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2021年 2月 14日（日）9：30〜12：20 作成：田畑恭子 監修：瀧川正子 新型コロナウイルスの感染状況により緊急事態宣言が延長され、2月の自然観察会も中止となりました。以下は2021年2月の記録として残すものです。 寒さが緩んで風のない穏やかな朝になりましたが、公園は意外にも人影はまばらでした。オタマジャクシ池の上段では、2月上旬に見つかっていたニホンアカガエルの卵塊にマーキングが施され、そのすぐ横に新たな卵塊がありました。卵の様子を調べると、まだ産卵からあまり時間が経っていないようでした。春の訪れを感じさせるオオイヌノフグリですが、花をじっくりと観察すると、中心に小さなめしべがあり、その両側に2本のおしべが見られました。タンポポも花を咲かせていましたが、この日見つけられたのはセイヨウタンポポばかりでした。
春の観察会の常連とも言うべきヒメオドリコソウの花もあちこちで咲いていました。またノビルがたくさん生えていたので根を掘り出してみました。大きな球根が出てきました。
ギシギシは新しい芽が次々と伸び始めていました。よく見ると新芽の部分はネバネバした粘液に覆われていました。ギシギシの葉では早くもコガタルリハムシが交尾行動をとっていました。メスの腹部は大きく膨れ上がっていました。
ウメの花はすでに満開のものや終わりかけたものがありました。たくさんのめしべが目立ちました。タマカタカイガラムシがついた枝では、アカホシテントウの成虫が活動していました。
畑ではジャガイモの植え付けの準備をしていて、種芋をカットした断面に灰をまぶしたものが用意されていました。灰が種芋を腐りにくくするのだそうです。いい香りに気づいて振り返ると、ソシンロウバイの花が満開でした。
先月冬越し中のタテジマカミキリを確認したカクレミノのところへ行きました。実は先月のタテジマカミキリがしがみついていた枝はそのあと折れてしまい紐で縛っておいたのですが、いつの間にかその枝は紐が外れて落下してしまいました。そしてタテジマカミキリがどうなったか探すと、別の枝でじっとしているのが見つかりました。冬越し中とは言っても、自力で移動することはできるようです。その場で観察したカクレミノの葉痕は、何か動物の顔のようにも見えました。
湿地に移動する途中、1羽の野鳥が前を横切りました。飛んで行った先を探すと少し先の木の枝にオスのジョウビタキの姿がありました。湿地は1週間前にヨシ刈りが終わったばかりで視界を遮るものはすっかりなくなっていました。そして近くの地面には鳥の羽が散乱していました。これは少し前に何かに襲われ絶命したアオサギの羽とのことでした。襲ったのはオオタカであろうとのことでしたが、大きさ的にはずいぶんオオタカの方が小さいので、にわかには信じがたい思いでした。
湿地の横のサクラの樹皮には横に伸びた筋模様が目立ちました。さらに進むとツバキの花がいくつも落ちていました。園芸種のようで多数の花弁が目立ちました。一つ花を拾い、その中を展開してみましたが一重のツバキの花にみられるような多数のおしべは見当たりませんでした。
道沿いの地面を這うようにヒカゲノカズラが伸びていました。ヒカゲノカズラは常緑のシダ植物で東山の森の随所で見られるそうですが、夏になると胞子嚢が伸びた姿を見られる場合もあるとのことですので、注目したいと思います。この日は畑の近くのカクレミノで確認したタテジマカミキリですが、カクレミノの生えていない地方ではタラノキで越冬しているそうです。
ドングリ畑から斜面を上がりました。途中タンポポのロゼットやラッパズイセンの株を見ました。また展望広場からの下り坂の途中では、ソヨゴやクリの木の樹皮の上を透明の粘液が流れ落ちているのに気づきました。よく見るとオオワラジカイガラムシがたくさんいて、その粘液はオオワラジカイガラムシの体から出ているようでした。
冬枯れの林床の倒木に生えたヒイロタケのオレンジ色が鮮やかに眼に映りました。幅は広いところで10�儷瓩�ありました。続いてヒメカンアオイの様子を見に行きました。毎年観察と記録を続け、近年は元気がなく笹刈りなどの手入れもしているここのヒメカンアオイですが、今年も葉の状態が悪く、小さな葉ばかりでした。中には黒くしおれてしまっている葉も多数ありました。しかし花だけは外見上は例年と変わらないサイズで、数も少なくはありませんでした。今後も注意深く見ていく必要がありそうです。
アオキは雌雄異株で、雄株はつぼみをつけていました。雌株には去年の実が赤く熟しているものがありました。
コバノイシカグマは、これまでの自然観察会では観察したことのなかったシダの仲間です。葉の表面にはあまりツヤがなく、うっすらと毛が生えていました。それに比べてオオウラジロは一見して表面がツヤツヤです。オオウラジロは1年で1節が育つということで、手近なところのものを確認してみると５節以上のものもあり、全体の長さは２ｍを超えそうでした。
北尾根を通って帰る途中の切り株にびっしりとカワラタケが生えていました。以前に見た時よりもかなり増えているように思われました。ハクサンボクは小さな花芽がようやく育ち始めたところでした。シュンランも小さなつぼみをつけていて、中には5個のつぼみが確認できる株もありました。
ミモザは早くも開花していて、遠くからもその黄色が目につきました。ホウオウチクはひと枝につく葉の形を「鳳凰」になぞらえてその名がついたそうです。またそのそばのスホウチクは、剥がれ落ちた皮を拾ってみると思いのほか固く、内側がツヤツヤと光っていました。
新型ウイルスの影響で自然観察会が実施できないのはこれで6回目です。春の気配を感じながら森を歩き、少しの間コロナ禍を忘れて身も心もリフレッシュすることができました。こんな気持ちのいい時間を早く多くの人と共有できる日常を早く取り戻したいと感じました。
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| この記事の添付ファイル | |||
| ファイル名 | 掲載日 | ヒット | |
 2月度の観察記録
2021年2月度の観察記録(PDF)です
| 2021-2-23 | 338 | |
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