晴天で,風もほとんどなく,例年にくらべても寒くなく,芋煮会日和でした.新池には,5羽のヒドリガモ(緋鳥鴨,カモ科)とカイツブリ
(鳰,カイツブリ科),バン(鷭,クイナ科),オオバン(大
鷭,クイナ科)が各1羽いました.バンは,土手に上がって何かをついばんでいました.それ以外にも,樹木の下の水面にカモが隠れているようでした.また,
1羽のアオサギ(青鷺,サギ科)が大きな声で鳴きながら飛び立ちました.土手の樹木には,ジョウビタキ(尉鶲,ツグミ科)が1羽じっと
していました.クリーム色の実だけが残ったセンダン(栴檀,センダン科)の木には,たくさんのムクドリ(椋鳥,ムクドリ科)が食べに来ていました.クロガ
ネモチ(黒鉄黐,モチノキ科)とピラカンサ(Pyracantha,バラ科)も赤い実をいっぱいつけていました.東星ふれあい広場の生垣のサザンカ(山茶花,ツバキ科)は赤い花をつけ
ていました.広場横の歩道にはみ出たイロハモミジ(伊呂波椛,カエデ科)は,見事な紅葉をしていました.すっかり冬景色になった街路樹のトウカエデ(唐
楓,カエデ科)と茶色の葉を残しているメタセコイア(Metasequoia
曙杉,スギ科)は好対照でした.
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オオバンとヒドリガモ |
ジョウビタキ |
サザンカの花 |
メタセコイア |
集合時間前の1時間余りを,1人で平和公園の中を歩き写真を撮りました.南尾根へ行く舗装された坂道を見てから,里山の家
に寄り,大坂池南から平和公園に入りました.周辺では白い穂をつけたス
スキ(芒,イネ科)とセイタ
カアワダチソウ(背高泡立草,キク科)が目立ちました.斜面の樹木でじっとしている綺麗なオスのカワセミ(翡翠,カワセミ科)を見つけまし
た.周辺では,アオジ(青鵐,ホオジロ科)やウグイス(鶯,ウグイス科)の地鳴きが盛んに聞こえました.切り株などに,小さなサルノコシカケ(猿腰
掛,サルノコシカケ科)のような白い茸が
びっしりついていました.
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ススキ |
セイタカアワダチソウ |
カワセミ |
茸がついた切り株 |
森の中は,枯葉が敷き詰められたようになっていました.湿地で枯れて倒れている白玉星草を見て,アシ(葦,イネ科)に挟まれた小径に入りました.井戸は枯葉に覆
われていました.すっかり冬景色の水田の
向こう側には,尖端に白いものを付けたシンジュ(神
樹,ニガキ科)が目立ちました.紅葉したイロハモミジが,緑の竹林の中できれいでした.
奥池横のパンパスグラス(pampas
grass,イネ科)の白い穂は大変立派でした.
奥池から流れ出たせらぎ沿いに中道を西に向かい里山の家の方向に戻りました.途中で,照りのある濃い紫色のハクサンボク(白山木,スイカズラ科)の葉を
観察しました.道の端は枯葉でおおわれていましたが,その上を数百匹のフユシャクガ(冬尺蛾,シャクガ科)のオスが乱舞していました.飛べないメスは,枯
葉の中などにいると言われていますので,メスを探しているのかもしれません.写真に撮りましたが,枯葉の保護色になり,フクシャクガの乱舞は静止画像では
全く分かりませんでした.ナンキンハゼ(南京櫨,トウダイグサ科)の白い実を4羽のハシブトガラス(嘴太鴉,カラス科)が盛んに食べていました.3枚の水
田を左に見て,2m以上の背丈のヨシ(葦,イネ科)原にまた入りました.芝
生広場は,枯葉に覆われており,そこから見た北側の森の紅葉は大変綺麗でした.こどもどんぐりの森と柑橘畑の横を通り,炭焼広
場の畑に行くと,里芋の葉はすっかり枯れて倒れていました.スモモ池に行くとアオサギが1羽来ていました.オタマジャクシ池の周辺の草はすっかり刈られて
いました.カエル池周辺の紅葉もみごとでした.里山の家に着いたときに,早めに来ていた参加者達が芋煮会用の道具を倉庫から出していました.
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パンパスグラス |
ハクサンボクの葉 |
芝生広場から見た紅葉 |
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里山の家に着いたときに,早めに来ていた参加者達が芋煮会用の道具を倉庫から出していました.
参加者は,集合時には大人17名と子供8名でした.その後,芋煮会の会場で順次参加者が増え,延べ人数は60名くらいになりました.
里山の家の前の集合場所で,まず,私のシンガポール土産のドライマンゴ(mango檬果,ウルシ科)の箱をあけて,皆で食べながら,参加者が持ってきた根状菌糸束を観察しました.50cmくらいの
長さの木の幹にエナメル質になって毛細血管のように絡みついたナラタケ科の菌糸でした.Natureに世界最大の生物として,この根状菌糸束に関する論文
が出たそうです.ミシガン州で15haにわたって1500年以上かけて成長して,広大な地域に広がったもので,推定で重量は10tonから100tonに
もなったものだそうです.次に,カシワ(柏,ブナ科)とマテバシイ(馬刀葉椎または全手葉椎,ブナ科)とコナラ(木楢,ブナ科)のどんぐりを観察しまし
た.カシワは,平和公園にはありません.
次に先月の報告を皆で見ました.オニユズ(鬼柚子,ミカン科,別名:獅子柚,大柚子)を八百屋で1個400円で売っていたのを見かけたそうです.外来種の
ハバヒロカマキリ(幅広蟷螂,カマキリ科)は,名古屋でも少し見つかっているそうですが,やはり豊田市で多く見つかり,中国から輸入している竹箒について
くるのではという説もあるそうです.外来種のハバヒロカマキリの卵嚢の形は,在来種とは違うそうです.
【外部リンク】矢作川中流域で激減しているハラビロカマキリ (豊田市矢作川研究所月報)
オオヨシキリ(大葭切,ウグイス科)は,稲田には巣は作らないということでした.巣を見つけたら,まず写真をとって現状を記録することが大事のようです.
子供たちが,虫かごにツチイナゴ(土
稲子,イナゴ科)を入れて持って来て,大人の参加者に名前を聞いていました.
リヤカーが芋煮会用の荷物で一杯で,2回に分ける必要があるという話しをしていたときに,今回は畑班の人たちはそれほど来
ないと言われ,昨年2つの鍋を用意すると決めましたが,1つの鍋でよいことにしました.鍋を1つ下ろして,代わりに2つのポリタンクの水を一緒にリヤカー
に載せました.出発は10:20になりました.
途中で,フユシャクガの乱舞をまた見ました.1匹だけ捕まえてビンに入れて写真を撮りました.後で調べて,このフユシャクガはクロスジフユエダシャク(黒筋冬枝尺,シャク
ガ科)だろうということを教えてもらいました.
【外部リンク】クロスジフユエダシャク(みんなで作る日本産蛾類図鑑)
【外部リンク】森林の生き物たち シャクガ科(東北森林管理局)
炭焼広場の畑では,葉が枯れて倒れているサトイモ(里
芋,サトイモ科)の収穫をしていました.今年の芋は,比較的小ぶりだそうです.
いつもの芋煮会の場所は,草が伸び放題で,まず除草から始めなければなりませんでした.鎌を使っての作業で,大人だけの作
業になり,子供達にはパン焼きの
ための竹を切りに母親と一緒に行ってもらいました.芋煮鍋は,昨年から鉄製の竃(かまど)を使うので,穴を掘る必要がないので,比較的平の場所をスコップ
でさらに平らにするだけにしました.しかし,竈を置いて鍋を載せて水をはると少し傾いていることが分かりました.具をいれて沸騰したときに,片方からさか
んに吹きこぼれてしまう程でした.
周辺から集めた小枝や枯草の間に新聞紙を丸めて竈に入れて,火をつけました.今年は昨年より,火つきがよく簡単に燃えあがりました.鍋の中には,最初に里
芋と水を入れました.ゴボウを入れようとした人に対して,沸騰してから入れるように指示がありました.ゴボウは江戸っ子で,ぬるま湯を嫌うという冗談がで
ました.アクが出過ぎるのかもしれません.沸騰後,豚肉,ゴボウ(牛蒡,キク科),蒟蒻(こんにゃく),シイタケ(椎茸,キシメジ科)を入れて,促成の竹
箸でよくかき混ぜました.その後,お酒,醤油,豆腐,ネギ(葱,ネギ科)の順に入れました.
パンを焼くための熾(おき)をつくるため芋煮鍋の南側でバーベキューグリルを土の上におき,枯枝を燃やしました.パン生地は,昨年と同じように事前にタッ
パに小分けにして丸めて入れてたくさん用意されていました.グリルの両横には,パン生地をつけた竹棒を支える竹竿を横に渡しました.稲を乾すときの稲架掛
け(はさかけ)を小さくした形でした.又のある枝を取ってきた人もいましたが,竹の方が,シャベルの先で叩いて土中に打ち込みやすいので竹を使いました.
竹竿の節と節の間は,のこぎりで刻みを付けて,熱で竹が爆発しないようにしました.ある程度,熾ができたときに,子供たちは,パン種を粘土細工のようにこ
ねて細長くしたパン生地をらせん状に尖端に付けた竹竿を大人からもらって,競争でパンを焼き始めました.今回は,パンが焼けても,他の人にあげることはせ
ずに,自分が焼いたものを独占して食べていました.今年どうしてこうなったかはわかりませんが,準備をした人達に感謝をして,分け与えるように来年は教え
た方がよいように思いました.竹に巻いたパンを抜いて,コルネのように中にジャムを入れて食べた女の子もいました.リンゴ(林檎,バラ科)やシャシャンボ
ウ(小小坊,ツツジ科)などのジャムがたくさん用意されていました.仕方ないのでクラッカーにジャムをつけて食べましたが,少しもの足りないので,私も自
分で竹竿につけたパンを焼いて,1/3だけ自分で食べて残りを他の人にあげました.
焼芋をするため,熾がたりないということで,いそいで太い薪をグリルの上に置いて,熾を作り始めました.薪が燃え上がった所でパンを焼いていた人は,パン
の表面を真っ黒にしていました.
畑班の人たちを呼ぶために予想した時間より少し早く,11:40頃に芋煮が完成して,吹きこぼれたので,早く食べられる人
から食べ始めました.私もユズを入れて真っ先に食べましたが,ゴボウが少し生煮えでした.畑班の人たちも参加して,延べ人数は60名以上でした.ひとわた
り食べた時点で,芋煮鍋はほぼ空になり食べられない人はいませんでした.4杯以上お代わりした男の子もいました.漬物や干し柿も用意されており,それらを
賞味しました.
大人200円と小学生以上の子供100円を材料代として徴収しました.
12時半を過ぎて,焼芋はまだ時間がかかりそうでしたので,私は仕事のため,早めに帰りました.前日から芋煮の準備をしていただいた方々に感謝します.紅
葉の名残の中での楽しい芋煮会になりました.
観察項目:
根状菌糸束,ツチイナゴ,クロスジフユエダシャク,サトイモ,芋煮(水,サトイモ,コンニャク,ゴボウ,シイタケ,豚肉,豆腐,酒,醤油,ネギ),ユズ,
リンゴジャム,シャシャンボウジャム,干柿,漬物
文・写真:伊藤義人 監修:滝川正子
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