このサイト内の検索   
SmartSection is developed by The SmartFactory (http://www.smartfactory.ca), a division of INBOX Solutions (http://inboxinternational.com)
2015年 > 3月度の観察記録
3月度の観察記録
2015年3月度の観察記録です

Untitled Page

早朝は曇っていましたが,地下鉄東山駅を出たときは,雲1つない晴天でした.ダウンジャケットの下のセーターを脱いで歩き ましたが,それでも少し汗をかきました.歩道端には,オッ タチカタバミ(おっ立ち片喰,カタバミ科)が黄色い花をたくさん咲かせていました.平和公園入口の黄緑っぽくなったユキヤナギ (雪柳,バラ科)は,まだ小さな白い花を点々と咲かせているだけでした.ソ メイヨシノ(染井吉野,バラ科)の 花芽は,ふくらんでいましたがまだ堅い様子でした.土手のセンダン(栴檀,センダン科)は,少しだけ実 の残っている木もありました.広々とした新池の水面にはオオバン(大鷭,クイナ科)が1羽だけ,たまにもぐりながら我が物顔で遊弋していました.北側の岸 部にはアオサギ(青鷺,サギ科)1羽とコガモ(小鴨,カモ科)4羽がいました.張り出した樹木の先端で,雌のカワセミ(翡翠,カワセミ科)が1羽じっ ととまっていました.東星ふれあい広場では,ムクドリ(椋鳥,ムクドリ科)8羽とスズメ(雀,スズメ科)22羽が,芝生の上でしきりに何かをついばんでい ました.

オッタチカタバミ ソメイヨシノの花芽 センダン 雌のカワセミ

里山の家の近くの紅白の ハナウメ(花梅,バラ科)は満開でした.オタマジャクシ池の水中には,アカガエル(赤蛙,アカガエル科)のオタマジャクシが少 しだけいました.周辺には,小さな青い花をつけたオオイ ヌノフグリ(大犬の陰嚢,ゴマノハグサ科)が一面にありました.参加者は大人19名と学齢に達しない子供3名でした.おばあ ちゃんと来ていた女の子は大変元気のある子で,何にでも興味を示しました.

紅のハナウメ 白のハナウメ オオイヌノフグリ

縁台の周辺はぬかるんでいましたが,かまわずその周辺で先月の報告を見ました.写真のフキノトウ(蕗の薹,キク科)は, すっかり取られてしまって,平和公園には無くなったという報告がありました.繁殖期の雄のスズメは優しく鳴くという話しも出ました.
先 月観察しなかったカンアオイ(寒葵,ウマノスズクサ科)は,今後は葉や花の数を数えずに面積で増減を判断することにして,来月見ることにしました.今回 は,湿地のアカガエル(赤蛙,アカガエル科)の卵塊を数えてから,猫ヶ洞池に6年ぶりで見つかったアズマヒキガエル(東蟇蛙,ヒキガエル科)の卵塊を見に 行くにしました.
出かけようとしたら,ある男性参加者が持って来たアゴヒゲコウモリ(顎髭蝙蝠,ヒナコウモリ科?),サバクトカゲ?(砂漠蜥蜴,トカゲ科),ヒメカブト (姫甲,カブトムシ科)の仲間などを一緒にした外国産の 標本の説明が始まりました.

外国産の標本

出発して直ぐに,地面にイ シクラゲ(石水母,ネンジュモ科)が多くあるのを見つけました.食べられる陸棲藍藻ですが,名前をすぐ言える参加者はいません でした.オタマジャクシ池周辺の水路で,フユシャク(冬 尺,シャクガ科)の雄が水面に浮いているのを見つけて,木の先に付けて写真を撮りました.

イシクラゲ フユシャク

水田西側の湿地のガマ(蒲,ガマ科)の穂から白い綿毛が出ていました.畦には長く伸びたツクシ(土筆,トクサ科)も多くありました. 湿地の水中には,水温が低いのか,わずかに動く小さな細長い黒いア カガエルのオタマジャクシと比較的大きな灰色のウシガエル(牛蛙,アカガエル科)のオタマジャクシもいました.金属製の2つの バットに卵塊をすくい取りました.カエルの発生過程の写真付きの資料が配られました.1つの卵塊は,孵化していて卵塊の中で小さな黒いアカガエルのオタマ ジャクシが沢山いました.もう1つのバットの2つの卵塊の卵には,原腸胚後期で白い点が見えました.片方の卵塊は,ひょっとするとウシガエルかもという人 がいて,確認のために育てることになりました.
水田にレンゲ(蓮華,マメ科)の種を蒔いたそうですが,水田は水につかっていたので発芽せず,あぜ道の下のわずかな場所で丸い葉を茂らせていました.この とき,オオタカ(蒼鷹,タカ科)のかん高い鳴き声が何度もしました.湿地の卵塊は26個まで数えられました.

ツクシ アカガエルのオタマジャクシ アカガエルの卵塊 卵塊の採集

芝生広場入口の看板の裏にフユシャクの雌を見つけた参加者がいました.芝生広場奥で,テングチョウ(天狗蝶,タテハチョウ科)を4 頭見つけました.2頭を網で捕獲して,観察瓶に入れて観察しました.名前の由来が話題になり,頭が尖っているので天狗に見立てたという説明が中学生の男の 子からありました.芝生広場奥の林の中には,シジュウカラ(四十雀,シジュウカラ科),ハクセキレイ(白鶺鴒,セキレイ科),ヒヨドリ(鵯,ヒヨドリ 科),コゲラ(小啄木鳥,キツツキ科)が鳴いていました.何故,ここにヤマナラシ(山鳴らし,ヤナギ科)が沢山あるのかという疑問が出ました.

テングチョウ

キクラゲ(木耳,キクラゲ科)がゼリー状になって木の枝についているのを見つけました.手に取った人もいました.写真は, 前の枝に焦点が当たって,キクラゲがピンぼけになってしまいました.
ユーカリ(eucalypt,フチモモ科)畑横のゴンズイ(権萃,ミツバウツギ科)は,まだ新芽は出ていませんでしたが,高木のトチノキ(栃木,トチノキ 科)の先端には新芽が出ていました.
桜の園で,ダイオウショウ(大王松,マツ科)と思っていた松の突起の沢山ついた10cm大の松ぼっくりを1つ拾いました.もらった男の子が得意げに見せて いました.触るとチクチクと刺して痛い程でした.落ちていた葉は,3葉でしたが,4葉のものもありました.ダイオウショウの場合は,葉がたれるほど長いの で,この木はテーダマツ(テー ダ松,マツ科)だということになりました.

【外部リンク】テーダマツ(小石川植物園の樹木)

データマツの松ぼっくり

直ぐ横の木の根元に供えた2つの小さな花束がありました.男の子が,何が埋められているか掘ってみようと言いましたが,皆 で止めました.
会館前の池の近くのネコヤナギ?(猫柳,ヤナギ科)の新芽を見ました.女木か男木かは,もう少したたないと分からないということになりました.大木のシダ レヤナギ?(枝垂柳,ヤナギ科)は,コゴメヤナギ(小米柳,ヤナギ科)だという人もいました.幹の下方にカミキリムシ(髪切虫または天牛,カミキリム シ科)が出てきた7〜8個の1cm径くらいの穴が ありました.自分で修復するので,木は枯れることはないと言う参加者がいました.この木の背の高さにある洞の周辺に30匹程度のヨコズナサシガメ(横綱刺亀,サシガメ科)の 集団がうごめいていました.男の子が触ろうとして,刺されると痛いよと言って男性参加者が制止しました.背に少しだけ赤い色は見えましたが,白い縁取りが ないので,まだ終齢では無いということでした.

カミキリムシが出てきた穴 ヨコズナサシガメの群れ

ここで,キタテハ(黄 立羽,タテハチョウ科)を網で捕まえました.観察瓶に入れて写真をとりました.モグラ(土龍,モグラ科)塚も1つ見つけました.公園の樹木に紐を張って綱 渡りの練習をしている人がいました.
猫ヶ洞池に行く交差点近くのユキヤナギの1つだけ咲いた白い小さな花の蜜をずっと吸っているキタキチョウ(北黄蝶,シロチョウ科)を観察 しました,皆が見るまで捕まえてはいけないと男の子には皆で注意しましたが,女の子がやってきて,あっという間に両の手のひらで捕まえてしまいました.た だし,観察瓶に入れようとして,逃がしてしまい,再度網で捕獲して観察しました.ムラサキシジミ(紫小灰蝶,シジミチョウ科)もここで捕まえて観察しまし た.写真を撮ろうとしても羽を広げてくれませんでした.ド ロバチ(泥蜂,ドロバチ科)の 壊れた小さな巣を見つけて観察しました.

キタテハ キタキチョウ ドロバチの壊れた巣

猫ヶ洞池入口で,ヒサカ キ(姫榊,ツバキ科)が白い小さな花を咲かせているのを見つけて,臭いをかぎました.千葉で豚骨ラーメンの臭いがするというこ とで話題になった話しがでました.臭いをかいでプロパンガスの臭いだという感想が出ました.池のフェンス近くで,ムカデ(百足,ムカデ科)のはやにえを見つけました.枝に尖った部分は ないので,どのように付いているか見たところ,枝にムカデが捩られるようにして付いていました.モズ(百舌鳥,モズ科)はこんな器用なこともするのかとい う感想がでました.

ヒサカキの花 ムカデのはやにえ

猫ヶ洞池の北側の流入路の橋の上からアズマヒキガエル(東 蟇,ヒキガエル科)の紐状の卵塊を 見ました.網の柄で引き寄せようとしましたが,水深が深い所にありうまくいきませんでした.直ぐ横の浅い所で,もう1つの紐状の卵塊を見つけて,バットに 移して観察しました.6年前には,どこにでもいて,1つの卵塊に最大1500個の卵があることを確認したこともあったという話しがでました.アズマヒキガ エルの寿命は8〜9年で4年目から産卵するという説明がありました.近くの土手に,在来のタンポポ(蒲公英,タンポポ科)の花が咲いていました.
アズマヒキガエルの卵塊

12時を過ぎてしまい.急いで里山の家に戻って感想会をしました.沢山歩きましたが,春の息吹を感じてよかったという感想 が出ました.甘夏の皮を細長く切りチョコレートをコーティングしたオレンジピールが供されました.チョコレートは甘くなく柑橘の味と絶妙でした.春を感じ たさわやかな観察会になりました.

観察項目: オオヒゲコウモリなどの標本,イシクラゲ,フユシャク,アカガエルの卵塊とオタマジャクシ,タンポポ,オオタカの鳴き声,レンゲ,ヤマナラシ,シジュウカ ラ,ハクセキレイ,ヒヨドリ,コゲラ,テングチョウ,キタテハ,ムラサキシジミ,キタキチョウ,ユキヤナギ,カナヘビ7匹,ノネコ,キクラゲ,トックリバ チの壊れた巣,オオカマキリの一昨年の卵嚢,モグラ塚,ヨコズナサシガメ,テーダマツ,ムカデのはやにえ,ツクシ,アズマヒキガエルの卵塊

文・写真:伊藤義人 監修:滝川正子

  この記事を PDF フォーマットで見る 記事を印刷する 記事をメールで送信

この記事の添付ファイル
ファイル名 掲載日 ヒット
ファイルをダウンロード 2015年3月度の観察記録
2015年3月度の観察記録です
2015-5-4 165

ページ移動
良く読まれた記事 2月度の観察記録 4月度の観察記録 次の記事