このサイト内の検索   
SmartSection is developed by The SmartFactory (http://www.smartfactory.ca), a division of INBOX Solutions (http://inboxinternational.com)
2020年 > 2月度の観察記録
2月度の観察記録
2020年2月度の観察記録です。

Untitled Page

2020年 2月 9日(日)9:30〜12:40

作成:田畑恭子 監修:瀧川正子
写真協力:伊藤義人氏
参加者:大人 28名,子ども 17名 天気:晴れ

この冬は暖冬と言われてきましたが、この数日来は平年並みの寒さが続いていました。冷たい北風が吹く朝でしたが、相変わらず大勢の参加者で里山の家は大盛況でした。先月の予告通り、2月の観察会は恒例の藪こぎをして歩き、久しぶりにたくさんの距離を移動しました。

里山の家での持ち込み観察項目:コノテガシワの枝
 

今日の目的は藪こぎなので、できるだけ寄り道を少なくして先を急ぐ必要がありました。しかし途中見つけた生きものについては知らせ合って共有しましょうとの声かけがありました。最初に一人の参加者の案内で、歩き始めてすぐのウメの木を観察しました。八重の花と一重の花が同じ木に咲いていました。理由はもともと一重のウメの木に八重の木を接ぎ木しているからでした。八重のウメと一重のウメ、どちらが好まれるかという問いかけには、さまざまな意見が出ました。また、一重の方が実がよくつくと言う参加者がいました。タラヨウの木の下では「ハガキの木」という別名を紹介されました。葉の裏を先の固いペン状のものでなぞると字が書けることでこの名前がつき、郵便局の前に植えてあることも多いそうです。

八重のウメの花(名古屋平和公園) 一重のウメの花(名古屋平和公園) タラヨウ (名古屋平和公園)
八重のウメの花 一重のウメの花 タラヨウ

池に一羽のサギが来ていました。脚を小刻みに動かして池底の生きものを探す様子に注目しました。やがて飛び立ったその脚の黒い色によってチュウサギとわかりました。コサギの脚は黄色いそうです。池の中を見るとニホンアカガエルの卵塊がいくつも産まれていました。そのうちの一つをカップに移して直に卵に触ってみました。「プルプルしている」「タピオカみたい」などの感想が出ました。この日見かけた卵塊の数は全部で16でした。

チュウサギ(名古屋平和公園) ニホンアカガエルの卵塊(名古屋平和公園) アカガエルの卵を触ってみる(名古屋平和公園)
チュウサギ ニホンアカガエルの卵塊 アカガエルの卵を触ってみる

子どもが池に張った氷を取り出してはしゃいでいました。湿地の脇の日陰では短いながら霜柱が立っており、近頃は暖冬続きで見かける機会が減っているので懐かしいとの声も聞かれました。中道沿いにたまった落ち葉の中を子どもたちが歩き、足が見えなくなっちゃった、と言って笑っていました。

池に張った氷を持つ子(名古屋平和公園) 霜柱(名古屋平和公園) 落ち葉の中を歩く子(名古屋平和公園)
池に張った氷を持つ子 霜柱 落ち葉の中を歩く子

せせらぎ沿いの木の割れ目ではヨコヅナサシガメの幼虫が集団で越冬している姿が見られました。何匹いるか数えてみようとしましたが、折り重なるように集まっていて数えられませんでした。道端に毛深い鞘に入ったマメ科の植物の実が落ちていて、ニセアカシアの実ではないかと話しましたが、調べてみるとニセアカシアの鞘には毛がないことがわかりました。この日は行く先々で冬に活動するガの仲間、シロフフユエダシャクのオスが見られました。メスは翅が退化していて夜に活動するそうです。

ヨコヅナサシガメの幼虫(名古屋平和公園) マメ科の植物の実(名古屋平和公園) シロフフユエダシャク(名古屋平和公園)
ヨコヅナサシガメの幼虫 マメ科の植物の実 シロフフユエダシャク

間伐された「子どもドングリの森」の前でその成り立ちの説明を聞きました。2006年に子どもたちが拾って育てたドングリの実生の苗を2008年に移植して以来管理され、間伐材はほだ木等に利用されているとのことでした。そして子どもドングリの森の奥の斜面を上がり、いよいよ藪こぎが始まりました。斜面にはコシダが群生していました。斜面を登りきった広場ではアカマツの松脂を観察しました。

斜面を登る(名古屋平和公園) コシダの群落(名古屋平和公園) アカマツの松脂(名古屋平和公園)
斜面を登る コシダの群落 アカマツの松脂

またそのアカマツの樹皮を子どもたちが剥がすのを見て、一人の参加者から幹の成長によって外側の古い樹皮が剥がれていくことが説明されました。その後の坂を下りきった所でオオバヤシャブシの木を見上げると、実と雄花が青空をバックにくっきりと美しい造形を見せていました。藪こぎの途中で女の子が拾った朽ち木の中にシロアリが数匹見つかり、その形状は2種類に分かれました。その後調べると頭部の茶色いのが兵アリ、全身白いのは働きアリとわかりました。

アカマツの樹皮を剥がす(名古屋平和公園) オオバヤシャブシの実と雄花(名古屋平和公園) シロアリの兵アリと働きアリ(名古屋平和公園)
アカマツの樹皮を剥がす オオバヤシャブシの実と雄花 シロアリの兵アリと働きアリ

続いてカワセミの巣穴を観察しました。切り立った崖状になった場所に2ヶ所作られていました。ヘビが登って来られないようにこうした場所に営巣するとのことでした。再び藪こぎに戻り、一昨年まで長年にわたって葉や花の数などを記録し続けてきたヒメカンアオイを見に行きました。周囲は腰の高さほどのササに一面覆われて、ヒメカンアオイには全く日の光が届かない状況でした。前日の下見でササの一部を刈って観察しやすくされており、花はいくつか確認することができましたが、葉は黒く溶けたようにしおれてしまっていました。あまりにも無残なその姿にショックを受けた参加者もいて、後日周辺の手入れをしようということになりました。その後久しぶりに訪れたハンノキ池では遠目にカワセミの姿を見ることができました。

カワセミの巣穴(名古屋平和公園) ヒメカンアオイの花(名古屋平和公園) カワセミ(名古屋平和公園)
カワセミの巣穴 ヒメカンアオイの花 カワセミ

つどいの丘のコウバイは早くも満開のピークを過ぎているようでした。最後に大坂池近くのハンノキを観察しました。枝が何本も払われていましたが、ミドリシジミの卵はかろうじていくつか発見できました。この日の藪こぎでは特大のゴミ袋を2つ持って、行く先々でゴミを拾い集めましたが、レジャーシートや空き瓶などがたくさん見つかり、2袋では足りないくらいでした。

コウバイ(名古屋平和公園) ミドリシジミの卵(名古屋平和公園) 集められたゴミ(名古屋平和公園)
コウバイ ミドリシジミの卵 集められたゴミ

朝から吹いていた冷たい風は森の中ではほとんど気になりませんでした。久しぶりに長い距離を移動し、大幅に予定時間をオーバーして里山の家に戻りましたが、今回は虫捕りができなかった子どもたちも山あり谷ありの冬の森歩きを楽しめたようでした。

平和公園での観察項目:八重のウメの花,一重のウメの花,接ぎ木のされたウメの木,タラヨウ,ソシンロウバイ,ハクバイ,コウバイ,ニホンアカガエルの卵塊,オオカマキリの卵鞘,チュウサギ,水田,子どもドングリの森,マメ科の植物の実,シロフフユエダシャク,カラタチ,アカマツ,アカマツの松脂,オオバヤシャブシ,シロアリ,ヤモリ,カワセミの巣穴,カワラタケ,ヒイラギナンテン,ヒメカンアオイ,サルノコシカケ,ムネアカハラビロカマキリの卵鞘,コガタスズメバチの越冬女王バチ,ハンノキ地,池の取水口,カワセミ,キノコ,ツヤアオカメムシ,ミドリシジミの卵,集められたゴミ
 

  この記事を PDF フォーマットで見る 記事を印刷する 記事をメールで送信

この記事の添付ファイル
ファイル名 掲載日 ヒット
ファイルをダウンロード 2月度の観察記録
2020年2月度の観察記録(PDF)です
2020-2-24 264

ページ移動
良く読まれた記事 1月度の観察記録 3月度の観察記録 次の記事