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2015年 > 2月度の観察記録
2月度の観察記録
2015年2月度の観察記録です

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朝からずっと雨で,観察会終了時にやっとやみました.スイレン(睡蓮,スイレン科)の無くなった新池の水面には,雨粒が落 ちていましたが,水面にオオバン(大鷭,クイナ科)が1羽いて,潜って餌を採っていました.20羽のコガモ(小鴨,カモ科)は,ピーピー鳴きなが ら,樹木が張り出した北岸近くの水面でかたまっていました.ツグミ(鶫,ツグミ科)とジョウビタキ(常鶲,ヒタキ科)の雄が土手の樹木にいました.東星ふ れあい広場には,誰もいなくて,10数羽の雀だけが何かをついばんでいました.参加者は, 大人16名と子供1名でした.

コガモ

雨なので,里山の家の中で集合しました.観察会が始まる前に,参加者の1人が持ってきたスズメガ(雀蛾,スズメガ科)とヤガ(夜蛾,ヤガ科)の大きさの違う蛹(さな ぎ)を観察しました.
9:40に,先月の報告を見始めました.参加者の1人が持って来た揚 輝荘のクズ(葛,マメ科)を観察しました.太い木質化した茎で,4年ものでした.根からクズ粉を取りますが,平和公園のクズか らとったビンに入ったクズ粉も 出てきました.真っ白ではありませんでしたが,なめた人がいました.クズ粉の味というあたりまえの感想でした.電気カンナで根を削って作っているという説 明がありました.クズの茎の葉痕は,あまり面白いものではりませんでした.

スズメガの蛹 ヤガの蛹 揚輝荘のクズ 平和公園のクズ粉

里山の家に展示してあるたくさんの樹木の冬芽の写真を皆で見ました.先月観察した,クサギ(臭木,クマツヅラ科)の冬芽は ウサギ(兎,ウサギ科)の顔に見えるという意見がでました.三大美芽のネジキ(捩木,ツツジ科)とザイフリボク(采振り木,バラ科)の冬芽はありました が,コクサギ(小臭木,ミカン科)の冬芽の写真はありませんでした.ガマズミ(莢迷,スイカズラ科)とミヤマガマズミ(深山莢迷,スイカズラ科)の冬芽の 違いは毛のあるなしという説明がありました.リョウブ(令法,リョウブ科)の冬芽にはナポレオンハットのようなものが付いていました.アベマキ(阿部槇, ブナ科)などの芽鱗のついた冬芽の状況などから,どのような環境から来たのか分かるという説明もありました.
フキノトウ(蕗 の薹,キク科)とセリ(芹, セリ科)を植えたものを観察しました.セリの根をキムチに入れるとおいしくなるそうです.フキノトウに雄雌があるということを言う人がいました.

セリとフキノトウ

2月の観察会は,過去10年以上ずっと晴れで,藪こぎをしてカンアオイ(寒葵,ウマノスズクサ科)の葉と花の数を数えるの を恒例としていましたが,今回は雨で,藪こぎとカンアオイのカウントはあきらめて,出発しました.最初に,大坂池の土手に入り,4年前に植えた樹木を観察 しました.まず,棘のついたズミ(桷,バラ科)を観察して,公園にあってはいけない樹木とされているとの説明がありました.
木の枝についたヒラタアブ(扁 虻,ハナアブ科)の蛹を見つ けた男の子がいました.また,冬芽の間に白い小さな虫の 卵のかたまりも見つけて観察しました.

ヒラタアブの蛹 白い虫の卵

イボタノキ(疣 取木,モクセイ科)の木の先端に瑠璃色の実が少しついていました.冬芽を見てムラサキシキブ(紫式部,クマツズラ科)かコムラサキシクブ(小紫式部,クマ ツズラ科)のどちらかという質問が出ました.頂芽があったのでムラサキシキブでした.白いカイガラムシ(貝 殻虫,カイガラムシ科)も見つけました.ムラサキシキブの木にスイカズラ(忍冬,スイカズラ科)が巻き付いていました.紫色に変色した葉もついていまし た.中身の入っていないミノムシ(蓑 虫,ミノガ科)の蓑も見つけました.大豆の原種のツルマメ(蔓豆,マメ科)が巻き付いて,鞘状の実がついていました. イヌコリヤナギ(犬行李柳,ヤナギ科)の冬芽は,毛と水滴がついて大変きれいでした.

イボタノキの実 カイガラムシ ミノムシの蓑 イヌコリヤナギの冬芽

土手を出て,小径横のイヌツゲ(犬黄楊,モチノキ科)を観察しました.水を好む樹木で,この樹木が生えている近くの土地は 買ってはいけないという説明がありました.
近くでオオカマキリ(大蟷 螂,カマキリ科)の卵嚢を見 つけて観察しました.その周辺で春の兆しを探すことになり,地面からわずかに胞子穂が出ているツクシ(土筆,トクサ科)を見つけた参加者が いました.
除草などの作業トラックのための転回場所で,50cm丈程度の木を見つけて,コ ナラ(木楢,ブナ科)かアベマキかを冬芽で判別しようとしましたが,よく分かりませんでした.周辺に,コナラとアベマキの枯葉 が落ちていましたが,直ぐ下にはコナラの枯葉が多く,アベマキの葉は隣の林から飛んできたことになりました.

オオカマキリの卵嚢 ツクシ コナラの冬芽

このとき,10数羽のエナガ(柄長,エナガ科)の群れが少し離れた樹木に来ました.雨が降っていましたが,盛んに鳴きなが ら餌を探しているようでした.
大きなアベマキの樹皮に隠れてルリハムシ(瑠 璃金花虫,ハムシ科)の集団が越冬しているのを見つけた参加者がいて,少し戻って観察しました.肉眼で見てもよく分からず,スマホで照らしてもらってやっ と写真を撮りました.以前に里山の家の前のケヤキ(欅,ニレ科)の樹皮の下で越冬していたものと同じでした.
別の木に,シロフフユエダシャク(白 斑冬枝尺蛾,シャクガ科)が停まっていました.フユシャクは,グリセリン(不凍液)を体内に持っているので,冬でも飛べるという説明をする参加者がいまし た.樹木の下で,ヒメカンアオイ(姫 寒葵,ウマノスズクサ科)が群生しているのを観察しました.目立たない花も葉の下にいくつか隠れていました.

【外部リンク】フユシャク登場(廊下のむし探検)

越冬中のルリハムシ シロフフユエダシャク ヒメカンアオイ

竹を半割にして束ねて作った橋の竹が1本割れていたので取り除いてひっくり返しました.半割の竹にコカマキリ(小蟷螂,カマキリ科)の卵嚢とカタツムリ(蝸牛,オナジマイマイ 科)がついていました.黒い蜘蛛もいましたが直ぐに逃げてしまいました.竹を取り去った土の上にナメクジ(蛞蝓,ナメクジ科)が2匹いまし た.折角眠っていたのにと,それらに恨まれているのではと言う参加者がいました.

コカマキリの卵嚢 ナメクジ

カキノキ(柿の木,カキノキ科)にウ スバフユシャク(薄翅冬尺蛾,シャク科)の雄が停まっていました.他にももっといそうでした.地衣類をたくさん付けたヤマハゼ (山櫨,ウルシ科)の木に,地衣類を 食べるクロハナコヤガ(黒鼻 小夜蛾,ヤガ科)の幼虫を見 つけた人がいました.長さが2cmくらいで1mm程度の細長い幼虫で,よく見つけたものだと皆が感心していました.見つけた人は,成虫の写真も持ってお り,この種の蛾が趣味のようでした.

ウスバフユシャク ヤマハゼについた地衣類 クロハナコヤガの幼虫

雨が小雨になり,周辺は鳥の鳴き声が大きくなりました.オタマジャクシ池にアカガエル(赤蛙,アカガエル科)の卵塊が1つありました.今年は,いつもより 少し早いようです.それにしても蟇蛙を見なくなって数年たちますが,今年は復活してほしいものです.
湿地で,コサギ(小鷺,サギ 科)が片脚で立ち,もう一方の脚で器用に水をかき回して,驚いて出てくる虫などの餌をしきりに取っていました.具体的に何を取っているかは遠くからなので 分かりませんでした.炭焼広場西角にソシンロウバイ(素 心蝋梅,ロウバイ科)の黄色い花が満開でした.
里山の家に帰り,感想会をしました.雨なので何も見えないかと思いましたが,種々のものが観察できてよかったという感想がでました.チョコレートの入った 手作りケーキがいつもの女性参加者から回され,皆で賞味しました.

アカガエルの卵塊 コサギ ソシンロウバイの花

雨の中の寒い観察会になりましたが,種々の成果が上がった会になりました.

観察項目: クズ,クズ粉,フキノトウ,セリ,ズミ,ヒラタアブのさなぎ,イボタノキ,ムラサキシキブの冬芽,カイガラムシ,スイカズラ,ミノムシの蓑,ツルマメ,イ ヌコリヤナギ,イヌツゲ,オオカマキリの卵嚢,ツクシ,エナガの群れ,アベマキで越冬しているルリハムシ,コナラの冬芽,シロフフユエダシャク,ヒメカン アオイ,ナメクジ,クロハナコヤガの幼虫,ソシンロウバイ,アカガエルの卵塊,コサギ

文・写真:伊藤義人 監修:滝川正子

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2015-5-4 176

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