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2017年 > 1月度の観察記録
1月度の観察記録
2017年1月度の観察記録です

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今にも雨が降りそうな曇り空でした.観察会の感想会終了後に雨が降ってきました.水面からスイレン(睡蓮,スイレン科)がなくった新池では,オオバン(大鷭,クイナ科)4羽,ヒドリガモ(緋鳥鴨,カモ科)24羽,オナガガモ(尾長鴨,カモ科)2羽,コガモ(小鴨,カモ科)4羽が水面にいました.土手の周辺では,スズメ(雀,スズメ科)27羽,ドバト(土鳩,ハト科)9羽が地面の上で何かをついばんでいました.センダン(栴檀,センダン科)には実だけが残り,ムクドリ(椋鳥,ムクドリ科)が10羽程来ていて実を飲み込んでいました.
参加者は,中学生の男の子を含む大人13名でした.

オオバン

里山の家の中で集合して,まず先月の報告を見ました.オニグルミ(鬼胡桃,クルミ科)茶のレシピも配られました.先月のオニグルミ茶は,もっと時間をかけて煮出す必要があることが説明されました.クルミアレルギーについての話も出ました.報告のコガネグモ(黄金蜘蛛,コガネグモ科)の写真を見て,コガタコガネグモ(小型黄金蜘蛛,コガネグモ科)ではないかという人が複数いました.大きさから,コガタコガネグモではないと判定したことの説明がありました.昆虫少年が持っている本物を専門家に見せて再同定してもらうことになりました.
報告のランタナ(Lantana,クマツヅラ科)の写真を見て,昆虫が来るのでランタナを平和公園でも植えたらよいという人が多くいるという話が出ました.野鳥の写真を撮っている人が,平和公園には餌になる木の実が少ないので,餌をやっているという言い訳をしますが,これは単に写真を撮るためにやっているに過ぎないという意見が大勢でした.名古屋市は,平和公園は多様な使われ方をしており,このような利用も止められないとうことでした.
名古屋市守山区の東谷山ではニホンリス(日本栗鼠,リス科)のためクルミ(胡桃,クルミ科)を植える運動があるという話題が出ました.ニホンリスは雑食性で,クルミよりどんぐりを食べるのにという参加者がいました.実際に,ニホンリスは雑食性で井の頭自然文化園では,餌としてミルワームをやっているという情報もあります.
アサギマダラ(浅黄斑,タテハチョウ科)の三齡幼虫を透明容器に入れて持ってきた参加者がいました.成虫になった鮮やかなアカスジキンカメムシ(赤筋金亀虫,キンカメムシ科)も入っていました.翅の模様が鮮やかで大変美しいという感想がでました.死ぬとこの鮮やかさはなくなるという説明でした.四齢の後は黄色になったそうです.平和公園で捕獲したオオツノカメムシ(大角亀虫,ツノカメムシ科)も一緒に入っていました.2種のカメムシは木や草の汁を吸うそうです.

アサギマダラの三齢幼虫 アカスジキンカメムシ オオツノカメムシ

来月は越冬昆虫の観察を中心にすることがアナウンスされました.
まず,カエル池に行き,ヌルデ(白蓼,ウルシ科)の虫こぶがなくなっていることを確認しました.虫こぶを造ったヌルデシロアブラムシ(白蓼白油虫,アブラムシ科)は,11月に飛び立って,虫こぶや葉は落ちたという説明でした.
大坂池の土手のウメに3cmくらいの蛾の白いまゆが1つありました.すぐ横の2本のイボタノキ(水蝋の木,モクセイ科)の黒い実はほとんど残っていました.黒いイボタノキの実は野鳥に人気がないようでした.ウメ(梅,バラ科)の枝にルビーロウカイガラムシ(紅玉蝋貝殻虫,カタカイガラムシ科)を見つけました.オオミノガ(大蓑蛾,ミノガ科)の蓑も見つけました.

蛾のまゆ

雌のジョロウグモ(女郎蜘蛛,ジョロウグモ科)の死骸を男の子が見つけました.タラヨウ(多羅葉,モチノキ科)の葉の間で生きた雌のジョロウグモも見つけましたが,どちらも痩せて,産卵は今年はできなかったようでした.このタラヨウの樹形は,通常はありえないということでした.土手は粘土なので,横に広がれないということでした.ウメの2本の徒長枝を観察して,古い枝には花芽はつかないという説明がありました.徒長枝の新芽の方向を見て,11月ごろに枝を剪定するとよいということでした.

雌のジョロウグモ ウメの新芽 ウメの徒長枝

2本のハンノキ(榛の木,カバノキ科)には,昨年の雌花と雄花と共に,新芽もついていました.このハンノキは新池から移植したもので,根粒菌が窒素同化するので早く大きくなったという説明でした.先月と同じようにクコ(枸杞,ナス科)の橙色の実を観察しました.杏仁豆腐と一緒に出てくるというより,人間の肌の染み抜きによいということでした.クコの木の根元のすぐ横にスイセン(水仙,ヒガンバナ科)が白い花を咲かせていました.

昨年のハンノキの雌花 昨年のハンノキの雄花 ハンノキの新芽 スイセン

コナラ(小楢,ブナ科)の樹皮の筋の間にクヌギカメムシ(欅亀虫,カメムシ科)の卵があるのを見つけた参加者がいました.近くのスイカズラ(吸葛,スイカズラ科)には,黒いと一緒にオオミノガの蓑がついていました.スイカズラの忍冬という別名は,葉の形から来ているという説明がありました.

クヌギカメムシの卵 スイカズラの実 オオミノガの蓑

炭焼き広場の畑の2本のソシンロウバイ(素心蝋梅,ロウバイ科)を観察しました.紅梅と白梅の花芽が大きくなっていました.イナゴ(蝗,イナゴ科)のはやにえをウメの木で見つけました.曇り空のため,写真はイナゴの外形だけしかわかりませんでした.梅の枝にアカボシテントウ(赤星天道,テントウムシ科)が1匹成虫越冬していました.周辺にはたくさんのアカボシテントウの抜け殻がついていました.

ソシンロウバイの花 イナゴのはやにえ 越冬中のアカボシテントウと抜け殻

近くで,ガガイモ(蘿?,ガガイモ科)の実をたくさん見つけました.実を割ると片側に種が集まっていました.ジュウジナガカメムシ(十字長亀虫,ナガカメムシ科)が食草にしているということでした.
近くに実生したアキニレ(秋楡,ニレ科)がたくさんの実をつけていました.

ガガイモの実 アキニレの実

キラニン広場の南側には松がまだたくさん残っていました.逆側は,日当たりがよく常緑の樫がありました.ここから北側へ下りの藪こぎをして山崎川の水源まで行きました.
すぐにハラビロカマキリ(腹広蟷螂,カマキリ科)の卵鞘を見つけて写真を撮りました.キクイムシ(木食虫,キクイムシ科の総称)が入った穴がたくさんついたコナラ(小楢,ブナ科)を見つけました.周辺には,コナラの幼木はありませんでした.表面の枯葉を除くと,芽をだしたドングリ(団栗)がありました.しかし,その下にも枯葉があり,このどんぐりの根は土に到達しないようでした.

ハラビロカマキリの卵鞘 キクイムシが入った穴

少し進んで,谷でヒメカンアオイ(姫寒葵,ウマノスズクサ科)の群生を見つけました.周辺にはヒイラギ(柊,モクセイ科)の実生がいくつかありました.赤色の実をつけたセンリョウ(千両,センリョウ科)が数本ありました.黄色の実をつけたセンリョウと赤い実をつけたセンリョウが並んでいる箇所がありました.
段になったところの木に立派な10cm 大のマンネンダケ(万年茸,マンネンタケ科)を見つけました.周辺のカクレミノ(隠蓑,ウコギ科)の茎が折れており,この木を食べる昆虫がいるようでした.

ヒイラギの実生 黄色と赤い実をつけたセンリョウ マンネンダケ

あまり実のついていないフユイチゴ(冬苺,バラ科)が広がっていました.赤い実を葉の下側につけたマンリョウ(万両,ヤブコウジ科)もありました.オオカマキリ(大蟷螂,カマキリ科)の卵鞘も近くで見つけました.
尾根を歩いて陸軍の石柱まで行きました.すぐ横の樹木の幹にチッチゼミ(ちっち蝉,セミ科)の抜け殻を見つけました.ツクツクボウシ(つくつく法師,セミ科)より小さく,多分まちがいはないですが,念のため瓶にいれて持ち帰りました.今年の秋には是非ともチッチゼミの成虫を探したいという意見が出ました.

【外部リンク】Buzzing Chicchi Cicada チッチゼミの鳴き声(YouTube)

チッチゼミの抜け殻

いそいで小道と階段を使って里山の家に戻りました.大坂池にカルガモ(軽鴨,カモ科)が2羽来ていました.チッチゼミの抜け殻の触覚が7本であることを,里山の家で確認しました.
感想会を里山の家の中で行いました.ムラサキイモ(紫芋,ヒルガオ科)のタルトとチョコレートが皆に供されました.タルトは甘味を抑えた上品なものでした.参加者が少なかったので3つも食べてしまいました.冬枯れが似合う風景だったという感想が出ました.風もなく藪こぎが大変よかったということとフユシャクガ(冬尺蛾,シャクガ科の総長)がいなかったという感想も出ました.冬のよく歩く快適な観察会になりました.

観察項目:アサギマダラの三齡幼虫,アカスジキンカメムシ,オオツノカメムシ,ヌルデ,ウメ,イボタ,ルビーロウカイガラムシ,オオミノガの蓑,ジョロウグモ,タラヨウ,ハンノキ,クコの実,スイセン,クヌギカメムシの卵,スイカズラ,ソシンロウバイ,イナゴのはやにえ,アカボシテントウ,アキニレ,カシ,ハラビロカマキリの卵鞘 ,カシナガキクイムシの入った穴,発芽したコナラのドングリ,ヒメカンアオイ,センリョウ,マンネンダケ,カクレミノ,フユイチゴ,マンリョウ,オオカマキリの卵鞘,陸軍の石柱,チッチゼミの抜け殻,カルガモ

文・写真:伊藤義人 監修:瀧川正子

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2017-3-5 231

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