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2015年 > 4月度の観察記録
4月度の観察記録
2015年4月度の観察記録です

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雨が降りそうな曇り空でした.街路樹のソメイヨシノ(染井吉野,バラ科)の花は散り,ヤエザクラ(八重桜,バラ科)が満開になって いました.ユキヤナギ(雪 柳,バラ科)の白い花は残っていましたが,もう雪を連想させる様子ではありませんでした.街路樹のトウカエデ(唐楓,カエデ科)の黄緑色の新緑 が大変きれいでした.

ヤエザクラ ユキヤナギの花 トウカエデ

スイレン(睡蓮,スイレン科)の茶色の葉に覆われ始めた新池では,残り少ない水面上にヒドリガモ(緋鳥鴨,カモ科)が5羽 いました.北の岸辺の木に2羽のカワウ(川 鵜,ウ科)がとまっていました.カワセミ(翡 翠,カワセミ科)が1羽,いつものお気に入りの木にじっととまっていました.また,水面上を2羽のツバメ(燕,ツバメ科)が飛んでいました.電線に2羽の カワラヒワ(河原鶸,アトリ科)がとまり,盛んに鳴いていました.
参加者は,子供3名と大人21名でした.中学まで参加していて,受験のためお休みしていて,この春に希望の大学に受かったので,久しぶりに母親と一緒に参 加した女性もいました.

カワウ カワセミ

コゲラ(小啄木鳥,キツツキ科)が鳴く集合場所で,「なごや平和公園の自然2014」の本の紹介の後,先月の報告を皆で見 ました.女の子が広げた報告の上をナナホシテントウ(七 星天道,テントウムシ科)の幼虫が 歩きました.逃がしに行って,代わりにツマジロエダシャ ク(褄白枝尺,シャクガ科)を捕まえてきました.図鑑で調べて名前を確認しました.羽の端が白く透けていないのが特徴でした. 先月の報告のカエルの卵は,アカガエル(赤蛙,アカガエル科)である可能性が大きいという報告がありました.

ナナホシテントウの幼虫 ツマジロエダシャク

藤巻町で見つかったセミタケ(蝉茸,バッカクキン科)が披露されました.根元のセミは,アブラゼミ(油蝉,セミ科)という 人とクマゼミ(熊蝉,セミ科)という人がいて決着しませんでした.10cmほどに伸びた菌糸は,環境が悪いときに胞子を作って飛ばすという説明がありまし た.セミタケは,セミが生きているあいだ動いたのではという話しが出ました.ただし,セミタケは,ニイニイゼミ(?蛄,セミ科)に付くので,これはオオセ ミタケ(大蝉茸,バッカクキン科)のようです.

【外部リンク】オオセミタケ(三十九さんの部屋)

【外部リンク】セミタケを堀り、本体(セミの幼虫)をゲット!(youtube)

オオセミタケ

樹に咲く花(山と渓谷 社)」の本といっしょに,本の大きさが同じ中国語と韓国語の図鑑が紹介されました.また,ハルジオン(春紫苑,キク科)とヒメ ジョオン(姫女苑,キク科)の名前の由来の説明がありました.普通は白色ですが,「紫」色の花は空気がよいとそのような色になる?という説明がありまし た.別種のヒメシオン(姫紫苑,キク科)と区別するためにヒメジョオンにしたという説も説明されました.ハルジオンが貧乏草とも言われているということも 出ました.
10:15に出発して,里山の家の南側の駐車場横のオオ シマザクラ(大島桜,バラ科)を観察に行きました.オオシマザクラの白い花は下向きに咲いていました.オオシマザクラは自然に 増えたのかという質問に関連して,オオシマザクラとエドヒガン(江戸彼岸,バラ科)を掛け合わせて,ソメイヨシノが江戸時代に作られたという説明がありま した.ビーティングネットをもった男の子が,近くの木を叩いて,カミキリモドキ(髪切擬,カミキリモドキ科)とカイガラムシ(貝殻虫,カイガラムシ科)を 捕獲して皆で観察しました.また,近くでゴミグモ(塵蜘蛛,コガネグモ科)を見つけて,クモの糸を脚で巻いて下からゴミでできた隠れ帯の方に向かって上 がってくるのを観察しました.

樹に咲く花(山と渓谷社) オオシマザクラ

オオシマザクラの下で咲いていたタ ンポポ(蒲公英,キク科)を観察して,名前の由来が話題になりました.江戸時代は鼓草とも呼ばれ,鼓を叩く擬音の「タン」と 「ポポ」が通説ですが,小鼓の音階名「タ」と「ポ」に由来するという解説もWebにはありました.なお,タンポポの漢字名は蒲公草(ほうこうそう)です が,これは平安初期の本草書「本草和名」にあるようです.

【外部リンク】タンポポ(語源由来辞典)

1人の男性参加者が,頭花に200くらいあるといわれている花弁(舌状花)の1つを取って合弁花(根元がつながっている) の説明をしました.花冠と冠毛,及びその下の子房(種になる),おしべとめしべ(花頭,花柱,葯)などの説明がありました.タンポポは,蕾や花が咲いてい るときは横に寝ていて,種と冠毛の集まりの綿ぼうしができたときにすっと上に伸びて遠くに種を飛ばすという説明がありました.つぼみ,花,綿ぼうしが混 じっているタンポポの株を見つけて,写真を撮りました.

タンポポ

いつも4月に観察するビ ロードツリアブ(天鵞絨吊虻,ツリアブ科)を網で捕獲して観察瓶に入れて見ました.瓶の中で飛び回ってなかなか写真が撮れませ んでした.オオシマザクラの周辺で飛び回っていたキムネ クマバチ(黄胸熊蜂,ミツバチ科)も捕獲して,観察しました.タイワンタケクマバチ(台湾竹熊蜂,ミツバチ科)でなく普通のク マバチでした.
紫色の葉脈のイタドリ(虎杖,タデ科)が群生をしている場所に行き,昨年の枯れた茎を割って,コウモリガ(蝙蝠蛾,コウモリガ科)が入り込んだ部位を観察 しました.まだ,茎の中に動いているものがあり,コウモ リガの幼虫に寄生した他の幼虫のようでした.

ビロードツリアブ キムネクマバチ コウモリガの幼虫に寄生した他の幼虫

女の子が小さな白い細長いシャクトリムシ(尺取虫,シャクガ科)を手につけて,私に見せに来ました.里山の家の前やここで 群生していたコメツブツユクサ(米 粒露草,マメ科)を観察しました.黄色い花は,まだほとんどありませんでした.名前を問われたときに,クローバー(白詰草,マメ科)やヤハズソウ(矢筈 草,マメ科)と答えた人がいました.
近くで,昆虫少年がクビキリギス(首 切蟋蟀,キリギリス科)の雌を捕まえました.どうして雌と分かるかと聞かれ,産卵管を見せていました.かまれると痛いですが,女の子にかまれるように誘っ ても怖がって近づきませんでした.ヨトウガ(夜盗蛾,ヤガ科)の幼虫も見つけました.女の子が,カタツムリ(蝸牛)を見つけて持ってきて,イセノナミマイマイ(伊勢之並蝸牛,オナジマ イマイ科)という名前であることを教えてもらっていました.
枝の根元に蜘蛛の巣状の巣が あり,その中に2cm長くらいの黄色と黒の縦縞の幼虫がいっぱいいました.一匹だけ観察瓶に入れましたが,何の幼虫かは分かりませんでした.

コメツブツユクサ クビキリギス イセノナミマイマイ 蜘蛛の巣状の幼虫の巣

薄い青色の小さな花のついたキュ ウリグサ(胡瓜草,ムラサキ科)を観察して,葉を揉んで臭いをかぐように言われました.胡瓜の香りが分からない参加者が多かっ たようでした.子供の頃,畑から取りたての胡瓜に味噌をつけておやつ代わりに食べたことを思い出しました.大坂池の水面では,燕がしきりに飛びながら水を 飲んでいました.
ビーティングネットでナナフシモドキ(七 節擬,ナナフシ科)の幼虫を昆虫少年が捕獲しました.非常に細い骨格をしていました.次に,タンポポの花に,沢山のモモブトカミキリモドキ(腿太擬天牛,カミキ リモドキ科)がいるのを見つけました.雄の足の腿の部分が非常に太く,名前の由来が直ぐに分かりました.ハンミョウなどが持っているカンタリジン (cantharidin)という毒をもっていることが説明されました.皮膚につくと水疱ができ,昔から毒薬として使っていたものです.

キュウリグサ ナナフシモドキ モモブトカミキリモドキ

いつもの場所で五葉のアケビ(木通,アケビ科)の花を見た後で,三つ葉のミツバアケビ(三葉通草,アケビ科)を観察に 行きました.最初は,花が見つかりませんでしたが,日当たりの良い場所で雄花と雌花を見つけました.近くに小さな花のつぼみのついたコバノガマズミ(小葉 莢迷,スイカズラ科)もありました.その横でアオキ(青 木,アオキ科)の地味な紫色の花を 観察しました.隣りのアオキには,緑色と赤色の1cm大の実もついていました.
大きな木のイロハモミジ(伊 呂波椛,カエデ科,別名:タカオカエデ)の花を 観察しました.最近,カエデ科からムクロジ科(APG植物分類体系)に変わったという参加者がいました.

ミツバアケビ アオキの花 イロハモミジの花

捕獲したツチイナゴ(土稲子,イナゴ科)を観察して,涙目でトノサマバッタ(殿様飛蝗,バッタ科)と見分けるという説明が またありました.翅の付け根に耳があることも確認しました.
テングチョウ(天狗蝶,タテハチョウ科)を捕獲して,図鑑の説明で両方の翅でペリカンが向かい合っている模様に足のあるなしで雌雄を区別することが出てい ました.雄には足(斑点)がほとんどないか小さいという記述が以下のURLに写真付きでありました.

【外部リンク】雌雄識別(蝶鳥ウォッチ)

12時近くになり,急いで里山の家に戻りました.途中で,大坂池土手のハンノキ(榛の木,カバノキ科)に昨年の実がついて いるのを観察しました.
里山の家の中の感想会で,弁当に最近はやりの「おにぎらず」を持ってきた人がいて,最初に話題になりました.

【外 部リンク】話題の「おにぎらず」って一体なんだ?(クックパッドニュース)

ニュージーランド産のキイチゴ(木苺,バラ科)を使った自家製のおいしいリンツァートルテ(独:Linzer Torte)が回わされました.観察したヤマブキ(山吹,バラ科)に関連して太田道灌が蓑を借りたいと農家の娘に言ったときに,「八重の山吹には実がなら ない」と「蓑が無い」という掛詞で教養を示した話しがでました.若い参加者は以下の和歌を誰も知りませんでした.私は,学校教育の中でなく両親から聞いた ように思います.
七重八重花は咲けども山吹のみのひとつだになきぞ悲しき(兼明親王)
感想として,「黄緑色の葉の季節が好き」,「八重桜の花が残っていて良かった」,「多くの虫などが出てきて生物(いのち)が動き出す様がよかった」などが 出ました.春の気持ちの良い観察会になりました.

観察項目:ナナホシテントウの幼虫,ツマジロエダシャク,オオセミタケ,樹に咲く花(日本語,中国語,韓国語)の図鑑,オオシマザクラ,カミキリモドキ, カイガラムシ,ゴミグモ,イタドリ,コウモリガの食べかす,タンポポ,キムネクマバチ,ビロードツリアブ,クビキリギス,イセノナミマイマイ,キュウリグ サ,シャクトリムシ,ナナフシモドキ,アケビ,ミツバアケビ,モモブトカミキリモドキ,イロハモミジ(タカオカエデ),アオキの花,ヤマブキ,ボケ,ヒメ オドリコソウ,コメツブツユクサ,ハルジオン,テングチョウ,ベニシジミ,ツチイナゴ,スズメノテッポウ,タンポポ笛,ハンノキ,ヘビイチゴ

文・写真:伊藤義人 監修:滝川正子

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2015-5-4 178

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