一時黒い曇も出てきましたが,雨は降らず,それ程暑くもない気持ちのよい日になりました.新池の水面は,すっかりスイレン(睡蓮,スイレン科)に覆われ,水鳥は一羽も来ていませんでした.周辺の土手には,スズメ(雀,スズメ科)とムクドリ(椋鳥,ムクドリ科)だけでした.センダン(栴檀,センダン科)は花をすっかり落とし,一方,アカメガシワ(赤芽柏,トウダイグサ科)は黄色い花をつけ始めていました.
いつもの時間より少し遅れて里山の家の中で,観察会を開始しました.まず,先月の報告を皆で見ました.センダンの花と桑の実が話題となり,桑の白い実はカビの影響であるという説明がありました.2012年に愛知県で最初に見つかったクビアカツヤカミキリ(首赤艶髪切,カミキリムシ科)は,守山などで散発的に見つかっていますが,大発生はまだしていないようです.写真のキムネクマバチ(黄胸熊蜂,ミツバチ科)の巣に関係して,枯れた木にしか巣をつくらず,キムネクマバチは生木を枯らすことはないとうことでした.キショウブ(黄菖蒲,アヤメ科)は外来種で,愛知県の外来種ワースト100の1つという説明があり,少なくとも花を摘んで種ができないようにしたいという要望が出されました.
飼育しているコガタスズメバチ(小型雀蜂,スズメバチ科)の嬢王蜂も観察しました.次に,小さな容器に入ったセモンホソオオキノコムシ(背紋細大茸虫,オオキノコムシ科)を観察しました.干し椎茸についた虫で,容器に入れてあった干し椎茸は粉々になっていました.この虫を駆除する農薬はないという説明がありました.
10:10に里山の家を出発しました.里山の家の屋根には白い穂を付けたチガヤ(茅萱,イネ科)が優勢で,あとはセイタカアワダチソウ(背高泡立草,キク科)とススキ(芒,イネ科)でした.一方,倉庫の屋根ではヒメジョオン(姫女菀,キク科)が優勢で,ハハコグサ(母子草,キク科)とチガヤは少しだけでした.大坂池の周辺にも白い穂をつけたチガヤは多く,チガヤは日あたりのよい場所を好むようです.
ウメモドキ(梅擬,モチノキ科)に小さな白い花がたくさんついていました.赤い実は,花の数ほどはつかないようです.ヌルデ(白膠木,ウルシ科)の葉に食痕があり,かぶれる人がいる葉をどのような虫が食べるのかが話題になりました.クズ(葛,マメ科)の葉に孵ったばかりのタマムシ(玉虫,タマムシ科)の幼虫が集団でいました.
野草に囲まれたショウマ(升麻,キンポウゲ科)に小さな花がついていました.この周辺は元は畑であったので,昔栽培していたという説明がありました.ハムシ(葉虫,ハムシ科)の幼虫やクズについたカメムシの幼虫を周辺で観察しました.
ピンクの花をまだ残しているサラサウツギ(更紗空木,スイカズラ科)を観察しました.既に花が落ちている枝もありました.空木の名前の通り枝が空洞であることを皆で確認しました.メンガタカスミカメムシ(面型霞亀虫,カスミカメムシ科)をここで観察しました.すぐ横にイモカタバミ(芋片喰,カタバミ科)の群生がありました.葯(やく)が黄色でしたので,ムラサキカタバミ(紫片喰,カタバミ科)ではないことを確認しました.少し離れて,背の低い白い花をつけたウツギ(空木,アジサイ科)を見つけました.その白い花にウツギノヒメハナバチ(空木姫花蜂,ヒメハナバチ科)が数匹いました.兵庫県では天然記念物に指定されています.
ヨモギ(蓬,キク科)についたヒメジンガサハムシ(姫陣笠金花虫,ハムシ科)を観察しました.背中に何かを背負っている形でした.ウラナミアカシジミ(裏波赤小灰蝶,シジミチョウ科)を捕獲して観察しました.白い花をつけたドクダミ(蕺草,ドクダミ科)と赤い実をつけたヘビイチゴ(蛇苺,バラ科)が混在していました.笹の葉をちまきのように折り曲げたカバキコマチグモ(樺黄小町蜘蛛,フクログモ科)の巣もありました.ゴミグモ(塵芥蜘蛛,コガネグモ科)の巣もありましたが,ゴミグモは見分けれませんでした.ホシミスジ(星三筋,タテハチョウ科)がその上を飛んでいきました.
ここでナナフシモドキ(七節擬,ナンフシ科)を葉の上で見つけて写真を撮りました.ナナフシモドキも今年は多くいる感じがします.ヒメグモ(姫蜘蛛,ヒメグモ科)がヨコヅナサシガメ(横綱刺亀,サシガメ科)をぐるぐる巻きにしていました.こんなものも餌にするのかという感想が出ました.
アシ(芦,イネ科)原で,オオヨシキリ(大葦切,ヨシキリ科)の大きな鳴き声がしました.何度も鳴きましたが,姿は見えませんでした.イオウイロハシリグモ(硫黄色走蜘蛛,キシダグモ科)の幼生を昆虫少年が捕まえたので,男の子達と一緒に観察しました.
カキ(柿,カキノキ科)の木に緑色の小さな実ができ始めていました.周辺を数頭のモンシロチョウ(紋白蝶,シロチョウ科)が飛んでいました.アカメヤナギ(赤芽柳,ヤナギ科,別名:マルバヤナギ)の綿毛は,もう飛んで(柳絮(りゅうじょ))いませんでしたが,木にはわずかに綿毛が残っていました.葉をたくさん付けた大きな木の名前を問われて,コブシ(辛夷,モクレン科)だという説明がありました.
ススキの近くでキマダラセセリ(黄斑挵,セセリチョウ科)を網で捕獲した参加者がいました.ススキの葉を食べるという説明がありました.ベニシジミ(紅小灰蝶,シジミチョウ科)も数頭いて,黒っぽい夏型とあざやかな春型が混在していました.
ツマグロヨコバイ(褄黒横這,ヨコバイ科,通称:バナナムシ),ナナフシモドキ,シンジュ(神樹,ニガキ科),マメグンバイナズナ(豆軍配薺,アブラナ科),つぼみを付けたムラサキシキブ(紫式部,シソ科)を観察しました.
カラタチ(枳,ミカン科)には3cm 径の実がたくさんついていました.アゲハチョウの幼虫を探しても,ナミアゲハ(並揚羽,アゲハチョウ科)の幼虫が1匹だけしか葉にいませんでした.模様のない白っぽいエダシャク(枝尺,シャクガ科)が葉にとまっていましたが,名前はわかりませんでした.
オオウマノスズクサ(大馬鈴草,ウマノスズクサ科)の葉の裏にいたジャコウアゲハ(麝香揚羽,アゲハチョウ科)の種々の大きさの幼虫を観察しました.脱皮殻もありました.近くのギシギシ(羊蹄,タデ科)にツマグロヨコバイと普通のヨコバイ(横這,ヨコバイ科)がたくさんついているのを観察しました.スイバ(酸葉,タデ科)ではと疑い,葉を口に含んだ参加者がいて,酸っぱくないということでギシギシということになりました.
トウチク(唐竹,イネ科)林の周辺のタケノコ(筍)を駆除するため足で折りました.ストレス解消になるということで,皆で対応しました.
ミズイロオナガシジミ(水色尾長小灰,シジミチョウ科),ヒメカマキリモドキ(姫髪切擬,カミキリモドキ科),トゲヒゲトラカミキリ(棘鬚虎天牛,カミキリムシ科)およびベニオビヒゲナガ(紅帯髭長,ヒゲナガガ科)をこの木で見つけて観察しました.
ウシカメムシ(牛亀虫,カメムシ科)とシロテンハナムグリ(白点花潜,コガネムシ科)およびカノコガ(鹿子蛾,ヒトリガ科)も後で見つけて写真を撮りました.
急いで戻りましたが,里山の家の中がいっぱいだったので,倉庫の三和土(たたき)で感想会を行いました.いつもの女性参加者からアーモンドの2種のお菓子が提供されました.キャラメル状になった砂糖をまぶしたものと,白い砂糖の再結晶をまぶしたものでした.両者とも大変美味しいものでした. |
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2017年6月度の観察記録です
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