曇り空で,歩くと少し蒸し暑い感じでした.イチョウ(銀杏,イチョウ科)などの木々の緑が濃くなっていました.新池には,スイレン(睡蓮,スイレン科)の葉が水面を覆い,水鳥は全くいませんでした.西側の水際には,シラン(紫蘭,ラン科)とシロバナシラン(白花紫蘭,ラン科)が,東側にはキショウブ(黄菖蒲,アヤメ科)が花を咲かせていました.土手のセンダン(栴檀,センダン科)には薄紫色の花とつぼみがたくさんついていました.以前の集合場所のハリエンジュ(針槐,マメ科,別名:ニセアカシア)が白い花びらを下にたくさん落としていました.ムクゲ(木槿,アオイ科)の葉は濃い緑になっていました.道端には,黄色い小さな花をつけたヒルザキツキミソウ(昼咲月見草,アカバナ科)が数株ありました.東星ふれあい広場の南端は,クローバー(Clover,マメ科,別名:白詰草)の白い花で敷き詰められていました.参加者は,子供2名と大人26名でした.
私は10:30から別件の会合があったので,それ以後はデジタルハイビジョンビデオカメラ(動画:4096x2304または1920x1080,静止画:6016x3384(2040万画素))を,久しぶりに参加した同年代の友人に渡して撮ってもらって,この報告を書きました.ビデオカメラは,動画撮影中にシャッター音無しで静止画も同時に撮れる優れもので,観察会の報告用には最適でした.手のひらでつかめるサイズで,画像はハイビジョン仕様で非常に鮮明で,手ぶれ補正も強力でした.大きな肩掛型のビデオカメラで子供達の運動会を撮った頃と比べて,技術の進歩は驚くべきものです.観察会に体調が悪く出てこられなかった人にビデオを見せたら喜ばれると思いました.
平和公園にもあるカジイチゴ(梶苺,バラ科)を持ってきた女性の参加者がいました.3列の葉と実がついていました.タッパに入れたカジイチゴの実が供されました.1つ食べて見ましたが,ほのかに甘いものでした.カジイチゴの葉は,カジノキ(梶木,クワ科)の葉に似ているのでこの名前があるそうです.目の高さに実がみのるので鳥と競争となるそうです.プラケースに入ったカスミサンショウウオ(霞山椒魚,サンショウウオ科)の卵塊も観察しました.
マユミ(真弓,ニシキギ科)の枝と実殻を持ってきた参加者がいました.マユミは,ハンノキ湿地に幼木がたくさんあります.雪の上に真っ赤な実が敷き詰めて落ちている様子を見た経験を話す人がいました.高さ3mくらいまでになり,名前の由来のように,昔は弓の材料に使っていたそうです.ツマキチョウ(褄黄蝶,シロチョウ科),ミズイロオナガシジミ(水色尾長小灰蝶,シジミチョウ科),ウラナミアカシジミ(裏波赤小灰蝶,シジミチョウ科)及びミドリシジミ(緑小灰蝶,シジミチョウ科)のさなぎ(蛹)とムラサキシジミ(紫小灰蝶,シジミチョウ科)の前蛹およびサツマニシキ(薩摩錦,マダラガ科)の成虫を持ってきた人がおり,皆で観察しました.ツマキチョウのさなぎは1年近く,この姿で来年4月に羽化するそうです.サツマニシキは,光のあたった所で写真を撮るとキラキラ光りました.
3cm径の木の枝のキムネクマバチ(黄胸熊蜂,ミツバチ科)の巣穴痕も観察しました.ヤママユ(山繭,ヤママユガ科)の緑色の幼虫も観察しました.
ここからデジタルビデオの出番でした.父親と一緒の男の子がプラケースを持っており,カエル池で捕った大きなウシガエルのオタマジャクシ,カダヤシ(蚊絶,カダヤシ科)とミナミヌマエビ(南沼蝦,ヌマエビ科)を見せてくれました.ウシガエルは特定外来種で,生きての移動は許可が必要だとの説明がありました.誰にもばれなければ分からないと男の子は悪びれずに言いました.食用ガエルとして持ち込まれ,グヴォグヴォと鳴くという説明もありました.烏の餌などにして駆除してほしいという要請がありました.
シオヤトンボ(塩屋蜻蛉,トンボ科)を男の子が網で捕まえました.トンボの胸を上手に指で持って,皆に見せていました.一見するとシオカラトンボ(塩辛蜻蛉,トンボ科)に似ていますが,少し小ぶりで,腹部(尾)の先端が黒くありませんでした.
オタマジャクシ池でヤマカガシ(山楝蛇,ナミヘビ科)を期待しましたが,ヒキガエルがほとんどいなくなって,オタマジャクシを餌にするヤマカガシもいなくなったようです.ヒメタイコウチ(姫太鼓打,タイコウチ科)もここで見つけました.全長が約3cm 程でした.すぐ横のバンブー(bamboo,イネ科)の竹の竿に,タイワンタケクマバチ(台湾竹熊蜂,ミツバチ科)の巣穴がたくさんあいていました.一昨年,この場所でこの蜂が非常に多かったことを思い出しました.
木の葉が数枚巻かれていました.子供達に巻き戻して中を観察するように言いました.小さな葉の中には何もいなくて,大きな葉を巻戻した時に小さなアブラムシ(油虫,アブラムシ科)をやっと見つけました.同じ木でナナフシ(七節,ナナフシ科)がとまっているのを見つけました.ピントが合わないという文句がまた音声に入っていました.
キラニン広場で,網でキムネクマバチを捕まえ,ピンセットでつまんで観察しました.刺すかという質問に,手でつかめば別ですが,普通は刺さないという回答でした.大中小の大きさのテントウムシを小さな透明なプラケースに入れて持っている参加者がいました.大はハラグロオオテントウ(腹黒大瓢虫,テントウムシ科)で,中がナミテントウ(並天道虫,テントウムシ科)で,小はキイロテントウ(黄色天道虫,テントウムシ科)でした.
ここで,高校生になったばかりの昆虫少年が,ゾウムシとしては大きな10mm
程度のシロコブゾウムシ(白瘤象虫,ゾウムシ科)を見つけて皆に見せていました.手のひらの上で死んだふりをしていましたが,昆虫少年は息をかけるとピクッとするという報告をしました.この少年がサビキコリ(錆木樵,コメツキ科)を2匹捕まえ,手のひらに載せて観察していたところ,咬まれてイタイイタイという声を出しました.実は,別の昆虫である大きな顎をもったヨツボシケシキスイ(四星芥子木吸,ケシキスイ科)に噛まれたようです.うらやましいという声も出ました.貴重な経験をしたということでしょう.
観察項目:アカガエルのオタマジャクシ,ウシガエルのオタマジャクシ,ザイフリボクとジューンベリーの花の写真,ベトナム産の標本,カジイチゴ,カスミサンショウウオの卵塊,マユミ,ツマキチョウの蛹,ミズイロオナガシジミの蛹,ウラナミアカシジミの蛹,ミドリシジミの蛹,ムラサキシジミの前蛹,サツマニシキ,キムネクマバチの巣穴,ヤママユの幼虫,ギンヤンマ,ズミの花,カダヤシ,ミナミヌマエビ,アヤメ,カキツバタ,クワ,キジラミの出した白色のろう物質,シオヤトンボ,ヤナギハムシ,セグロモクメシャチホコの幼虫,ショウブ,タイワンタケクマバチの巣穴,ヒメタイコウチ,アブラムシ,ナナフシ,アベマキ,ツマキホソカミキリモドキ,クヌギカメムシ,ハムシ,ハラグロテントウ,ナミテントウ,キイロテントウ,シマサシガメ,アワフキムシ,サツマキジラミ,キマダラミヤマカミキリ,ヤモリ,サトキマダラヒカゲ,シロコブゾウムシ,サビキコリ,ヨツボシケシキスイ,ヨコヅナサシガメ,オオホシカメムシ,ササグモ |
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2017年5月度の観察記録です
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