雲は少しありましたが,すっきりした青空が見え,1月の観察会としては,それ程寒くない観察会日和でした.新池の水面からはすっかりスイレン(睡蓮,スイレン科)がなくなっていました.新池の土手のセンダンは,実がクリームになり皺もよっていました.南端の土手に5羽のヒドリガモ(緋鳥鴨,カモ科)があがり,何かをついばんでいました.近づくと,他の南端の4羽がいる水面まで飛びました.その近くに,カイツブリ(鳰,カイツブリ科)が1羽,オオバン(大鷭,クイナ科)が2羽とカワウ(河鵜,ウ科)が1羽いました.新池北端の張り出した樹木下の水面にも9羽のヒドリガモと周辺にカイツブリとカワウが各1羽いました.土手の樹木には,ジョウビタキ(尉鶲,ツグム科)が1羽いました.
定時の9:30に里山の家の中で,観察会が始まりました.今回は,越冬中の昆虫を観察するため,S氏が用意した虫のリストと写真集が,先月の報告と一緒に配布されました.最初に,14歳になった昆虫少年の今年の切紙カレンダーが紹介され,残部を540円で購入できるというアナウンスがありました.その後,先月の報告を皆で見ました.報告の中のシンジュキノカワガ(神樹木皮蛾,ヤガ科)は,普通のキノカワガ(木皮蛾,ヤガ科)で,シンジュキノカワガは,この冬を越せたかどうかはまだ分からないそうです.
周辺に20cm丈くらいの背の低いヤブコウジ(藪柑子,ヤブコウジ科)が群生していました.いくつかの株には,5mm径の小さな赤い実が数個ずつ付いていました.センリョウ(千両,センリョウ科)やマンリョウ(万両,ヤブコウジ科)のように正月飾りに使うので,十両という別名があることが話題になりました.ちなみに,一両と百両は,それぞれアリドオシ(蟻通,アカネ科)とカラタチバナ(唐橘,ヤブコウジ科)の別名です.
畑班の人達が,畑を耕していた炭焼広場の角で,ソシンロウバイ(素心蝋梅,ロウバイ科)の黄色の花を観察しました.炭焼広場の溝に渡した板の裏に羽を閉じたルリタテハ(瑠璃立羽蝶,タテハチョウ科)の成虫が越冬していました.板をひっくり返して,皆で観察しました.それでもじっとして動かず,観察後は元に戻しました.
ルリオオキノコ(瑠璃大茸,オオキノコムシ科)とナミキセル(並煙管,キセルガイ科)もその後,朽木で見つけました.さらに,朽木を砕いてアカハバビロオオキノコ(赤幅広大茸虫,オオキノコムシ科)とハサミムシ(鋏虫,ハサミムシ科)も見つけました.小さな虫なのにどうして「オオキノコ」なのかという質問が出ました.「オオキノコムシ科」に属しているからという回答がありました.ちなみに,「コキノコムシ科」の虫もいます.近くの木のベンチの脚についたユミアシオオゴミムシダマシ(弓脚大偽塵芥虫,ゴミムシ科)を見つけて皆で観察しました.コカマリ(小蟷螂,カマキリ科)の卵鞘も見つけました.
葉についたゴマダラチョウ(胡麻斑蝶,タテハチョウ科)の幼虫を観察した所の近くの紅梅に一輪だけ花が咲いていました.チャタテムシ(茶立虫,チャタテムシ科)を葉の上で見つけて写真を撮りました.周辺で,シジュウカラ(四十雀,シジュウカラ科),エナガ(柄長,エナガ科)およびコゲラ(小啄木鳥,キツツキ科)の鳴き声がしました.
緑色のアオオニグモ(蒼鬼蜘蛛,コガネグモ科)を葉の上で見つけました.ムラサキシジミ(紫小灰蝶,シジミチョウ科)がクマザサ(隅笹,イネ科)に止まっているのを見つけて,写真を撮りました.さらに近づくと,飛んで逃げていきました.越冬ではなく,暖かかったので飛んできてとまっていたようです.近くで,オオカマキリ(大蟷螂,カマキリ科)の古い卵鞘を見つけました.フユシャクガ(冬尺蛾,シャクガ科)も葉の上で止まっていました.15mm長くらいの白い繭をここで見つけましたが,コスズメ(小雀,スズメガ科)などの蜂の繭ではないかと思いますが,はっきりとは分かりませんでした.
ヨコヅナサシガメ(横綱刺亀,サシガメ科)の幼虫越冬を木の幹の洞で見つけました.赤い模様が異様に目立ちました.アベマキ(阿部慎,ブナ科)の林の中に入って,朽木の下の腐葉土の中に丸まった白い幼虫を探し出した参加者がいました.大きさは3cm弱で,カブトムシ(甲虫,コガネムシ科)の幼虫はこの時期は終齢でもっと大きいので,多分カナブン(金蚊,コガネムシ科)の幼虫ではということになりました.朽木をひっくり返して,3cm長くらいのコクワガタ(小鍬形,クワガタムシ科)の成虫を見つけた参加者がいて,皆で観察しました.
この後は,有志で平和公園外周添いを北へ,そば畑まで行きました.途中で種々の昆虫を観察しました.まず,石垣近くのクスノキで,枯葉に擬態したアカエグリバ(赤抉羽,ヤガ科)を教えてもらいました.全くの驚きでした.羽は,枯葉色で葉脈が見え,虫食いのように端がえぐれていました.止まっているクスノキの葉だけが枯れており,教えてもらっても具体的に指摘されるまで枯葉と区別できませんでした.よく見れば脚が見えました.自然は,全く驚くべき擬態を生き物に与えたものです.
石垣の縦に切った水通しでホシヒメホウジャク(星姫蜂雀,スズメガ科)のいる場所を教えてもらいました.これも,実際に指し示してもらうまで,どこにいるのか分かりませんでした.羽をたたんで止まっており,とても蛾とは思えない様子でした.ヘクソカズラ(屁糞葛,アカネ科)が食草という説明がありました.
観察項目:アオスジアゲハの蛹,ヤブコウジ,クスノキ,ソシンロウバイ,ルリタテハ,アカハバビロオオキノコ,ハサミムシ,ユミアシオオゴミムシダマシ,ルリオオキノコ,コカマキリの卵鞘,ゴマダラチョウの幼虫,ウメ,チャタテムシ,ウラギンシジミ,ツツジ,アカホシテントウ,タマカイガラムシ,アオオニグモ,ムラサキシジミ,オオカマキリの卵鞘,フユシャクガ,コムラサキの幼虫,カナブンの幼虫?,コクワガタ,ミドリシジミの卵,アカエグリバ,ハラビロカマキリの古い卵鞘,マルガタゴミムシ,シンジュサンの繭殻,ホシヒメホウジャク,キノカワガの繭殻 |
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1月度の観察記録
2016年1月度の観察記録です
| 2016-2-26 | 207 | |
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