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7月度の観察記録
2013年7月度の観察記録です。

自然観察会201307

雲はありましたが陽差しが強い暑い夏の晴れの日でした.帽子をしっかりかぶりましたが,今夏初めて半袖を着用したので腕がやけどのような日焼けになってしまいました.朝から熊蝉の鳴き声が新池周辺でしていましたが,既に草原から虫の声も聞こえました.新池の北端でカワセミ(翡翠,カワセミ科)が1羽いました.それ以外は,ツバメ(燕,ツバメ科)とカラス(烏,カラス科)だけで水鳥はいませんでした.スイレン(睡蓮,スイレン科)には,また白い花が咲いていました.周辺のムクゲ(木槿,アオイ科)にもピンクの花がいっぱいついていました.参加者は,病み上がりの高齢の女性を入れて大人19名と子供5名でした.その子供達の内1名は赤ちゃん(7kg)で,観察会の間中,お母さんにずっとだっこされて寝ていました.
まず,先月の報告を皆で見ました.里山の家の屋根のハナヤスリ(花鑢,ハナヤスリ科)がまず話題になりました.新池の遮光幕実験場ではベニイトトンボ(紅糸蜻蛉,イトトンボ科)も見られるようになったという報告がありました.報告の中の東星ふれあい広場のヤシャブシ(夜叉五倍子,カバノキ科)は,葉の形などからタニガワハンノキ(谷川榛の木,カバノキ科)であるという修正が出ました.東星ふれあい広場東端のせせらぎの端にあるので,この木を植えたようです.

ムクゲの花 新池の遮光幕実験場

前に報告され,平和公園に設置したニホンミツバチ(日本蜜蜂,ミツバチ科)の巣から,女王バチも含めミツバチ達が逃走してしまったので,周辺を探して虹の塔の近くの墓の納骨室に巣を見つけた人がおり,その人の了解を得て,後で観察に行くことにしました.
中川運河の緑化にからんで,桜並木やプロムナードなど接近できる緑化を主張する人が多かったという話しがでました.中川運河は,「泥の河」という映画の撮影現場として有名ですが(原作の設定は大阪),どのような緑化をするかは,集まる人達によって意見は異なるようです.

【外部リンク】泥の河(フィルムセンター)

先月話題になったカエル池近くの木にネットをかぶせていたのは,オオムラサキ(大紫,タテハチョウ科)の幼虫を飼育していた人がいたそうで,市民の通報によって撤去されたという報告がありました.ブラジルコミカンソウ(伯剌西爾小蜜柑草,トウダイグサ科)を持って来た人がおり,皆で観察しました.中日新聞に掲載された滝川さんに関する記事も回覧され話題になりました.

ブラジルコミカンソウ

10時前に出発して,ソバ畑の前のアップルミント?(Apple Mint,シソ科)をまず観察しました.白い花が穂状に咲いていました.ただし,穂の尖端までは花は咲いていませんでした.雑草だらけの畑に入り,ワタ(棉,アオイ科ワタ属)の白っぽく見える薄黄色の花を観察しました.背の低いソバ(蕎麦,タデ科)も白い花を少しだけ咲かせていました.ワタの葉が巻いていたので,巻き戻してみるとその中にワタヘリクロノメイガ?(棉縁黒野冥蛾,メイガ科)の茶色い蛹を見つけました.

【外部リンク】ワタヘリクロノメイガ(みんなで作る日本産蛾類図鑑)

アップルミント? ワタの花 ソバ ワタヘリクロノメイガのさなぎ

ワタの近くにイヌビユ(犬ひゆ,ヒユ科)の群生がありました.穀物のヒユ(ひゆ,ヒユ科)の原種でした.ヒユは雑穀米の中に最近は入っていうという話しが出て,イネ科でないこんな小さな穀物もあるのだという感想が出ました.穀物の定義について質問をした参加者もいました.「植物から得られる食材の総称で,デンプン質を主体とする種子を食用とするもの.主食(主穀)やその代用(雑穀)となるもの.」というようなのが一般的ですが,カロリーが高く,貯蔵性や移動性が容易というような性質もあるようです.

【外部リンク】雑穀の定義(日本雑穀協会)

ソバ畑の端にヒラメの墓と書かれた小さな墓標がありました.まさか,魚のヒラメ(平目,ヒラメ科)ではなく,猫か何かのペットの名前で土葬にしたのではということになりました.近くに背丈が5cm程度の2年目のコナラ(木楢,ブナ科)の実生が数本ありました.

イヌヒユ コナラの実生

お墓の方へ行き,フェンスに巻きついたガガイモ(蘿芋,ガガイモ科),ヘクソカズラ(屁糞葛,アカネ科)およびアオツヅラフジ(青葛藤,ツヅラフジ科)を観察しました.アオツヅラフジについた黒地に黄色と赤の点々がついた4cm長程の細長い幼虫を見つけました.最初は,セスジスズメ(背筋雀,スズメガ科)の幼虫ではということでしたが,尾部に棘がなく,図鑑やスマホで調べてヒメエグリバ(姫剔葉,ヤガ科)の幼虫ということになりました.食欲旺盛で,皆に観察されていても関係なく,アオツヅラフジの花を盛んに食べていました.近くにホルトノキ(葡萄木,ホルトノキ科)があり,写真を撮りましたが花はまだ蕾でした.

ガガイモとアオツヅラフジ ヘクソカズラ ヒメエグリバの幼虫 ホルトノキ

ニホンミツバチが納骨室に巣を作った墓を観察しました.極楽寺のお坊さんの古い墓で,納骨室の隙間の3か所くらいからミツバチは出入りしていました.その隙間は狭く,スズメバチなどの天敵は入れない程でした.お墓の裏側は日陰になっており,数十匹のニホンミツバチがとまっていました.足に花粉団子をつけた働きバチもいました.働きバチは,30〜50日の寿命(冬はもっと長い)ですが,羽化した直後は,巣の掃除や幼虫の世話などの仕事を行い,その後,巣作りや蜂蜜の製造などの仕事を行うようになり,最後には巣箱の外に出て花の蜜や花粉を集める仕事をするそうです.花粉はハチの幼虫が食べるそうです.この墓の管理者の極楽寺に連絡をとったところ,殺生はしないので殺虫剤はまかないという回答だったそうです.巣を動かすために墓をあけるには,業者が4万円程度とるそうです.墓に墓誌銘を追加するときと同じ値段のようです.納骨室の前の石は簡単にはずせそうでしたが,今後どうするかはまだ未定でした.ニホンミツバチにとって,樹木の下や水が近くにあるなどの巣の条件があるという説明がありましたが,このお墓が最も環境が適しているということだという感想が出ました.

ニホンミツバチが納骨室に巣を作った墓

墓の後ろの石垣の上に,シダのようなゼンマイ(薇,ゼンマイ科)の葉がありました.渦巻き状の新芽はありませんでした.石垣に登って遊んだ男の子もいました.男の子の背の高さより高いので心配しましたが,降りるときも飛び降りずに,足を順次コンクリートブロックにかけて上手に降りました.

ゼンマイ 石垣に登って遊ぶ男の子

墓地の中で手押しポンプの井戸を見つけたので,男の子に押させて,冷たい水を出しました.子供の頃,自宅にあった手押しポンプを懐かしく思い出しました.今年は水道の水が冷たく感じるという参加者がいました.
帰り道の歩道石の隙間から,ナンキンハゼ(南京黄櫨,トウダイグサ科)の雄花を集めた丸い数cm径のアリ塚を数個見つけました.最初は,上から降ってきたナンキンハゼの雄花がアリ塚の土の表面に被さっていると思いましたが,実際は歩道石の隙間に詰まった雄花をアリが運び出したものと分かりました.

手押しポンプの井戸 ナンキンハゼ ナンキンハゼの雄花のアリ塚

平和会館の前の池の横で,遅れている参加者が追いつくのを待ちました.そこで,ラクウショウ(洛羽松,スギ科)の緑色の実がたくさんついているのを観察しました.ゴルフボールより少し小さい緑の実がかたまって枝先についていました.その横に,セコイア(Sequoia,スギ科)とメタセコイア(Metasequoia,スギ科,和名:アケボノスギ(曙杉))の大きな木がありました.ここまでで,12:00になりました.

ラクウショウ メタセコイア

感想会は,冷房の効いた里山の家の中で行いました.小魚とアーモンドと胡麻を混ぜたお菓子が供されました.大変おいしくヘルシーなものでした.ニホンミツバチの巣が見られて良かったという感想がまず出ました.私は,喉を痛めていて多少つらかったですが,途中で何度も水の補給をした楽しい夏の観察会になりました.

感想会 アオスジアゲハ ヒマワリ

観察項目: ブラジルコミカンソウ,アップルミント,ソバ,ワタの花,イヌビユ,コナラの実生,コヒルガオ,ヘクソカズラ,ガガイモ,ヒメエグリバ,アオツヅラフジ,ホルトノキ,ニホンミツバチ,ゼンマイ,アリ塚,ナンキンハゼの雄花,ラクウショウ,セコイア,メタセコイア.

文・写真:伊藤義人 監修:滝川正子

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2013-8-18 260

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