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11月度の観察記録
2020年11月度の観察記録です。

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2020年 11月 8日(日)9:30〜12:00

作成:田畑恭子 監修:瀧川正子
写真協力:伊藤義人氏
参加者:大人 15名,子ども  6名 天気:晴れ

前日の冷たい雨から一転、気持ちのいい晴天に恵まれました。先月までと違って出会う昆虫の姿はすっかり少なくなり、その代わりいろいろな木の実を観察しました。秋の深まりを感じる観察会となりました。

里山の家での持ち込み観察項目:ヤママユの繭,アベマキのドングリから出るクヌギシギゾウムシの写真,アベマキの実,ヒメアカネ,灯火採集のガの標本箱  

最初にひとりの参加者の案内でオオハナワラビを見に行きました。花のように見えるのは胞子嚢の穂で、穂をたたくとほこりのように飛散する胞子が見られるのではないかと予想しましたが、子どもが穂をたたいても変化は見られませんでした。足元の草むらを歩いているコカマキリを見つけて、子どもたちがはしゃいでいました。コカマキリを見分けるポイントを尋ねると前脚の内側の模様だと得意げに話してくれました。模様は黒、白、ピンクのきれいな斑紋でした。梅の木に移動してアカホシテントウを探していると、ヨコヅナサシガメの幼虫を発見しました。捕らえたダンゴムシに3頭の幼虫が群がり、口吻を刺して体液を吸っている様子を見ることができました。

オオハナワラビ(名古屋平和公園) コカマキリ(名古屋平和公園) ダンゴムシに群がるヨコヅナサシガメの幼虫(名古屋平和公園)
オオハナワラビ コカマキリ ダンゴムシに群がるヨコヅナサシガメの幼虫

この日は至るところでひっつきむしが見られました。先月観察したチヂミザサやアレチヌスビトハギのほか、ヒナタイノコヅチ、コセンダングサ、アメリカセンダングサ、キンミズヒキなど、油断したらいくらでも衣類にくっつきそうでした。コセンダングサは花と種を観察しました。アメリカセンダングサの花の周りに広がる苞(ほう)がコセンダングサには目立たちませんでした。種は先端のトゲが2本から4本と分かれていて、アメリカセンダングサの種は先端のトゲはみんな2本でした。コセンダングサやアメリカセンダングサの種の先端には「かえし」があるのに対してキンミズヒキは実の周りをかぎ状のトゲが取り囲んでいました。ズミの実がなっているのを見てリンゴの仲間と聞いた参加者が食べました。「すっぱい」「しぶい」などの感想が聞かれました。

ヒナタイノコヅチ(名古屋平和公園) コセンダングサの花(名古屋平和公園) コセンダングサの種(名古屋平和公園)
ヒナタイノコヅチ コセンダングサの花 コセンダングサの種
アメリカセンダングサ(名古屋平和公園) キンミズヒキ(名古屋平和公園) ズミ(名古屋平和公園)
アメリカセンダングサ キンミズヒキ ズミ

去年あずきを観察した畑のあとはハルジオンノコンギクが一面に咲いて、ちょっとした花畑のようになっていました。ハルジオンの開花時期は6月頃までのはずですが、植物に詳しい参加者によれば確かにハルジオンで、気温の変化でこの時期に咲いているのだろうとのことでした。中道を進むと、マメガキがたくさん実っていました。よく熟していて、子どもたちも「甘い」と笑顔で食べていました。大事そうに家に持ち帰る子もいました。

ハルジオン(名古屋平和公園) ノコンギク(名古屋平和公園) マメガキ(名古屋平和公園)
ハルジオン ノコンギク マメガキ

すぐそばで葉も実も鮮やかに色づいたコマユミの赤が目を引きました。春に控えめな印象の花を咲かせるコマユミですが、秋の華麗な変貌ぶりに驚かされます。その横ではノブドウも実をつけ、青紫から明るい青までさまざまに色づいていました。ゾウムシに詳しい参加者が、落ちていた竹を割って発見したカグヤヒメキクイゾウムシを見せてくれました。竹で捕れるゾウムシとのことですが、それを聞いてみんな昔の人のネーミングセンスに感心していました。

コマユミ(名古屋平和公園) ノブドウ(名古屋平和公園) カグヤヒメキクイゾウムシ(名古屋平和公園)
コマユミ ノブドウ

ガガイモが実をつけているのを見て、中を開けてみました。白くて長い綿毛をつけたたくさんの茶色の種がお行儀よく並んでいるのが見えました。参加者のひとりがアカメガシワの幹にコウモリガの蛹の抜け殻がついているのを紹介しました。コウモリガの幼虫は木の幹に侵入して食害したあと木の表面で蛹になります。周辺でたくさんの抜け殻が見つかりました。

ガガイモの実(名古屋平和公園) ガガイの実の中(名古屋平和公園) コウモリガの抜け殻(名古屋平和公園)
ガガイモの実 ガガイの実の中  コウモリガの抜け殻

その足もとの草むらにきれいなカエルがいるのに気づきました。カエルの大好きな参加者が呼ばれてニホンアカガエルとわかり、子どもたちが喜んで取り囲んでいました。エノキの枝の上に変わったガが止まっているのに気づいた参加者がいて、あとで調べるとキバラモクメキリガという名前の、成虫で越冬するガでした。そのエノキの葉を裏返すとどの葉も粉を吹いたように白くなっていて、これがうどんこ病だと教えられました。そして葉の裏を調べるとキイロテントウの成虫や蛹が見つかりました。キイロテントウは幼虫も成虫もうどんこ病の菌などの菌類をエサにする益虫で、成虫で越冬します。

ニホンアカガエル(名古屋平和公園) キバラモクメキリガ(名古屋平和公園) キイロテントウ(名古屋平和公園)
ニホンアカガエル キバラモクメキリガ キイロテントウ

きれいなオレンジ色のカラスウリの実を採ってきて得意顔の子どもがいました。1本のつるに3個も実がついていました。帰る途中で寄った水辺では、ミソハギの茎にガの幼虫がとまっていました。あとから調べるとナシケンモンの幼虫とわかりました。ナシケンモンは蛹で越冬するようです。そして自然観察会の終わりに、中道でニホンマムシが見つかり、虫網で捕獲して大騒ぎになりました。これまでにも「見た」と言う人や写真を撮った人はいましたが、実物を捕らえたのを見たのは初めてでした。長さを測るとだいたい70cm弱といったところでした。

カラスウリの実(名古屋平和公園) ナシケンモンの幼虫(名古屋平和公園) ニホンマムシ(名古屋平和公園)
カラスウリの実 ナシケンモンの幼虫 ニホンマムシ

マムシの登場があまりに鮮烈で、みんな朝からの観察会の記憶が薄れてしまったようにも見えました。でも最後に改めて子どもたちに尋ねると、コカマキリやアカガエルなど、この日私たちを驚かせ愉しませてくれたほかの生きものの名前も次々と出てきました。

平和公園での観察項目:オオハナワラビ,イヌタデ,アレチヌスビトハギ,チヂミザサ,キイロテントウ,コカマキリ,トウカエデの紅葉,ヒナタイノコヅチ,ヨモギハムシ,アカホシテントウの成虫と抜け殻,タマカタカイガラムシ,ヨコヅナサシガメの幼虫,ツチイナゴ,キンミズヒキ,コセンダングサ,アメリカセンダングサ,ジョロウグモ,ズミ,ヨウシュヤマゴボウ,イボタノキ,ハルジオン,ノコンギク,キツネノマゴ,マユタテアカネ,オオタカ,コマユミ,ノブドウ,マメガキ,ナンテン,ハエトリグモの仲間,ヤブマメ,ガガイモの実,アキノノゲシ,チカラシバ,ヌカクギ,アケビの実,カグヤヒメキクイゾウムシ,コウモリガの抜け殻,ニホンアカガエル,うどんこ病のエノキの葉についたキイロテントウの成虫と蛹,キバラモクメキリガ,キタチコンギク,カラスウリ,ヤマウルシ,オオハナワラビ,ナシケンモンの幼虫,ニホンマムシ
 

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