2020年 6月 14日(日)9:30〜12:20
作成:田畑恭子 監修:瀧川正子 写真協力:伊藤義人氏
参加者:大人 17 名 子ども 5 名 天気: 雨のち曇り
新型コロナウイルス感染症拡大予防のための外出自粛要請が解除され、3月以降中止となっていた自然観察会が再開されました。参加者は以前ほどの人数にはなりませんでしたが、久しぶりに顔を合わせ、初夏を迎えた森の表情を楽しみました。
里山の家での持ち込み観察項目:ヤマトサンショウウオ,サツマゴキブリ,イセノナミマイマイ,カタツムリ(未同定),ネブトクワガタ,コクワガタ,ヒラタクワガタ |
最初にオタマジャクシ池の近くのクワの木を見に行きました。去年も同じ木の実が菌による病気で白くなり、食べられるものがほとんどありませんでしたが、今年も食べられそうな実はわずかでした。続いて大坂池の周辺に植えられたカキノキやアンズの実を観察しましたが、こちらはきれいな状態でたくさん実っていました。アンズの実から種を取り出してみると、アーモンドによく似た形であるのが確認できました。
中道沿いのアベマキの幹をコウガイビルが這っていました。オオミスジコウガイビルと言って3本の筋状の模様が特徴です。ヒルという名前がついていますが実際にはプラナリアの仲間で高い再生能力を持っているそうです。コナラの葉の上ではハゴロモの幼虫が見つかりました。手を近づけると跳ねて地面に落ちました。またその近くでナナフシモドキを子どもが見つけました。枝に擬態していると言われ、樹上にいるとなかなか気がつかないのですが地面を歩いていたため見つけやすかったようです。
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オオミスジコウガイビル |
ハゴロモの幼虫 |
ナナフシモドキ |
中道沿いのコナラの幼木の新芽が赤い色をしていました。これはアントシアニンの色で、若い芽が紫外線の害を受けるのを防いでいるそうです。すぐそばの別のコナラの葉の上に3ミリほどの甲虫がいました。ゾウムシかと言う人もいましたが写真を撮って大きくしてみるとハムシのようで細かい毛に覆われていました。あとで調べるとカサハラハムシの仲間のようでした。せせらぎを渡り、ウメの木を観察すると、この木につくタマカイガラムシを餌とするアカホシテントウが葉の裏にたくさんついてじっとしていました。初夏に羽化して葉裏で越夏するそうです。
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コナラの新芽 |
カサハラハムシの仲間 |
越夏するアカホシテントウ |
つどいの丘でシンジュの葉を観察しました。シンジュの葉は「奇数羽状複葉」と言って、通常羽状に出た小葉の数は奇数ですが、中には偶数に見えるものもあり、それは先端の1枚が未熟な状態とのことでした。少し移動した所で、太いアベマキのウロのようになったところに水がたまり、中に足のないイモムシが何匹かいるのが見えました。昆虫に詳しい大学生がガガンボの幼虫と教えてくれました。おしりの先を水面に出して呼吸しているように見えました。また同じ場所にキセルガイが歩いていました。よく見ると殻の上に小さなカタツムリを載せていました。
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シンジュの偶数に見える複葉 |
ガガンボの幼虫 |
キセルガイ |
田んぼの周辺では子どもたちがニホンアカガエルを追いかけていました。カエル好きの少年が、去年に比べると同じ時期にそこにいるカエルの数が圧倒的に少ないと言って心配していました。トウチク林を目指して移動する途中、ウマノスズクサが花を咲かせているのを観察しました。花は筒状になっていて、匂いで虫を奥の丸い部屋に誘導して受粉させるしくみとのことです。さらに進むと道沿いのコナラの木の樹液に昆虫が集まっていました。
幸いスズメバチは来ておらず、サトキマダラヒカゲ、ノコギリクワガタのメスとオス、ネブトクワガタ、ヨツボシケシキスイを確認することができました。ヨツボシケシキスイは少なくとも4頭いるように見えました。トウチク林ではおびただしい数のタケノコが出てきていました。この竹林は毎年手入れをしており、数を増やさないために大人も子どもも足で次々とタケノコを蹴り倒していました。竹林の脇に生えていたノブドウの葉には大きなコスズメの幼虫が育っていました。
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ニホンアカガエル |
ウマノスズクサの花 |
樹液に集まる昆虫 |
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ヨツボシケシキスイ |
トウチクのタケノコ |
コスズメの幼虫 |
この日は成長したクモの姿をいくつも見かけました。ヤマシロオニグモはササの葉の付け根に身を潜めていました。コガタコガネグモはX字状に二本ずつ足をそろえて網の中央にとまっていました。またゴミグモはよく見るとゴミのリボンの中に卵嚢をつけていました。
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ヤマシロオニグモ |
コガタコガネグモ |
ゴミグモと卵嚢 |
道端のカラスウリの葉の上に大きなヤゴの抜け殻がありました。水路からは随分離れており、長い距離を歩いて来たものだと参加者が感心していました。そして少し離れたところにオニヤンマがとまっていました。オニヤンマがじっととまっているのは珍しく、近づいても飛び立たないのは羽化したばかりのためであろうと思われ、さきほどのヤゴの抜け殻の主ではないかと予想しました。里山の家の近くまで戻り、花盛りのアカメガシワを観察しました。アカメガシワは雌雄異株でこれは雄花でした。匂いを嗅ぐと思いのほか優しい香りがしました。里山の家に到着しましたが、建物の中には入らず、密にならないよう適度な距離をとって振り返りを行いました。
天気予報では午前中は雨とのことでしたが、途中から雨は上がり傘が要らなくなりました。密集を避けることを意識しながら歩いたため、観察項目や観察のしかたには個人差があったかもしれません。集合や振り返りの方法を含め、完全に元通りになるには、もうしばらく時間がかかりそうな気がします。
平和公園での観察項目:クワ,クワの実,カキノキの実,アンズ,アンズの実,ハナムグリ,ツマキホソハマキモドキ,カメムシの仲間,コウガイビル,モリチャバネゴキブリ,ナナフシモドキ,キマワリ,サワフタギの虫こぶ,ハゴロモの幼虫,コナラの新芽,カサハラハムシ,ソシンロウバイの実,ニンジンの花,タンポポ,モンシロチョウ,アカホシテントウ,タマカイガラムシ,イセノナミマイマイ,シンジュの葉,シンジュの実,トウネズミモチ,シャクガ,クサグモ,キセルガイ,ニホンアカガエル,オオカマキリの幼虫,ヨモギハムシ,セマダラコガネ,ヤマシロオニグモ,コカマキリの幼虫,オオバコ,オニヤンマの抜け殻,カラスウリの巻きひげ,ヒメウラナミジャノメ,ウマノスズクサの花,ハゴロモの幼虫,トビズムカデ,ネブトクワガタ,ヨツボシケシキスイ,オオスカシバ,トウチクのタケノコ,マルズヤセバエの仲間,ツチイナゴ,ドクダミの花,ムラサキシキブ,イチモンジカメノコハムシの幼虫,ヨスジノメイガの幼虫,センチコガネ,ヒメコウゾの実,サトキマダラヒカゲ,ノコギリクワガタ,オジロアシナガゾウムシ,センチコガネ,コガネグモの仲間,ゴミグモ,コムラサキの花,キノコ,ナンテンの花,オニヤンマ,アカメガシワ(雄株),カルガモ,オオシオカラトンボ |
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