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6月度の観察記録
2015年6月度の観察記録です

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梅雨入りしていましたが雨は降らず,ずっと曇り空でした.陽差しがなかったので,歩いても快適でした.平和公園内は緑が濃 くなって初夏の様相でした.新池の水面はすっかりスイレ ン(睡蓮,スイレン科)に覆われ,何故か一部の隅だけに白い花が咲いていました.水鳥は何もきていませんでした.ただし,観察 会終了後に立ち寄ると,アオサギ(青 鷺,サギ科)とカワセミ(翡翠,カワセミ科)が1羽ずついました.センダン(栴檀,センダン科)は緑の実を付け始めていました.
東星ふれあい広場の東端では,アジサイ(紫 陽花,アジサイ科)が満開でした.以前の集合場所のアジサイ花壇の花も満開でした.
参加者は,最初は大人12名だけでしたが,直ぐに15名に増え,女の子も1名参加しました.

新池のスイレン アオサギ 東星ふれあい広場のアジサイ

里山の家の前で,先月の観察記録を皆で見ました.先月話題となった交差点のコナラ(木楢,ブナ科)はとりあえず残すことに なったそうです.
ヒメボタル(姫蛍,ホタル科)の発生や植物の生育などが例年より2週間早いということが話題になりました.観察記録の中のナカグロシャチホコガ(中黒木目 鯱蛾,シャチホコガ科)が尾部を振って威嚇するのを実際に見た人は少なかったようです.
5月31日に田植をした後に,イネミズゾウムシ(稲 水象虫,ゾウムシ科)が大発生したという報告が田んぼ班からありました.後で見に行くことになりました.

【外部リンク】イネミズゾウムシ(福岡県病害虫防除所)

イネミズゾウムシ

参加者の1人が行った大分県の姫島のア サギマダラ(浅黄斑,マダラチョウ科)が群舞している絵はがきの写真を皆で見ました.5月中旬からスナビキソウ(砂引草,ムラ サキ科)を目当てにアサギマダラの雄のみが姫島に来るようです.雄が性フェロモンを出す(成熟する)ために砂浜に咲くスナビキソウに含まれるピロリジジン アルカロイド(Pyrrolizidinealkaloid,略称: PA)の摂取が必要と考えられているようです.秋に南下するときはフジバカマ(藤袴,キク科)などから吸蜜するという説明がありました.

【外部リンク】スナビキソウはアサギマダラを惹きつける不思議な花(3D植物園)

アサギマダラの絵ハガキ

次に,参加者が持ってきた梅の枝に擬態したト ビモンオオエダシャク
(鳶紋大枝尺,シャクガ科)を観察しました.いつものように,顔がキティーちゃんに似ているとして話題になりました.かなり長い間,垂直に枝に擬態してい ましたが,我々が話している内に動き出しました.オビカ レハ(帯枯葉,カレハガ科)の卵が梅の3つの小枝に帯になってついているのを観察しました.オビカレハの成虫が小枝をぐるぐる 回って産む様子が想像されました.

トビモンオオエダシャクの幼虫 オビカレハの卵

1月に見たカブトムシ(甲 虫または兜虫,コガネムシ科)の幼虫が羽化して2匹の雄となったものが披露されました.コーヒーシロップを入れるプラスチック容器に緑色のゼリ−が入った 餌も透明プラスシックの虫かごに入っていました.1日に1つは食べてしまう大食漢だそうです.
今回は参加しなかった昆虫少年が,「ムシの世界」と題して,名大博物館で昆虫の折り紙を披露するというアナウンスがありました.
最後に,自宅のパンジー(Pansy,スミレ科)についたツ マグロヒョウモン(褄黒豹紋,タテハチョウ科)の蛹(さなぎ)を持ってきた人がいました.蛹には数点のぴかぴか金色に光る点が ありました.

カブトムシ ツマグロヒョウモンの蛹

10:05 になって,まず,里山の家の倉庫の壁についている,ヒオドシチョウ(緋縅蝶,タテハチョウ科)の 蛹を見に行きました.遠くのエノキ(榎,ニレ科)から歩いてきて蛹になったということでした.すぐ横のカエル池の水面上をギンヤンマ(銀蜻蜒,ヤンマ科) のオスが飛んでいました.
大坂池土手の4〜5cm 大のアンズ(杏, バラ科)の実を次に観察しました.木を揺ると,実が10数個落ちてきました.この実を食べた人達から,うまいではなく「食べられる」という感想がでまし た.実の種はアンニンドウフ(杏仁豆腐)を作るときに使うという説明がありました.アンズの実には2種の種があり,片方は苦く,もう1つの苦くないのと組 み合わせて使うそうです.

ヒオドシチョウの蛹 アンズの実

急いで水田まで行きました.すぐにイネ(稲,イネ科)の苗の各株についている数mm 大の黒っぽいイネミズゾウムシを見つけました.水の中にいれると泳いで移動しました.このイネミズゾウムシは,森で成虫越冬して,春に出て来て単為生殖で 増えるそうです.水中や水面には,他の虫も沢山いました.水中のアオミドロ(青味泥,ホシミドロ科)やウキクサ(浮草,ウキクサ科)は,遮光になって雑草 を抑制するので田んぼによいという説明がありました.アメンボ(水黽,アメンボ科)もいて,イネミズゾウムシを水面に落として食べてもらえばという意見が 出ました.1人の女性参加者が,水田の中に入って,除草をして取れた草を見せてくれました.コナギ(小菜葱,ミズアオイ科)やクログワ? (黒慈姑,カヤツリグサ科)も水田の中にありました.最近は,ヌマガエル(沼蛙,ヌマガエル科)も水田に夜出てくるという報告がありました.田植のとき は,コウキヤガラ(小浮矢柄,カヤツリグサ科)も生えていたそうです.干拓地に生える雑草です.雑草対策には,水を深くして,虫対策には水を浅くするのが よいという説明もありました.イネミズゾウムシの被害は,苗の葉の食害より幼虫により根が喰われる方が問題のようです.農薬を使わない稲作は容易ではない ことが分かりました.近くの水路の草に,つがいのオオシオカラがとまりました.

コナギ

水田を離れて,クリ(栗,ブナ科クリ属)の花をみるために東に向かいました.ホタルガ(蛍蛾,マダラガ科),シマサシガメ(縞刺亀虫,サシガメ科),マイマイガ(舞舞蛾,ドクガ科)の幼虫などを 途中で見つけました.マイマイガの幼虫は刺さないと聞いて,手に這わせた人もいました.後で調べるとドクガ(毒蛾,ドクガ科)と同じ科ですが,1齢幼虫以 外は毒をもたないということがわかりました.ここで,脚をすぼめた1cm大の黒いクモを見つけました.トリノフンダマシ(擬鳥糞蜘蛛,コガネグモ科)の形 に似ていましたが色が違うので,ビンに入れて持ち帰った参加者がいました.ハ スジカツオゾウムシ(翅条鰹象鼻虫,ゾウムシ科)が,ヨモギ(蓬,キク科)の葉の上で交尾しているのを見つけました.ビンの中 に入れても離れませんでした.名前の由来が話題になりました.

ホタルガ シマサシガメ マイマイガの幼虫 ハスジカツオゾウムシ

ボケ(木瓜,バラ科)に巻き付いたオ オウマノスズクサ(大馬の鈴草,ウマノスズクサ科)の花を観察しました.ジャコウアゲハ(麝香揚羽,アゲハチョウ科)の食草で すが,今回初めて沢山の花を見ました.3cm径くらいのラッパ状をした暗い紫色の花は,馬の首に掛ける鈴のようだということからこの名前がついたという説 もあるようです.
ここで,ゴミグモ(塵蜘蛛,ゴミグモ科)の10cm長くらいの帯を見つけました.ゴミグモ自体は見つけられませんでした.周辺で,エナガ(柄長,エナガ 科),コゲラ(小啄木鳥,キツツキ科),ヤマガラ(山雀,シジュウカラ科),キビタキ(黄鶲,ヒタキ科)など野鳥の鳴き声が聞こえました.産卵管が 30cmもの長さを持つウマノオバチ(馬尾蜂,コマユバチ科)を以前に見たという参加者がいました.シロスジカミキリ(白筋髪切,カミキリムシ科)の幼虫 に産卵するそうです.どうやって産卵管を使うかという疑問がでました.セイボウ(青蜂,セイボウ科)も見てみたいという話しがでました.
黄色い花をつけたカタバミ(酢漿草,カタバミ科)の周辺にヤマトシジミ(大和小灰蝶,シジミチョウ科)が産卵に来ていました.周辺にベニシジミ(紅小灰蝶,シジミチョウ科)も飛 んできてじっととまって羽を広げたので,うまく写真に収まりました.コ ムラサキシキブ(小紫式部,クマツヅラ科)が小さな密集した花を付けていました.

オオウマノスズクサの花 ベニシジミ コムラサキシキブの花

3m以上の大木になったサンゴジュ(珊瑚樹,スイカズラ科)が白い花をいっぱいつけていました.ニホンミツバチ(日本蜜蜂,ミツバチ科)やベニカミキリ(紅天牛,カミキリムシ科)などの虫がたくさん来ていました.

サンゴジュとニホンミツバチ ベニカミキリ

周辺の草原を歩くたびに,足下から十数匹のハグルマエダシャク(歯車枝尺蠖,シャクガ科)が飛び立ちました.直ぐに葉の下に隠れてしまうので,写真を撮ることはできませんでした.白いバラシロエダシャク(薔薇白枝尺蠖,シャクガ科),フタホシシロエダシャク(二星白枝尺蠖,シャクガ科),クロフオオエダシャク(黒斑大枝尺,シャクガ科)などは,うまく写真を撮ることが出来ました.これらの名前は後で,WEBで調べましたが,エダシャクの種類の多さにはびっくりしました.

バラシロエダシャク フタホシシロエダシャク クロフオオエダシャク

サンゴジュの直ぐ横の独特の香りのするクリ(栗,ブナ科)の雄花と雌花を観察しました.女の子に将来クリの実なる雌花を見せ ても,クリの実の形になっていないので関心を持ってもらえませんでした.白い小さな花には,ベニカミキリ,ハナムグリ(花潜,コガネムシ科),ニホンミツ バチなどがいました.
キマダラカミキリ(黄斑髪切虫,カミキリムシ科)をコナラの幼木に見つけ,ビンに入れて観察しました.帰り道に緑色の1cm径くらいの球状の実を付け始めたタブノキ(椨の木,クスノキ科)を観察しました.
感 想会を里山の家の中で行いました.平和公園の稲作の最初の2年はビギナーズラックでよくできて,昨年はスズメとビールス性の病気で出来が悪く,今年は森の 中で越冬していたイネミズゾウムシが爆発的に増え,田んぼ班の人は困っていました.他の参加者から田んぼらしくなったという感想も出ました.
いつもの女性参加者から,堅いビスコッティー(イタリア語で2度焼きの意)の提供がありました.参加者が少なくなったので,3回ほど回ってきて,その度に賞味しました.
キビタキ,コゲラ,エナガなどが鳴き,蝶や蛾が舞う初夏の生き生きとしたものに触れた観察会になりました.

観 察項目:カブトムシ,トビモンオオエダシャク?,姫島のアサギマダラの写真,ツマグロヒョウモンの蛹,ヒオドシチョウの蛹,柳の葉のハムシの食痕,アンズ の実,イネミズゾウムシ,アオミドロ,コナギ,クログワ?,コウキヤガラ,アメンボ,ギンヤンマ,つがいのオオシオカラ,オオウマノスズクサの花,サンゴ ジュ,ハナムグリ,ハグルマエダシャク,ホタルガ,ハスジカツオゾウムシのつがい,フタホシシロエダシャク,キスジナミシャク,クリの雄花と雌花,コナス ビ,ヤマトシジミ,モンキチョウ,モンシロチョウ,シマサシガメ,ベニシジミ,ツバメシジミ,セスジナミシャク,オオウンモンクチバ,トウチクの筍,マイ マイガの幼虫,キビタキの鳴き声,コゲラ,エナガ,ヤマガラ,ツバメ,スズメ,キマダラ(ミヤマ)カミキリ.
文・写真:伊藤義人 監修:滝川正子

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2015-8-14 264

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