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9月度の観察記録
2015年9月度の観察記録です

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台風が去り,他地域では大変な状況でしたが,名古屋は風も雨もたいしたことは無く,当日は曇りで少し暑く,歩くと汗が出ました.歩道端では,コスモス(秋桜,キク科)やハナゾノツクバネウツギ(花園衝羽根空木,スイカズラ科)の花が咲いていました.新池のスイレン(睡蓮,スイレン科)の葉はもう枯れ始めていました.水鳥は何もいなくて,周辺で姿を見せたのはムクドリ(椋鳥,ムクドリ科)とスズメ(雀,スズメ科)だけでしたが,モズの睫弔も聞こえました.また,街路樹のサクラ(桜,バラ科)には黄葉した葉が混じり,トウカエデ(唐楓,カエデ科)の先端では紅葉が始まっていました.アレチヌスビトハギ(荒地盗人萩,マメ科)の花も多く咲いていました.

コスモス ハナゾノツクバネウツギ

新池東端の土手の樹木は,独特の香りの花を付けたクズ(葛,マメ科)ですっかり覆われていました.上空にはウスバキトンボ(薄翅黄蜻蛉,トンボ科)が10数匹飛び,周辺では虫の鳴き声と寂しげなツクツクボウシ(寒蝉,セミ科)の鳴き声がして,秋の気配を感じました.参加者は子供2名と大人20名でした.
野草で囲まれて水面が見にくくなった大坂池には,まだ,ツバメ(燕,ツバメ科)が飛んでいました.周辺の土手には5羽のハシボソガラス(嘴細鴉,カラス科)がいました.土手の上空は,数十匹のウスバキトンボが乱舞していました.また,大坂池周辺を歩くと草の中からウスオエダシャク(薄尾枝尺,シャクガ科)がいくつか飛び出しました.

ウスバキトンボ ウスオエダシャク

まず,里山の家の前で報告を見ました.里山の家の標高は33mで,平和公園の高いところで100mということで,津波などの水害はなく,防災緑地となっているという話しがありました.報告の中のタカサゴユリ(高砂百合,ユリ科)に関連して,北海道にはなく,岐阜県八百津町の杉原千畝記念館の周りに多いということでした.球根は食べられるかという質問が出て,非常に苦いという回答でした.種子で増えるので先日まで里山の家の屋根でも花を咲かせていました.一方,平和公園に少ないササユリ(笹百合,ユリ科)は中々増えないということでした.
報告のポイズンリムーバーに関連して,外来種のツマアカスズメバチ(褄赤雀蜂,スズメバチ科)がついに九州北部で観察されたという報告がありました.対馬では前から猛威を奮っていましたが,ついに九州本土まで来てしまったようです.

【外部リンク】ツマアカスズメバチ(国立環境研究所 侵入生物データベース)

報告写真のコオニヤンマ(子鬼蜻蜓,サナエトンボ科)は普通のオニヤンマ(鬼蜻蜓,オニヤンマ科)ではという指摘がありました.多少小さいのとその挙動からコオニヤンマとしましたがあまり自信はないです.報告写真のサルトリイバラ(猿捕茨,サルトリイバラ科)の食痕は何によるものかという質問に回答はありませんでした.
参加者が,オオウマノスズクサ(大馬の鈴草,ウマノスズクサ科)と一緒に2種の幼虫を持ってきていました.小ぶりで赤い点々の模様のある黒褐色のジャコウアゲハ(麝香揚羽,アゲハチョウ科)と黄色の点々の模様のついた黒っぽいホソオチョウ(細尾蝶,アゲハチョウ科)の幼虫でした.ジャコウアゲハは,2化(年2回羽化)でホソオチョウは3〜4化で,食草はいずれもオオウマノスズクサですが,食べ方はホソオチョウの方が倍以上だそうです.外来種のホソオチョウは1978年に東京都で初めて観察され,2006年に春日井市と豊田市で,2008年に矢田川で,2014年には平和公園の平和堂で観察されたという報告がありました.

【外部リンク】ホソオチョウ(国立環境研究所 侵入生物データベース)

集合時間までに男の子が捕獲し,透明なプラスチック容器に入れたシオカラトンボ(塩辛蜻蛉,トンボ科),ウスバキトンボ,2頭のキタキチョウ(北黄蝶,シロチョウ科)を観察しました.シオカラトンボとオオシオカラトンボ(大塩辛蜻蛉,トンボ科)は,腹部(尾の先)の黒い部分の大きさで判定しました.ウスバキトンボについて,春に田圃で羽化し,山へ行き,秋に里に戻ってくるという説明がありました.マーキングをした時期もあったそうですが,再捕獲は難しかったそうです.観察中に,シオカラトンボが1頭のキタキチョウを食べてしまいました.

シオカラトンボ キタキチョウ キタキチョウを食べるシオカラトンボ

トチノキ(栃の木,トチノキ科)の種々の大きさの実を持ってきた参加者がいました.平和公園の大きなトチノキは,名古屋オリンピック反対運動で,バーデンバーデンに行ったときに実を持ち帰って,植えたものだという説明がありました.オキナワウラジロガシ(沖縄裏白樫,ブナ科)のドングリを付けたストラップも紹介されました.日本で一番大きなドングリだそうですが,アベマキ(阿部慎,ブナ科)のドングリと大きさはたいして変わらないと言う参加者もいました.台湾のドングリをつけたキーホルダーも紹介されました.

トチノキの実 ドングリを付けたストラップ

次に,「日本のスズメの歴史」という300部限定の自費出版(非売品)の厚い本が紹介されました.シャーレに入った3匹のクロメンガタスズメ(黒面形天蛾,スズメガ科)の亡骸を見ました.一見すると蝉のようでしたが,フェロモンを出してミツバチ(蜜蜂,ミツバチ科)の蜜を食べに巣に入り,失敗して蜜蜂に逆襲されたものという説明がありました.非常に蝉に似ていましたが,脚の形状が蝉とは違うという指摘がありました.クチバスズメ(朽葉天蛾,スズメガ科)の蛹を持って来た人もいました.

クロメンガタスズメの亡骸

里山の家を出発して,大坂池土手のアンズ(杏,バラ科)についたモンクロシャチホコ(紋黒天社蛾,シャチホコガ科)の種々の大きさの幼虫をまず観察しました.3つの集団になって葉を競って食べていました.手で触って刺激すると,シャチホコ(鱐)の形になりました.腹端と頭をあげ脚を振って威嚇する姿が名前の由来ですが,桜などのバラ科の植物の葉を食べるという説明がありました.一部の枝は,全ての葉が食べられて目立っていました.

モンクロシャチホコガの幼虫

ここで,モンシロチョウ(紋白蝶,シロチョウ科)や蓑虫,穴の空いた小蜂の巣,テントウムシダマシ(天道虫騙し,テントウムシ科)などを観察しました.また,茶色い球形のトリノフンダマシ(鳥の糞騙し,コガネグゴモ科)の卵嚢がカキノキ(柿の木,カキノキ科)の木などにぶら下がっていました.ビーティングネットでコナラ(木楢,ブナ科)からコナラシギゾウムシ(木楢鴫象虫,ゾウムシ科)を捕かまえた参加者がいました.周辺は,ツヅレサセコオロギ(綴刺蟋蟀,コオロギ科)の鳴声がしました.土手のクコ(枸杞,ナス科)には薄紫色の花がまだ残っていました.早朝にはルビモンハナバチ(瑠璃紋花蜂,コシブトハナバチ科)が来ていたそうです.

蓑虫 トリノフンダマシの卵嚢 コナラシギゾウムシ クコの花

サトキマダラ(里黄斑日陰蝶,タテハチョウ科),サトクダマキモドキ(里管巻擬,ツユムシ科),コバネイナゴ(小翅稲子,イナゴ科)なども観察しました.クサギカメムシ(臭木椿象,カメムシ科),ツチイナゴ(土稲子,イナゴ科)の終齢幼虫クビキリギス(首蟋蟀,キリギリス科)の緑色の幼虫ウラギンシジミ(裏銀小灰,シジミチョウ科)の幼虫なども捕獲して観察しました.小さなウラギンシジミの幼虫が最も参加者の興味を引きました.

コバネイナゴ ツチイナゴの終齢幼虫 クビキリギスの幼虫 ウラギンシジミの幼虫

湿地に行き,白い花をつけたシラタマホシクサ(白玉星草,ホシクサ科)の群生を見ました.もうサギソウ(鷺草,ラン科)の花はありませんでした.雄のミドリヒョウモン(緑豹紋,タテハチョウ科)がヒヨドリバナ(鵯花,キク科)に来ていました.近くでガガイモ(蘿摩,ガガイモ科)の花もありました.
水田で栽培されている「高山もち」は,分蘖(ぶんげつ)は25程度で普通ですが,薄茶色に成熟した籾とまだ青い籾が混ざっていました.9月27日に稲刈りの予定だそうです.遅らせると成熟した籾が割れてしまうということでした.水田にかけてある網をくぐってスズメが成熟している籾だけを選んで食べた痕がありました.青い花をつけたコナギ(小菜葱,ミズアオイ科)も水田で見つけました.
急いで東方向へ行き,ボケを覆っているオオウマノスズクサを観察して,30匹くらいのジャコウアゲハの幼虫ホソオチョウの幼虫と蛹を観察しました.周辺は,ツクツクボウシの合唱でした.

ミドリヒョウモン ジャコウアゲハの幼虫 ホソオチョウの幼虫と蛹

ここで,ルリモンハナバチを捕獲した人がいて,皆で観察しました.ブルービーといわれ,見ると幸せになれると言われています.

【外部リンク】青い蜂ブルービー(TSUNEBO.com)

帰り道で蜘蛛の網にひっかかったイチモンジセセリ(一文字せせり,セセリチョウ科)と蜘蛛の格闘を観察しました.小さな蜘蛛が近寄って,糸を巻こうとしますが,そのたびに羽をばたつかせるイチモンジセセリに追い返されていました.4〜5回の試行を見ましたが,時間がないので決着を見るのをあきらめて里山の家に戻りました
帰り道で,ヘクソカズラ(屁糞葛,アカネ科)の葉にヘクソカズラグンバイ(屁糞葛軍配,グンバイムシ科)の幼虫と成虫を観察しました.外来種で,幼虫は下に落ちてしまい,透明な羽を持つ成虫は小さすぎて写真には写りませんでした.
下草にはキツネノマゴ(狐の孫,キツネノマゴ科)が小さな花を付けて群生していました.コクワガタ(小鍬形,クワガタムシ科)の雌雄をアベマキの幹の根元から捕ったものをもらった小さな男の子が大喜びしていました.デパートでなく,樹木から捕った野生のコクワガタに非常に満足している様子でした.
トンボ池の横のヌルデに4〜5cm大の虫こぶが数個ついているのを示し,ヌルデミミフシ(白膠木耳五倍子)という名前が紹介されました.ヌルデシロアブラムシ(白膠木白油虫,アブラムシ科)が中に入っているという説明を受けて,1つ割って,中が中空で黄色い小さな幼虫が沢山いるのを確認しました.来月には雪虫になるということでした.タンニンを多く含むので染料やお歯黒にこの虫こぶは使われたという説明がありました.

イチモンジセセリと蜘蛛の格闘 ヌルデミミフシの中のヌルデシロアブラムシ

柑橘類の畑から,ナガサキアゲハ(長崎揚羽,アゲハチョウ科)の若齢,亜終齢および終齢幼虫を里山に家に持ってきた男の子がいたので,皆で観察しました.
その後,感想会を行い,「ウラギンシジミの幼虫を見られて感激した」,「虫たちのシーズンオフが近く秋の気配を感じた」などの感想が出ました.夏と秋の間の豊穣な季節を楽しんだ感想会になりました.

観察項目:ジャコウアゲハの幼虫,オソオチョウの幼虫,トチの実,オキナワウラジロガシの実の付いたストラップ,ウスバキトンボ,シオカラトンボ,キタキチョウ,モンクロシャチホコの幼虫,クコ,ハンノキ,ミノムシ,コバネイナゴ,ハイイロチョッキリ,ウラギンシジミの幼虫,クズ,雌のオオシオカラ,ツチイナゴの幼虫,ホソオチョウの幼虫と蛹,イチモンジセセリとクモの格闘,イネ,ムスジイトトンボ,ヌルデミミフシ,ヌルデシロアブラムシの幼虫,ヘクソカズラグンバイ,コクワガタの雌雄,ガガイモの花,ルリモンハナバチ,ブドウトリバ

文・写真:伊藤義人 監修:滝川正子

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2015年9月度の観察記録を一部修正しました。 修正点は10月度の記録を参照ください。
2015-11-1 55
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