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2005年 > 11月の観察記録
11月の観察記録
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 紅葉が見事な季節になりました.晴天で少し小寒い感じでした.冬は,そこまで来ていそうでした.ともあれ,残り短い秋を楽しんだ観察会になりました.新池の周辺の樹木も秋景色で,トウカエデの一部は見事な赤色の紅葉をしていました.サクラの葉は,非常に地味ですが,これもきれいなものでした.クロガネモチの赤い実やセンダンの緑から白に変わりつつある実が目立つようになりました.新池は,まだ,藻に覆われていましたが,藻の隙間に7羽のバンが来ていました.アオサギも一羽寒そうに,水面すぐ上の枝に留まっていました.セグロセキレイが,手すりのところにずっと留まっていたため,じっくりと観察できました.外国人には,ハクセキレイは珍しくないですが,セグロは日本固有で,大変珍重(鳥)されるという話をしました.なかなか鳴かないなと言っていたときに,見事な声でさえずり始めました.池の大きな鯉は,もぞもぞと浅い湖面を動いていました.モズの高鳴きも,先月と同じように聞こえました.参加者は,子供7名を含む47名でした.

紅葉したトウカエデ クロガネモチの赤い実 新池のバン セグロセキレイ

 まず,草刈りされたいつもの集合場所で,先月の報告が配られました.報告のホームページが公開されたというアナウンスがありました(URL はこの報告の先頭にあります).先月の報告も既にアップされていました.参加者が持ってきたシリブカガシ(尻深樫,ブナ科)のドングリとヤブガラシ(薮枯,ブドウ科,別名ビンボウカズラ)を観察しました.シリブカガシは1枝に沢山のドングリが付いていました.秋に花が咲くそうですが,マテバシイ(全手葉椎,ブナ科)と同じで2年間をかけてドングリは大きくなるそうです.ドングリのお尻が凹んでいることからこの名前がついたそうです.殻斗(かくと,ドングリの帽子)の特徴的な模様を観察しました.マテバシイよりは旨くないですが,素朴な味がするということでした.後で,マテバシイと食べ比べるために,参加者が1つずつシリブカガシのドングリを持って行くことにしました.ヤブガラシは多年草ですが,毎年地下茎から勢いよく茎を伸ばすツル植物で,薮を枯らしてしまうほど繁茂するという意味でこの名前が付いたそうです.今回のものは10mくらいの1部を取ってきたものでした.茎に付いた葉の逆側はツルになっており,片方の葉がツルに変わったことがよく分かりました.茎を割って断面のにおいをかぎました.青臭い臭いでしたが,1人の女の子はデンプンのにおいがすると言っていました.後で,平和公園の中で,黒い熟した実も観察しました.

シリブカガシのドングリ ヤブガラシ

 自己紹介は,道々または感想会のときにすることにして早速出発しました.平和公園横の道路の分岐のところのマテバシイを観察に行きました.いつものように,多くのマテバシイのドングリが落ちていました.数本あるマテバシイの木には,来年大きくなるドングリがあまり付いていませんでしたので来年は不作かもしれません.携帯用のブタンコンロを使って早速,ドングリを焙煎して食べました.生食もして比較しましたが,焙煎をした方がおいしいのは例年通りでした.参加者が持ってきたシリブカガシとスダジイのドングリおよび銀杏とも比較しました.銀杏が最も旨いというのが大半の参加者の感想でした.

 近くには,1cm 大の楕円形の実を沢山つけた紅葉したハナミズキ(花水木,ミズキ科)がありました.実は,単色のつやつやした赤色ですが,みごととしか言えません.ここまでで,10:30になってしまいました.

マテバシイのドングリ マテバシイの実の焙煎 スダジイのドングリ ハナミズキの赤い実

 恒例のムクノキ(椋の木,ニレ科)の実を道路を渡って食べに行きました.すぐ横にあるケヤキ(欅,ニレ科)と比較しながら,「名古屋平和公園の自然」を参考にして説明がありました.ムクノキの葉の裏は,ざらざらしており,漆器製作などのときのヤスリ代わりに使われていたというもので,生活に密着した木であったようです.しわしわの黒い果実は,干し柿のような味がして,ほのかに甘いものでした.野鳥が好んで食べるはずです.果実の中には大きな種が入っていました.

 この後,急いで平和公園に入りました.入ってすぐの小さなオタマジャクシ池のホテイアオイを全て除去しました.誰かが持ち込んだようでした.平和公園は,何も持ち込まず,持ち出さずの原則で楽しみたいと思います.オタマジャクシ池の横に,シソ(紫蘇,シソ科)の実が稔っていました.煎って食べるとおいしいそうです.

ムクノキ オタマジャクシ池のホテイアオイの除去 シソの実

 沢山のジュズダマが咲いている場所で,実を採って昔風にお手玉を作ろうということになりました.まだ,緑色の実もありましたが,既に茶色や黒っぽくなっている実も多くありました.歯で割って中のデンプンを食べる参加者もいました.周辺にアメリカセンダングサ(亜米利加栴檀草,キク科)も黄色い花と黒い棘状の実を混在させていました.

 次に,水田横の紅葉したナンキンハゼ(南京黄櫨,トウダイグサ科)を観察しました.クローバー形の紅葉した葉と,白い蝋状の実を観察しました.皮が反り返った実の中に3個の5mm大の種子がありました.その種子を食べる参加者もいました.ヒヨドリやシジュウカラが好んで食べます.脂分があって栄養があるようです.このときに,殻付きの落花生を子供に与えたら,殻をとらずに食べたという話が出て,来年は落花生を育てて観察しようということになりました.

ジュズダマ ナンキンハゼ

 少し戻って,畑に行きサツマイモ(薩摩芋,ヒルガオ科)掘りをしました.子供達も大変よろこんで芋掘りをしました.既に葉や蔓は除去され,畝の両側の土もかなり取ってあり,横からツルの先を頼りにサツマイモを痛めずに,掘るようにしました.鈴なりの芋や30cm 大の大きくなりすぎた芋も出てきました.土の中から,このような大きくて食べられるものが出てくる不思議さを,子供達は感じていたようでした.大人達は,袋に詰めて持ち帰れる収穫を喜んでいました.ベニオトメ(紅乙女)というおいしい品種で,あまり大きくなりすぎないものの方がおいしいそうです.掘るとムカデやゲジゲジも出てきました.無農薬で作っている畑だからこそということが話題になりました.

大きなサツマイモを掘り当てた子供 サツマイモ(ベニオトメ) サツマイモ掘りの参加者 掘り出したサツマイモ

 芋畑の横の小松菜を改良した菜っ葉,ハナナス(花茄子,ナス科),ワタ(棉,アオイ科)も貰って帰る参加者もいました.
 感想会を,芝生広場で行いました.実りの秋を食べてばかりの観察会なので,観察会というより収穫祭と言った方がよいかもという発言もありました.芋掘りが楽しかったという感想が多く出ました.来月は,恒例の芋煮会で箸とお椀を忘れないようにとのアナウンスが最後にありました.

小松菜の改良種の採取 ハナナス ワタ 感想会

 感想会の後で,先月刈った稲の脱穀を人力脱穀機(足踏式)でやりました.子供達は喜んで,稲穂のついた束を持って,行列を作りました.経験のある老齢の参加者が,勢いよく脱穀機の中の棘の付いた回転胴を回転させて,脱穀の見本を見せていました.女の子が,脱穀をしたときに,稲束ごと引き込まれそうになりました.周囲の大人があわてて,女の子を抱えました.強い力でぐっと持っている必要があるようでした.昔は,重労働の作業であったと感じました.

イネ 脱穀作業 脱穀作業を手伝う子供

平成17年11月の観察項目:バン,セグロセキレイ,アオサギ,ヤブガラシ,シリブカガシ,ニラ,ハナラッキョウ,ニンニク,マテバシイ,ギンナン,スダジイの実,ムクノキ,ケヤキ,シャシャンボ,ホテイアオイ,ジュズダマ,ナンキンハゼ,ジョロウグモ,イナゴ,サツマイモ(ベニオトメ),ムカデ,ゲジゲジ,ワタ,ハナナス(概ね観察順)

(昨年度の観察会の記録は,「なごや平和公園の自然」(平和公園自然観察会発行)をご覧ください.)

著者 伊藤義人 監修 滝川正子

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