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8月度の観察記録
2020年8月度の観察記録です。

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2020年 8月 9日(日)9:30〜11:30

作成:田畑恭子 監修:瀧川正子
天気:晴れ

一旦落ち着いたかに見えた新型コロナウイルスの感染者数でしたが、再び増加傾向が顕著となり8月6日に愛知県独自の緊急事態宣言が出されました。そのため今月の自然観察会は急遽中止が決まりました。これは代わりに数名で行った記録会の観察記録です。

今年の梅雨明けは8月1日に発表されました。それまではもうひとつ上がりきらなかった気温ですが、8月に入ったとたん連日最高気温が30℃を超え、この日はこの夏2度目の猛暑日となりました。9時半頃になると自然観察会が中止になったとは知らずに里山の家を訪れる親子連れが何組かあり、その場で中止の案内をしました。その後自然観察指導員を中心に数名で記録会を開始しました。

草むらを歩くと、たくさんのバッタが跳ねました。ショウリョウバッタが多く、目にする多くは成虫の姿でした。またマメコガネもたくさん見られました。両方の後ろ脚を上げて止まる独特のポーズをとっているものもありました。

(名古屋平和公園) (名古屋平和公園) (名古屋平和公園)
ショウリョウバッタ ショウリョウバッタの顔 マメコガネ

4月に雌花を観察したハンノキには青い実ができていました。幹にはアブラゼミが止まっており、横からよく見ると、口吻を枝に刺しているのが確認できました。足元の草に抜け殻もついていました。

(名古屋平和公園) (名古屋平和公園) (名古屋平和公園)
ハンノキの実 アブラゼミ アブラゼミの抜け殻

近くにピンク色の花をつけた植物があり、その場では何かわかりませんでしたが、あとで調べたところヤブランであろうということになりました。花びらは6枚でした。クズの葉の上にメタリックな緑色の美しいハエがとまっていました。調べたところ、アシナガバエの仲間のようでした。

(名古屋平和公園) (名古屋平和公園) (名古屋平和公園)
ヤブランの花 アシナガバエの仲間

大きなコナラの幹に真っ白で硬いキノコがついていました。多孔菌の仲間とのことでした。サルノコシカケもこの仲間に入ります。中道沿いのアベマキにはコシロシタバがとまっていました。先月の自然観察会でも見られ、その時は樹皮の色とガの翅の色が似ていて見つけるのに時間がかかりましたが、今回は色の濃淡の差が大きくガの姿がよく目立っていました。

(名古屋平和公園) (名古屋平和公園) (名古屋平和公園)
多孔菌の仲間 コシロシタバ

アベマキの木には実がたくさんついていました。見上げると葉の裏にコムラサキがとまっていましたが、翅は閉じたままで翅の表面の写真を撮ることはできませんでした。また実の中に頭をもぐりこませた状態のハナムグリが多数見つかりました。花はもう終わっているので花粉以外にも何かエサとなるものがあるのかもしれません。また同じアベマキの木の葉の裏にカラフルなドクガの仲間の幼虫がいました。

(名古屋平和公園) (名古屋平和公園) (名古屋平和公園)
コムラサキ ハナムグリ ドクガの仲間の幼虫

オオシオカラトンボの雄が止まっていました。翅をやや前方に下げ、休んでいる様子でした。ミソハギの花が咲いているところへ真っ黒で艶のあるタイワンタケクマバチがやってきて花から花へと飛び回っていました。その名の通りの外来種で、2006年に愛知県豊田市と岐阜県で初めて記録されて以来急速に分布を広げているそうです。このあと同じ場所で在来種のキムネクマバチも見られました。

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オオシオカラトンボ ミソハギとタイワンタケクマバチ キムネクマバチ

コナラの葉の裏に丸い虫こぶがたくさんついていました。コナラの葉につく虫こぶは多数あり、調べても特定までには至りませんでした。クズの葉の上では今月もコフキゾウムシがたくさん動き回っていました。

(名古屋平和公園) (名古屋平和公園) (名古屋平和公園)
コナラの虫こぶ コフキゾウムシ

湿地の方へ移動しました。シロバナサクラタデやギボウシ、シラタマホシクサ、サギソウなど、夏の花がたくさん咲いていました。サギソウの花の数を数え、37と記録しました。だいたい例年並みの数とのことでした。

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シロバナサクラタデ サギソウ

田んぼへ行く途中、道沿いのササの葉の上にアカイロトリノフンダマシがとまっているのに気づきました。小さいながら赤い体色が目を引くクモで、昼間はじっとして動かず、夕方以降に網を張って活動します。すぐ近くにヒヨドリバナがつぼみをつけていました。花が咲くまでにはもう少しかかりそうでした。

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アカイロトリノフンダマシ ヒヨドリバナ

アズチグモが葉の上を歩き回っていました。網を張らない待ち伏せタイプのクモです。道沿いのシダの枯葉にはサトキマダラヒカゲがとまって翅を閉じて休んでいました。別のシダには白いシャクガの仲間がとまっていました。

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アズチグモ サトキマダラヒカゲ シャクガの仲間

イネが育つ田んぼには案山子が何体か作られていました。イネは無農薬で作られていて、葉には昆虫の食痕が目立ちました。周囲ではイナゴがいくらでも見つかり、食痕のほとんどがイナゴの仕業なのかもしれません。田んぼの水路にはアメリカザリガニが潜んでいました。

(名古屋平和公園) (名古屋平和公園) (名古屋平和公園)
田んぼの案山子 イナゴ アメリカザリガニ

何ヶ所かで見られたジュズダマはどれも株が大きく育って実が膨らみ始めていました。もともとは持ち込まれた植物であるとの説明から何のための移入かという疑問が出ましたが、調べると古くから実を食用にしていたとの記述がありました。カキノキの実もだいぶ大きくなっていましたがまだまだ青く固いままでした。隣のウメの木を見るとニイニイゼミがとまっていました。ニイニイゼミを間近で観察する機会は今まであまりありませんでした。

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ジュズダマ カキノキの実 ニイニイゼミ

また同じウメの木には葉裏で夏越しをするアカホシテントウが多数みられました。その枝にはびっしりとタマカタカイガラムシがついていました。このカイガラムシはアカホシテントウの幼虫と成虫両方の餌となります。足元ではマミジロハエトリが葉の上を移動していました。ハエトリグモの仲間は網を張らず歩き回って餌となる昆虫を捕食します。

(名古屋平和公園) (名古屋平和公園) (名古屋平和公園)
アカホシテントウ タマカタカイガラムシ マミジロハエトリ

畑へ移動して去年の実生のカラスウリの様子を見に行きました。まずまず育っていましたがつぼみはついていませんでした。実生から花が咲くまでに3年ほどかかるそうです。ガガイモが棚を伝って茎を伸ばしていました。その先端には鮮やかな黄色いアブラムシが無数についていて、あとで調べるとキョウチクトウアブラムシであること、さらにガガイモは最近の分類でキョウチクトウ科に変更されていることがわかりました。ガガイモの茎を交尾中のヒメカメノコテントウが歩いていました。

(名古屋平和公園) (名古屋平和公園) (名古屋平和公園)
キョウチクトウアブラムシ ヒメカメノコテントウ

歩き始めてから終了まで、至るところでジョロウグモが網を張っているのを見ました。大きさはまちまちでしたが、まだ成体にはなっていませんでした。そのほかナガコガネグモの幼体も見かけ、その特徴である隠れ帯を伴っていました。アベマキの葉の付け根で休むワキグロサツマノミダマシも見られました。

(名古屋平和公園) (名古屋平和公園) (名古屋平和公園)
ジョロウグモ ナガコガネグモ ワキグロサツマノミダマシ

里山の家へ戻る途中、ツクツクボウシの声が聞こえてきました。夏の終わりに鳴く印象があり、今年は鳴き始めるのが早いようにも思われました。この夏は遅い梅雨明けのあとにうだるような猛暑が続き、新型コロナウイルスへの対応だけでなくさまざまにいつもと違う夏になりました。早く安心して過ごせる毎日が戻って来てほしいと思います。

平和公園での観察項目:マメコガネ,ハンノキの実,アブラゼミ,アブラゼミの抜け殻,ショウリョウバッタ,ヤブラン,ジョロウグモ,アシナガバエの仲間,多孔菌の仲間,コシロシタバ,コムラサキ,アベマキの実,ハナムグリ,ジュズダマ,コナラの虫こぶ,コフキゾウムシ,ゴミグモ,ミソハギ,タイワンタケクマバチ,シロバナサクラタデ,サギソウ,オオシオカラトンボ,シラタマホシクサ,ギンバエ,ギボウシ,アカイロトリノフンダマシ,ヒヨドリバナ,ガの仲間,ハゴロモの幼虫,アオバハゴロモ,アズチグモ,シャクガの仲間,サトキマダラヒカゲ,田んぼ,田んぼの案山子,イナゴ,キアヤヒメノメイガ,アメリカザリガニ,キムネクマバチ,アカホシテントウ,タマカタカイガラムシ,ニイニイゼミ,マミジロハエトリ,ガガイモ,カラスウリ,キョウチクトウアブラムシ,ヒメカメノコテントウ,ブラックベリーの実,ムベ,タカサゴユリ,ナガコガネグモ,ワキグロサツマノミダマシ,ムクゲ,ツクツクボウシの声
 

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