一日中雨で,自宅からゴム長靴を履いて行きました.たいした雨ではなかったですが,傘なしでは歩けない程でした.街路の桜はすっかり葉を落としており,一方,トウカエデ(唐楓,カエデ科)は見事な紅葉をしていました.
東星ふれあい広場の工事が終わり,道路側に背の高いフェンスと椅子の設置がされていました.小学生以下のボール遊びを優先するという看板が掲げられていました.以前,傍若無人に広場を使っていた野球チームが,これ幸いと本格的な練習をしないとよいですが.参加者は,子供3名と大人14名でした.
雨なので,里山の家の中で観察会を始めました.最初にミズナギドリ(水薙鳥,ミズナギドリ科)の話しがありました.北半球と南半球を渡るときに,太平洋上では餌が少ないので,天候が悪いと数万羽が遭難して,伊勢湾に流れ着くそうです.ハイイロミズナギドリ(灰色水薙鳥,ミズナギドリ科)とハシボソミズナギドリ(嘴細水薙鳥,ミズナギドリ科)の区別が難しいので,骨格標本を作り,頭骨の大きさと外骨格の違いを理解したら成鳥を見分けることが出来るようになったという報告でした.
先月の報告を皆で見たときに,写真のコスズメ(小雀,スズメガ科)の幼虫が,成虫の大きさに比べて大きいという指摘がありました.オケラ(朮,キク科)は,名古屋市の絶滅危惧種に指定されているそうですが,先月見たのは雄株だけで実はつかないという報告がありました.白い帯状の花は葉が変化したもので,花言葉は金欠病だそうです.花の名前は,ウケラ(古語の蓑)が転訛したものという説があります.金欠病の方は,昆虫の(オ)ケラが前から見ると両手を挙げているように見えることから来ているという記述がウェブにありました.
羽根に目玉模様のある台湾産の蛾の標本(学名Caligula japonica arisana)を持ってきた参加者がいて,和名はヒメヤママユ(姫山繭,ヤママユ科,別名:クスサン(樟繭))だろうということでした.最後に,真っ青な実をつけたタビビトノキ(旅人の木,ゴクラクチョウ科,漢名:旅人蕉)が紹介されました.触ると青い実はねばりがありました.
やっと10:20に里山の家を出発しました.いつもとは違って,里山の家の西側の平和公園外周道路沿いを北に向かって歩きました.まず,先月話題になった側溝の新しい蓋を見ました.千種土木事務所が施工したという報告でした.市内では,歩行者や自転車が落ちて怪我をしないように全ての側溝に蓋をする方針だそうです.オニヤンマ(鬼蜻,オニヤンマ科)の産卵場所は別のところで確保する予定という報告がありました.
一面の秋ソバは,ほとんど実が入っていませんでした.花粉はできますが,気温が低いためうまく受精しないのではということでした.ソバには甲虫の蛹がいくつかついていました.また,花にはヤマトシジミ(大和小灰蝶,シジミチョウ科)がとまっていました.ボロのものとピンのものが混ざっていました.ヤマトシジミの目の色はグレイだという指摘がありました.この前の地震時の原子力発電所の事故後に,ヤマトシジミを使った奇形の研究がなされ,その結果や調査方法に賛否両論があることが話題になりました.
ユズ(柚,ミカン科)の木の葉の裏にハラビロカマキリ(腹広蟷螂,カマキリ科)の3つの卵鞘(らんしょう)を見つけました.その直ぐ後で,昆虫少年が腹の大きいハラビロカマキリの雌を見つけました.ハリガネムシ(針金虫,ハリガネムシ科)がいるかどうかを確かめるために,ペットボトルのキャップの中にポカリスウェットを入れて,ハラビロカマキリの尻を浸けました.しかし,ハリガネムシは出てきませんでした.カマキリを飼うときの餌として,成長抑制剤を与えて蛹にならないウジを売っているという話しがでました.そんなのを食べさせて大丈夫かという疑問も出ました.
チップセンターへの入口付近で,2m丈以上のタラノキ(?木,ウコギ科)を観察しました.幹に棘がついており,ウルシ(漆,ウルシ科)のような実がなって紅葉していました.近くでオオカマキリ(大蟷螂,カマキリ科)の卵鞘を見つけました.チップセンターの奥で,ナギナタコウジュ(薙刀香需,シソ科)を観察しました.葉をもんで香りがあるかどうか皆で試しました.あまり評判のよい香りではありませんでした.時期によって香りが出るときと出ないときがあるようです.
昆虫少年が朽ち木を蹴ったところ,ミヤマオビオオキノコ(深山帯大茸,オオキノコムシ科)が出て来ました.カワラタケ(瓦茸,サルノコシカケ科)などの茸を食べる昆虫という説明でした.チップの上をゲジ(蚰蜒,ゲジ科)が歩いているのを見つけ,ビンに入れて女の子が脚の数を数えました.14対まで数えました.普通15対あると言われていますので,1対は取れていたのかもしれません.ムカデと違って毒は弱くかまれても問題無いとウェブでは書かれていますが,手の上を這わせるのは少し勇気がいります.チップセンターを出るときに,白い花の群生を見つけました.ヨメナ(嫁菜,キク科)ではなくノコンギク(野紺菊,キク科)でした.「嫁に毛無し」と言われますが,よく観察すると毛がありました.
平和公園の外周道路沿いに里山の家に帰りました.途中で,サザンカ(山茶花,ツバキ科)に枯草色のコカマキリ(小蟷螂,カマキリ科)がいるのを昆虫少年が見つけました.もう少し歩いた歩道横の樹皮の下に,コカマキリの卵鞘とクサギカメムシ(臭木亀虫,カメムシ科)を一緒に見つけて観察しました.さらに行くと,石垣の上にツリガネニンジン(釣鐘人参,キキョウ科)の名札がありました.花が咲いていないのでどれがツリガネニンジンかよく分かりませんでした.ハギ(萩,マメ科)の花も少し残っていました.イラガ(刺蛾,イラガ科)の蛹とヨコズナサシガメの成虫と脱皮殻も見つけて観察しました.
里山の家に戻りましたが,直ぐには中に入らず,大坂池土手のズミ(酢実,バラ科リンゴ属)の赤い実を食べに行きました.リンゴ(林檎,バラ科)の味,またはトマト(蕃茄,ナス科)のようだという人がいました.サクランボ(桜ん坊,バラ科)の方がよいという感想も出ました.アカソバ畑の花も見に行きました.アカソバ(赤蕎麦,タデ科)は,普通の白いソバに比べて,優性種なので,ソバ農家からは嫌われるということでした.信州の実際のソバ農家は輸入した種を植えるので,関係ないはずという説明もありました.
里山の家の中で,感想会をしました.ホンカリン(本花梨,マメ科)の入ったバウンドケーキとローゼル(Roselle,アオイ科)の砂糖漬けが回ってきました.観察会の感想としては,「虫が多く見られてよかった」などがでました.シギゾウムシ(鴫象虫,ゾウムシ科)の動く3匹の幼虫が,バウンドケーキを入れていたビニール容器に入れて回覧されました.雨の中の楽しい秋の観察会になりました.
観察項目:ミズナギドリの遭難の話題,かじられたアカマツの実,ヤマシギとキジバトの羽根,ヒメヤママユ,旅人蕉の実,シンジュキノカワガ,ヨコズナサシガメ,秋ソバ,ヤマトシジミ,ハラビロカマキリとその卵鞘,オオカマキリの卵鞘,コカマキリの卵鞘,アカソバ,ノビル,ミツバ,タラノキ,ナギナタコウジュ,ミヤマオビオオキノコ,ゲジ,ノコンギク,コカマキリ,クサギカメムシ,ズミの実, |
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2015年11月度の観察記録です
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