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10月度の観察記録
2015年10月度の観察記録です

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自宅を出るときは小雨が降っており,長靴を履いて出かけました.集合時には,今にも雨の降りそうな曇り空でした.天気予報では,次第に良くなるというものでしたが,残念ながら,観察会の間は本格的な雨は降りませんでしたが,何度か小雨がパラパラしました.街路のサクラ(桜,バラ科)は半分くらい葉を落しており,トウカエデ(唐楓,カエデ科)はきれいな紅葉が始まっていました.新池は,相変わらずスイレン(睡蓮,スイレン科)の葉にほとんどの水面は覆われていましたが,ヒドリガモ(緋鳥鴨,カモ科)が,わずかに水面が出ている南側に3羽と北東の遮光幕実験場に8羽が来ていました.アオサギ(青鷺,サギ科)も1羽だけいました.土手のセンダン(栴檀,センダン科)は葉が少なくなり,実が少し黄味をおびていました.ムクゲ(木槿,アオイ科)の花も大半がしおれて落ちていて,1輪だけ花が残っていました.参加者は,子供4人と大人14人でした.

トウカエデ センダンの実

足場が悪いので,里山の家の中で観察会を開始しました.この時,アオサギ1羽とムクドリ(椋鳥,ムクドリ科)6羽が,里山の家の上空を移動していきました.まず,先月の報告を皆で見ました.アケビコノハ(通草木葉蛾,ヤガ科)がカキノキ(柿の木,カキノキ科)の実にとまって,果汁を吸っているのを見たという報告がありました.また,平和公園外周の側溝にコンクリートの蓋をすることが既に決まったという報告もありました.湧水がありオニヤンマ(鬼蜻蜓,オニヤンマ科)の産卵場所でもあるので,グレーチングの蓋にすると良いですが,10倍の費用がかかり無理のようです.
里山の家に展示されているプラスチックの透明容器の中で,シンジュキノカワガ(神樹木の皮蛾,コブガ科)が下に敷いたティッシュの下に潜って蛹(さなぎ)になっているのを観察しました.ティッシュの上から触ると動きました.蛹が動いてびっくりした参加者がいました.名古屋市のカマキリ調査が95箇所で行われ,平和公園の中道では26匹を見つけて報告したそうです.1匹だけがハラビロカマキリ(腹広蟷螂,カマキリ科)でオオカマキリ(大蟷螂,カマキリ科)に喰われているところを捕獲されました.オオカマキリは人間の手の上でもハラビロカマキリを喰っていたとの報告がありました.
今年のジョロウグモ(女郎蜘蛛,アシナガグモ科)は餌が少ないせいか痩せているという感想がでました.毎月の報告は,観察物を見つけた参加者が言った名前を尊重して記していますが,写真を見て,オオトリノフンダマシ(大鳥の糞騙し,コガネゴモ科)の卵嚢はトリノフンダマシ(鳥の糞騙し,コガネゴモ科),ツマグロヒョウモン(褄黒豹紋,タテハチョウ科)は縞模様があるのでミドリヒョウモン(緑豹紋,タテハチョウ科)の雄,ハイイロチョッキリ(灰色丁切,チョッキリゾウムシ科)はコナラシギゾウムシ(木楢鴫象虫,ゾウムシ科)であろうという訂正が出ました.
ツクツクボウシ(つくつく法師,セミ科)が,まだ昨日も鳴いていたことや,キンモクセイ(金木犀,モクセイ科)が二度咲きしているという報告がありましたが,キンモクセイの二度咲きはそんなに珍しいことではないようです.

【外部リンク】二度咲きのキンモクセイ(晴れ時々趣味の園芸)

参加者が持ってきた20cm長くらいのノウゼンカズラ(凌霄花,ノウゼンカズラ科)の2つの実を観察しました.藤の実を大きくしたような形で,ナイフで切断してみると,トウカエデの種のような薄い羽のような種がぎっしりと重なって入っていました.取り出して並べると目の模様のような感じを受けました.一橋(東京)の運河の石積みの両岸に,ノウゼンカズラの橙の花が今年たくさん咲いていたのを思い出しました.次に,別の参加者が羽子板の羽のようなツクバネ(衝羽根,ビャクダン科)の実を容器にいれて持ってきたのを観察しました.男の子が,1つとって椅子の上に載って上から落として回転しながらツクバネの実が落ちてくるのを観察しました.

ノウゼンカズラの実 ノウゼンカズラの種 ツクバネの実

最後に,ヒカゲイノコズチ(日陰猪子槌,ヒユ科)を観察しました.平和公園に普通にあるヒナタイノコズチ(日向猪子槌,ヒユ科)とイノコズチ(猪子槌,ヒユ科)の3種の違いの説明がありました.付属物の形状だけでなく,葉の形でも分かるという人もいました.
里山の家を出発して,まず大坂池周辺のセイタカアワダチソウ(背高泡立草,キク科)が除草されているのに気づきました.探鳥会の人達が,残念がっていたそうです.セイタカアワダチソウの種がこれから渡ってくるベニマシコ(紅猿子,アトリ科)の餌になるためです.
大坂池の南側の道を進んだ時,大きな2匹のイセノナミマイマイ(伊勢之並蝸牛,オナジマイマイ科)と直ぐ横に5cm長くらいのコスズメ(小雀,スズメガ科)の幼虫を見つけました.コスズメは,頭の方の目玉模様と尻に尖った刺(尾角)が特徴でした.次に,小さな実がたくさんついたマメガキ(豆柿,カキノキ科)の葉にイラガ(刺蛾,イラガ科)の幼虫がいたるところにいるのを見つけました.刺された後に腫れて痛い経験をした参加者がいました.

イセノナミマイマイ コスズメの幼虫 イラガ

ヨモギ(蓬,アカザ科)にヒメアカタテハ(姫赤立羽,タテハ科)の幼虫がいました.昔は多かったのに最近はあまり見なくなったという感想がでました.緑色の筋の入ったカラスウリ(烏瓜,ウリ科)の実を竹藪の中に見つけました.ヤブガラシ(藪枯らし,ブドウ科)には,まだ蜜のついた花と黒い実が混在していました.コムラサキ(小紫,クマツヅラ科)の紫色の実を見つけ,勧められて食べたところ,柔らかくて甘いものでした.ただし,2mmくらい大きさの実のなかに小さな種が4つも入っていました.近くの瑠璃色のノブドウ(野葡萄,ブドウ科)の実はもう少し大きく,これも食べた人がいましたが,虫が入っている場合が多いので,食べない方が良いと後で言う参加者もいました.途中,タカサゴユリ(高砂百合,ユリ科)の実を見つけたので,割って中の沢山の種を観察しました.

ヒメアカタテハの幼虫 カラスウリの実 コムラサキの実 ノブドウの実

登りの藪こぎをして,名古屋市内を一望できる場所で,木の根元から大きなオオスズメバチ(大雀蜂,スズメバチ科)が5〜6匹飛び出すのを見ました.土の中に巣がありそうでした.そのまま藪こぎを続けて,小径に出ました.両側が林に囲まれ,靄も出ていて薄暗く,とても昼間とは思えない程でした.小径の脇で,多年草で雌雄異株のオケラ(朮,キク科)の地味な花と蕾を観察しました.花は,コウヤボウキ(高野箒,キク科)の花に似ていました.除草されないように依頼した参加者がいたようです.頭上1mくらいのところに,大きなジョロウグモが網をはっていました.網には小さな雄も6匹いました.男の子が,竿で捕まえ手に這わせたので写真を撮りました.お腹の赤色が目立ちました.近くに,緑色の実をたくさんつけたシャシャンボウ(小小坊,ツツジ科)がありました.
星ヶ丘からの坂を登りきった所の空き家の売り出し看板を見ました.土地は,230坪あり,築40年ものの鉄筋2 階建ての建物(床面積140m2)があるそうで,5000万円を超えるようです.坂の下へおりた星ヶ丘であれば,軽く3億円は越えるそうです.
薄暗い小径の両側にはハギ(萩,マメ科)が多く,紫色の小さな花を付けているハギと花が終わって茶色の花殻をつけたハギが混在していました.

オケラの花 ジョロウグモ ハギ

下りの藪こぎをして12月の芋煮会の場所まで行きました.入口のところで掌(てのひら)のような大きな3列した葉をつけた外来種のオオブタクサ(大豚草,キク科)を見つけました.近くの竹の数枚の葉の裏にアカホシテントウ(赤星天道虫,テントウムシ科)がいました.林の中に入った日陰で,縁起が良いと言われるキチジョウソウ(吉祥草,ユリ科)の楚々とした紫色の花と赤紫色の実を観察しました.このキチジョウソウは,以前に誰かが植えたものでしょうが,園芸種かどうかという話しがでました.日本庭園でもよく見かけるものです.
橙色になったカラスウリの実をここで見つけました.近くにアオツヅラフジ(青葛藤,ツヅラフジ科)の瑠璃色の実も見つけて,中の種がアンモナイト(Ammonite 鸚鵡螺化石,デスモセラス科)の形であることを女の子が確認しました.ツマグロヨコバイ(褄黒横這,ヨコバイ科)とオオカマキリの雌雄を捕獲して写真を撮りました.オオカマキリの胸は黄色い筋がありました.雄には,尻の先端の両側に2本の尾毛(尾角)と中間に2本のごく短い尾毛?がありました.雌には真ん中の2本の尾毛はなく産卵器がありました.オオカマキリの後ろ翅は濃い紫色でした.

カラスウリの実 アオツズラフジの実 ツマグロヨコバイ オオカマキリの雌雄

里山の家に帰る途中のシンジュ(神樹,ニガキ科)の木の幹に,幹に擬態したシンジュキノカワガの蛹がたくさんついていました.教えてもらわないと分からない程でした.触ると柔らかい感触でした.

【外部リンク】シンジュキノカワガ羽化記録(生き物たちを探して)

シンジュキノカワガの蛹

帰り道で,ヤマノイモ(山の芋,ヤマノイモ科)のムカゴ(零余子)を見つけて食べた参加者がいました.もう,最盛期は過ぎたようでした.持って来たオオカマキリの尻をせせらぎの水につけて,ハリガネムシ(針金虫,ハリガネムシ科)が出てくるかどうか試しましたが,残念ながら何も出ませんでした.ハラビロカマキリ(腹広蟷螂,カマキリ科)の場合はハリガネムシが出てくる確率が高いと言う参加者がいました.
3枚の田圃の内の1枚が刈り取られずに残っていました.市民に知らせてあったので10 月17 日に刈り取るそうです.湿地にはシラタマホシクサ(白玉星草,ホシクサ科),ミゾソバ(溝蕎麦,タデ科),サワギキョウ(澤桔梗,キキョウ科)が花を咲かせていました.

シラタマホシクサ サワギキョウ

アサギマダラ(浅葱斑,タテハチョウ科)を昆虫少年が捕獲したという声を聞いて,田圃に急いで戻りました.比較的大きい57mm の体長でした.
マーキングをした後で,逃がすため女の子の手のひらに載せると死んだふりをしていました.横向きのよい写真が撮れました.女の子が手をふると飛び立ちましたが,疲れているのか直ぐ近くの桜の木の頂上にとまってじっとしていました.

アサギマダラのマーキング

帰り道の草原を歩くとキアヤヒメノメイガ(黄綾姫野螟蛾,ツトガ科)がたくさん飛び出しました.カエル池に行き,先月観察したヌルデミミフシ(白膠木耳五倍子)を1つだけとってナイフで割ってみると,黄色い幼虫ではなく,黒いヌルデシロアブラムシ(白膠木白油虫,アブラムシ科)がぎっしり内面についていました.羽のついたものも数匹いました.
どうして,名前に「シロ(白)」という名前がついているのかという疑問が出ました.

ヌルデミミフシの中のヌルデシロアブラムシ

里山の家の中で感想会をしました.いつもの女性参加者から,シナモン入りのスイートポテトの差し入れがありました.参加者が少ないので,3度回ってきて3つも食べました.シナモンの香りとポテトのまろやかな味で,大変美味でした.感想として,「多くの虫に会えてよかった」,「アサギマダラのマーキングができてよかった」というものがでました.最後に,柏原市の昆虫館の友の会に参加していた人から,柏原市の昆虫の紹介がありました.大半は平和公園でも見つかるものでした.冊子の地図作成を依頼している男性参加者からは,パッドのGPS 機能を使って作成しているという報告がありました.天候には恵まれませんでしたが,実りの秋を楽しんだ観察会になりました.

観察項目:ヒナタイノコズチ,ノウゼンカズラの実,ツクバネの実,ヒカゲイノコズチ,ヒメアカタテハの幼虫,シンジュキノカワガの蛹,セイタカアワダチソウ,イセノナミマイマイ,コスズメ,アオヒゲヒラガ,イノコズチの虫えい,マメガキ,イラガ,ヤブマメ,コムラサキ,ノブドウ,タカサゴユリの実,オオスズメバチ,オケラ,シャシャンボウ,コウヤボウキ,ハギ,キチジョウソウの花と実,オオカマキリ,シラタマホシクサ,サワギキョウ,ミゾソバ,アサギマダラ,ヤマノイモのムカゴ,キアヤヒメノメイガ,ヌルデミミフシ,ヌルデシロアブラムシ

文・写真:伊藤義人 監修:滝川正子

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2015-11-1 211

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