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1月度の観察記録
2015年1月度の観察記録です

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1月としてはそれ程寒くなく,帽子と手袋を着けなくても大丈夫でした.白い縮れ雲の間の空の青さは格別でした.新池の南側 の出水路には,6羽のヒドリガモ(緋 鳥鴨,カモ科)と1羽のオオバン(大 鷭,クイナ科)がいました.また,他に2羽のオオバン(鷭,クイナ科)と1話のヒドリガモ(雌)がすぐ横の土手にあがり,何かをついばんでいました.北側 のスイレン(睡蓮,スイレン科)がなくなった遮光幕実験場近くでは,1羽のカイツブリ(鳰,カイツブリ科)が何度も潜って餌をとっていました.土手のセン ダン(栴檀,センダン科)は,すっかり実を下に落としていました.ピラカンサ(Pyracantha,バラ科)の赤い実は,少なくはなりましたがまだつい ていました.東星ふれあい広場には,誰もいなくて,周辺の生垣では白と赤のサ ザンカ(山茶花,ツバキ科)の花が目立ちました.

ヒドリガモとオオバン 土手のオオバン サザンカ

オタマジャクシ池横の木の枝にモ ズ(百舌鳥,モズ科)が1羽じっと留まっていました.コリヤナギ(行李柳,ヤナギ科)の2又の枝の付け根に雌のウスバフユシャク(薄翅冬尺蛾,シャク科)? がじっとしていました.ウスバフユシャクの雌は飛べないので,下から歩いて登ったようです.大坂池には1羽だけカルガモ(軽鴨,カモ科)がいましたが,す ぐに草陰にかくれてしまいました.
周 辺の上空では,ハイタカ(鷂,タカ科)?が1羽横切りました.オタマジャクシ池の奥の林では,メジロ(目白,メジロ科)の群れがいました.ウグイス(鶯, ウグイス科)も地鳴きをしていました.大坂池東の芦原にはシジュウカラ(四十雀,シジュカラ科)とエナガ(柄長,エナガ科)の群れが来ていて,盛んにアシ (芦,イネ科)についた虫をとっていました.
参加者は大人17人と女の子1人でした.背の高さが大人と変わらなくなった中学生以上の男の子は,大人に数えました.

モズ ウスバフユシャク

集合時間の前に,里山の家の中で「原 寸大昆虫館(小学館)」を 見ました.たくさんの昆虫の写真が載っていたので,何人が採取した昆虫か気になって,奥付をみると1人の人の標本でした.よく見ると標本ピンの付いた写真 も多くありました.原寸大ですが,昆虫の名前が載っているのは,最後のページの毒蝶とその擬態蝶だけで,他のページには分類名があるだけでした.なかなか 見ごたえのある図鑑ですが,どこかに名前が載っていた方がよいと思いました.また,参加者の男の子が作った切紙昆虫の写真のカレンダーも皆で感心しなが ら見ました.
集合時間になり,外の縁台に載せてあった報告を里山の家の中に入れて配布しました.報告の中のイロハモミジ(伊呂波椛,カエデ科)の紅葉写真を見て,周辺 の学区の人が平和公園に来て,十分に紅葉狩りが楽しめると言っていたという話がありました.
1 月ですので,藪こぎをしてたくさん歩くため,東公園西側の谷に行くというアナウンスがありました.数年前にフユイチゴ(冬苺,バラ科)のために整備したこ とがある場所でした.最後に,アサギマダラ(浅葱斑,マダラチョウ科)について,当日の夜のNHK(ダーウィンが来た)で,取り上げられるということが話 題になり,平和公園でマーキングしたアサギマダラが出てくるといいなと言う参加者がいました.

原寸大昆虫館(小学館) 切紙昆虫のカレンダー

参加者が持ってきたウマ ノスズクサ(馬 の鈴草,ウマノスズクサ科)の小さな種と実殻を観察しました.葉の形が馬の顔に似ていることや花の下の子房が鈴の形に似ているということで,この名前がつ いたといわれているという説明がありました.一緒に持ってこられた写真には,メコンデルタのウマノスズクサの青い花やウマノスズクサを食草にしているホソ オチョウ(細尾揚羽蝶,アゲハチョウ科)の赤い卵も載っていました.
参加者が歩くルートを確認するための平和公園の地図と今年の予定を書いた紙が配られて,10:10に出発しました.
まず,大坂池土手のアンズ(杏 子,バラ科)の花芽を見てかから,オタマジャクシ池横の石段を登りました.最初にネジキ(捩木,ツツジ科)の赤い枝を観察し て,1年間の成長の長さが,枝によって数cmから70cmくらいまでばらついているのを確認しました.切られた太い枝のすぐ下から細長い新枝が出ていまし たが,切られたことを,木はどのように認識するかという疑問が出されました.

ウマノスズクサの種と実殻 アンズの新芽 ネジキの新枝

周辺の木々に蜜を塗った 変色した跡がありました.昆虫を採取するために塗ったものだろうということになりました.枯れた松などに赤いテープが巻いてあ りましたが,これは散策路に倒れるとあぶないので伐採する予定の木でした.ヤマガラ(山雀,シジュウカラ科)の鳴き声がしきりに周辺でしました.
ザイフリボク(采 振木,バラ科)を男性参加者が紹介して,その毛のついた新芽を観察しました.三大美芽の1つだという説明がありました.すぐ横のネジキの芽もその1つだそ うです.もう1つは,コクサギ(小臭木,ミカン科)の芽だそうですが,周辺にはありませんでした.誰がこの三大美芽を決めたかという疑問を持ちましたが, ウェブで調べても分かりませんでした.

【外部リンク】三大美芽のひとつ・ザイフリボク(散歩道の手作りしてみました)

蜜を塗って変色した跡 ザイフリボクの新芽

ソヨゴ(冬青,モチノキ科)の木に赤い実が1つだけ残っていました.直ぐ下にフユイチゴが群生していましたが,もう実はほ とんどありませんでした.地面に複数のアズキナシ(小 豆梨,バラ科)の橙色の実が落ちていました.
大きなウラジロ(裏 白,ウラジロ科)が群生しているところで,数本だけ根元から切って,翼葉の数をかぞえました.2つの翼葉が対生でつきますが,1年後には,その間から新芽 が伸びるので,何年たって大きくなっているか数えられました.一番長いもので,5年でした.3年のものが多いようでした.ウラジロの新芽にウミベヒメゾウ ムシ(海辺姫象虫,ゾウムシ科)が付くそうですが,ここでは見つけられませんでした.正月の鏡餅に使うウラジロは,畑で根元まで切って出てきた小さなウラ ジロを使うという説明をした男性参加者がいました.

フユイチゴ アズキナシの実 ウラジロ

葉の成長に関連して,スイセン(水仙,ヒガンバナ科)の花を咲かせるためには,球根は土の中に完全に埋めるのではなく,少 し気中に出しておくとよいという説明がありました.土に完全に埋めると葉だけが伸びて花を咲かせないそうです.
散策路の柵の外の枯葉の上に転がされた木の幹が腐朽していたので,男の子が昆虫を探すために,掘り返しました.木の下の腐葉土の中から大きなカブトムシ(甲虫,コガネムシ科)の幼虫を4匹見つけました.腐朽した木の中に も幼虫が1匹いました.他の腐朽した木の皮を剥ぐと数匹の黒いゴ ミムシ(塵芥虫,ゴミムシ科)が越冬していました.腐葉土は1年に1mmしか形成せず,落葉が腐葉土になるのに3年かかるとい う解説がありました.

カブトムシの幼虫 ゴミムシ

散策路の柵のすぐ近くにサ ルマメ(猿豆,サルトリイバラ科)の赤い実が2つありました.サルマメはツルにはならないそうです.散策路が曲がる所の大きな 木の根元にカンアオイ(寒 葵,ウマノスズクサ科)の群生がありました.日当たりが悪くなっていたので,葉の数が少なくなっているという指摘がありました.近くで,オオカマキリ(大蟷螂,カマキリ科)の卵嚢も見つけ写真を撮りました.

サルマメ カンアオイ オオカマキリの卵嚢

目的地に行くために全く道のないところで藪 こぎを始めました.1/3くらいの参加者が,ここで脱落して帰ってしまいました.目的地はカスミサンショウウオ(山椒魚,サンショウウ オ科)の生息地にするために整備した場所で した.材木を並べたところに水が溜まっていました.周辺にはヒイラギ(柊,ヒイラギ科)が数株実生していました.ここは,山崎川の源流の1つだという説明 がありました.周辺ではヤマガラとシジュウカラが盛んに鳴いていました.

藪こぎ カスミサンショウウオのために整備した場所

昼が近づいてきたので,急いでさらに上りの藪こぎをして,ヤシャブシ(夜叉五倍子,カバノキ科)のある 東公園横に出ました.途中で,ベニシダ(紅 羊歯,オシダ科)やヤブニッケイ(藪肉桂,クスノキ科)などを観察しました.
パンパスグラス横のトウコマツナギ(唐 駒繋,マメ科)の鞘状の実を観察しました.半常緑のスイカズラ(忍冬,スイカズラ科)もありました.白いカイガラムシ(介殻虫,カイガラムシ上科)が 枝に数個ついていました.
ここまでで,11時40分になってしまい,当日,別件で東京に行く必要があったので,私だけ急いで里山の家に帰りました.よく歩く気持ちの良い観察会にな りました.

ヤシャブシ ベニシダ トウコマツナギの実 カイガラムシ

観 察項目: 原寸大昆虫館(小学館),切紙昆虫写真のカレンダー,ウマノスズクサの種と実殻,アンズ,ネジキ,ヤマガラの鳴き声,ソヨゴ,フユイチゴ,アズキナシの 実,ウラジロ,カブトムシの幼虫,ゴミムシ,サルマメ,ヤシャブシ,ベニシダ,ヤブニッケイ,トウコマツナギ,スイカズラ,カイガラムシ
文・写真:伊藤義人 監修:滝川正子

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2015-5-4 218

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