2023年 11月 12日(日)9:30〜12:20 作成:田畑恭子 監修:瀧川正子 先週の半ばまでは最高気温が20℃を越えていましたが、金曜日の雨を境に気温が下がり、この朝の最低気温はこの秋初めて1桁台になりました。久しぶりに大勢の参加者を迎え、観察の列はずいぶん長くなりました。出会う森の生きものはみな冬を迎える準備を整えつつあるようでした。
毎年11月の自然観察会はカエル池の横のマサキに集まるミノウスバの観察から始まります。秋の終わりに幼虫の食草であるマサキに産卵するので、交尾のためにやってきた多くの成虫を見ることができます。この日はここ数年になく成虫の姿は少ない印象でした。その足元ではツチイナゴが見つかりました。成虫で越冬する唯一のバッタの仲間です。近くにユズの木があり、今年はたくさんの実をつけていました。
2年前から大坂池の北で保護されてきたオオオナモミは、今年驚くほど繁茂して数えきれないほどに実をつけていました。この調子だと来年はすごいことになるのではないかと予想しました。先月花を観察したクコには緑の実がついていました。まだ咲いている花もありました。ヤナギの根元に大きなヒラタケが生えていました。食べられるキノコですがあまり美味しくないとのことでした。
ゾウムシに詳しい参加者が、ハンノキの雄花にモリモトシギゾウムシが来ているのを見つけて紹介してくれました。ハンノキの雄花に産卵するとのことで、よく見ると雄花に口吻で穴をあけていました。ハンノキではヤマトシジミも観察できました。チョウに詳しい参加者が翅の模様がよく似ているシルビアシジミとの見分け方を教えてくれました。少し先の背の低いエノキの葉にアカボシゴマダラの幼虫がついているのが見つかりました。特定外来生物に指定されているこの地域のアカボシゴマダラですが、この半年の間にすっかり平和公園で普通に見られるチョウになってしまいました。
先月オオスズメバチが訪れていたアベマキの根元には、トラ柵と「ハチに注意」の看板が設置されていました。この日も数頭のオオスズメバチが来ていましたが、すでに息絶えているものも何体か落ちていました。子どもたちには水路沿いのジュズダマが人気で、みんな熱心に実を集めていました。その中のひとりがジュズダマの葉にとまっているウラナミシジミを見つけました。
つどいの丘のムクノキの実は熟したものは数が少なく、青い実はまだいくつか見られました。熟した実はとても美味しいと話す参加者もいました。ムクノキの葉にはヒラタアブの蛹も見られました。ヒラタアブの幼虫はアブラムシを食べて育つとのことでした。中学生が木の根元の不規則な網から黒っぽいクモを採り出しました。クモに詳しい人からハンゲツオスナキグモと教えてもらいました。名前の「ハンゲツ」は、うまく写真には撮れませんでしたが腹部の上方に三日月型の模様があるので、それを半月に見立てたのだろうと予想する参加者もいました。
つどいの丘ではそのほかにヤマノイモについているキイロスズメの幼虫も観察できました。丸々と太っていて、間もなく地面に降りて土の中で蛹になって越冬するそうです。葉が落ちたウメの木にドロバチの巣が残されていました。ハチが脱出したと思われる穴が開いていました。湿地の近くのナンキンハゼの紅葉が進んでいるのを遠くから眺めました。
田んぼに移動する途中でコクワガタを捕まえた男の子がいました。この日欠席した自然観察会の常連である大学生がいつもクワガタを見つける場所があるそうで、そこを探したら見つかったとのことでした。田んぼではヌマガエルを捕まえた男の子が嬉しそうに見せに来てくれました。先月観察したアオスジアゲハの前蛹のその後を確認しに行くと、無事蛹になっているのが見つかりました。葉脈そっくりの美しい模様を見て参加者たちは感心していました。
この日は赤い実をつけた木をいくつか見かけました。ハクサンボクの実は細めの卵型でツヤツヤと光っていました。サルトリイバラの実は丸くみんな上向きについていました。ソヨゴの実の色はややオレンジがかっていました。
この日は終始曇天でしたが、風は弱く寒さは気になりませんでした。もうあまり昆虫は多く観察されないのではないかと思っていましたが、虫好きの子どもたちが次々と見つけ出して、意外にも植物よりも虫の写真の方が多くなりました。植物も動物も、そろそろ冬の姿に変化していくことと思われます。
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