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5月度の観察記録
2015年5月度の観察記録です

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初夏を思わせる快晴で,地下鉄の東山公園駅を出た所で思わず上着を脱ぎました.新池の水面は,すっかり濃緑のスイレン(睡 蓮,スイレン科)に覆われ,水鳥は何も来ていませんでした.土手のセ ンダン(栴檀,センダン科)は,薄紫色の花をいっぱいつけていました.また,ハリエンジュ(針槐,マメ科,別名:ニセアカシ ヤ)の白い花が,風もないのにはらはらと落ちて,小径に積もっていました.周辺には,ヒヨドリ(鵯,ヒヨドリ科),ムクドリ(椋鳥,ムクドリ科)およびス ズメ(雀,スズメ科)だけが飛び交っていました.
参加者は,子供4名と大人26名でした.畑班には沢山の子供たちが,サツマイモ(薩摩芋,ヒルガオ科)の苗の植え込みに来ていました.

センダンの花

里山の家の納屋(倉庫)の屋根には,紫色の小さな花をつけた30cm丈くらいのマツバウンラン(松葉海蘭,ゴマノハグサ科) が群生していました.集合場所で,まず先月の報告を見ました.コナラ(木楢,ブナ科)に関連して,街路の木楢を切ってしまうという話しがでました.ドング リで転び怪我をしたときに訴える市民がいるためだそうです.悪いのは,訴える市民か切ることを聞き入れる役所かという議論が出ました.こんなのは,自己責 任というのが多数意見でした.
シャクトリムシ(尺取虫)の前後の足について説明があり,シャクガ(尺蛾,シャクガ科)の幼虫を見つけたら観察することになりました.コウモリガ(蝙蝠 蛾,コウモリガ科)がイタドリ(虎杖,タデ科)の茎に穴を開けるのは「掘る」と書くのか「堀る」と書くかというのが話題になりました.パソコンの変換機能 では,「ほる」は「掘る(動作)」と「彫る」しか出てきません.「堀」は「お堀の堀(名詞)」のような使い方のようです.

屋根の上のマツバウンラン

報告の中のアオキ(青木,アオキ科)の写真は男木だという指摘がありました.太田道灌の話しの中の農家の女性(後に紅皿と いう名前の尼さん)の碑が,新宿にあるという指摘をした参加者がいました.

【外部リンク】紅皿の碑(新宿さまよい歩き)

畑の土と一緒にエビガラ スズメ(蝦殻天蛾,スズメガ科)のさなぎ殻を持ってきた女性参加者がいました.掘り出すときに傷つけ死んだようでした.
里山の家を出発して,直ぐ前の小さな雄花を咲かせていたクスノキ(樟,クスノキ科)の幹にヨコズナサシガメ(横綱刺亀,サシガメ科)を 見つけました.尾部の赤いのは,ダニではないかという参加者もいましたが,生まれたときはもっと全体が赤いという指摘が昆虫少年からありました.

エビガラスズメのさなぎ殻 ヨコズナサシガメ

大坂池土手のズミ(酸 実,バラ科)の白い花を観察しました.ズミは棘があるので,公園には向かないという指摘があったという説明がありました.何が安全なのかという議論がまた ありました.直ぐ横のイボタノキ(水 蝋の木,モクセイ科)も観察しました.

ズミの花 イボタノキ

オタマジャクシ池の横のカワヤナギ(川柳,ヤナギ科)(以前はイヌヤナギとしていた)にナカグロモクメシャチホコガ(中黒木目鯱蛾, シャチホコガ科)の小さな1齢幼虫ともう少し大きな幼虫を数匹見つけました.どちらが頭かという質問が出ました.触ると2本の触角状のものがついた尾部を 盛んに振って威嚇してきました.カワヤナギの葉に,黄色と黒色の模様のヤナギハムシ(柳葉虫,ハムシ科)の成虫も見つけました.葉の食痕が,バラバラな形 をしていたので,どのような昆虫が食べたのかが話題になりました.蝸牛(かたつむり)は,葉の表面を食べ,コフキゾウムシ(粉吹象虫,ゾウムシ科)のよう に葉の端から食べる昆虫もいますが,食痕がバラバラなのは,いきあたりばったりに食べる幼虫のせいだという意見がでました.

ナカグロモクメシャチホコガの1齢幼虫 ナカグロモクメシャチホコガの幼虫の威嚇

オタマジャクシ池の奥のバンブー(bamboo,イネ科)の桿(さお)に1cm大の穴が沢山あいていました.タイワンタケクマバチ(台湾竹熊蜂,ミツバチ 科)の巣で,周辺をぶんぶんと10数匹が飛び回っていました.捕獲して雄の頭が白いのを確認しました.雌は真っ黒ですが,刺されると危ないので昆虫少年が 針を抜いて子供に渡しました.
直ぐ横のエノキ(榎,ニレ 科)の葉の表面に虫えい(エ ノキハイボフシ?)がぎっしりあり,女性参加者から気持ち悪いという感想が出ました.
バンブーの横のユズ(柚,ミ カン科)の白い花でツマグロヒョウモン (褄黒豹紋,タテハチョウ科)の雄が吸蜜していました.周辺にはア ヤメ(菖蒲,アヤメ科)がきれいな紫色の花を咲かせていました.

雄のタイワンタケクマバチ エノキの虫えい ユズの花とツマグロヒョウモン アヤメ

また,大坂池の土手に戻り,ハ ンノキ(榛の木,カバノキ科)の昨年の実殻と小さな今年の雌花の新芽を観察しました.昨年の房状の雄花も木の下で見つけまし た.
スモモ池にアオサギ(蒼鷺,サギ科)が1羽来ていました.脚で水中をさぐり,ザリガニを捕らえました.参加者の女性が大きな声をあげたので,驚いてくちば しにくわえたザリガニを落としてしまいました.
道端のピンクの花が満開のモチツツジ(黐 躑躅,ツツジ科)を観察しました.淡いピンクの花の根元は触るとべたべたしました.躑躅は,コバノミツバツツジ(小葉三つ葉躑躅,ツツジ科)が最初に花を 付け,明るい場所で咲くモチツツジが最後に花を付けるという説明がありした.

ハンノキの雌花の新芽 モチツツジ

周辺でスイカズラ(忍 冬,スイカズラ科)の白色と黄色の花が混じっているのを見つけました.別名の金銀花の様子でした.花をとって根元を吸うと上品なジャスミン (Jasmine,モクセイ科)の味がすると複数の女性参加者が言いました.野鳥に食べられたのか翅の端がボロになったナガサキアゲハ(長崎揚羽,アゲハチョウ科) を昆虫少年が捕獲しました.このとき,上空をオオタカ(蒼鷹,タカ科)が飛び去りました.

スイカズラの白色と黄色の花 ナガサキアゲハ

炭焼広場では,多くの親子連れが,サツマイモ(薩摩芋,ヒルガオ科)の苗を植えて,水やりをしていました.水辺近くの大き なエノキの木の幹を数匹のヒオドシチョウ(緋 縅蝶,タテハチョウ科)の幼虫が上下していました.周辺の草むらにもヒオドシチョウの幼虫,前蛹および蛹を見つけました.マイマイガ(舞舞蛾,ドクガ科)の幼虫もエノ キにいました.

ヒオドシチョウの幼虫 ヒオドシチョウの前蛹 ヒオドシチョウの蛹 マイマイガの幼虫

水辺の近くで葉だけのゼ ンマイ(銭巻,ゼンマイ科)を見つけました.林の中でヤマトゴキブリ(大和蜚蠊,ゴキブリ科)を捕獲した昆虫少年は,母親から 捨てるように言われていました.冷凍庫に入れておいて叱られた経験があると言っていました.
サワフタギ(沢蓋木,ハイノキ科)の葉にシロシタホタル ガ(白下蛍蛾,マダラガ科)の幼虫がいました.周辺によく似たスノキ(酢の木,ツツジ科)とウスノキ(臼の木,ツツジ科)がありました が,葉をかじったところ,スノキの葉は酸っぱく,ウスノキは何の味もしませんでした.

ゼンマイ シロシタホタルガの幼虫 スノキ ウスノキ

柑橘類を植えた場所で,ナミアゲハ(並揚羽,アゲハチョウ科)の一齢幼虫を見つけました.柑橘類の木々は白い花を付けてい ましたが,木の種類は分かりませんでした.
湿地で,カキツバタ(杜若, アヤメ科)が群生しているのを観察しました.カキツバタは愛知県の県花であり,「伊勢物語」の中で在原業平がカキツバタの歌を詠った事が参加者から披露さ れました.
から衣 きつつなれにし つましあれば
はるばる来ぬる たびをしぞ思ふ

カキツバタ

11:45になり急いで,里山の家に戻り感想会をしました.イナゴ(稲子または蝗,イナゴ科)の佃煮と朝摘みイチゴ(苺,バラ科)が回され ました.「昆虫の幼虫がたくさん見られて良かった」,「金銀花は上品な味がした」,「葉を囓ってみて幼虫の気持ちが分かった」などの感想がでました.ま た,「この観察会は無責任で話しを聞かないで途中どこへ行っても良いので大変気楽だ」という感想まで出ました.虫たちの生きる力を見せつけられた初夏の快 適な観察会になりました.

イナゴの佃煮と朝摘みイチゴ

観察項目: エビガラスズメの蛹殻,クスノキ,ヨコズナサシガメ,ズミの花,イボタノキ,カワヤナギ,ナカグロモクメシャチホコの幼虫,ヤナギハムシ,タイワンタケク マバチ,ユズ,ツマグロヒョウモン,アヤメ,ハンノキ,アオサギ,モチツツジ,スイカズラ,ヒオドシチョウの幼虫,前蛹および蛹,マイマイガの幼虫,ウス ノキ,スノキ,ゼンマイ,ヤマトゴキブリ,サワフタギ,シロシタホタルガの幼虫,カキツバタ,アシ,柑橘類の花,ナガサキアゲハ,ナミアゲハの幼虫,ヒメ ウラナミジャノメ,エノキ

文・写真:伊藤義人 監修:滝川正子

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2015-6-21 175

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