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11月度の観察記録
2015年11月度の観察記録です

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一日中雨で,自宅からゴム長靴を履いて行きました.たいした雨ではなかったですが,傘なしでは歩けない程でした.街路の桜はすっかり葉を落としており,一方,トウカエデ(唐楓,カエデ科)は見事な紅葉をしていました.
新池の両端の水面には,オオバン(大鷭,クイナ科)2羽とヒドリガモ(緋鳥鴨,カモ科)10羽がきていました.カワセミ(翡翠,カワセミ科)も1羽だけ青色の背中を見せて飛びました.土手の背の低いセンダン(栴檀,センダン科)は,葉を全て落として薄黄色になった実だけが枝についていました.

オオバン ヒドリガモ

東星ふれあい広場の工事が終わり,道路側に背の高いフェンスと椅子の設置がされていました.小学生以下のボール遊びを優先するという看板が掲げられていました.以前,傍若無人に広場を使っていた野球チームが,これ幸いと本格的な練習をしないとよいですが.参加者は,子供3名と大人14名でした.

東星ふれあい広場のフェンス

雨なので,里山の家の中で観察会を始めました.最初にミズナギドリ(水薙鳥,ミズナギドリ科)の話しがありました.北半球と南半球を渡るときに,太平洋上では餌が少ないので,天候が悪いと数万羽が遭難して,伊勢湾に流れ着くそうです.ハイイロミズナギドリ(灰色水薙鳥,ミズナギドリ科)とハシボソミズナギドリ(嘴細水薙鳥,ミズナギドリ科)の区別が難しいので,骨格標本を作り,頭骨の大きさと外骨格の違いを理解したら成鳥を見分けることが出来るようになったという報告でした.
次に,養老で拾ったかじられたアカマツ(赤松,マツ科)の実をたくさん持ってきた参加者がいました.1日たって変色して余計にエビフライの形に似てきたという参加者がいました.リス(栗鼠,リス科),モモンガ(摸摸具和,リス科),ムササビ(?,リス科)のどれが食べたのだろうかという疑問がでました.

アカマツの実

先月の報告を皆で見たときに,写真のコスズメ(小雀,スズメガ科)の幼虫が,成虫の大きさに比べて大きいという指摘がありました.オケラ(朮,キク科)は,名古屋市の絶滅危惧種に指定されているそうですが,先月見たのは雄株だけで実はつかないという報告がありました.白い帯状の花は葉が変化したもので,花言葉は金欠病だそうです.花の名前は,ウケラ(古語の蓑)が転訛したものという説があります.金欠病の方は,昆虫の(オ)ケラが前から見ると両手を挙げているように見えることから来ているという記述がウェブにありました.

【外部リンク】オケラの花言葉・・・(弥生おばさんのガーデニングノート)

先月,シンジュ(神樹,ニガキ科)の幹でみたシンジュキノカワガ(神樹木皮蛾,コブガ科)の蛹に関連して,卵を産んだ成虫は台風で南から飛んできたのではないかという推測をした参加者がいました.今年の冬が越せるかどうかを注目することになりました.このように隙間を生きているということで,我々も隙間を利用して生き抜くという一種の人生論に発展しました.
ヌルデミミフシ(白膠木耳五倍子,ウルシ科)で実際にお歯黒を作った人がいるという話しがありました.フシを五倍子(ゴバイシ)と書くことに疑問がでました.ヌルデミミフシは,虫こぶの中で非常に沢山のヌルデシロアブラムシ(白膠木白油虫,アブラムシ科)が樹液を吸うので,傷から細菌が入らないようにタンニンを溜めるため五倍にも膨らむので,五倍子と名づけられたといわれているようです.

次に,2種の鳥の羽根が披露されました.ヤマシギ(山鷸,シギ科)とキジバト(雉鳩,ハト科)の尾羽根でした.ヤマシギの羽根は,裏の先端が白なのが特徴です.平和公園で,私は先週アオバト(青鳩,ハト科)がオオタカ(蒼鷹,タカ科)にやられて散らばった羽根を拾いました.

ヤマシギの尾羽根(裏) キジバトの尾羽根

羽根に目玉模様のある台湾産の蛾の標本(学名Caligula japonica arisana)を持ってきた参加者がいて,和名はヒメヤママユ(姫山繭,ヤママユ科,別名:クスサン(樟繭))だろうということでした.最後に,真っ青な実をつけたタビビトノキ(旅人の木,ゴクラクチョウ科,漢名:旅人蕉)が紹介されました.触ると青い実はねばりがありました.

ヒメヤママユ タビビトノキの実

やっと10:20に里山の家を出発しました.いつもとは違って,里山の家の西側の平和公園外周道路沿いを北に向かって歩きました.まず,先月話題になった側溝の新しい蓋を見ました.千種土木事務所が施工したという報告でした.市内では,歩行者や自転車が落ちて怪我をしないように全ての側溝に蓋をする方針だそうです.オニヤンマ(鬼蜻,オニヤンマ科)の産卵場所は別のところで確保する予定という報告がありました.
ソバ畑に行き,まず,周辺のノビル(野蒜,ユリ科)とミツバ(三つ葉,セリ科)を観察しました.ソバ畑横のカキノキ(柿木,カキノキ科)の洞(うろ)にヨコズナサシガメ(横綱刺亀,サシガメ科)の幼虫が越冬中なのを昆虫少年が見つけました.外来種のヨコズナサシガメに刺されても半日くらいで痛みが無くなったという体験談がでました.カキノキの幹にシンジュキノカワガがとまっているのを見つけました.非常に地味で,樹皮との区別が難しく,少し飛んで下に落ちたので,参加者全員が確認できました.

ソバ畑 ノビル ミツバ  

一面の秋ソバは,ほとんど実が入っていませんでした.花粉はできますが,気温が低いためうまく受精しないのではということでした.ソバには甲虫の蛹がいくつかついていました.また,花にはヤマトシジミ(大和小灰蝶,シジミチョウ科)がとまっていました.ボロのものとピンのものが混ざっていました.ヤマトシジミの目の色はグレイだという指摘がありました.この前の地震時の原子力発電所の事故後に,ヤマトシジミを使った奇形の研究がなされ,その結果や調査方法に賛否両論があることが話題になりました.

【外部リンク】ヤマトシジミにおける福島第一原子力発電所事故の生物学的影響の論文解説(琉球大学理学部 大瀧研究室)

【外部リンク】フクシマプロジェクト(琉球大学理学部 大瀧研究室)

【外部リンク】ヤマトシジミの奇形は原発の影響によるものなのか(クマムシ博士のドライ日記)

ヤマトシジミ

ユズ(柚,ミカン科)の木の葉の裏にハラビロカマキリ(腹広蟷螂,カマキリ科)の3つの卵鞘(らんしょう)を見つけました.その直ぐ後で,昆虫少年が腹の大きいハラビロカマキリの雌を見つけました.ハリガネムシ(針金虫,ハリガネムシ科)がいるかどうかを確かめるために,ペットボトルのキャップの中にポカリスウェットを入れて,ハラビロカマキリの尻を浸けました.しかし,ハリガネムシは出てきませんでした.カマキリを飼うときの餌として,成長抑制剤を与えて蛹にならないウジを売っているという話しがでました.そんなのを食べさせて大丈夫かという疑問も出ました.

ハラビロカマキリの卵鞘 ハラビロカマキリの雌

チップセンターへの入口付近で,2m丈以上のタラノキ(?木,ウコギ科)を観察しました.幹に棘がついており,ウルシ(漆,ウルシ科)のような実がなって紅葉していました.近くでオオカマキリ(大蟷螂,カマキリ科)の卵鞘を見つけました.チップセンターの奥で,ナギナタコウジュ(薙刀香需,シソ科)を観察しました.葉をもんで香りがあるかどうか皆で試しました.あまり評判のよい香りではありませんでした.時期によって香りが出るときと出ないときがあるようです.

タラノキ タラノキの幹の棘 オオカマキリの卵鞘 ナギナタコウジュ

昆虫少年が朽ち木を蹴ったところ,ミヤマオビオオキノコ(深山帯大茸,オオキノコムシ科)が出て来ました.カワラタケ(瓦茸,サルノコシカケ科)などの茸を食べる昆虫という説明でした.チップの上をゲジ(蚰蜒,ゲジ科)が歩いているのを見つけ,ビンに入れて女の子が脚の数を数えました.14対まで数えました.普通15対あると言われていますので,1対は取れていたのかもしれません.ムカデと違って毒は弱くかまれても問題無いとウェブでは書かれていますが,手の上を這わせるのは少し勇気がいります.チップセンターを出るときに,白い花の群生を見つけました.ヨメナ(嫁菜,キク科)ではなくノコンギク(野紺菊,キク科)でした.「嫁に毛無し」と言われますが,よく観察すると毛がありました.

ミヤマオビオオキノコ ノコンギク

平和公園の外周道路沿いに里山の家に帰りました.途中で,サザンカ(山茶花,ツバキ科)に枯草色のコカマキリ(小蟷螂,カマキリ科)がいるのを昆虫少年が見つけました.もう少し歩いた歩道横の樹皮の下に,コカマキリの卵鞘とクサギカメムシ(臭木亀虫,カメムシ科)を一緒に見つけて観察しました.さらに行くと,石垣の上にツリガネニンジン(釣鐘人参,キキョウ科)の名札がありました.花が咲いていないのでどれがツリガネニンジンかよく分かりませんでした.ハギ(萩,マメ科)の花も少し残っていました.イラガ(刺蛾,イラガ科)の蛹とヨコズナサシガメの成虫と脱皮殻も見つけて観察しました.

コカマキリ コカマキリの卵鞘

里山の家に戻りましたが,直ぐには中に入らず,大坂池土手のズミ(酢実,バラ科リンゴ属)の赤い実を食べに行きました.リンゴ(林檎,バラ科)の味,またはトマト(蕃茄,ナス科)のようだという人がいました.サクランボ(桜ん坊,バラ科)の方がよいという感想も出ました.アカソバ畑の花も見に行きました.アカソバ(赤蕎麦,タデ科)は,普通の白いソバに比べて,優性種なので,ソバ農家からは嫌われるということでした.信州の実際のソバ農家は輸入した種を植えるので,関係ないはずという説明もありました.

ズミの実 アカソバの花

里山の家の中で,感想会をしました.ホンカリン(本花梨,マメ科)の入ったバウンドケーキとローゼル(Roselle,アオイ科)の砂糖漬けが回ってきました.観察会の感想としては,「虫が多く見られてよかった」などがでました.シギゾウムシ(鴫象虫,ゾウムシ科)の動く3匹の幼虫が,バウンドケーキを入れていたビニール容器に入れて回覧されました.雨の中の楽しい秋の観察会になりました.

シギゾウムシの幼虫  

観察項目:ミズナギドリの遭難の話題,かじられたアカマツの実,ヤマシギとキジバトの羽根,ヒメヤママユ,旅人蕉の実,シンジュキノカワガ,ヨコズナサシガメ,秋ソバ,ヤマトシジミ,ハラビロカマキリとその卵鞘,オオカマキリの卵鞘,コカマキリの卵鞘,アカソバ,ノビル,ミツバ,タラノキ,ナギナタコウジュ,ミヤマオビオオキノコ,ゲジ,ノコンギク,コカマキリ,クサギカメムシ,ズミの実,

文・写真:伊藤義人 監修:滝川正子

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2015年11月度の観察記録です
2016-2-26 240

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