入れ,一緒に里芋を入れて,沸騰してから,豚肉,こんにゃく,ニンジンを入れ,お酒と醤油で味付けしました.灰汁を途中で丹念にとりました.最後に,ネギを入れてできあがりです.各自がお椀にとって食べました.ユズを少し入れて香りをつけると,大変おいしく食べられました.芋にも十分に火が入って,やわらいものができ,辛抱強く待った甲斐がありました.

 焼き芋用の灰は,落ち葉を集めて火をつけました.できるだけ木の枝などはいれないようにしました.竹を切ってきて,細い枝にパン生地をまいて,子供達も一生懸命に焼きました.素朴な味で,おいしいパンでした.また,竹を割って,途中を焼いて折り曲げ,焼き芋の取り出し用の竹ばさみを作りました.軍手をして,手で出した方が早いという人もいましたが,これも野外の楽しみでしょう.

芋煮鍋へのお酒の味付け 芋煮の灰汁取り 芋煮鍋へのネギの投入 芋煮を食べる参加者
パン焼き 竹ばさみの作製

 子供達は,枯葉のベッドの上で,はしゃいでいました.別の2人の男の子が,火のついた枝で遊ぶのを何度も注意して,最後は,取り上げてしまいました.雑木林に延焼するのを防ぐためですが,昔,たき火をして同じようにして,大人にきつく叱られたのを思い出しました.また,愛護会の人たちが,収穫して天日干しした稲を,手を使って脱穀をしていたのを,子供達が喜んで手伝いました.

枯葉ベッドで遊ぶ子供たち 手による脱穀

 芋煮会は,実費徴収で大人300円,子供100円でした.さわやかな野外での食事は,何とも快適なものでした.子供達も大変喜んでいました.平和公園の自然をうまく利用するこのような経験を,今後もずっと持てるようにしたいと思います.

観察項目:ツブラジイの実,セイタカアワダチソウ,細胞質突然変異の樹木の枝,メジロ,ムクドリの剥製,バンブー,クマザサ,アベマキ,コナラ,シジュウカラ,コゲラ,稲(順番は,ほぼ観察順)

食べたもの:芋煮(里芋,豚肉,日本酒,こんにゃく,ニンジン,醤油,ネギ),ユズ,パン,サツマイモの焼き芋,柿

伊藤義人

監修 滝川正子