2023年 12月 10日(日)9:30〜13:00 作成:田畑恭子 監修:瀧川正子 毎年12月の平和公園自然観察会は芋煮会を実施しています。森の生きものの様子の観察を共有してきたみなさんと1年間を振り返りながら芋煮鍋を食べる日として、長年続いてきました。この日は芋煮会の天候にこれ以上はないというくらいの穏やかな日和になりました。準備を進める間に身体を動かすと汗ばむくらいの気温になり、参加者の中には半袖の子どもの姿も見られました。 開始時刻が近づくと、一部の参加者で手分けして用意した食材が次々と届き、様々な資機材と共にリヤカーに積み込まれていきました。すべての荷物を積み込んだリヤカーはかなりの重量になったようですが、大学生の青年を中心に注意深く出発して中道を進んで行きました。
中道沿いのカエデは真っ赤に紅葉していました。芋煮会の開場につくと、すぐに馴れた参加者によってコンロとかまどの場所が決められました。シャベルとツルハシを使って地面にコンロがすっぽり入る深い穴があっという間に掘られました。落ち葉や薪集めの指示が出された子どもたちは、レーキを使って集めた落ち葉をトン袋に入れて運んだり、林の中に入って薪拾いをしたりしました。
そうするうちにコンロでは熾火づくりが始まり、かまどには火が入りました。そばのトウチク林では子どもたちを中心に竹パン用の竹を順次伐り出して、キッチンまで運びました。この竹にパン生地が巻きつけられコンロの熾火でパン焼きが始まりました。
焼き芋用のサツマイモはいつもより小ぶりで、割った竹にはさんで焼くという新しい方法で焼いていましたが、焼き上がりはどうだったのか確かめることができませんでした。芋煮の方は用意された食材のうち、一部の豚肉が一口大に切れていなかったため、急遽キッチンテーブルの上で細かく切り分けました。
芋煮の調味料はいつも醤油と酒のみです。シンプルな味付けでもたくさんの具材を入れるので深みのある味になります。かまどにはサトイモ、ゴボウを入れた鍋がかけられ、水がなみなみと注がれると、あとは火の管理を続けながら順次豚肉やキノコ、豆腐、こんにゃくなどを追加していき具材に火が通るのを待つだけです。最後にネギが投入されてたっぷりの芋煮鍋が完成しました。
コンロの周りには竹パンのほか、マシュマロを焼く人、網で餅を焼く人などが集まっていました。焼きあがった竹パン用に、参加者が持ち寄った手作りのジャムや粒あんが用意されていました。
焼いたマシュマロをチョコレートと一緒にクラッカーに挟んだものをスモアと呼びます。このマシュマロとチョコレート、クラッカーは毎年参加するキャンプの達人の男性からの差し入れで、スモアは子どもにも大人にも大人気でした。この日はほかにリンゴやミカンも差し入れとして提供されました。
こうしてたくさんの食べ物が出来上がり、子どもたちの中には竹パンを何本も焼く子も見られました。100杯分の大鍋の芋煮もすっかり食べ尽くされて、大人も子どももお腹いっぱいになったようでした。
現場の後片付けが始まると、みんな協力し合って手際よく作業を進めました。コンロやかまどの置いてあった場所は水をかけて消火し、完全に火が落ちたあとで埋め戻されました。使用した道具類やテーブル、ブルーシートなど、すべてのものをリヤカーに積み込んだあと、輪になって振り返りをおこないました。この日のことだけでなく今年1年の中で印象に残ったできごとなど、参加者それぞれの感想が語られました。この森の豊かさは、自然観察会の参加者の心に、生きものの持つ不思議さとの出会いや、新しい発見をする楽しさなど、たくさんのものを刻んできたようでした。
帰り道のリヤカーは、積んでいるものが軽くなったことと、ゆるやかな下り坂であることが相まって朝よりも格段に進みやすいとのことでした。里山の家に戻り道具類の後片付けまでをみんなで協力しておこないました。
この日は通常の観察会ではないため、生きものの記録はほとんどありません。芋煮会の途中、時々参加者が生きものを見つけて知らせてくれたものもありました。交尾中のクヌギカメムシはお腹が大きい方がメスで卵で越冬するとのことでした。ユキムシと呼ばれる白い綿状のものを身にまとった昆虫はアブラムシの仲間で、越冬する場所に移動するところのようでした。アオツヅラフジで見つかったのは、ヒメエグリバの幼虫で、幼虫越冬するガのようです。
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