2020年 1月 12日(日)9:30〜12:40 作成:田畑恭子 監修:瀧川正子 寒い朝になりました。この日は自然観察会の代表が別の行事に参加して不在のため、代わりの案内役の男性のリードで越冬中の昆虫を探しながら歩くことになりました。それぞれの生きものの見つけにくさから設定された点数の表が用意され、参加者は見つけたものの点数を確かめながら多くの生きものの冬の姿との出会いを楽しみました。
案内役の男性から、ひとまず中道を一番奥まで歩き、戻りながら観察することが提案されました。ただし最初の手ほどきとして、歩き始めてほどなくたどり着いたツバキの前で、その木で越冬している昆虫を探してみました。すぐに見つける人、なかなか見つけられない人、さまざまでしたが、目の高さの葉裏にいたのはウラギンシジミでした。そのあとは一路奥を目指して歩きましたが、途中畑の脇で咲いているソシンロウバイの香りを嗅いだり、道端に落ちていたシマヘビの死骸を観察したりしました。
目的の場所に近づいたところで道沿いのササにオオカマキリの卵鞘がついているのに気づきました。点数表では20点です。オオカマキリの卵鞘はその付近で次々と3個見つかりました。そして目的地で紹介されたのは枯葉のかたまりにとまって冬を越すテングチョウでした。そこにいますよと教えてもらってもすぐには見つけられない参加者がほとんどでした。このあと、その周辺でしばらく各自生きものを探す時間が設けられ、参加者は思い思いの場所を探し始めました。そしていろいろな生きものが見つかりました。ニイニイゼミの抜け殻を見つけた男の子がいました。点数表では1点でした。女の子が草むらでヨトウガの幼虫を見つけました。アベマキの枝でドクガの幼虫を見つけた男性もいましたが、ガの幼虫は点数表には載っていませんでした。
別のアベマキでヤママユの卵が見つかり、点数は40点で比較的高得点でした。この時期の卵の中はもう幼虫になっているとのことでした。竹の皮をはがしてみると、うっすらとはった網の中でクモがじっとしていました。また積んであった竹を割ってみると、中にはアリの巣ができていて、卵や繭を守る働きアリたちが右往左往していました。
竹の根元で落ち葉をめくると裏にヒルのような生きものがくっついていました。初めはナメクジほどの大きさでしたが、葉を手に乗せると体温で温められて動き出しました。みるみる伸びたその姿からコウガイビルとわかりました。積んだ竹の中からはクロゴキブリやコガタスズメバチの越冬女王バチが見つかりました。少し移動すると外来種のムネアカハラビロカマキリの卵鞘が見つかり、点数が決まっていなかったので、在来のハラビロカマキリを脅かす存在だからマイナスにしようか、という意見も出ました。
木の根元を掘ると大きなトビズムカデが出てきました。夏に見るムカデは素早く動きますが、これはゆっくり歩いていました。果樹園のエリアではカキノキの幹でキイロテントウが見つかりました。また、案内役の男性が下見で見つけたタテジマカミキリが紹介されました。カクレミノの幹を食べるカミキリムシで、その食痕が冬越しの姿を見つけ出す目印になるとのことでした。付近のカクレミノを調べてみましたが、食痕のあるものはなく、カミキリムシも見つかりませんでした。キイロテントウもタテジマカミキリも頭部を下にしていました。そうした冬越しの姿を多く見かけるそうですが、その理由はわかっていないようです。
コデマリの葉を巻いて巣を作り中で冬を越すチョウ、ホシミスジの幼虫が紹介されました。幼虫は若齢で越冬するそうで、葉を巻いて作ったとても小さな巣の中に入っていました。そしてよく見ると巣を作る葉の付け根は幼虫が吐いた糸で補強されて、葉が枯れても簡単には落ちないようになっていました。同じコデマリに大きなミノムシがくっついていました。戻る途中の道すがら、モチツツジの花が咲いているのを見ました。今年は気温の高い日が多いためか、狂い咲きするツツジがよく見られるとのことでした。
道沿いのナンテンの赤い実がよく目立っていました。昔、人の手によって植えられたようですが、以前より数が増えているように見えました。終わりの時間が近づき、里山の家の近くのエノキの根元でゴマダラチョウの幼虫を探すことになりました。幹に近い落ち葉を何枚かめくると、すぐに幼虫が見つかりました。最後にバス通りに出て、木の枝にひっかかったボール状の枯葉にとまっているムラサキシジミを観察しました。車や人がひっきりなしに通る道沿いでも越冬場所として選ばれるのが少し不思議でした。
里山の家での振り返りでは、冬は生きものがいないと思っていたのに、たくさんの虫との出会いが思いがけなかったとの感想が聞かれました。この日の名古屋は最高気温が10℃に届かず、冬らしい一日にふさわしい観察会となりました。
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1月度の観察記録
2020年1月度の観察記録(PDF)です
| 2020-2-2 | 287 | |
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