2022年 1月 9日(日)9:30〜12:10 作成:田畑恭子 監修:瀧川正子
今年は厳しい寒さの年明けとなり、前週にはうっすらと雪が積もる日もありましたが、この週末は穏やかな日和に恵まれました。この日は朝から明るい日差しに包まれ、気温も時間とともに上がって行くのを感じました。 まず11月にミノウスバが産卵していたマサキの様子を見に行きました。ミノウスバは卵で越冬するはずなので、枝に産みつけられていた卵が見つかるだろうと思ったのですが、なぜか全く見つけることができませんでした。マサキは赤く熟した実が割れて、オレンジ色の種が顔を出していました。頭上を見ると、高いところでカラスウリの実がなっているのが見えました。何年か前にその付近にカラスウリの苗を移植したもののうまく育たなかったと思っていましたが、中には根付いて実をつけたものもあったことがわかりました。クロガネモチにも赤い実がたくさんついていました。
スホウチクの稈が積み上げられている場所で、竹のところどころに穴が開いているのを見て、節を割ってみました。穴は去年タイワンタケクマバチが産卵のために開けたもので、4年前の5月にも割って観察してみたことがあります。その時は竹の中に仕切られたいくつかの部屋があり、その部屋ごとに花粉団子とそれにくっつく幼虫が1組ずつ観察できました。今回は竹の中で成長し成虫になって冬越しをするタイワンタケクマバチが少なくとも4頭見られました。
別の竹を割った参加者がハイイロヤハズカミキリを見つけました。カミキリムシは漢字で「天牛」と書きますが、その由来を調べると長い触角を牛の角に見立てた、と紹介されています。このカミキリムシを正面から写真に撮って拡大してみると、可愛い子牛のような顔をしていました。
エノキの木の根元の落ち葉を裏返して、越冬している虫を探しました。ワカバグモとゴマダラチョウの幼虫を見つけることができました。
北尾根に上がる入口のコナラの枝にシンジュサンの繭がついているのを参加者が見つけました。シンジュサンの幼虫はシンジュ以外にも多くの植物を食草とします。近くにクロガネモチの木があり、これを食べて育ったのだろうと予想しました。森に少し入ったところにムネアカハラビロカマキリの死骸が落ちていました。頭部だけが欠けていて、その理由を考えてみる中で腹部には損傷がないので鳥などに食べられたわけではないのではないかと話す参加者がいました。せせらぎ沿いのロープ柵の杭にはナナホシテントウの前蛹や蛹がたくさんくっついていました。多くは南側についていて、テントウムシに詳しい参加者から蛹の状態は無防備なため早く成長できるように温かい場所を選んでいるとの説明を聞きました。
畑の方へ移動してまた生き物を探しました。側溝の中を探っていた子どもが見つけたのは交尾中のカメムシでした。
大学生が大きな倒木をひっくり返すと、その下にはいろいろな生き物が隠れていました。サトユミアシゴミムシダマシ、キノコムシ、シロアリ、イセノナミマイマイ、ワラジムシなどです。キノコムシはツヤツヤと光っていました。
参加者の小学生がザリガニを捕獲するために仕掛けた罠を一緒に見に行きました。途中でタカサゴユリの実を摘んで殻を逆さにしてみると、数えきれないほどの種が出てきました。ザリガニの罠にはほとんど獲物がかかっていませんでした。この前日に仕掛けたばかりとのことで、寒いので動きが遅いせいではないかということになり、罠は元通り戻されました。
倒木についているキノコの仲間を観察しました。カイガラタケとカワラタケはどちらも柄がなく傘の部分が直接樹皮から出ており、傘の表側には環状の模様がありました。しかし裏側を見るとカイガラタケにはひだがあるのに対し、カワラタケにひだが見られませんでした。
帰り道で毎年シラタマホシクサを観察する湿地を通りかかりました。周りの広葉樹の落ち葉が大量に湿地に降り積もっていました。このまま放置すると土壌が富栄養になってしまい湿地で育つ植物のためには望ましくないため、落ち葉の除去が必要だという参加者の声がありました。
さとの道を戻る途中、子どもがフジの実を拾いました。さやを開いてみると丸くて茶色の種が互い違いに左右のさやにくっついていました。振り返りの場には小学生がオタマジャクシ池の近くで見つけたという霜柱を持ってきました。1.5センチほどの高さでした。
気温は低かったものの美しく澄み切った空の下で気持ちのいい時間を過ごしました。真冬の自然観察会でも、予想に反してたくさんの虫がいることがわかった、という感想も聞かれました。今年も季節ごとの生き物の姿を参加者のみなさんと一緒にたくさん見ていきたいと思います。
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1月度の観察記録
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| 2022-1-29 | 104 | |
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