2024年 1月 14日(日)9:30〜12:00 作成:田畑恭子 監修:瀧川正子 最低気温が0℃となり、この日は行く先々の池に張った氷が子どもたちの関心を引き、立ち止まることが多くなりました。観察項目は少な目でしたが、越冬する昆虫の姿や春を待つ植物の様子などが随所に見られました。 この日はカエル池の氷の観察から始まりました。子どもたちが手を伸ばして氷を取り、その厚みを調べました。池の端の方には厚めの氷が張っていて、池の岸から離れるほど薄くなっているようでした。オタマジャクシ池ではさらに厚い氷が張っていて定規で測ると最大で6mmほどになっていました。マサキの実が開いて赤くてツヤツヤの種が顔をのぞかせていました。その頭上の高いところにはカラスウリの実がいくつもなっているのが見えました。
足元の草むらで子どもがバッタの仲間の成虫を見つけました。たくさんいるバッタの仲間のうち、唯一成虫で越冬するのは何かと質問するとその場にいた1人の子どもから「ツチイナゴ」と正解が返ってきました。
タラヨウにも赤い実がたくさんついていました。その葉を観察していると今年誰かが書いたと思われるメッセージが見つかりました。
去年から継続して観察しているクコの実がその後どうなったかを見に行くと、これもまたきれいな赤い光沢を放っていました。中道を進むと、道端のツツジの中にはすでに若い葉が芽吹いているものもありました。畑の方へ進むといつものようにソシンロウバイが咲いていました。つい先週から開花し始めたばかりとのことでした。まだ少ないその花に顔を近づけて、優しい香りを嗅ぎました。
つどいの丘ではエノキの根元でゴマダラチョウの幼虫を探しました。この日出発してすぐのオタマジャクシ池のそばのエノキでは見つかりませんでしたが、こちらでは越冬幼虫を観察することができました。同じ場所で参加者の男の子がリュウノヒゲの青い実を見つけて教えてくれました。リュウノヒゲはジャノヒゲという別名があり、今年の干支と来年の干支を兼ね備えた名前であると話す参加者がいました。つどいの丘のコウバイはつぼみが膨らみ始めていました。一方すぐそばのハクバイのつぼみはまだ固いものばかりでした。
炭焼き広場の東の生垣に白い花が咲いているように見えたので近くで確認すると、花ではなくイセリアカイガラムシという大型のカイガラムシでした。さまざまなサイズであちこちについていました。
サルトリイバラの赤い実の皮を剥いでみることにしました。中は3室ほどに分かれていて、その中に固い種が入っていました。サルトリイバラの種を取り出してみたのは初めてという参加者がほとんどでした。
近年キアゲハがあまり見当たらないという意見が出て、エサとなるセリがどのくらいあるのか探してみました。田んぼの北側の斜面に少し生えていましたが、幼虫が育つには足りないように見えました。
田んぼの脇のせせらぎのそばのシダの茂みの中にキタキチョウの死骸が落ちていました。キタキチョウは成虫で越冬しますが、ちょうどそのような場所を選ぶとのことで、これは越冬中にクモなどに捕食されたのではないかという見方をする参加者がいました。その近くに少し離れて生えている2本のヒサカキを観察した参加者から、片方には実だけがびっしりとついているのに対して、もう一方には花芽だけがたくさんつき実は一つもついていないことが指摘されました。
田んぼの近くで日陰になっている地面には霜柱が立っていました。子どもたちがその上を歩き、ザクザクとした感触を楽しんでいました。
中道に戻って進むうちにアベマキの樹皮で越冬しているキノカワガが見つかりました。樹皮にそっくりな翅の模様のためほとんど目立たず、その溶け込んだ様子に感嘆の声が上がりました。
中道沿いの南斜面にはミツバがたくさん自生している場所がありました。ミツバもキアゲハの食草であり、そこなら幼虫が育つのに十分かもしれないとのことで、その季節になったらまた探してみようということになりました。その周辺にはカラスノエンドウやハコベなどのこれから成長する草花の新芽が伸びてきていました。その中に紛れてヒメオドリコソウがひと株だけ早くも花を咲かせていました。
常緑樹の葉裏で越冬する鱗翅目の昆虫がいないかと探していたところ、重なり合ったサザンカの葉の間からツヤアオカメムシが出てきました。
帰り道でヤマノイモのツルが伸びたところにたくさんの実がなっているのを見ました。種はすでにほとんど残っていませんでしたが、光沢が美しく、リース飾りの材料になるとのことでした。
この日名古屋の最高気温は10℃に届きませんでしたが、風は弱く日差しも十分で寒さは気になりませんでした。昆虫などの動く生きものは少ない中にも植物の様子には春を迎える姿も感じられ、ゆったりと時間の流れる自然観察会となりました。
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| 2024-2-4 | 46 | |
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