前日の天気予報では大荒れということでした.朝自宅を出たときは曇りで,地下鉄の東山公園駅から出ると土砂降りでした.早速,ビニル合羽を着て,さらに傘を差してカメラが濡れないようにしました.ところが,里山の家で集合して観察会を開始すると雨はやみ,青空まで見えてきて日差しも出てきました.気温は相当高く,ビニル合羽を着たままでは暑苦しくなったので脱ぎました.関東や北陸では,気温が20℃を越えて,春一番が吹き,全国的に暖かい日になりました.新池土手の2本の大木のセンダン(栴檀,センダン科)には,直ぐ横の電線にとまっていたのも入れると,それぞれ65羽と40羽のムクドリ(椋鳥,ムクドリ科)と数羽のヒヨドリ(鵯,ヒヨドリ科)が来ていて,雨の中でも騒がしく鳴いて,実を飲み込んでいました.新池には,カワウ(川鵜,ウ科)1羽,オオバン(大鷭,クイナ科)3羽,カイツブリ(鳰,カイツブリ科)2羽(1羽は土手にあがっていた),マガモ(真鴨,カモ科)1羽,ヒドリガモ(緋鳥鴨,カモ科),そしてコガモ(小鴨,カモ科)が樹木下に隠れて数羽ずつ来ていました.いつものお気に入りの水際の木立の枝で,カワセミ(翡翠,カワセミ科)が1羽何かを狙ってじっとしていました.風邪や試験などで常連の男の子達は欠席で,参加者は遅刻した人も含めて大人13名だけでした.
里山の家の中で,まず,先月の観察記録を見ながら,先月の虫中心の観察会について虫好きの女性から詳しい説明がありました.知多半島の河和の野焼跡から見つけたオオカマキリ(大蟷螂,カマキリ科)とハバヒロカマキリ(幅広蟷螂,カマキリ科)の卵鞘を持って来た参加者がいて,皆で観察しました.表面が黒くなっており,今後,孵化するか確認するそうです.もし,生まれたら元の場所に戻す予定だそうです.
80歳を越える初めての女性参加者がいましたが,大坂池南の登り斜面の藪こぎをしました.その参加者は,下で待っていると言われましたが,登ってそのまま進むので,無理を言って藪こぎをしてもらいました.この場所は,「東山森づくりの会」の人達によって,通風や採光をよくして,多様性のある林を作るため下草刈りや間伐をしてありました.里山は,人間の手が入ってはじめて良くなるということでした.
直ぐ横のコナラ(木楢,ブナ科)の切株の年輪を数えました.約40年近いものでした.断面の約1/3は,ナラ枯れでスカスカになっていましたが,その他の断面には濃い茶色の模様がついていました.何かの病気の影響だろうということでした.並んでいた断面の小さいソヨゴ(冬青,モチノキ科)の切株にも虫がはったような細い線で描いた模様があり,その理由は不明でした.
登りの藪こぎを終えて,アスファルト舗装道に出たときオオタカ(蒼鷹,タカ科)の鳴き声とコゲラ(小啄木鳥,キツツキ科)のドラミングが聞こえました.道上にトラツグミ(虎鶫,ツグミ科)が1羽いて,観察しようと近づいたとき,すぐ横の斜面の林の中に逃げてしまいました.後ろ姿だけの写真が撮れました.平和公園の探鳥会でも,トラツグミは年に1〜2回くらいしか観察できません.昨年は,オオタカに襲われ,残った羽だけを観察したこともありました.メジロ(目白,メジロ科)やヤマガラ(山雀,シジュウカラ科)も,盛んに鳴きながら樹木を移動していました.雨上がりでお腹がすいているようでした.
大乗寺の石垣の前のクスノキ(樟,クスノキ科)の幼木に食痕があるのを見つけて,幼虫や蛹(さなぎ)を探しましたが見つかりませんでした.クスノキの葉にダニ室と呼ばれる葉脈の間にできる虫こぶがありました.
サルトリバラ(猿捕茨,ユリ科)の葉が枯れているのを見つけました.花芽をたくさんつけたアセビ(馬酔木,ツツジ科)も観察しました.実際に馬に食べさせたら酔うのかという質問がでました.葉を煎じて殺虫剤に使うことや鹿が食べないということで,有毒植物であることは確かなようです.酔うというよりは,毒が回って歩けなくなるといった方がよいかもしれません.近くのハギ(萩,マメ科)の新芽は堅いままでした.コバノミツバツツジ(小葉の三葉躑躅,ツツジ科)の新芽は,既に大きくなっていました.黄色い実のついたソヨゴ(冬青,モチノキ科)がその横にありました.ソヨゴの実は,鳥たちにあまり人気がないようです.
食痕のあるヤツデ(八手,ウコギ科)の葉を観察して,裏面に非常に小さなヒメテントウ(姫天道,テントウムシ科)を見つけましたが,早く動くのでピントのあった写真は撮れませんでした.
カエデ(楓,カエデ科)の幹にシロフフユエダシャク(白斑冬枝尺,シャクガ科)がとまっていました.幼虫越冬している蛾の幼虫も近くにいました.白い糸で覆われたクモの卵鞘やイラガ(刺蛾,イラガ科)の抜け殻もありました.早く動く20mm長くらいのヤスデ(馬陸,ヤスデ綱)も見つけました.ヤスデとムカデ(百足,ムカデ綱)およびゲジ(蚰蜒,ゲジ科)の違いが話題になりました.大きさや脚の形が違うようです.体節に2対ずつの脚がついているのがヤスデ(体長10mm〜25mm)でムカデ(体長60mm〜200mm)は1対です.ゲジは脚が長いという特徴があります.
大坂池北の土手のモモ(桃,バラ科)は新芽が大きくなっていました.オタマジャクシ池に4つのアカガエルの比較的小さな卵塊が沈んでいました.周辺にはオオイヌノフグリ(大犬陰嚢,オオバコ科)の小さな青い花がたくさん咲いていました.池底から,水田によくいる10mm大のサカマキガイ(逆巻貝,サカマキガイ科)を2つすくい上げた人がいました.
里山の家の中の大机を2つくっつけて,皆が座って感想会をしました.いつも手作りのお菓子を作って来られる女性参加者から,夏みかんのピールの入ったおいしいチョコレートケーキが,バレンタインデイにちなんで配られました.参加者が少なかったので,私は3切れも食べました.初めて参加した人から,次も来たいという感想が出ました.雨上がりの暖かい,楽しい観察会になりました. |
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2月度の観察記録
2016年2月度の観察記録です
| 2016-2-26 | 258 | |
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