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5月度の観察記録
2017年5月度の観察記録です

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曇り空で,歩くと少し蒸し暑い感じでした.イチョウ(銀杏,イチョウ科)などの木々の緑が濃くなっていました.新池には,スイレン(睡蓮,スイレン科)の葉が水面を覆い,水鳥は全くいませんでした.西側の水際には,シラン(紫蘭,ラン科)とシロバナシラン(白花紫蘭,ラン科)が,東側にはキショウブ(黄菖蒲,アヤメ科)が花を咲かせていました.土手のセンダン(栴檀,センダン科)には薄紫色の花とつぼみがたくさんついていました.以前の集合場所のハリエンジュ(針槐,マメ科,別名:ニセアカシア)が白い花びらを下にたくさん落としていました.ムクゲ(木槿,アオイ科)の葉は濃い緑になっていました.道端には,黄色い小さな花をつけたヒルザキツキミソウ(昼咲月見草,アカバナ科)が数株ありました.東星ふれあい広場の南端は,クローバー(Clover,マメ科,別名:白詰草)の白い花で敷き詰められていました.参加者は,子供2名と大人26名でした.

シランとシロバナシラン センダンの花とつぼみ

私は10:30から別件の会合があったので,それ以後はデジタルハイビジョンビデオカメラ(動画:4096x2304または1920x1080,静止画:6016x3384(2040万画素))を,久しぶりに参加した同年代の友人に渡して撮ってもらって,この報告を書きました.ビデオカメラは,動画撮影中にシャッター音無しで静止画も同時に撮れる優れもので,観察会の報告用には最適でした.手のひらでつかめるサイズで,画像はハイビジョン仕様で非常に鮮明で,手ぶれ補正も強力でした.大きな肩掛型のビデオカメラで子供達の運動会を撮った頃と比べて,技術の進歩は驚くべきものです.観察会に体調が悪く出てこられなかった人にビデオを見せたら喜ばれると思いました.

里山の家の中で集合して,観察会を始めました.まず,先月の報告を皆で見ました.ヒキガエル(蟾蜍,ヒキガエル科)を平和公園周辺で見つけて,まだ,絶滅していないという報告がありました.報告の中の写真のエサキモンキツノカメムシ(江崎紋黄角亀虫,ツノカメムシ科)を見て,ハートツノムシと言った方が良いという参加者がいました.また,「モンツキカメムシ(紋付亀虫)」と覚えていた人もいました.「ウスバカゲロウ(薄翅蜉蝣)」を「ウスバカカゲロウ(薄馬鹿蜉蝣)」と錯覚した北杜夫と同じです.やはり漢字表記も必要なようです.写真のキボシカミキリ(黄星髪切,カミキリムシ科)に関連して,中国大陸からの外来種のクビアカツヤカミキリ(首赤艶髪切,カミキリムシ科)が桜などのバラ科について,大阪や埼玉の各地のサクラの名所に被害が出ているという話が出ました.日本では,2012年に愛知県で初めて確認されたようです.

【外部リンク】広がる外来のカミキリムシ(森林文化協会ブログ)

ナラ枯れは弱って寿命が尽きそうな木が枯れ,これらの桜の場合も同様な様子ではないかという意見が出ました.
以前,持って帰ったオタマジャクシはアカガエル(赤蛙,アカガエル科)だったことが報告されました.特定外来種のウシガエル(牛蛙,アカゲル科)ではないかというのは杞憂でした.オタマジャクシの背中に黒い2つの点があり,アカガエルと確認しました.
先月観察したザイフリボク(采振り木,バラ科,別名:シデザクラ)の白い花の写真を撮ってきて,比較のため花が少し大きいジューンベリー(Juneberryバラ科,和名:アメリカザイフリボク)の写真と一緒に持ってきた参加者がいました.テントウムシに関連して,ヒメカメノコテントウ(姫亀甲天道虫,テントウムシ科)とキイロテントウ(黄色天道虫,テントウムシ科)は在来で,モンクチビルテントウ(紋唇天道虫,テントウムシ科)やクモガタテントウ(蜘蛛型天道虫,テントウムシ科)は外来種という説明がありました.外来種つながりで,ナメクジ(蛞蝓,ナメクジ科)が大きな外来種ばかりになっているという報告が,またありました.
現地で観光客用に売っているベトナム産の標本が披露されました.コウモリと大きなサソリ(蠍,サソリ目の総称)およびカブトムシ(甲虫,コガネムシ科)などの昆虫標本でした.昆虫の形状が日本産と違い,カブトムシなどは上下に角が伸びていました.書かれた学名やベトナム語で書かれたものは正確ではないようです.

ベトナム産のコウモリと昆虫標本

平和公園にもあるカジイチゴ(梶苺,バラ科)を持ってきた女性の参加者がいました.3列の葉と実がついていました.タッパに入れたカジイチゴの実が供されました.1つ食べて見ましたが,ほのかに甘いものでした.カジイチゴの葉は,カジノキ(梶木,クワ科)の葉に似ているのでこの名前があるそうです.目の高さに実がみのるので鳥と競争となるそうです.プラケースに入ったカスミサンショウウオ(霞山椒魚,サンショウウオ科)の卵塊も観察しました.

カジイチゴ カスミサンショウウオの卵塊

マユミ(真弓,ニシキギ科)の枝と実殻を持ってきた参加者がいました.マユミは,ハンノキ湿地に幼木がたくさんあります.雪の上に真っ赤な実が敷き詰めて落ちている様子を見た経験を話す人がいました.高さ3mくらいまでになり,名前の由来のように,昔は弓の材料に使っていたそうです.ツマキチョウ(褄黄蝶,シロチョウ科),ミズイロオナガシジミ(水色尾長小灰蝶,シジミチョウ科),ウラナミアカシジミ(裏波赤小灰蝶,シジミチョウ科)及びミドリシジミ(緑小灰蝶,シジミチョウ科)のさなぎ(蛹)とムラサキシジミ(紫小灰蝶,シジミチョウ科)の前蛹およびサツマニシキ(薩摩錦,マダラガ科)の成虫を持ってきた人がおり,皆で観察しました.ツマキチョウのさなぎは1年近く,この姿で来年4月に羽化するそうです.サツマニシキは,光のあたった所で写真を撮るとキラキラ光りました.

ツマキチョウのさなぎ ミズイロオナガシジミのさなぎ サツマニシキ

3cm径の木の枝のキムネクマバチ(黄胸熊蜂,ミツバチ科)の巣穴痕も観察しました.ヤママユ(山繭,ヤママユガ科)の緑色の幼虫も観察しました.
ここまでで10:15を過ぎて,やっと出発しました.カエル池にはギンヤンマ(銀蜻?,ヤンマ科)が飛んでおり,大坂池の土手ではズミ(酢実または桷,バラ科)の白い花が目立ちました.

キムネクマバチの巣穴 ヤママユの幼虫 ズミの花

ここからデジタルビデオの出番でした.父親と一緒の男の子がプラケースを持っており,カエル池で捕った大きなウシガエルのオタマジャクシ,カダヤシ(蚊絶,カダヤシ科)とミナミヌマエビ(南沼蝦,ヌマエビ科)を見せてくれました.ウシガエルは特定外来種で,生きての移動は許可が必要だとの説明がありました.誰にもばれなければ分からないと男の子は悪びれずに言いました.食用ガエルとして持ち込まれ,グヴォグヴォと鳴くという説明もありました.烏の餌などにして駆除してほしいという要請がありました.
オタマジャクシ池の奥の畑跡でアヤメ(菖蒲,アヤメ科)とカキツバタ(杜若,アヤメ科)が混在しているのを観察しました.アヤメは,花の付け根に網目模様があり,カキツバタは白い条があるので判定しました.葉の形状でも区別できました.ここで,葉についた虫こぶとクワ(桑,クワ科)の葉についたキジラミ(木虱,キジラミ科)の出した白色のろう物質とテントウムシの黒い卵を観察しました.

アヤメ カキツバタ

シオヤトンボ(塩屋蜻蛉,トンボ科)を男の子が網で捕まえました.トンボの胸を上手に指で持って,皆に見せていました.一見するとシオカラトンボ(塩辛蜻蛉,トンボ科)に似ていますが,少し小ぶりで,腹部(尾)の先端が黒くありませんでした.

【外部リンク】シオヤトンボとシオカラトンボの見分け方(世話要らずの庭)

セセラギ(和流)でウシガエルのオタマジャクシを捕り,プラケースに入れた男の子がいました.水が濁っていてよく見えませんでした.水を入れ替えたら,あるいは,少し待てば澄んで見えるようになるという大人もいましたが,時間がありませんでした.オタマジャクシ池横の柳の葉にいたヤナギハムシ(柳葉虫,ハムシ科)とセグロモクメシャチホコ(背黒天社蛾,シャチホコガ科)の幼虫を観察しました.ヤナギの葉についたセグロモクメシャチホコは見つけにくく,ビデオ撮影でピントが合わないという撮影者の文句が録音されていました.
オタマジャクシ池でショウブ(菖蒲,ショウブ科(新エングラー分類体系ではサトイモ科))を観察しました.穂状の花も数人が確認しました.

キショウブ

オタマジャクシ池でヤマカガシ(山楝蛇,ナミヘビ科)を期待しましたが,ヒキガエルがほとんどいなくなって,オタマジャクシを餌にするヤマカガシもいなくなったようです.ヒメタイコウチ(姫太鼓打,タイコウチ科)もここで見つけました.全長が約3cm 程でした.すぐ横のバンブー(bamboo,イネ科)の竹の竿に,タイワンタケクマバチ(台湾竹熊蜂,ミツバチ科)の巣穴がたくさんあいていました.一昨年,この場所でこの蜂が非常に多かったことを思い出しました.

ヒメタイコウチ タイワンタケクマバチの巣穴

木の葉が数枚巻かれていました.子供達に巻き戻して中を観察するように言いました.小さな葉の中には何もいなくて,大きな葉を巻戻した時に小さなアブラムシ(油虫,アブラムシ科)をやっと見つけました.同じ木でナナフシ(七節,ナナフシ科)がとまっているのを見つけました.ピントが合わないという文句がまた音声に入っていました.
アベマキ(阿部槇,ブナ科)の葉に,ツマキホソカミキリモドキ(褄黄細髪切,マキミリモドキ科)とクヌギカメムシ(椚亀虫,クヌギカメムシ科)の幼虫(幼生)を見つけて観察しました.羽が生えたら成虫です.アベマキの小枝が道にたくさん落ちていました.別の所で,またクヌギカメムシを見つけましたが前のものとは色が違っていました.若葉を盛んに食べているハムシも見つけました.ここで,ヤママユの幼虫が,道ぞいの木の葉裏にいるという説明があり,皆で探しました.刺さないので子供達にも探させました.見つけた幼虫は,6月には大きくなって大きな干しブドウのようなフンを道に落とすので見つけやすいそうです.1ケ月後に成虫になるそうです.

クヌギカメムシ

キラニン広場で,網でキムネクマバチを捕まえ,ピンセットでつまんで観察しました.刺すかという質問に,手でつかめば別ですが,普通は刺さないという回答でした.大中小の大きさのテントウムシを小さな透明なプラケースに入れて持っている参加者がいました.大はハラグロオオテントウ(腹黒大瓢虫,テントウムシ科)で,中がナミテントウ(並天道虫,テントウムシ科)で,小はキイロテントウ(黄色天道虫,テントウムシ科)でした.
シマサシガメ(縞刺亀虫,サシガメ科)と松についたアワフキムシ(泡吹虫,カメムシ科)を見つけて観察しました.すぐ横で若い参加者が盛んに汗を拭いていました.
サツマキジラミ(薩摩木虱,キジラミ科)を見つけて,テントウムシの研究者から説明がありました.どうしてこの虫に興味を持ったのかという質問が出ました.テントウムシの餌になるので関心を持ったという回答がありました.キマダラミヤマカミキリ(黄斑深山天牛,カミキリムシ科)も見つけて,ビデオ撮影者は無農薬のミカン(蜜柑,ミカン科)を栽培しており,カミキリムシはミカンに致命的だと言いました.
芝生広場前の看板の柱と掲示板の隙間に,ヤモリ(守宮,ヤモリ科)を見つけました.追い出して男の子が手にもって顔を観察しました.恐竜のようないかつい顔つきでした.別の男の子が,プラケースにサトキマダラヒカゲ(里黄斑日陰蝶,タテハチョウ科)を入れていたので,ビデオを撮らせてもらいました.

ヤモリ

ここで,高校生になったばかりの昆虫少年が,ゾウムシとしては大きな10mm 程度のシロコブゾウムシ(白瘤象虫,ゾウムシ科)を見つけて皆に見せていました.手のひらの上で死んだふりをしていましたが,昆虫少年は息をかけるとピクッとするという報告をしました.この少年がサビキコリ(錆木樵,コメツキ科)を2匹捕まえ,手のひらに載せて観察していたところ,咬まれてイタイイタイという声を出しました.実は,別の昆虫である大きな顎をもったヨツボシケシキスイ(四星芥子木吸,ケシキスイ科)に噛まれたようです.うらやましいという声も出ました.貴重な経験をしたということでしょう.
里山の家の中で感想会をした時に,ヨコヅナサシガメ(横綱刺亀,サシガメ科)のビデオと写真が撮られました.残念ながら,いつもの女性参加者から提供されたはずのお菓子(イモムシクッキー)のビデオ画像は撮られていませんでした.

サビキコリ ヨコヅナサシガメ

観察項目:アカガエルのオタマジャクシ,ウシガエルのオタマジャクシ,ザイフリボクとジューンベリーの花の写真,ベトナム産の標本,カジイチゴ,カスミサンショウウオの卵塊,マユミ,ツマキチョウの蛹,ミズイロオナガシジミの蛹,ウラナミアカシジミの蛹,ミドリシジミの蛹,ムラサキシジミの前蛹,サツマニシキ,キムネクマバチの巣穴,ヤママユの幼虫,ギンヤンマ,ズミの花,カダヤシ,ミナミヌマエビ,アヤメ,カキツバタ,クワ,キジラミの出した白色のろう物質,シオヤトンボ,ヤナギハムシ,セグロモクメシャチホコの幼虫,ショウブ,タイワンタケクマバチの巣穴,ヒメタイコウチ,アブラムシ,ナナフシ,アベマキ,ツマキホソカミキリモドキ,クヌギカメムシ,ハムシ,ハラグロテントウ,ナミテントウ,キイロテントウ,シマサシガメ,アワフキムシ,サツマキジラミ,キマダラミヤマカミキリ,ヤモリ,サトキマダラヒカゲ,シロコブゾウムシ,サビキコリ,ヨツボシケシキスイ,ヨコヅナサシガメ,オオホシカメムシ,ササグモ

文・写真:伊藤義人 監修:瀧川正子

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2017-5-28 214

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