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6月度の観察記録
2017年6月度の観察記録です

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一時黒い曇も出てきましたが,雨は降らず,それ程暑くもない気持ちのよい日になりました.新池の水面は,すっかりスイレン(睡蓮,スイレン科)に覆われ,水鳥は一羽も来ていませんでした.周辺の土手には,スズメ(雀,スズメ科)とムクドリ(椋鳥,ムクドリ科)だけでした.センダン(栴檀,センダン科)は花をすっかり落とし,一方,アカメガシワ(赤芽柏,トウダイグサ科)は黄色い花をつけ始めていました.
参加者は,子供3名と大人26名でした.集合の前に,オタマジャクシ池奥の元畑のクワ(桑,クワ科)についたハラグロオオテントウ(腹黒大天道虫,テントウムシ科)とカメムシ(亀虫,カメムシ科)の幼虫を数名で観察しました.

スイレン アカメガシワ カメムシの幼虫

いつもの時間より少し遅れて里山の家の中で,観察会を開始しました.まず,先月の報告を皆で見ました.センダンの花と桑の実が話題となり,桑の白い実はカビの影響であるという説明がありました.2012年に愛知県で最初に見つかったクビアカツヤカミキリ(首赤艶髪切,カミキリムシ科)は,守山などで散発的に見つかっていますが,大発生はまだしていないようです.写真のキムネクマバチ(黄胸熊蜂,ミツバチ科)の巣に関係して,枯れた木にしか巣をつくらず,キムネクマバチは生木を枯らすことはないとうことでした.キショウブ(黄菖蒲,アヤメ科)は外来種で,愛知県の外来種ワースト100の1つという説明があり,少なくとも花を摘んで種ができないようにしたいという要望が出されました.
高校1年になった昆虫少年は,集合の30分前に来て周辺で採集してきたハラグロオオテントウ,ゴマダラカミキリ(胡麻斑髪切,カミキリムシ科)およびコロギス(蟋蟋螽,コロギス科)を回覧しました.テントウムシの中で最も大きいハラグロオオテントウは,平和公園で見つかってから4年目だそうです.黒色の腹の写真を撮りました.コロギスは,雄の成虫と雌の幼体でした.雌の幼体は,産卵管を背中に巻いていました.コロギスの名前の由来は,形がコオロギ(蟋蟀,コオロギ科)とキリギリス(蟋蟀,キリギリス科)に似ているからのようです.翅を広げて威嚇すると格好が良いという昆虫少年の説明を聞き,テントウムシの研究者がカメラの液晶画面上の威嚇写真を見せてくれました.

ハラグロオオテントウ ハラグロオオテントウの黒い腹 コロギス

飼育しているコガタスズメバチ(小型雀蜂,スズメバチ科)の嬢王蜂も観察しました.次に,小さな容器に入ったセモンホソオオキノコムシ(背紋細大茸虫,オオキノコムシ科)を観察しました.干し椎茸についた虫で,容器に入れてあった干し椎茸は粉々になっていました.この虫を駆除する農薬はないという説明がありました.
累代飼育している国蝶のオオムラサキ(大紫,タテハチョウ科)の雄を持ってきた参加者がいました.綺麗な模様の表面に対して,裏面は薄い黄色でした.裏面が白のものが生まれるのを待っているそうです.

【外部リンク】オオムラサキの生態(動物jp)

コガタスズメバチ セモンホソオオキノコムシ オオムラサキ

10:10に里山の家を出発しました.里山の家の屋根には白い穂を付けたチガヤ(茅萱,イネ科)が優勢で,あとはセイタカアワダチソウ(背高泡立草,キク科)とススキ(芒,イネ科)でした.一方,倉庫の屋根ではヒメジョオン(姫女菀,キク科)が優勢で,ハハコグサ(母子草,キク科)とチガヤは少しだけでした.大坂池の周辺にも白い穂をつけたチガヤは多く,チガヤは日あたりのよい場所を好むようです.
大坂池南のイタドリ(虎杖,タデ科)の葉を昆虫少年が叩き,ビーティングネットに落ちたラクダムシ(駱駝虫,アミメカゲロウ目キスジラクダムシ科)とアリグモ(蟻蜘蛛,ハエトリグモ科)を観察しました.ラクダムシは腹に2つのコブがあり,フタコブラクダ(二瘤駱駝,ラクダ科)に似ているという名前の由来を図鑑で確認しました.アリグモは一見すると蟻のようにも見えますが,よく見るとやはり違和感がありました.密集して植えられたイボタノキ(疣取木,モクセイ科)は,向こう側が見えない程でした.

チガヤ イタドリ ラクダムシ アリグモ

ウメモドキ(梅擬,モチノキ科)に小さな白い花がたくさんついていました.赤い実は,花の数ほどはつかないようです.ヌルデ(白膠木,ウルシ科)の葉に食痕があり,かぶれる人がいる葉をどのような虫が食べるのかが話題になりました.クズ(葛,マメ科)の葉に孵ったばかりのタマムシ(玉虫,タマムシ科)の幼虫が集団でいました.
ここで,男の子がニホンカナヘビ(日本金蛇,カナヘビ科)の雌雄を捕まえました.尾が細長く,付け根が太いのが雄でした.男の子は,人間の体温は爬虫類には熱すぎるので,やけどするといけないと言ってすぐに逃がしてやりました.

ヌルデの食痕 タマムシの幼虫 クズについたガの卵 ニホンカナヘビの雌雄

野草に囲まれたショウマ(升麻,キンポウゲ科)に小さな花がついていました.この周辺は元は畑であったので,昔栽培していたという説明がありました.ハムシ(葉虫,ハムシ科)の幼虫やクズについたカメムシの幼虫を周辺で観察しました.

ショウマ ヒメジンガサハムシの幼虫

ピンクの花をまだ残しているサラサウツギ(更紗空木,スイカズラ科)を観察しました.既に花が落ちている枝もありました.空木の名前の通り枝が空洞であることを皆で確認しました.メンガタカスミカメムシ(面型霞亀虫,カスミカメムシ科)をここで観察しました.すぐ横にイモカタバミ(芋片喰,カタバミ科)の群生がありました.葯(やく)が黄色でしたので,ムラサキカタバミ(紫片喰,カタバミ科)ではないことを確認しました.少し離れて,背の低い白い花をつけたウツギ(空木,アジサイ科)を見つけました.その白い花にウツギノヒメハナバチ(空木姫花蜂,ヒメハナバチ科)が数匹いました.兵庫県では天然記念物に指定されています.

サラサウツギの花とつぼみ イモカタバミの花 ウツギの花 ウツギノヒメハナバチ

ヨモギ(蓬,キク科)についたヒメジンガサハムシ(姫陣笠金花虫,ハムシ科)を観察しました.背中に何かを背負っている形でした.ウラナミアカシジミ(裏波赤小灰蝶,シジミチョウ科)を捕獲して観察しました.白い花をつけたドクダミ(蕺草,ドクダミ科)と赤い実をつけたヘビイチゴ(蛇苺,バラ科)が混在していました.笹の葉をちまきのように折り曲げたカバキコマチグモ(樺黄小町蜘蛛,フクログモ科)の巣もありました.ゴミグモ(塵芥蜘蛛,コガネグモ科)の巣もありましたが,ゴミグモは見分けれませんでした.ホシミスジ(星三筋,タテハチョウ科)がその上を飛んでいきました.
今年は,ホシミスジを見る機会が多いという参加者がいました.

ウラナミアカシジミ ドクダミ ヘビイチゴ ゴミグモの巣

ここでナナフシモドキ(七節擬,ナンフシ科)を葉の上で見つけて写真を撮りました.ナナフシモドキも今年は多くいる感じがします.ヒメグモ(姫蜘蛛,ヒメグモ科)がヨコヅナサシガメ(横綱刺亀,サシガメ科)をぐるぐる巻きにしていました.こんなものも餌にするのかという感想が出ました.
トビムシ(跳虫,トビムシ目の総称)と赤いダニ(壁蝨,ダニ目の総称)をつけたザトウムシ(座頭虫,ザトウムシ目の総称)を観察しました.密集したドクガ(毒蛾,ドクガ科)の幼虫が体を持ち上げて威嚇しているのも観察しました.この時,翅音を出しながらオオスズメバチ(大雀蜂,スズメバチ科)が頭上を通過しました.

ナナフシモドキ ヨコヅナサシガメを捕まえたヒメグモ ザトウムシ 毒蛾の幼虫

アシ(芦,イネ科)原で,オオヨシキリ(大葦切,ヨシキリ科)の大きな鳴き声がしました.何度も鳴きましたが,姿は見えませんでした.イオウイロハシリグモ(硫黄色走蜘蛛,キシダグモ科)の幼生を昆虫少年が捕まえたので,男の子達と一緒に観察しました.
綺麗に手植えされた水田で,イネミズゾウムシ(稲水象虫,ゾウムシ科)を見つけて,コフキゾウムシ(粉吹象虫,ゾウムシ科)と並べて写真を撮りました.水田の水面に,黄緑色の浮草の中に濃緑の銀杏の葉の形を小さくしたようなイチョウウキゴケ(銀杏浮苔,ウキゴケ科)を見つけて観察しました.水中には,ゲンゴロウ(源五郎,ゲンゴロウ科)がいました.水際でヒメタイコウチ(姫太鼓打,タイコウチ科)の集団を見た参加者がいました.

イオウイロハシリグモ イネミズゾウムシとコフキゾウムシ イチョウウキゴケ

カキ(柿,カキノキ科)の木に緑色の小さな実ができ始めていました.周辺を数頭のモンシロチョウ(紋白蝶,シロチョウ科)が飛んでいました.アカメヤナギ(赤芽柳,ヤナギ科,別名:マルバヤナギ)の綿毛は,もう飛んで(柳絮(りゅうじょ))いませんでしたが,木にはわずかに綿毛が残っていました.葉をたくさん付けた大きな木の名前を問われて,コブシ(辛夷,モクレン科)だという説明がありました.

柿の実 アカメヤナギ コブシ

ススキの近くでキマダラセセリ(黄斑挵,セセリチョウ科)を網で捕獲した参加者がいました.ススキの葉を食べるという説明がありました.ベニシジミ(紅小灰蝶,シジミチョウ科)も数頭いて,黒っぽい夏型とあざやかな春型が混在していました.

キマダラセセリ ベニシジミ(夏型) ベニシジミ(春型)

ツマグロヨコバイ(褄黒横這,ヨコバイ科,通称:バナナムシ),ナナフシモドキ,シンジュ(神樹,ニガキ科),マメグンバイナズナ(豆軍配薺,アブラナ科),つぼみを付けたムラサキシキブ(紫式部,シソ科)を観察しました.
シジュウカラ(四十雀,シジュウカラ科)がせせらぎで水浴びをしていました.せせらぎの上の樹木には10羽くらいの野鳥がいました.

ツマグロヨコバイ

カラタチ(枳,ミカン科)には3cm 径の実がたくさんついていました.アゲハチョウの幼虫を探しても,ナミアゲハ(並揚羽,アゲハチョウ科)の幼虫が1匹だけしか葉にいませんでした.模様のない白っぽいエダシャク(枝尺,シャクガ科)が葉にとまっていましたが,名前はわかりませんでした.

カラタチの実 ナミアゲハの幼虫 エダシャク

オオウマノスズクサ(大馬鈴草,ウマノスズクサ科)の葉の裏にいたジャコウアゲハ(麝香揚羽,アゲハチョウ科)の種々の大きさの幼虫を観察しました.脱皮殻もありました.近くのギシギシ(羊蹄,タデ科)にツマグロヨコバイと普通のヨコバイ(横這,ヨコバイ科)がたくさんついているのを観察しました.スイバ(酸葉,タデ科)ではと疑い,葉を口に含んだ参加者がいて,酸っぱくないということでギシギシということになりました.

ジャコウアゲハの幼虫 ギシギシ ヨコバイ

トウチク(唐竹,イネ科)林の周辺のタケノコ(筍)を駆除するため足で折りました.ストレス解消になるということで,皆で対応しました.
終了時間が迫っていましたが,予定通りクリ(栗,ブナ科)の木を観察にいきました.白い花が満開で,クロハナムグリ(黒花潜,コガネムシ科)を花の中で見つけましたが,写真を撮る前に飛んで行ってしまいました.

トウチクの筍 クリの木 クリの雌花と雄花

ミズイロオナガシジミ(水色尾長小灰,シジミチョウ科),ヒメカマキリモドキ(姫髪切擬,カミキリモドキ科),トゲヒゲトラカミキリ(棘鬚虎天牛,カミキリムシ科)およびベニオビヒゲナガ(紅帯髭長,ヒゲナガガ科)をこの木で見つけて観察しました.

ミズイロオナガシジミ ヒメカマキリモドキ トゲヒゲトラカミキリ ベニオビヒゲナガ

ウシカメムシ(牛亀虫,カメムシ科)とシロテンハナムグリ(白点花潜,コガネムシ科)およびカノコガ(鹿子蛾,ヒトリガ科)も後で見つけて写真を撮りました.
帰りの路上で,綺麗なホシミスジが翅を閉じたり開いたりしていました.皆で写真を撮りました.ナガコガネグモ(長黄金蜘蛛,コガネグモ科)も途中で観察しました.

ウシカメムシ カノコガ ホシミスジ

急いで戻りましたが,里山の家の中がいっぱいだったので,倉庫の三和土(たたき)で感想会を行いました.いつもの女性参加者からアーモンドの2種のお菓子が提供されました.キャラメル状になった砂糖をまぶしたものと,白い砂糖の再結晶をまぶしたものでした.両者とも大変美味しいものでした.
ヤマトゴキブリ(大和蜚蠊,ゴキブリ科)とゴミムシダマシ(塵虫騙,ゴミムシダマシ科)が入った容器を回して,観察しました.ヤマトゴキブリは,人家によくいるクロゴキブリ(黒蜚蠊,ゴキブリ科)と同じような形で,見るのを嫌がる人もいました.筍の中の虫を回覧した人もいました.スイカズラ(忍冬,スイカズラ科)の若葉を見せて,何の木の葉かと聞いた人がいました.普通のスイカズラの葉とかなり違っていました.12:45になり,まだ感想会は続いていましたが,私は別件があったので,ここで帰りました.非常にたくさんの生き物を観察した楽しい初夏の観察会になりました.

観察項目:ハラグロオオテントウ,ゴマダラカミキリ,コロギス,コガタスズメバチの女王蜂,セモンホソオオキノコムシ,オオムラサキ,チガヤ,セイタカアワダチソウ,ススキ,ヒメジョオン,ハハコグサ,イタドリ,ラクダムシ,アリグモ,ウメモドキ,ヌルデ,タマムシ,カナヘビ,クズ,ハムシ,カメムシの幼虫,サラサウツギ,メンガタカスミカメムシ,イモカタバミ,ウツギ,ウツギノヒメハナバチ,ヨモギ,ヒメジンガサハムシ,ウラナミアカシジミ,トラフシジミ,ドクダミ,ヘビイチゴ,カバキコマチグモの巣,ゴミグモ,ホシミスジ,ナナフシモドキ,ヒメグモ,ヨコヅナサシガメ,トビムシ,ザトウムシ,オオスズメバチ,アシ,オオヨシキリの鳴き声,イオウイロハシリグモの幼体,イネゾウムシ,コフキゾウムシ,イチョウウキゴケ,ゲンゴロウ,ヒメタイコウチ,カキの青い実,モンシロチョウ,アカメヤナギ,コブシ,キマダラセセリ,ベニシジミ,シンジュ,マメグンバイナズナ,ムラサキシキブ,シジュウカラ,カラタチ,ナミアゲハの幼虫,エダシャク,ジャコウアゲハの幼虫,オオウマノスズクサ,ツマグロヨコバイ,ヨコバイ,ギシギシ,トウチク,クリ,クロハナムグリ,ミズイロオナガシジミ,ヒメカマキリモドキ,トゲヒゲトラカミキリ,ベニオビヒゲナガ,ウシカメムシ,シロテンハナムグリ,カノコガ,ナガコガネグモ,ヤマトゴキブリ,ゴミムシダマシ,スイカズラの若葉

文・写真:伊藤義人 監修:瀧川正子

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2017-7-9 126

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