観察会開始時は曇りで,その後晴れ間が見え,終了時にはまた曇りとなりました.寒かったですが,この時期としては珍しく,
風は全く無く芋煮会日和でした.
東山公園駅近くの歩道のシャリンバイ(車
輪梅,バラ科)には,濃紺の1cm大の実が沢山ついていました.ホ
トトギス(社鵑草,ユリ科)とデュランタ(Duranta,クマツヅラ科)の花もまだ少し残っていました.
新池土手のセンダン(栴檀,
センダン科)は,葉が全て落ちてクリーム色の実だけになっていて,8羽のム
クドリ(椋鳥,ムクドリ科)が食べに来ていました.ヒヨドリ(鵯,ヒヨドリ科)はピラカンサ(Pyracantha,バラ科)
の赤い実を食べていました.新池の水面には,ヒドリガモ(緋
鳥鴨,カモ科)が25羽いました.それ以外にも水際に張り出した樹木の下にヒドリガモとコガモ(小鴨,カモ科)がいましたが,隠れていて数えられませんで
した.カワウ(河鵜,ウ科)が1羽上空通過するとき,ジョウビタキ(尉鶲,ツグミ科)のオスが先月と同じ水際で鳴いていました.
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シャリンバイ |
ホトトギス |
センダンの実を食べるムクドリ |
ヒドリガモ |
平和公園入口のユキヤナ
ギ(雪柳,バラ科)には,白い小さな残り花が点々とありました.ユキヤナギの中で咲いているセイタ
カアワダチソウ(背高泡立草,キ
ク科)は,黄色い花がついたものと白い綿毛になったものが混在していました.近くの大きな2本のクロガネモチ(黒鉄黐,モチノキ科)は真っ赤な実を沢山つ
けていました.
街路のトウカエデ(唐楓,カエデ科)の葉は全て落ちて,枝だけの冬景色でした.しかし,東星ふれあい広場横のイロハモミジ
(伊呂波椛,カエデ科)は,まだ,きれいな紅葉を見せていました.東星ふれあい広場のスイセン(水仙,スイセン科)とサザンカ(山
茶花,ツバキ科)が花を
咲かせていました.
集合時間前に1時間ほど,平和公園の中を,大坂池の南側の道から入って1人で回りました.先月見たアカソバ(赤蕎麦,タデ
科)は,すでに枯れていました.大坂池土手のコムラサキシキブ(小紫式部,クマツヅラ科)は紫色の実を沢山つけていました.マメガキ(豆柿,カキノキ科)
とカキ(柿,カキノキ科)の木が,枝に実だけをつけていました.ナンテン(南天,メギ科)も赤い実を付けていました.ヌルデ(白膠木,ウルシ科)も房状の
実を沢山つけてい ました.湿地近くでは,カキツバタ(杜若,アヤメ科)の残り花が1つありました.アシ(葦,イネ科)原のあぜ道のヒサカキ(姫榊,ツバキ科)は,数mm大の緑
色の実を枝にいっぱい付けていました.湿地のシラタマホシクサ(白玉星草,ホシクサ科)は,全て枯れて倒れていましたが,丸い白い花は少しだけ残っていま
した.
奥池横のパンパスグラス(Pampas
grass,イネ科)は,きれいな白い穂を豊かに付けていました.里山の家に戻る途中で,つやのある紅葉した(濃い紫)ハクサンボク(白山木,スイカズラ
科)を見ました.丈がそろったきれいなススキ(芒,イネ科)野原も楽しみました.枯葉に覆われた小径を歩きながら,ガマ(蒲,ガマ科)の茶色の穂が白い綿
毛を出しているのを観察しました.芝生広場も枯葉に覆われ,周辺の樹木の紅葉と一緒になってよい眺めでした.アシは,2m丈でそろっていて,オオヨシキリ
(大葦切,ウグイス科)などの野鳥の巣に適したようになっていました.
炭焼広場で,里芋の葉が完全に枯れていました.畑の白菜の中で1つだけ茎を伸ばして黄色い花をつけていました.ラッカセイ(落花生,マメ科)は,花が終
わって,茎が土に潜った形になっており,落花生の実が土の中でみのっているようでした.オタマジャクシ池の奥で,ゴボウ(牛蒡,キク科)の実を観察しました.カエル池北の紅葉は大変見事でした.
参加者は,集合時には,大人22名と子供10名でした.芋煮会の場所では,大人32名
と子供13名に増えていました.芋煮が出来たときに,さらに10名以上の畑班の人達が参加しました.
9:30の集合時間になり,里山の家の前で,まず,先月の報告を見ました.アサギマダラ(浅黄斑,マダラチョウ科)については,まだ,再捕獲の報告はない
ようでした.鳥に食べられたのではという意見に対して,アサギマダラは毒蝶で,普通,鳥は食べないという説明がありました.食べても吐き出し,学習してそ
の後は食べないということでした.報告の中のクロアゲハ(黒揚羽,アゲハチョウ科)の前蛹(ぜんよう)の写真はナガサキアゲハ(長崎揚羽,アゲハチョウ
科)だという指摘がありました.
以前披露されたニシキウデナガコガネ(錦
腕長黄金,コガネムシ科)の雌雄の成虫が,脚を伸ばした形の立派な標本として再度披露され,皆で観察しました.押しピンの紫色が目立ちました.
倉庫のコンクリートのたたきで,稲を鋤で籾を脱穀していました.また,麦藁を打つ木槌を製作している人もいました.
芋煮の資材をリアカーに載せ
て,子供達に押させて出発しました.途中で,モズ(百
舌鳥,モズ科)のメスが,道の直ぐ横の木の大人の目の高さの枝でじっとしていました.
芋煮の会場に着いてすぐに,フユシャクガ(冬
尺蛾,シャクガ科)のメスを
見つけた人がいました.メスは飛ばないので,手のひらに載せて写真を撮りました.
1)芋煮竈(かまど)の準
備,2)パン焼きの熾(おき)造り,3)パン焼きの竹竿造り,4)枯枝などの燃料集
め,5)芋煮の
材料準備の5つに分かれて,参加者は作業を開始しました.子供達は,3)と4)を手伝っていました.
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芋煮竈の準備 |
パン焼きの熾造り |
パン焼きの竹竿造り |
枯枝などの燃料集め |
竹竿を造っていた周辺の竹
林の中のイロハモミジの紅葉は大変きれいでした.周辺から集めた小枝や枯草の間に新聞紙を丸めて芋煮の竈に入れて,ライターで
火をつけました.鍋の中にサトイモ(里芋,サトイモ科)を入れて,半分くらい水を入れてから,竈に載せました.鍋を竈に載せてから水を入れた方がよいと事
前に言いましたが,2人の女性が軽々と里芋と水の入った鍋を持ち上げて竈に載せました.その後,水を9分目くらいまで足して蓋をしました.沸騰してから,
アクを取って,豚肉,ゴボウ(牛蒡,キク科),ニンジン(人参,セリ科),蒟蒻(こんにゃく),シイタケ(椎茸,キシメジ科)を入れました.その後,お
酒,醤油,豆腐,ネギ(葱,ネギ科)の順に入れて味付けをしました.
パン焼の熾をつくるため芋煮鍋の南側でバーベキューグリルを土の上におき,枯枝を燃やしました.芋煮の竈と少し近すぎたよ
うで,芋煮が出来たときに,もう少しでパンを焼いていた女の子が鍋にぶつかりそうになりました.パン生地は,昨年より多く,事前にタッパに小分けにして丸
めて用意されていました.バーベキューグリルの両横には,パン生地をつけた竹竿を支えるために,稲を乾すときの稲架掛け(はさかけ)を小さくしたような工作物を
造りました.竹竿の節と節の間は,のこぎりで刻みを付けて,熱で竹が爆発しないようにしました.熾ができたときに,子供たちは,パン生地と竹竿をもらうた
めに整列しました.粘土細工のようにこねて,蛇のように細長くするように指導されていました.
その後,細長いパン生地をらせん状に竹竿の尖端に巻きつけて,焼き始めました.子供達は,こんがりと焼けた竹に巻いたパンを引き抜いて,コルネのように中
にジャムを入れてを食べていました.手作りジャムは,
リンゴ(林檎,バラ科),シャシャンボウ(小小坊,ツツジ科),ユズ(柚,ミカン科),ローゼル(Roselle,アオイ科),およびボケ(木瓜,バラ
科)が用意されていました.大人には,ユズとボケのジャムが好評でした.ボケのジャムは,砂糖を同量入れたものでしたが,まだ,酸っぱく,それが好評でし
た.
【外部リンク】ボケジャム レシピ・作り方(楽天レシピ)
【外部リンク】ローゼルの育て方(ヤサシイエンゲイ)
【外部リンク】ローゼルジャム(漢方薬のきぐすり.com)
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稲架掛けを小さくした工作物 |
パン焼き |
手作りジャム |
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薩摩芋も,アルミホイルで巻かないで,そのまま熾の上に置いて焼き始めました.何度もひっくりかえして,焦げないようにし
ました.
芋煮会場横の林で,キチジョウソウ(吉
祥草,ユリ科)の群生地で赤い実を2つ見つけた参加者がいたので,ついて行って写真を撮りました.
四角に切った白いマシュマロ(Marsh
mallow,卵白,ゼラチン,砂糖)も用意されていたので,細い竹に刺して少しだけ焼いて食べました.口の中で直ぐに溶けて,甘さ控えめで大変おいしい
ものでした.長く焼くと溶け出しました.きれいに食べやすいように切った,蜜入りリンゴと干柿も用意されており,おいしく食べました.
芋煮鍋が出来ると,子供達はパン焼きの竹竿を放りだして,芋煮をお椀にとり食べ出しました.4杯もお代わりした男の子もい
ました.熱々で体が温まるという感想が出ました.畑班の人達が来る前に,2杯目の芋煮を造りました.お椀を持ってこなかった人は,手ですくって食べてと冗
談を言われていました.もちろん,予備のお椀を貸しました.大きな弁当箱をさし出して,芋煮を入れてもらった人もいました.
最後に,大人250円,子供100を材料代として集めました.畑班は,里芋と椎茸を提供したので子供料金(任意)でした.
大変気持ちの良い心と体が温まる芋煮会になりました.
観察項目:ニシキウデナガコガネ(雌雄),フユシャクガ(雌),芋煮(水,サトイモ,コンニャク,ゴボウ,ニンジン,シイ
タケ,豚肉,豆腐,酒,醤油,ネギ),パン,焼芋,ジャム(ユズ,リンゴ,シャシャンボウ,ローゼル,ボケ),イロハモミジ,干柿,リンゴ,マシュマロ,
キチジョウソウ
文・写真:伊藤義人 監修:滝川正子
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