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2023年10月度の観察記録
2023年10月度の観察記録です。

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2023年 10月 8日(日)9:30〜12:00

作成:田畑恭子 監修:瀧川正子
写真協力:伊藤義人氏
参加者:大人 18名,子ども 4名 天気:晴れ

秋の気配が急速に深まってきました。10月に入った途端に30度を切った最高気温は、ここ数日は25度をも下回っています。この日の名古屋の最低気温は15.4度で、曇り空ということもあり長袖の上に羽織るものが欲しくなる肌寒さでした。森の生きものの様子も一段階季節が進み、冬を迎える姿に変化しつつありました。

里山の家での持ち込み観察項目:アカボシゴマダラの幼虫、ゴマダラチョウとアカボシゴマダラのプリント、甲虫の標本箱、シンジュの実
 

この日の参加者の大学生が持参したアカボシゴマダラの幼虫を出発前に観察しました。その食草であるエノキをくらしの森でも調べてみようということになりましたが、おたまじゃくし池のそばのエノキでは幼虫は見つかりませんでした。そのエノキは実をつけていて、赤く熟したものは食べられると聞いて食べてみました。ほんのりと甘く癖のない味でした。野鳥たちには人気があるそうです。大坂池の北のクコの木は、何度も草刈りで刈られてしまってはまた育って来るということを繰り返しています。この日は大人の腰の高さほどに成長して花が咲いていました。クコはナス科とのことで、確かにナスの花を小さくしたような印象でした。足元の草にセスジスズメの若齢幼虫がとまっていました。黒字に黄色い紋が目立つ人気のスズメガの幼虫です。とまっていたのはイネ科の葉でしたが、食草はヤブガラシやノブドウ、サトイモなどです。よく見るとすぐそばにヤブガラシがはえていました。

エノキの実(名古屋平和公園) クコの花(名古屋平和公園) セスジスズメの幼虫(名古屋平和公園)
エノキの実 クコの花 セスジスズメの幼虫

小学生の参加者が見つけたイモムシを持ってきてくれました。ヨモギエダシャクの幼虫でした。名前にはヨモギとついていますがキク科に限らずいろいろな科の植物を食べるシャクガの幼虫です。この日はオオブタクサにとまっていたとのことでした。イヌホオズキもナス科で、咲いている花や黒い実はナスらしさをまとっていました。中道にはアベマキのドングリが無数に落ちていて、中にはもう根を出しているものもありました。シギゾウムシの産卵跡を探してみましたが、あまり見つかりませんでした。

ヨモギエダシャクの幼虫(名古屋平和公園) イヌホオズキの実(名古屋平和公園) 発根したアベマキ(名古屋平和公園)
ヨモギエダシャクの幼虫 イヌホオズキの実 発根したアベマキ

先月チャイロスズメバチが来ていたアベマキの樹液を調べると、この日はオオスズメバチが2頭来ていました。参加者には近寄らないように声がかかりました。その近くの地面を1頭の甲虫が早足で横切り、昆虫に詳しい大学生からセアカヒラタゴミムシと紹介されました。畑の脇で変わったマメ科の植物を見つけた参加者がタンキリマメと教えてくれました。初めて見る参加者が多く、数はあまり多くはないそうです。葉の様子は小型のクズのようでした。その名が特徴的なので少し調べてみましたが、痰を切る薬効は確認できませんでした。

オオスズメバチ(名古屋平和公園) セアカヒラタゴミムシ(名古屋平和公園) タンキリマメ(名古屋平和公園)
オオスズメバチ セアカヒラタゴミムシ タンキリマメ

畑のサツマイモの葉には夥しい数の食痕が見られました。よく見るとヨツモンカメノコハムシがたくさんいました。幼虫、前蛹、蛹、成虫が大量に見つかりました。サツマイモの葉は穴だらけでしたが、参加者は芋の出来に影響はなさそうだと話していました。サツマイモの葉には巻いているものがあり、めくってみると白黒の小さなイモムシが隠れていました。イモキバガという小さなガの幼虫でした。畑ではほかにローゼルやオクラ、ナスなどの野菜が栽培されていました。

ヨツモンカメノコハムシ(名古屋平和公園) イモキバガ(名古屋平和公園) ローゼル(名古屋平和公園)
ヨツモンカメノコハムシ イモキバガ ローゼル

畑のシソは花盛りでたくさんの昆虫が蜜や花粉を目当てに集まって来ていました。シロオビノメイガウラナミシジミ、ヤマトシジミなどの鱗翅目のほか、ハチやアブの仲間も多く観察されました。同じ場所で大学生が虫網で捕らえたのはホシヒメホウジャクでした。

シロオビノメイガ(名古屋平和公園) ウラナミシジミ(名古屋平和公園) ホシヒメホウジャク(名古屋平和公園)
シロオビノメイガ ウラナミシジミ ホシヒメホウジャク

炭焼き広場にあるウバメガシにドングリがなっていました。多くの実が2つずつくっついていました。2年目の秋に茶色くなるそうです。そしてこのウバメガシのドングリは食べられるとのことでした。その隣のアキニレは、秋に花が咲くことからその名がついたそうですが、この日は花が終わって実がつき始めていました。まだ若い実で、ピンク色の柱頭が残っていました。広場の東側のむき出しになった地層を観察して、その地層を作り出したかつての水の流れやその速さを想像してみました。

ウバメガシのドングリ(名古屋平和公園) アキニレの実(名古屋平和公園) 地層の観察(名古屋平和公園)
ウバメガシのドングリ アキニレの実 地層の観察

湿地の様子を見に行きました。一面のシラタマホシクサの中にスイランが2輪だけ咲いているのが確認できました。湿地ではほかにシロバナサクラタデ、ヒヨドリバナ、シロサワギク、サワギキョウなどが咲いていました。田んぼに移動する途中、クスノキのひこばえでアオスジアゲハの前蛹を見つけた参加者がいました。その色がクスノキの葉の裏側の色とそっくりで、言われてもどこにいるのかすぐにはわからないほどでした。

シラタマホシクサとスイラン(名古屋平和公園) アオスジアゲハの前蛹(名古屋平和公園) (名古屋平和公園)
シラタマホシクサとスイラン アオスジアゲハの前蛹

田んぼではイネの穂がすっかり色づいて垂れており、次の週末に稲刈りを予定しているとのことでした。参加者は籾を一粒ずつ取って殻を剥いて食べてみました。夏にイネのミルクを味わった時には甘さを強く感じましたが、今回は甘さと米らしい風味を感じました。この日の稲刈り準備の作業中に見つかったというウシガエルの幼体がバケツに入れられていました。ウシガエルは特定外来生物に指定されています。

稲刈り間近の田んぼ(名古屋平和公園) ウシガエル(名古屋平和公園) (名古屋平和公園)
稲刈り間近の田んぼ ウシガエル

田んぼの脇ではイボクサが花をつけていました。ツユクサ科の植物で花はツユクサより少し小さく色は淡い紫色でした。またボントクタデとイヌタデが近くに咲いていました。その葉に模様があるのがこの2種の共通の特徴と言われて確認すると、確かにV字型の斑が見られました。

イボクサ(名古屋平和公園) ボントクタデの葉(名古屋平和公園) (名古屋平和公園)
イボクサ ボントクタデの葉

朝から時間を追うごとに少しずつ空が暗くなっていましたが、里山の家に帰り着いた頃にちょうど雨が落ちてきました。振り返りはギリギリ外でおこなうことができました。短い秋のひと時をゆっくりと味わうことができた10月の自然観察会でした。

平和公園での観察項目:ウンモンスズメのフン,死んだアメリカザリガニ,ヨシの穂,ワカバグモ,アリの仲間,エノキ,ヒガンバナ,セスジスズメの幼虫,ヤブガラシ,マダラツマキリヨトウ,ウメの花,オオオナモミ,クコの花,ヨモギエダシャクの幼虫,オオブタクサ,イヌホオズキ,イグチ科のキノコ,アベマキのドングリ,オオスズメバチ,ガの仲間の幼虫,セアカヒラタゴミムシ,ソシンロウバイの偽果と種,イセノナミマイマイ,タンキリマメ,ヨツモンカメノコハムシ,ウラナミシジミ,イモキバガの幼虫,シソ,チャバネセセリ,ツバメシジミ,ラッカセイ,ナナホシテントウ,ハネナガイナゴ,アブの仲間,ローゼル,ヤマトカギバ,ヤマトシジミ,シロオビノメイガ,ナスの花,オクラの花,ホシヒメホウジャク,ヤマノイモのむかご,ウバメガシのドングリ,アキニレの実,アオスジハナバチ,ヘクソカズラ,地層,サルトリイバラ,コロギスの幼虫,コバネイナゴ,チヂミザサ,ヒメスズメバチ,ジュズダマ,アキノノゲシ,シロバナサクラタデ,コガタスズメバチ,ヒヨドリバナ,シラタマホシクサ,スイラン,シロサワギク,サワギキョウ,ジョロウグモ,アオスジアゲハの前蛹,ウシガエル,田んぼ,イネ,イボクサ,ボントクタデ,イヌタデ,ヌメリグサ,カマキリ,ヒメジョオン,コクワガタ
 

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